裏稼業とカカシさん(旧題:裏稼業の何でも屋が出向く先には必ずカカシが待っている件) 作:chaosraven
短い文のくせして全然進みが遅いんですけど、見ていただけたらと思います。
※今回はカカシが登場。
オンボロで工場の駐車スペースに乗り付けた後、エントランスに向かって歩く。
外見には出ないように気を付けてはいるが、実を言うと心拍数はかなりバクバクいってる。
当たり前だ。下手すりゃスケアクロウの代金ウン千万と書かれた請求書を叩き付けられるんだから。俺は裏稼業の人間としては割りかし稼がせてもらってる方だとは思うが、だとしてもハイエンドモデルを個人で所有する程の財力はない。
導入時の初期費用もそうだし、その後だってランニングコストは掛かる。彼女が扱うビットの燃料とかならまだ良いかもしれないが、ボディにイイもの貰ってオーバーホールレベルの修復が必要とかなったらどれだけ金が飛ぶのやら。下手したら同じスケアクロウのボディに中の人格だけ移植するなんて事もあるかもしれない。
そこまで考慮するとなぁ・・・。やっぱり俺は責任取れないなと思うわけよ。今まで散々彼女の力を借りといてどの口が言ってるんだってのは理解してるが。
が、こうやってメーカー直々にお達しが来ちまったからには、俺にはもう逃げる術などない。潔くてめえの首を銀の盆に乗せる覚悟を決めろってね。
意を決してエントランスに入ろうとした途端、明らかにセンサーの感知範囲外なのに自動ドアが開いてビクンとしてしまう。
俺、メンタルに余裕が無さ過ぎてものすごい挙動不審になってる・・・。
さて、センサーが俺を感知していないのに自動ドアが開くということは、中から人が出てきたわけで。
鉄血の工場から出てきたのは、頭の上でシニョンの様にお団子を二つ作り、一昔前からサブカル文化の一部としてジャパニーズで流行ったというメイド服を着た見目麗しい大人な女性。身長も食料不足なこのご時世にしては平均以上に高く、スラッとしつつもそれなりにスタイルも良さそう。
さすが秘書役には美人を採用しているなと思う。服装がメイド服なのには正直理解が追い付かないけど、そこは社長の趣味(超ド偏見)ということにしておこう。
「お待ちしておりました”レイ”様。中で弊社の担当者がお待ちしておりますので、そこまでご案内させて頂きます」
「あ、ああ。ご丁寧にありがとうございます。よろしくお願いします」
「ではこちらへ・・・」
うーむ、そう言って俺を案内してくれるこの美人さんだが、いかにも仕事ができるクールな女って感じの印象を受ける。恐らくは工場長かそれに近い上級管理職の秘書さんなんだろうけど・・・。絶対メイド服よりスーツ着た方が少なくともこの場ではしっくり来る気がするんだよなぁ。どういう理由でメイド服になってんのか知らねえが、もし本当に社長の趣味だとしたら俺はものすごく距離をとって接する必要があるかもしれない。
そんな余計なこと考えながら緊張を紛らわしてると、美人さんの首のところにバーコードらしきものが襟の裏からチラリと見えた。・・・バーコード??
世の女性のファッショントレンドには後ろ首にバーコードのタトゥーを入れる事でも流行ってるのかしらん? いや、んな訳ねえな・・・。
なんて無意識に女性の首元を見続けてたもんだから相手も俺がどこを見ているのか気付いたらしい。
ひらりと優雅な動作で振り返ったかと思うと、スカートを捲りながらペコリと一礼する。
あのそこまで上げるとパンツが見え・・・げっ!!? 黒の下着と一緒に四つの武装アームまでこんにちはしやがった。
美味しいものと美味しくないものが一緒にチラリするってどういう事なのよ・・・。
「改めまして、鉄血工造がハイエンドモデルシリーズの一機。型式名『SP47 Agent』こと『エージェント』と申します。弊社上層部にてレイ様のお噂はかねがね聞いております」
「あ、どうも・・・」
いやはや、真顔であんなとんでもない所から武器を出せるのはやっぱり人形ゆえだなぁ。人間の女性だったらよっぽど下着がどうこうに頓着しない限り絶対顔に何かしら出るだろうし。まあ、もし彼女が人間だったらこの企業はセクハラがまかり通るやべえ所になっちまうけど。
にしてもエージェント? 彼女の設計をしたやつは一体どういうコンセプトでこんな無茶苦茶な武装の配置をしたのか物凄く気になる。やはりあれか? ターゲットとなる男の下心を煽ってチラ見せした所にバシュンと行く感じなのかね。
エレベーターに乗り込み目的の階へ移動を始めると、エージェントがふと思い浮かんだ様に口を開く。
「ちなみに自分で言うのもなんですが、私は現時点で鉄血工造が生産しているハイエンドモデルの中では最も強力な仕様で製作されているモデルでして」
「はぁ」
ハイエンドモデルの中で最も強力ってことは、鉄血人形最強ってことじゃねえか。つまりスケアクロウとかチミっ子よりも遥かに強力な人形だということか。
その分値段も桁が違いそうだな。もともと桁が違うスケアクロウたちよりさらにもう一桁とか? うわ、買い手いなさそう・・・。
というか、そんな情報を俺に話してくるってことはもしかして俺にキミを買って欲しいの? マジで?
チーンという音とともに開いた扉から通路に出た途端、彼女は先ほどと同じように優雅な所作で振り返り、
「今ならスケアクロウをお買い上げになれば私も付いてきます。お買い得ですよ」
「You何言っちゃってんの?」
わっかりやすい前振りからのボケツッコミ回収ありがとうございます。
何言ってんのよこの子。スケアクロウですらも代金支払うのに数年単位で家なき子になるレベルなのに、その上鉄血最強まで面倒見ろと? そんなこと物理的に不可能だわよ。金がどっかから泉のように湧き上がってくれればそれも出来る・・・湧いたら湧いただけ貨幣価値が下がるから意味ねえわ。むしろハイパーインフレになるじゃん。ダメじゃん。
「ちなみに参考までに聞かせていただくと、貴方をお買い上げするときのお値段ってどのくらいなんです?」
「それはですね・・・」
チラリと一瞬周りを見渡してからエージェントは金額を俺に耳打ちする。
・・・一生掛かっても買えねえよ!? なんじゃそのどエライ額は! コスト度外視なハイエンドモデルにしても限度があるだろうよ!?
俺が買おうとしたら破産どころの話じゃありません。
「・・・ですので、もういっそのことスケアクロウをお買い上げになるときにセットで私も付いて行こうかなと・・・」
最後にフゥーっと耳に息を吹き掛けられる。
止めなさい。いくら周りに誰もいないからってそんなくっ付くんじゃありません。
なんてね、思いながらも俺もなんだかんだ男の子なわけで。人形とはいえ見目麗しい美人さんに耳をフゥーってやられたらドキッとする。しかも顔が近い。クール系の美人の顔がすぐ近くにまで迫っている状況。なるほど、こんなことを平気で初対面の男にやれる性格してたら、そりゃスカートの中にあんな形で武器を仕込むなんて設計思想になるわけだよ。この子のAIのプログラム構成、完全に”魔性の女”をイメージして作ってやがるな。
さて、とはいえ商品に手を出すわけにゃいかねえから。そろそろ離れて頂きたいんだけど・・・。
そう思って離れようとした次の瞬間、体が間に割り込んできた者の手によってグイッと後ろに押された。
何事と思い目を見れば珍しく、本っ当に珍しいことに”ガスマスクを外したスケアクロウ”が俺を睨んでいた。
・・・真っ赤っかになったほっぺをプクーッとこれでもかというほど膨らましてるというオマケ付きで。
「私がいるにも関わらずあんなことをするなんて、どういう事でして!?」
「何が!?」
「・・・・・・つーーーーーんっっ!!!!!!」
「えー・・・」
「あらあら・・・」
さてはさっきエージェントが耳打ちしてた所を見てたな?
それがなんでここまで頬膨らませるほど怒るのかはイマイチピンと来ねえが。
ていうか、今までに無いくらい間をあけて『つーん』と言われちゃったんだけど。
これもしかしなくても今までにないレベルでスケアクロウ拗ねたよね?
関係回復下手したら絶望的なレベルで拗ねてるよね?
あーもう、依頼の内容を詰めるどころか依頼人と顔すら合わせてねえってのに、初っ端からこのザマじゃ先が思いやられちまうよ・・・。
どーすっかなぁ・・・。
書いてるうちに段々コレジャナイ感が凄まじくなってきたんだけど、そのうち第三者視点から見た流れとかもタイミングみて入れてかないとなぁ。
本来は主観視点だけでちゃんと伝わるように書かなきゃいけないんだけど、技量不足によってこのような事に・・・。
ところで、エージェントって鉄血最強の人形なわけじゃないですか。鉄血が生産してるモデルの中でもお値段本当にやばそうだなぁって思ったわけですよ。
あのスカートん中から武器取り出すとか、メイド服がデフォの衣装だとか、完全に設計者のフェチズムと夢と浪漫を詰め込んだ究極仕様になってるんだろうなと思って。でもそうすると製造コストはどうなんよとか色々紐付けて考えを及ばせていくと・・・
エージェントって行き遅れ人形になりそうランキングトップじゃね?(ガションと後ろから4つのアームを突き付けられながら)
P90に名前を付けるとしたら?
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そのまま『P90』でいんじゃね?
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『ナインティ』でいんじゃない?
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ナインとティを逆さにして『ティナ』とか?
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いやいや変化球で『きゅーまる』はどうよ?
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良いアイデアがあるから感想に書くぜ