裏稼業とカカシさん(旧題:裏稼業の何でも屋が出向く先には必ずカカシが待っている件)   作:chaosraven

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 大変長らくお待たせ致しました。
 長期間に及んでいるコラボ戦線もいよいよ終盤に入りましてございまする。

 皆様、後もう少しだけお付き合い下さいませ。

 2022/08/20追記
 別視点→https://syosetu.org/novel/186365/97.html
 本文中の表現・文言を一部修正
 2022/08/24追記
 本文中後半部の一部表現を修正


-94-"Two-up"/14 Base attack

 

 

 

 数時間前————

 グリフィン&クルーガー社 Y-19地区

 とある病院・・・に勤務するスタッフ向けの従業員寮の一室にて

 

 電話の着信を伝えるコール音が、ソファーの中で布団にくるまって眠る部屋の主の耳元で鬱陶しく鳴り始めた。

 携帯電話は肘掛けと主の間の空間に収まっており、夢の中で幸せな時間を過ごしていた人物はバイブレーションと耳に残る高い音をダイレクトに喰らう。

 感覚的には突如叩き起こされたに等しいそれに、主もなんとかそれを止めようと布団の中から真っ白な腕を伸ばしてバシバシ叩きながら携帯を探る。が、見つからない。

 見当外れな箇所を手当たり次第に叩いたところで、絶妙な空間に収まったそれに触れられる道理も無い。数秒経って音の発信源を探ってようやく居場所を見つけた”彼女”は、その手に端末を握り、ボタンを押す。

 

 

『私だ、アフィニス』

 

「・・・・・・あー、聞きたくない声だ」ピッ

 

 

 即電話を切り、床に放り捨ててしまう主・・・アフィニス。

 当然、やっと繋がったと思った途端ガチャ切りされて相手が黙ってる訳も無く、切られてから3秒と待たずに電話が入る。

 それを見たアフィニスは、不機嫌そうな顔を思いっきり顰めながらノロノロと体を起こし、立ち上がると携帯を拾い上げた。

 

 

「・・・こんな夜中になんだい社長。私はぐっすり寝ていたというのに」

 

『緊急事態だ、Dr.アフィニス。君の力を借りたい。大勢の民間人の命に関わる由々しき事態だ』

 

 

 大勢の命に関わる、というフレーズを聞いた瞬間、彼女の纏う空気が一気に切り替わった。

 テーブルの上のリモコンを押してテレビを点けると、そこにはR20地区で武装蜂起が起こったというニュースが伝えられていた。

 現時点で詳細な被害は不明。しかし原因が武装蜂起とはっきりしてる以上、インフラにも何かしら攻撃が加わってるのは間違い無い。

 平和な筈の市街地が突如戦闘の最前線に・・・そうなって割を食うのは罪無き民間人ばかりである。

 先程までの寝ぼけ眼が嘘のように剣呑な光を瞳に宿した彼女は、鋭さを纏ったまま電話口の相手に話しかける。

 

 

「社長の言ってるのはこれの事?」

 

『そうだ。我が社の管轄区域内で大胆にも吹っ飛ばしてくれた。おかげで多数の死傷者が出ている。一刻も早い応援が必要だ』

 

「そりゃそうだろうね」

 

 

 言いながらアフィニスは端末をスピーカーモードに切り替えると、それを持ってシャワールームに歩いていく。ドアを開け中に入ると、着ていた服を大雑把に脱ぎ捨て洗濯かごへ放り込み、なんと電話が繋がったままお湯を流し始めた。

 

 マイクが拾う音から、彼女が進行形で何をしてるかある程度察した社長ことクルーガー。急いでるとはいえ、流石に人がシャワーを浴びる音を喜んで聞くような変態ではない。呆れと困惑の混じった声で問いかける。

 

 

『・・・掛け直そうか』

 

「眠気覚ましだからお構いなく。聞いてるから続けて? 時間は貴重だ」

 

『む・・・分かった』

 

 

 そう言ったクルーガーのスピーカーからホログラムウィンドウを操作する音が何度かすると、アフィニスの端末が出したホログラムに、クルーガーからアクセス許可を求める表示が出た。

 髪を洗いながらそれをタップすると、世間にはまだ公表されていない、G&K本部が把握している現時点での被害状況のリストが表示された。

 それらを指をスッスっと動かしながら流し見ていくアフィニス。最後の資料を見終えると、シャンプー塗れの頭を流しながら溜め息を吐いた。

 

 

「酷い有様だね。発電所の爆破に始まり、爆薬を積んだ自動運転車(オートパイロット)による駐在所への自爆テロ、そんでもって民間人にも容赦無い敵の攻撃と。・・・なんでこうなってるんだい?」

 

『何故この事態が起こったかは調査中だ。分かっているのは敵が我々に尋常でない憎悪を抱いていることと、ヘリアンが攫われてしまった事だ』

 

 

 社長の右腕とも言える要人が誘拐されたと聞き、ピクリと目尻を引き攣らせるアフィニス。どうやら自分が思うよりも遥かに大事になってると察した彼女は、ボディソープを塗りたくりながら声を発した。

 

 

「ふぅん? そりゃまた結構な被害だ。こういうとき、いの一番に動くべき現地指揮官様は何をやってらっしゃるのさ。あそこは確か、大口スポンサー(フォスター会長)の息子がトップだったと記憶してるけど」

 

『・・・大した成果は出せていない、とだけ言っておこう』

 

 

 つまり、使えない人材がトップに就いているという事だ。

 命を救う仕事に就く彼女にとって、無能が現場を上手く回せない為に救える命が失われる事は何よりも許せない事である。

 若干の怒りも込めて、彼女はクルーガーへ言葉を投げた。

 

 

「大惨事も大惨事じゃないか。()()()責任重大だね」

 

『・・・返す言葉も無い。だからこそ、今出来る最善を尽くすために君に声を掛けている』

 

「・・・良いよ、やるよ。一人でも多くの命を救うのが、医者としての私の仕事だ」

 

 

 アフィニスはお湯の栓をキュッと締める。ホログラムを新たに立ち上げ、表示されたキーボードに目にも留まらぬ速さでタイピングすると、打ち込んだ文章をクルーガーへ送信した。

 内容は大凡必要であると考えられる医療機材一式、それを扱えるスタッフ、輸血に必要な血液やガーゼ、包帯、消毒液に即席の手術室を作るための分厚いビニールカーテン等々。そして全ての医療資源を運ぶための輸送手段の一覧だ。

 端末を持って脱衣所へ。掛けてあったバスタオルで手早く身体の水分を拭い取ると、普段診療で着ている一式の服装を纏いながら口を開く。

 

 

「今そっちに必要な機材とスタッフの数、それと運ぶヘリの数を送ったよ。全力で当たるにはこれくらいの医療資源を投入する必要があると判断した。物資に関しては輸送機で上から投下でも問題無い。とにかく現地にちゃんと届いて使えれば良いんだ。異論は無いね?」

 

『承知した。直ぐに手配を進める。ただし、現地は未だ攻撃が続いている最中だ。くれぐれも用心してくれ』

 

「りょーかい。私もそう簡単に死んでやるつもりはないよ。それよりともかくだ。可能な限りリソースをこっちに割いてほしい。

 それが、この事態を防げなかったグリフィンが果たせる責任だよ」

 

『無論だ。よろしく頼む』

 

「はいはい」

 

 

 電話が切れたのを確認して、スカートのポケットに突っ込むアフィニス。簡易医療キットを収めた肩掛けポーチを引っ提げ部屋を出ると、直ぐ様勤務地の病院へと向かう。

 早速クルーガーからの要請を受けてか、近いところを飛ぶヘリのローター音が聞こえてきていた。

 

 

「真っ暗闇だってのに飛ぶ羽目になるなんて、あのパイロットもツイてないねぇ・・・にゃはは、まあお互い頑張りましょうってことで」

 

 

 一瞬だけ空に向けて見せた、彼女の特徴とも言えるふにゃんとした笑み。

 だが前に視線を戻した彼女には柔らかな笑みは無く、これから”戦場”に出向く医師としての強い使命感を宿した顔つきになっていた。

 

 

「・・・さあて、私も戦場(しごとば)に行きましょうかねぇ」

 

 

 白衣の襟を正す。

 サンダルを踵に打ちつけペタペタ音を鳴らしながら、彼女もまた戦場へと向かった。

 

 

 

 -----

 

 

 

『こちらブリッツ。配置に着いた』

 

「りょーかい。中入るまでちょっと待ってな」

 

 

 インカムからの声に応答すると共に、L96 AWMのマウントに取り付けた暗視スコープの照準を合わせていく。

 目標はM14 EBRを持ったスナイパー二人、その護衛に通常のSCAR-Hを持った兵士四人の計6人だ。

 本来、マグナム弾を使うこいつはマガジンの装填数は5発だが、予め薬室に弾を送り込んだ状態で五発入りのマガジンを入れ直せば5+1の六発、数だけで見れば敵を始末出来る最低必要数を満たせるわけだ。

 

 もっとも、実際にはボルトアクションで攻撃開始から六発全弾敵に当てるなんて中々の神業にも等しい。というより物理的にほぼ不可能なので、全弾命中(フルスコア)までは狙わない。

 ブリッツが先んじて潜入する上で一番の脅威となるのは、屋上で地上を見張る監視役の中でもライフルを持つマークスマンの二人。この二人の排除はマストだ。その上で、敵が此方の位置に気付いて応戦してくるようなら狙撃続行。すぐに建物の中に隠れてしまったらビルを出て爆弾工作に移行する。

 

 ふむ・・・風は奇跡なほどない。六階建てのビルにいるにしては珍しいほど風が凪いでいる。狙撃には好都合だ。照準が終わった俺はマイクへ呼びかける。

 

 

「OKブリッツ、用意出来た。分かってると思うが、ジャマーが発動次第一切連絡が取れなくなる。くれぐれも無茶な行動は控えてくれよ」

 

『分かってる。アンタこそヘマするなよ』

 

「はっ、誰に言ってる。目かっ開いてよく見てな」

 

『頼んだぞ』

 

 

 起動したタイマーは既に残り20分を切っている。あまり時間の余裕は無い。早速始めようか。

 

 

「そんじゃ、第一段階開始だ」

 

 

 既に薬室に装填された弾丸は、撃ち出されるのを待つばかり。

 俺は此方から見て上手側に位置取る敵スナイパーの頭部に向け、L96の引き金を引き絞った。

 

 マグナム弾は間を置かず目標の頭部に命中し、スイカが叩き割られたかの様に弾けた。

 スコープ越しに凄惨な死に方をした敵をまともに確認することなくボルトを引き、薬室に次の弾丸を送り込む。スピードが命の狙撃、故に荒く素早い動きで往復させるとすぐに指を引き金に掛けて銃口を動かす。下手側に位置していたもう一人のスナイパーへ向けて、間髪入れず引き絞る。

 

 ストックから強力な反動(リコイル)が来る。命中。二発目を撃ち終えボルトを引き直した所へ、俺は一旦身を伏せた。

 SCAR-Hを持った兵士達が俺の位置に気付き、早速迎撃してきたのだ。とはいえ、数百m離れた距離では流石の7.62mm弾もそこまでの威力は無い。当たればマズイのは変わらないが、数十mの至近距離でカチ合うよりは遥かにマシである。

 

 ・・・しかしまぁ、スナイパー二人を始末しただけでもう射手の位置を特定してみせた辺り、軍用ナノマシンの恩恵は極めて有用だ。なんて感心してる場合じゃない。これではブリッツの負担が少しだが増えてしまう。

 

 とその時、ブリッツから無線が来た。

 

 

『手伝おうか?』

 

 

 ドローンの映像で此方の状況を把握してるようで、狙撃に支障があるならと気を回してくれたブリッツ。だが心配は無用。この距離では単に俺に撃たせない様弾幕を張ってるに過ぎない。やりようはある。

 

 

「いーや、お構いなく」

 

 

 ん、という一声で無線が切れた。

 問題無いなら予定通りに。話が早くて助かるね。

 

 射線に身を晒さない様、伏せながら狙撃位置を横に数mほど移動し屋上の縁に乗り掛かると、銃口とスコープだけを露出させる。

 

 ・・・ワンチャン屋上のジャマーも狙えるな。寧ろ、ジャマーを先にぶち抜いて隙を作るか?

 

 折角の保険がぶち抜かれれば、大なり小なり敵に動揺を誘えるだろう。これがキッカケで四隅のジャマーが立ち上げてくれれば、その間敵達も連携が取りづらくなる。ブリッツや俺が紛れ込むのに適した状況へ持っていける。

 そう思った俺は早速ジャマーらしきモノへ射線を合わせると、引き金を引き絞った。

 

 放たれたマグナム弾はジャマーの外装を容易くぶち破り、中の基盤類を圧倒的な破壊力を持った衝撃波で粉砕する。

 とその時、銃創の辺りにバチバチと紫電が走り始めた。

 ・・・どうやらコンデンサといった高圧電流が流れる電源系統を破損したらしく、変な所に電導箇所が出来てショートし始めた様で————

 

 

 ボンッッッッ!!!

 

 

 辺り一帯に響く大爆発を起こし、屋上に残っていた敵兵を纏めてぶっ飛ばしてしまった。当然近くにいた生身の兵士には即死級の衝撃が襲い掛かり、奴等は漏れなく風に舞う木の葉の様に宙を落ちながら青白く燃えて散っていく。

 

 俺はスコープから目を離すと、起こった事態に目をパチクリさせてしまう。

 

 

「・・・や〜っべ」

 

『「や〜っべ」じゃありませんよっ。結局敵を刺激してるじゃないですか!』

 

『派手にやったな・・・』

 

 

 当たりどころが悪かった結果、爆薬満載のトラック突っ込ませんのとあんま変わらない爆発を起こしてしまった。ブリッツにあれだけ呆れ混じりの対応をしたというのに、俺自身がやらかしてどうするんだ。

 

 内心自分で自分に毒づきながら頭抱えたくなる気持ちになるが、地上にいた兵士が敷地内唯一の入口へ向かっていくのを見た俺は、気を切り替え狙撃体制に入り、直ちにボルトを往復させて引き金を引く。

 命中。次弾装填、照準・・・発射、命中。更に装填して照準、発射、当たった。コレで今時点でブリッツ付近にいる敵は始末完了。そろそろジャマーが動き出しても良い頃合だ。

 

 リロードしたL96をストレージに収め、グラップリングビームとP90と予備マガジン複数、スタン・リンゴ・チャフを3つずつポーチに押し込む。それと高周波ブレードを取り出し身に付けると、代わりに着けているスマートグラスを眼鏡ケースに入れてポーチの別ポケットに収めてしまう。

 付近の電子機器にも影響するほどの高出力ジャマーに接近するため、それらが稼働した後はスマートグラスはどのみち役に立たないだろう。表示がブレっブレになるとか、下手したらバイザーみたいな終わりを唐突に迎えるかもしれない。

 もしそうなった時にこれを掛けてたら一瞬で俺は行動不能に陥りかねないため、これよりジャマー破壊までは裸眼で挑むことにする。

 ちなみに何故ストレージに収めないかというと、コレまで収めると中身を取り出せなくなるためである。

 バイザーを壊されてしまったので、ストレージにアクセス出来る鍵はこのグラスのみ。もしかしたらスケアクロウならアクセスして取り出せるかもしれないが、当人はここにはいない。

 

 道中ボンっと行く可能性はあるが、眼鏡ケース越し、しかも別の収納スペースで軽く吹き飛ぶ位なら、ポーチの中の爆発物が起爆する事はまずない。

 

 

「OKブリッツ、とりあえず予定通りに忍び込んでくれ。爆発でそっちに向かってたのは始末したから、入ったあとはなるだけ見つからない様に頼むぜ。

 それと、もうそろそろジャマーが動き出す頃だろう。グラスや無線機がぶっ壊れない様気を付けてな。俺はこれからジャマー破壊に入る」

 

『了解』

 

 

 敵拠点からは見えない面に移動。上ってきた時と同様、柵にビームを括り付けて壁伝いに素早く降りてゆく。

 とその時、インカムからノイズが入る様になる。

 

 

『ザザァッ ジジジッ ザッ!!』

 

 

 想定通り、敵は四隅のジャマーを起動した様だ。今はノイズだけで済んでるが、近づけば間違いなくこの程度じゃ済まない。

 耳元で突然お釈迦になられるのも困るため、インカムもストレージに収める。

 これでジャマーのせいでストレージが死んだ場合、とてもエラい展開になるが、不意に爆発しかねない危険物を持ち歩くよりは影響を受けない収納に収めた方が良い。

 

 

「・・・・・・行くか」

 

 

 腰に留めたP90に手を添えた後、一直線に敵拠点まで駆けてゆく。

 上からの監視役がいない今が接近するチャンスだ。全速力で走り、勢いのままコンクリ塀を無理くり上って上端に手を掛け、身体を持ち上げる。

 塀の上に乗った後は身を伏せつつ、Five seveNとC4を手にジャマーまで音を立てずに走る。これもブリッツのような重装備であれば音が鳴って気付かれる可能性があったが、ストレージに余計な荷物を全て収めてしまうことで、隠密性を犠牲にせず携行性とスピードを活かしたまま仕事が出来る。

 

 先ずは入口から見て右手側、ビルからは死角に入っていた手前右側のジャマー上に到達。端末を取り出してみると、強力過ぎる威力に画面がブレッブレに荒ぶりまくっていた。

 耐性持たせた強化端末じゃなきゃとっくにぶっ飛んでただろう。が、この様子じゃ耐性があってもいつ限界迎えるか分からないので、尚の事手早く仕事を済ませるとする。

 

 C4に組み付けた時限信管が問題無く動作してるのを確認・・・残り時間は13分と少々。予定通りの時間に起爆するようちゃんと動いてるのを見て、ジャマーの中央に設置。

 最後にもう一度動作を確認して、そのまま次のジャマーへ急ぐ。

 

 その時、数発の銃声が轟く。ブリッツも接敵したらしい。

 今の音を頼りに敵が向かってくるだろうが、なるだけ見つからない様にと言い含めておいたんだから、多分察してそう動いてくれる筈。

 

 一辺120m程の塀の上を身を屈めながら音の無い早歩きで向かってると、敷地内を銃声の鳴った方へ向かう兵士を見つける。

 数は二人。ツーマンセルで増援に向かうつもりのようだが、ジャマーの影響でナノマシンによる連携機能が使えないせいか、心做しか身体の動きにわずかなぎこちなさが伺える。

 思った通りだ。あまりに優れた利器に慣れてしまえば、それが使えなくなった時に完全に順応するには時間が掛かる。ナノマシンなんて便利すぎる代物なら尚更だ。

 とはいえ、奴らに見られる動揺も天を仰ぎたくなるほどでは無く、使えないないなら経験を頼りに進んでいくつもりなのだろう。明確な隙を見せない辺りは腐ってもプロといったところか。

 

 このままだとブリッツのいる辺りに敵が集中する事になる。早いうちに爆弾を仕掛け、人質救出の突破口を探し出さねえとな。

 

 

 二つ目のジャマーに到達。先と同じ様にタイマーの動作を確認し、ジャマー中央に爆弾を仕掛ける。

 敵は今の所気付いた様子は無し。周囲に敵影が無いのを見て走り出す。

 その時、先ほど銃声が響いた辺りで複数の音色の違う発砲音が再び鳴り響いた。音の響き方から察するに、さっきのペアに加えてもうワンペアとも鉢合わせたか。

 だがブリッツの現状を知る術は無い。知ったところで何をどう出来る。それよか仕込むモンさっさと仕込んだ方が彼の助けになる。

 

 

 三つ目に到達。ジャマーの上に乗ると爆弾をセット。

 そのまま最後のジャマーへと向かう。この時点で残り時間は8分と少々。そろそろ急ぐか。

 

 少しだけペースを早めて歩くこと1分。最後のジャマーの上に到達。爆弾のセットをし終えたその時、工場の方から腹に響く様な銃声が響いてきた。

 それは秒間数十発単位で弾丸を撃ち出した時に鳴り響く連鎖的な轟音。撃ちっ放しではなく引いた指をすぐ戻してる辺り、弾の残量も気にしながら引き金を引いたんだろうが・・・・・・・ああん??

 

 あんにゃろう、待たないで突っ込みやがったな?

 

 

 ここから工場までは直線距離でどう短く見積もっても50m近くはある。にも拘らず建物の中からここまで届く程の轟音。ブリッツの装備にあんな音出せるモンは無い。つまり、コレはブリッツと相対してるであろう敵の装備によるもの。

 

 ・・・どう聞いても馬鹿でかい機関銃にしか聞こえねえ。つうか、あの重量物をこの間隔で撃ってる、更に言えば高々歩兵一人相手にそんなもん持ち出して迎撃してる時点で、ブリッツが戦ってる敵が生身じゃないのが分かる。

 

 その時、頭の中で先程見た光景が結び付く。

 ビルの屋上に不自然に置かれた海運用のコンテナ。なぜあんなトコに態々持ち上げて置かれてたのか疑問だったが、考えてる通りの事が起こってるなら辻褄が合う。

 

 

(奴ら・・・パワードスーツまで持ち込んでやがったのか?)

 

 

 確証は無い。だが五感で得た情報がその可能性が一番高い事を物語っている。

 だとしたら直ぐにブリッツの元へ合流しないといけない。パワードスーツ相手に歩兵一人で戦うなんて、それこそ命知らずも良い所だ。少しでも早く加勢する必要がある。

 俺はそう思って飛び降りようとした次の瞬間、建物の陰からペアの敵が駆け足気味に現れた。敷地内どころか周囲に響く音で工場の状況は察してるであろう奴等は、そちらに向かわずなんと此方に向かってきやがったため慌てて身を伏せる。

 腹の下で時限爆弾が刻々とカウントを刻む。

 

 

「(・・・・・・おいおいオイオイウッソだろ?)」

 

 

 俺の姿を視認される前に伏せたおかげで、俺の存在には気付かれていない。が、下手に動くことも出来ない。

 

 

(マズイな・・・どうやって抜け出すか。ここに居座られでもしたら仲良く心中なんて展開になりかねねえぞ)

 

 

 軍用のナノマシンには様々な効果がある。例えば宿主が死ねば死体を燃やして証拠隠滅したり、ナノマシン保有者同士の連携だったり。

 それらも確かに特殊部隊級の連中にはあって困らない機能だが、ナノマシンを投与して得られる何よりのメリットは、宿主の身体能力向上効果が見込める事だ。

 主に腕力脚力や反射神経等の効果があり、連携機能の有効的な運用には優れた身体能力が不可欠なのも相まって、ナノマシンが身体の細胞に様々な働き掛けをすることで短期間の内に強靭な肉体を得ることも実際に可能となっている。それを利用して、兵士の五感のうちの一つを鋭敏にすることで、敵の存在を敵より早く察知する事が出来るようになる。

 

 

(コイツら、どこまで音を拾える?)

 

 

 それは聴力だ。

 聴覚とは耳が拾った様々な音が鼓膜と神経を経て、脳に伝わることで感じ取れるモノ。音にも様々なものがあり、普段は意識しないだけで実は多種多様な音が自分の周囲では常に響き渡っている。

 例えばスーパーマーケット。客同士の会話やレジ打ちの音、それに店内のBGMは分かりやすいだろう。だが実はその他にも冷蔵が必要な生モノを冷やすための冷蔵棚の駆動音とか、通電した照明から出る僅かなジジジという音だとか、聞こえにくくても確かにその場で鳴っている音というのは意外と多い。

 つまるところ何が言いたいかというと、コイツらはその僅かな音すらも脳がちゃんと音として認識出来るように、ナノマシンの補助で聴覚が強化されている可能性が高い。

 

 

(・・・・・・ダメで元々、やるっきゃねえか)

 

 

 この距離では気付かれるリスクが高い。だがやらなきゃ心中する羽目になる。どのみち動かない選択肢は無い。

 

 俺はうつ伏せになったまま、ブレードの柄にそっと右手を添えて静かに握ると、僅かな音すらも立てない位にゆっくりと引き抜いていく。

 だがどうやったところで、物が擦れる以上は摩擦が生じるワケで。金属の刃に擦れるカランという音が鞘から漏れ出てしまう。

 

 

「・・・?? 今何か物音がしなかったか?」

 

「・・・聞こえた。何処から鳴った?」

 

「・・・分からない。気のせいか?」

 

「いや、よく気配を探ってみよう」

 

 

 ・・・・・・ちっくしょう、厄介なモン身体の中に取り入れやがって。こんな音にも気付けんのかよ。

 だが抜かないわけにもいかない。ブリッツやナビゲーターと連絡が出来ないため、この場を切り抜けるのは自分しかいないのだ。

 いや、もしかしたらドローン越しに見てるナビゲーターが何か考えてるかもしれないが、あるかどうか分からないサポートをアテにしてる余裕もない。

 

 少しずつ、でも着々と、刃渡り80cm程の刀身を抜いてゆく。擦れるだけ鳴り続ける微かな金属音。下の連中の動きが変わった。銃口を左右に向けながら、油断なく音の発信源を探っている。

 そして遂に————

 

 

「!! 上かッッ!」

 

 

 刀身を抜ききったちょうどそのタイミングで、敵も俺の居場所に気付いた。だが俺の位置はジャマーの足元にいる奴等からは死角になる。正確に俺を射抜くにはまずは自分たちが動いて俺を視認する必要がある。

 そんな時間は与えない。グレネードやら端末やらが入ったポーチを下に落とす。どうせジャマーのせいで敵は離れた味方と連携出来ない。頼れるのは隣にいるペアだけ。ナノマシン入りの敵を始末するには絶好の機会だ。

 ボトンっ、俺から見て左側面に放ったポーチは音を立てて着地した。勿論、奴等が聞き逃すはずはない。二人揃ってジャマー側面に回り込むその隙に、俺はブレードの電源を入れてジャマー正面へ降り立つ。音を立てず、気配を殺して。衝撃を前転で往なした流れで低い姿勢で立ち上がる。そしてまんまと俺に背を向ける格好となった敵の懐へ、滑り込む様に勢いよく突っ込んだ。

 

 

「ッッ!!?」

 

「!?」

 

 

 出会い頭に下からブレードを振り抜き、一人目を始末する。マイクロ波放射による高熱で接触面を瞬間的に加熱するこの刃は、どんなに分厚い防弾ベストを着ていたとしてもいとも容易くバターの様に切り裂いてしまう。呆気なく袈裟懸けに治癒不能な怪我を追う敵兵。振り抜いた刀身を返す流れで二人目を切り裂き始末完了。刀身に付いた血を振り払う。

 

 

「(来世で同じ仕事すんなら、今度は聞き取った音の正体にも意識割くことだな)」

 

 

 進行形で燃えてる死体にそう吐き捨ててやった。聞いちゃいないだろうが。ポーチを回収した俺はブレードは右手に構えつつ、ジャマーから離れたところへ忍び足で駆け抜ける。

 起爆まであと3分。急いでブリッツのとこに行かなければ。

 

 

 刹那————

 

 

「チィッッ!!」

 

 

 背後から猛烈な殺気を感じた俺は咄嗟に横へ飛び退く。

 立っていた場所のちょうど胸の辺りをピンポイントに、いつの間に回り込んでいた新たな敵の弾が通り過ぎる。

 

 ホルスターからFive seveNを引き抜き、牽制に数発奴らの足元に撃ち込みながら、先の敵が出てきた建物の陰・・・建屋に挟まれ路地になっているルートへ急ぎ潜り込む。

 敵もこちらを追ってくるが、曲がりなりにもアジトにしてたエリアの構造なんか奴らの方がよっぽど熟知している。言うなればここは奴らの庭、俺がどう逃げられるかはお見通しってわけだ。

 一番手っ取り早いのは挟み撃ち。俺が逃げられるのは前か後ろかしかなく、どちらを選んでも鉢合わせる可能性がある。それでも生き残る為にどちらかを選んで、突っ切る必要があると。普通ならそう思うだろう。

 

 だが俺は正規軍人でもなきゃプロの兵士でも無い。あくまで忍んで動き回るのが本職、謂わば普通じゃないルートを使うのが日常の仕事人(フィクサー)だ。

 

 ブレードの刃が上に向く様にして、熱を持ったそれを手の届く限りの高い位置に深く突き立てる。直ぐにマイクロ波の放射を止め、ちょっとした足場になる位に深く刺さってるのを確認すると、俺はそれに捕まり体を上へ持ち上げ足を乗せる。そしてそれを足掛かりに屋根に手を伸ばして一気に登る。

 

 すかさず屋根上に這うように身を隠すと、ポーチからスタングレネードを取り出しピンに指を掛ける。普通のグレネードを使うと、爆発時のダメージで刺さったままのブレードが損傷する可能性があるためだ。

 すぐさま俺を追って現れた二人の兵士。案の定左右から挟み込む形で路地にやってきたが、そこには壁に突き刺さった高周波ブレードがあるのみ。俺はこのタイミングでピンを抜き、警戒しながら俺の居場所を探り始めた二人の真正面に、起爆ギリギリのタイミングで下に放り込んだ。もちろん、即座に耳と目はカバーして。

 

 

「!! しまっ————」

 

 

 回避行動を取る間もなく、闇に馴れた目には強烈過ぎる爆光が二人を襲う。当然、ナノマシンで強化された聴力でアレの破裂をまともに食らった奴らに、俺の動きを正確に認知出来る道理は無い。

 それでも油断はせず、悶え苦しみながらも銃を構え続ける奴らの側へ無音で飛び降りると、立ち上がり伸ばした手で柄を掴んで電源ON。壁面を切り裂く事で容易く抜けたそれを、そのまま真上から振り下ろして斬りつける。夥しい量の血を噴き出しながら脱力していく敵兵士。発火に巻き込まれない様胸元を蹴り飛ばすと、続いてもう一人の兵士の元へ肉薄。首筋に刃を添えて、勢いよく動脈を切り裂いた。

 

 

「かふっ、あぐぁっ、ごほっ————」

 

 

 刃が喉の気管に達したらしい。動脈から溢れる血流が裂けた傷口から勢いよく流れ込み、たまらず咽せるもその傷から空気が漏れて上手く吐き出せない。その間にも咥内に溜まってゆく自身の血液を、力なく倒れ伏した兵士は口から垂れ流しながらどんどん動きが鈍くなってゆく。

 放っておけばいずれは死ぬ。内部まで達したダメージにこの出血量では、人間が持つ治癒力ではもう追いつけない。外科的なやり方でもそれは同じ。この敵兵に明日は無い。

 せめてもの情けじゃないが、ホルスターからFive seveNを抜くと防具に覆われていない頭部の露出した部分に照準を合わせ、引き金を引いた。

 

 即座に宿主の”死”を感知したナノマシンが情報保護機能を作動し、あれほどグロテスクだった重傷者をものの数秒でただの灰へ変えてしまう。残ったのは燃え残ったカスと、兵士の流した大量の血液。

 

 

「・・・・・・事が終われば、事故物件か”出る”スポットになりそうだな」

 

 

 そんなことを呟いて、腕時計を身やる。

 ジャマー爆発まであと15秒。目元が引き攣った。

 

 猛ダッシュで血溜まりから離れたところで身を伏せる。

 そして——————————

 

 

 カチっ、カチっ、カチっ、カチャっ————

 

 

 敷地の四隅で、一斉に大きな花火が上がった。

 同時に俺は早速ポーチからスマートグラスを取り出し掛けると、電源を入れてストレージにアクセスを試みる。

 

 ・・・問題無く召喚出来た。右手にはさっき仕舞い込んだインカム。電子機器を使う一切の障害が排除されたのを確認出来た。耳にそれを嵌めながら立ち上がったその時、正門の方から"進行形"で遠ざかっていっている小さなエンジン音が聞こえた。

 

 

 再び目元が引き攣った。

 俺はビルの屋上に目を向けて・・・さっき吹っ飛ばしたせいで外からじゃ上れない。正門へ全力疾走、塀に接近したところでビームを使って一気に身体を持ち上げる。

 オフィスよりも遥かに背は低いが、それでもある程度の高さがあってある程度の範囲は見通せる筈だ。

 そう考えて上ったものの、既に逃げた車のテールライトすら見えなくなっており、工場の銃声にかき消されそうなまでに小さくなったエンジン音が、目で見えない遠くから僅かに響いてくるのみ。

 

 逃げられた————

 

 

「クソッッッ!!!!」

 

 

 強く拳を叩きつける。

 そして俺は、この街の状況を一番良く理解してるヤツへ連絡(コール)する。

 

 

「ナビゲーターッ!!」

 

『は、はい!!』

 

「人質が連れてかれた!! ドローンで追えッ!! 今すぐ!」

 

『既にやっています!! ですが、相手のドライブテクが凄まじくて・・・』

 

「チッ・・・」

 

 

 即座にグラスの表面と端末に地図と移動する赤い点が表示される。

 確かに、この騒動で滅茶苦茶になっている市街地を縫うように駆け回っている。それも、車一台が辛うじて通れる様なか細い路地を主なルートとして。

 当然だ。メインとなるストリートはどこもかしこも大渋滞を起こしたまま戦場と化している。車どころかバイクですら走れない有様なのだから、車で逃げるならそんな所は走れない。あの光景を作り出した本人が一番分かってる筈だ。

 

 故に奴らはビルや建物に挟まれた細い路地を通り、逃げる。

 事前に念入りな下調べとシミュレーションはしていたのだろうが、それだけじゃない。ドライバーの華麗なまでのステアリング捌きに、絶妙な加減で車をコントロールしていくペダルワーク。どちらかが行き過ぎても足りなくても即座に車の姿勢が崩れるほど、実に際どいラインを攻めるドライブテク。

 いっそ惚れ惚れしそうな神業なのだと平面の俯瞰図ですら分かる、それが敵として逃げ回ってるのだ。厄介な事に。

 

 

 ナビゲーターが追跡しながらも弱音のような口ぶりで返したのはこれが理由というわけか。

 建物の隙間は、上空を飛ぶドローンにとって死角になる。物陰に隠れられると物理的に目標を認識出来なくなってしまう。万が一視覚的にロストした箇所から地下や屋内をずっと突き進まれようものなら、いよいよもって最悪の事態に直結しかねない。

 一度見失ったものをもう一度見つけ出すのは難しい。敵の近くで追跡できる()が必要だ。今すぐに。

 

 ————次から次へと・・・!

 

 

「スケアクロウに奴らの座標を送れ!」

 

『わ、分かりました!』

 

 

 即座に周波数を切り替え、スケアクロウとティナに接続する。

 

 

「スケアクロウ!!」

 

『な、なんですの!?』

 

「ナビゲーターが送った座標に車降りて今すぐ飛べ! 人質が乗ってるっ、絶対逃がすな! 早く!!」

 

『りょ、了解! 直ぐに向かいますわ!』

 

「ティナはそのまま此方に来い! お前が着くまでにはこっちもカタを付ける!」

 

『ら、らじゃっ!』

 

 

 無線が切れると同時に、俺は工場の方へ向き直る。

 未だ銃声が鳴り響いているが、中でどんな状況なのかがいまいち掴めていない。

 

 と、万が一の抑えに回ってもらってた二人にも呼びかけておかねえと。

 あそこ(ゲート)を突破されたらいよいよ面倒な事になる。最悪逃げた車のタイヤブチ抜いてでも、ゲートを潜られる前に止めなきゃならん。絶対に。

 

 

「416、G11(ねぼすけ)、聞こえるか? 人質乗せた車がゲートに向かってる。構えろ、絶対にゲートを通すな。最悪横転させてでも止めろ」

 

『了解。完璧な仕事をしてみせるわ』

 

『うあぁ〜い』

 

 

 ピクリ、G11の気の抜けた返事に血が上りかけるが、そんなしょうもない事に思考のリソースを割いてられないと思い直す。

 これが故あって寝坊助な彼女のいつもの姿だ。怒りを抱える理由は無いだろ?

 

 軽く深呼吸をして頭に酸素を回す。幾分か気分を落ち着けた俺は、改めてナビゲーターに必要事項の確認を取る。

 ジャマーが全部吹っ飛んだ今、ブリッツのスマートグラス越しに彼女も戦況を把握できているだろうと見てのことだ。

 

 

「ブリッツの戦況は?」

 

パワードスーツ(A.S.T)を装着した敵兵と交戦中ですが、重装甲の相手に有効打を与えられる装備が少ない為、苦戦を強いられています。

 また敵の主兵装がM134ミニガンなのも災いし、中々攻勢に転じる切欠が掴めません』

 

 

 ・・・・・・かぁーーー。そう来た、か。

 まさかボスキャラがM134(ミニガン)構えてるとは。どうやって生身の人間二人で勝てっつうんだよ。

 あまりにも酷過ぎる戦力差。ブリッツもタダでは死んでやらねえだろうが、エース級の歩兵一人にミニガン持ったパワードスーツのタイマン勝負だって? バカじゃねえのか。工場内の遮蔽物が全部抉り取られた瞬間ジ・エンドだ。

 まぁだからといって、そこにもう一人生身の人間が加わったところでどうできんのかって話だが。ったく、やんなっちまうぜ。今すぐ帰りたくなってきた。

 

 

「・・・・・・ハァ、このままだと押し込まれそうなワケだ。すぐそっちに行く」

 

『お願いします』

 

「それと、クルーガーにも()()()()()伝えといてくれ」

 

『・・・はい?』

 

 

 俺は塀の内側へ飛び降りると、敢えてドスを効かせた声で言ってやった。

 

 

「報酬は3倍だ」

 

 

 それだけ言って無線を切ると、ブリッツが戦う工場へと走り始めた。

 

 

——————————そうでもねえとやってられっかってんだ




 次回、共闘。
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