裏稼業とカカシさん(旧題:裏稼業の何でも屋が出向く先には必ずカカシが待っている件)   作:chaosraven

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 大変お待たせしました。
 今回はいろいろ氏のご許可ご理解を頂きまして、向こうの世界にまたまたレイたちを強制テレポさせました()。

 バトンは渡しましたぜ(^~^)ゞ


-SP47:05-二人のレイ、また出会う

 

 

 

「zzz...んあ? ・・・あ??? 何処だよココ・・・」

 

 

 目が覚めると、昨夜寝ていた筈の寝ぐらの部屋ではない別の空間にいた。

 周囲は真っ暗で、非常灯らしき緑のランプが僅かに光を放っているものの、この場所の全容を把握するには到底足りていない。

 

 なんだろうな、こんな様な転移のパターンには覚えがあるんだが、今回は以前とは違う場所に俺はいるらしい。

 誰かに連れ去られた? 俺たちの誰にも気付かせずに? 今までは周りに緑がある自然の中で起きることが多かったが、これでは今言った可能性を否定し切れない。

 

 体は? 動かせるな。

 服装は? 手触りで確認してみると、普段の仕事着を纏っているらしい。しかし俺がしまっているナイフや工具といった色んな携行用ツール以外、即ち拳銃にP90、それらの予備弾倉は入っていなかった。

 銃器だけが無い? だが刃物や工具類はある。ひとまず敵対的な相手と出会した時には何かしらやりようはあるな。

 って待てよ? もしかしてアレも取り上げられて・・・あぁ、あった。愛用のアイバイザーはちゃんと胸ポケットに入ってた。

 

 早速装着し、赤外線暗視モードに切り替える。バッテリーの残量も十分。

 するとこの場所がどういった様子なのかが大体分かった。

 

 

「折りたたみ式の長机を乗せる移動式ラックが複数、それに台車に載った20個ずつ重ねられた椅子の山に大量の段ボール箱・・・ここはコンサートホールかなんかの倉庫か?」

 

 

 入り口らしき扉の脇に電気のスイッチがあった。

 忍足で気配を消しつつ近寄り、音を立てずに明かりを点ける。

 バイザーを通常モードに切り替え、改めて周囲を見渡して予想が当たっていることを確認した。

 

 

「・・・そういや、さっきから観客の歓声みたいなのが聞こえてるな。ステージで何かショーでもやってるのか?」

 

 

 あるいは、人身や人形の競りでもやってるのかね?

 ・・・それよりも、スケアクロウやティナ達と合流しないといけない。

 

 ともかく、恐らく俺はまた説明不能のロジックによりどこか別の世界に来てしまったのだろう。

 そうでもなきゃ、近接戦に限るとはいえ十分殺傷性を持つ刃物類や、周囲の探索をサポートするアイバイザーをそのままポケットに入れておく理由が分からない。

 ついでにいえば、ちゃんと寝巻きに着替えて寝たはずなのに起きたら仕事着になってた事も、ただ単に寝ぐらから連れ出してきたなら態々着替えさせる理由はなんだ?となる。

 体に触れてる服を勝手に替えられてるなんて、余程酒飲んでるか強力な睡眠薬を飲んだでもなきゃ普通気付く。しかし全く察知出来なかった時点で可笑しな話なのだ。

 

 そして俺はそうした状況には二度ほど心当たりがある。そのいずれもが今とは少々周囲の光景が違うものの、似通った部分もまた多い。

 結論を出すには些か早計かもしれないが、現時点で俺の考えうる予想の中ではこれが一番可能性の高い説だろう。

 

 

「とはいえ、状況が全然分からん中で下手に動くのも危険、か・・・」

 

 

 幸い、見た途端何するつもりだと怪しまれる様な武器は無い。

 が、仮にも仕事する時に使う格好じゃあ、悪目立ちするのは避けられなさそうだ。

 

 ・・・いつもの様に、気配を消してここの探索を進めるか。

 

 

 そう思い、まずはココを出ようと扉を開け廊下に出た所ーー

 

 

「ん? なんだ君は?」

 

「誰アンタ」

 

「やっべ」

 

 

 たまたまその辺を通りかかったと思しき警備員のおっちゃん、それとケツから尻尾生やした金髪ツインテのミニスカ少女に見つかりました。

 クッソ・・・俺のバカ。

 おっちゃん達は揃って倉庫から出てきた不審者(オレ)に向けて訝しむ視線を向けており、事実金髪ツインテは腰に差した警棒に手を掛けつつある。

 

 さてここで問題だ。

 俺は仕事柄、正式に身分を証明できる類のモノは基本的に持ち合わせていない。業務用に偽造したIDは幾つも持っているが、生憎自分の持ち物を探った時にはそれらは持っていないと言うことは既に確認済み。

 ましてや別の世界に来てしまった現状、自分の事をどうやって怪しくない人物だと認めさせられる?

 

 

 A.ムリ

 

 

 何かのイベントが行われている会場の倉庫から出てきた、アイカメラが紅く光るアイバイザーを付けた戦闘服を身に纏う170センチ強の男。

 これを怪しまずに誰を怪しむというのか。

 身分を証明することも出来ないとなれば、彼らに捕まれば俺はこの世界で拘置所に突っ込まれる可能性もある、というか行き着く先はそこ以外ない。

 冗談じゃない。何日いられるのか、何時間いられるのか知らないが、牢に入れられるのは真っ平御免だ。

 

 

 従って、俺が取るべき行動はただ一つ。

 

 

「その格好・・・ちょっと事務所で話を聞かせてもらっってオイ! 待ちなさい!!」

 

「ちょっと! 待ちなって!!」

 

 

 全速力でその場から逃げた。

 

 

 

 -----

 

 

 

「第四倉庫に不審者ぁ??」

 

 

 下手側の舞台袖にいた俺は、目の前に立つ人物から齎された情報に聞き返してしまった。

 

 現在は俺の雇い主、そして”恋人”でもあるスケアクロウがパフォーマンスをしている真っ最中。

 今日のステージは彼女の側で控える俺とは別に、会場のある地元の警備会社が会場の警備を請け負ってくれているのだが、俺は彼らを指揮する警備主任からその様な事を言われたのである。

 

 普通なら見つけた当事者がココに来ている時点で既に取り逃してしまい、とにかく報告のためにやって来たんだろうと分かるため、彼らに叱責なりクレームなり言うところなのだろうが、俺は話をする主任の様子を見て”不審者”に対する警戒度を少々高めた。

 

 まずそもそもの前提として、公演をする前に地元警察と警備会社と合同で建物内部の安全確認を実施している。

 これは俺が”こんな身体”になるキッカケとなったあの事件を機に、爆弾や危険物が仕掛けられてないか、とんでもない事を考えてる奴らが侵入できる抜け道とかは無いかといった事をステージの度にチェックしているのだ。

 当然俺もチェックに立ち会い、観客席はもちろん、楽屋、舞台袖、ステージ裏の通路、ドレッシングルームから全フロアのトイレ(男女問わず)に、備品や資材を保管する倉庫まで、全てを隅まで確認している。

 

 そう、今日彼女がここでパフォーマンスをしている事から分かる通り、この会場に正規ルート以外で人が入れる箇所は存在しない。それは俺も警備会社も地元警察も再三に渡って確認した事。抜け穴は無い筈なのだ。

 

 にも関わらず、実際には第四倉庫から突然現れ、主任達の姿を見るや否やかなりの早足で逃げ果せたと。

 それが()()である主任だけを振り切ったのならまだ分かるが・・・俺は主任の隣に立つ、何故か尻尾を生やした金髪のツインテールが特徴の少女を見た。

 

 戦術人形『M870』

 この少女の正体。即ち、戦術人形とは人間よりも高い身体能力を持っている存在であり、不審人物を発見したとなれば普段設けられている対人間用リミッターも解除され、本来のスペックで相手を追跡することが出来る。

 

 だが現実として、目の前に立つ主任も彼女も揃って荒い息を吐いており、全力で追跡したが逃げられてしまったと言うのが見て取れた。

 二人とも玉の様な汗を浮かばせているので、彼らなりに懸命に任務を果たそうと努力してくれたのは分かる。

 

 ちなみにM870は万一に備え、警棒と共に非殺傷用のゴム弾を装填した得物を携行しているのだが、相手の動きが早すぎて取り出す前に逃げられてしまったようで。

 一刻も早くなんとかしないといけない訳だが・・・。

 

 

「えぇ・・・申し訳ありません。とんでもない身のこなしで壁や天井を忍者の様に駆け回っておりまして・・・」

 

「その、あたしも必死で追いかけたんですけど、気配を消すのも上手くて、ごめんなさい見失っちゃいました・・・」

 

「・・・戦術人形にも気付かせないほどのやり手か。恐ろしいのが出てきたな・・・」

 

 

 降ってきた問題に頭が痛くなる。

 

 そもそも第四倉庫から突然現れたと言うことは、残念ながら完璧に遂行してたはずの俺たちの仕事に穴があったということ。

 結果、本番当日になって不審者の侵入を許し、今も会場内のどこかで身を潜めている事だろう。

 

 目的はなんだ?

 スケアクロウの破壊か? それとも俺か? あるいは会場に爆弾か何かを仕掛けた後、中にいる全員を人質に身代金でも取る気か?

 何が狙いかは分からないが、このままにしていい訳は無い。モタモタしてると奴が何か仕掛けてくる可能性もある。

 

 考えてる時間は無いな・・・。

 スケアクロウもそうだが、場合によってはこの会場にいる全員の命に関わる。

 彼女のパフォーマンスを好きになり、今日まで応援してくれているファンの命を守ることもまた、俺たちが果たさなきゃいけない大事な仕事だ。

 

 抜け穴を突かれた形にはなったが、もうこれ以上好きにはやらせない。

 俺は気を取り直し、更に事態が悪化しない様手を打つ事にした。

 

 具体的には警備員を増員し、監視の目の強化。

 それと警察にも応援を依頼して逃げ場を無くしてやる。

 

 

「・・・相手の狙いが何かは分からないが、このまま放っておくわけにもいかない。やむを得ません、警備体勢を今のAシフトからBシフトに変更しましょう」

 

「やはりそれしかありませんな・・・すぐに通達をします。それと、念のため警察の方にもお願いしておきましょう。

 観客の皆さんには終演後の高揚感に水を差す様ですが、致し方ありませんね・・・」

 

 

 こうする事により、どこかに紛れ込んでいる不審者とやらは一層動くのが難しくなるはず。

 会場内の雰囲気が一気に物々しくなってしまうため、出来ればやりたくない方策なのは間違いないんだが・・・背に腹は変えられん。

 

 

「ところで参考までに伺いますけど、不審者の特徴は?」

 

「兵士が戦場で着てるような服を着ていて、レイさんの髪に近い色合いの金髪をしてました」

 

 

 ・・・んん?

 

 

「多分アイカメラかな?それが紅く光るバイザーを着けていて・・・」

 

「そういえば、背格好も大体レイさんと同じくらいだった様な・・・」

 

 

 んんんん???

 二人の話す不審者の外見を聞き、俺は引っ掛かるモノを感じ取った。

 

 俺と似たトーンの金髪で、紅く光るバイザーを着けていて、背格好もほぼ同じくらい。それも人形の目で見た情報だから間違いは無いだろう。

 

 ・・・・・・。

 

 ある予想に思い至った俺は、ポケットからいつも携帯しているバイザーを取り出し、電源を入れてみた。

 このバイザーもまた、カメラの周囲のライトが紅く光る仕様で、さらに俺はこの二人に自分のバイザーを見せた事は無い。

 俺の中で生まれつつある予感が確かなのなら、多分二人はこのバイザーに見覚えがあるだろう。

 

 

「! そ、それは!?」

 

「どうしてレイさんが!!?」

 

「・・・やっぱりか」

 

 

 案の定返ってきた反応に俺は溜め息を溢す。

 それは不審者の正体が分かったからだ。

 

 そしてあの男が不審者だとするなら、なんで第四倉庫から突然出てきたのかも説明がつく。

 そもそもこの世界の住人じゃないあの男は代理人から聞いた話だと、いつもはS-09地区から少し離れた自然区域に寝て起きると寝っ転がっているらしい。

 テレポートの理屈が全く理解不能だし、当人達も理解出来てないそうだが、要はこの現象はあの男にも説明不能な原理で起こり、今回はたまたま転移先に第四倉庫が当たってしまったのだろう。

 

 ・・・自分で考えててナンダコレと思ったが、会場の下見は本腰入れて徹底的に臨んだわけで、にもかかわらず不審者が出てきたとなったのはこの理屈なら説明がつく。

 あの倉庫には換気用のダクト以外には入口の扉しか人が通れる所は無い。そのダクトも結構な数の警備用ロボットが巡回しているから、どんな凄腕でもバレずに入るのは基本的に不可能。

 

 最も筋が通った説はこれで間違いない。

 とすれば、警備態勢を強化する理由は現時点では無くなった。

 

 

「・・・お騒がせしてすみません。お話を聞いた限り、どうやら不審者の正体は俺の知り合いの様です。

 背格好だけでなく顔や声もそっくりな男なんですが、こう誰にも気配を悟られずに動くことがとても得意なヤツで・・・。

 なぜここに来たのかは分かりませんが、少なくとも此方に敵対する気はないと思われます」

 

 

 そう伝えた途端、露骨に怪訝な顔をする二人。

 まあ、そうなるのも当たり前だわな。

 

 

「・・・レイさんとそっくりな人物、ですか?」

 

「世の中同じ顔の人間が3人はいるってよく言いますけど、にわかには信じられないですね・・・別に双子の兄弟がいるってワケじゃないんですよね?」

 

「ええ。全くの赤の他人です」

 

「うーん、でも今までレイさんはずっとここにいたんですよね。

 態々抜け出して巡回してる私達にちょっかい出す理由も無いし」

 

「もちろんです」

 

 

 しかし、なぜあの男が第四倉庫から出てきたのかの理由が掴めず、考え込む二人。

 ここで異世界から転移してきたかもと正直に言えりゃ話は楽なんだが、そう言って納得してもらえるワケが無い。

 どうやって説明したものかと思案を巡らせていたところ、ステージから拍手喝采が響いてきた。

 

 こっちはともかく、彼女の方は無事に今日の公演を終えられたらしい。

 とりあえずふぅと一息吐いた次の瞬間、思いもしないところから声に、下手袖にいる俺たち全員が驚愕した。

 

 

「ようやくステージが終わったらしいな。そんじゃこっちのお話も再開しようか? ・・・よっと」

 

 

 余談だがこのステージ、床から約6.5mの高さにある照明吊り下げ用の鉄骨が両側の舞台袖端まで伸びた作りをしている。

 支柱の鉄骨がステージ脇に四角形を作る様に4本、そこから更に伸びた先の両端にもそれぞれ2本ずつ支柱があるのだが、あの男はなんと下手側に伸びた鉄骨の上で公演が終わるのを待ってやがったのだ。

 

 しかも声を掛けたかと思えばその直後なんと飛び降り、伸ばした両腕で鉄骨にぶら下がる。この時点でドキッとしてる俺たちなどまるで意に介さず、腕を持ち替え体の向きを変えた男はブランコの様に体をスイングさせ、舞台側の壁面に向かって斜めに跳び降りる。ビタリと壁に着いた手足をバネに今度は床目掛けて壁を蹴り、伸脚姿勢でスライディングしながら着地して見せた。

 この間8秒にも満たない凄技に、その場にいた面々のほとんどが思わず拍手をしてしまう程だった。忍者みたいな身体能力とはよく言ったもので、こんな動きを繰り返されては撒かれてしまうのも納得できてしまう。

 

 そんな俺のもとへ、自分のバイザーを取って俺と瓜二つの顔を晒した”もう一人の俺”が歩み寄ってくる。

 心なしか揶揄う様な笑みを浮かべながら。

 

 

「よう“レイ”、久しぶりだなぁ? ・・・ライブ中から上で結構アクロバティックに動いたりもしてみたんだが、案外気付かれないもんだな?」

 

「「「ぐっ・・・」」」

 

 

 ちっくしょう、言い返せねぇ・・・!!!

 

 

 


 

 

 

 一方その頃、S-09地区にある『喫茶 鉄血』では・・・。

 

 

「美味しいねサーちゃん! こんなに美味しい飲み物食べ物は初めてだよ〜」

 

「気持ちは分かりますけど、もう少し遠慮と言うのをなさいな・・・」

 

 

 異世界からの客が新たな仲間を連れてやってきていたとさ。

 

 ・・・続く?




 次回こそは…本編を進めたい(滝汗)。

P90に名前を付けるとしたら?

  • そのまま『P90』でいんじゃね?
  • 『ナインティ』でいんじゃない?
  • ナインとティを逆さにして『ティナ』とか?
  • いやいや変化球で『きゅーまる』はどうよ?
  • 良いアイデアがあるから感想に書くぜ
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