裏稼業とカカシさん(旧題:裏稼業の何でも屋が出向く先には必ずカカシが待っている件)   作:chaosraven

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-10-人生思い描いた道筋が果たして本当にその通りに進むなんて事は世の中そうそうありえないんだよ

 あれから色々とウロボロスの魅力についてマシンガントークで聞かされまくったものの、そろそろ出る準備をしないといい加減予定に遅れる事を察したエージェントが扉をノック。脱線しまくってた話の流れをどうにか修正し、作戦開始と相成った。

 

 

 基本的には概要書から読み取りこうなるだろうと予測した通りのプランで、この工場から本社までの道のりを往復する。

 ただし予測したプランと異なる点がある。今もなお拗ねたままのスケアクロウと、お団子メイドのエージェントが同行するという点だ。

 

 ・・・スケアクロウは今まで共闘してきた中で戦い方はある程度把握してるんだが、エージェントよ。キミは実戦でもスカートをたくし上げてパンツ丸出しで武器をぶっ放すのかい?

 それはもはや痴女にしか見えnアダダダダ

 

 

「・・・女性に対して失礼な事を考える頭は握りつぶしてあげますよ?」

 

「アダダダダ」

 

 

 何考えてるのか見破ったらしい。突如アイアンヘッドクローをかまされた。・・・割と強めのお力で。

 すごく痛かった。おっかねえよ鉄血、おっかねえよエージェンtアダダダダ

 

 

「学ばない悪い子にはお仕置きが必要でしょうか」

 

「アダダダダごふっ!!」

 

 

 いよいよ痛みがやべえってなった瞬間、横から軽めのタックルを食らう。エージェントの魔の手から救われた俺が見たのは、拗ねてるのかコッチを見ようとしないスケアクロウ。フヨフヨ浮きながらツーンとしてら。

 

 

「・・・ありがとう、スケアクロウ。助かったよ」

 

「・・・つーん」

 

 

 あ〜あ、未だにご機嫌が治らないままだよもう。どうしてくれんのよエージェントさん。

 

 

「乙女の心を分かってくれない殿方にも罪はあると思いますが?」

 

「乙女って・・・」

 

 

 本当に人形とは思えないトークの内容だよ。何気なしにしゃべってると本当に人間を相手に会話してるように思えてしまう。

 とはいえ、だ。今はまだ良いが、護送作戦が始まったら流石に不機嫌でも応対くらいはしてくれないと困る。

 敵はそういうちょっとした連携のほころびを的確に突いてくるからな、警戒を厳にするというのならそこも含めて対処しないといけない。

 

 護送車の周囲に集まった人形たちを前にして、改めて指揮官として声をかける。

 

 

「えー、という訳で。改めて指揮を任された”レイ”だ。これから鉄血本社に向けてウロボロスのボディを護送するが、以前スケアクロウを攫った時のように敵性勢力からの何らかのアクションがあるかもしれない。

 本作戦に同行するハイエンドモデル、特にスケアクロウとデストロイヤーは万一の迎撃時の重要な要素となる事をくれぐれも忘れずに。エージェントは主にウロボロスの近くで最後の壁として直衛を。スケアクロウは俺の補助をメインに、ある程度敵が接近したらビットを用いた遠距離射撃で迎撃、デストロイヤーは必要に応じてランチャーによる面制圧射撃を担当してくれ。

 ちなみに俺の武器はこれらだ」

 

 

 そう言って、腰の専用クリップに付けた銃と、ホルスターに装着していたサブウェポンを取り出してみせる。

 

 

「・・・P90とFive seveNですか。FN社製の5.7×28mm弾を使う武装が二つ、なるほど。弾薬をメインとサブで共用で使えるのは一つのメリットですね」

 

「FN社の武器に何かこだわりでも?」

 

 

 こだわりか。正直なところ、P90のフォルムに一目惚れしたっていうだけの理由なんだよな。

 Five seveNに関してはエージェントが言った通り、弾の種類が共通していて融通が利くから選んだという面が強い。肝心のその弾がP90で撃つことを前提に作ってるもんだから、実はFive seveNで撃つとそのギャップが見事に発射時の挙動に出てくるんだけどな・・・。結局それも慣れてしまえばいくらでも修正は効くから、大した問題ではない。

 

 

「P90に一目惚れしたからっていうだけさ。あとは同じ弾を使ってることくらいさ。ご覧の通り、俺のメインは正直火力に関して他のSMGと比較するとそこまで高いものじゃない。基本的に周囲の戦況を見ながら指示を出すのが俺の仕事になるんだが、俺が迎撃に出なきゃならない事態ってのは相当にヤバい状況であるってことを理解しておいてくれ。

 この護送作戦の中で一番優先しなきゃいけないのは一つ。ウロボロスを無事に本社まで送り、この工場まで戻らせる事が出来るか。最悪それさえ成し遂げられればこの作戦は成功だ。俺たちがどれだけ傷付こうともな・

 ウロボロスが万一奥が一にも敵の手に渡れば、みんなを作った研究者たち全員が首吊ることになる。そういう意味でも、この作戦は絶対に失敗できないからな? 特に俺に思う事がある奴もいるかもしれないが、護送中はそういう個人的な感情は一切持ち込むな。敵と遭遇したら冷静に、でも冷徹に対処しろ。鉄血製の戦術人形のポテンシャルを見せてやれ」

 

『了解』

 

 

 鉄血の人形たちが一糸乱れぬ動きで、声を揃えて了解の意を告げる。まるで本当に軍隊の指揮官になったような気分だな。

 

 

「では、護送作戦を始めよう。車を出してくれ」

 

 

 各自護送車に乗り込むと同時に、運転席に座る戦闘能力を持たない自立人形に発進させる。

 さて、平和な道のりになれば良いが・・・。

 

 

 

ーーーーー

 

 

 

 心からそう思ってる時に限ってそういう願いってのは天に届かないものだ。神様とやらが現実にいるんだったら一言言ってやりたい。クソッタレってな。

 

 

『A部隊損耗率40%! 戦線維持に重大な支障あり、支援を!』

 

『B部隊も損耗率37%、こちらも支援が必要!』

 

『C部隊正面に展開する敵部隊に狙撃兵が居る模様! A・B部隊の前衛に大きな損耗あり!』

 

「ちっ・・・」

 

 

 俺が思っていた以上に戦局は悪い方向へと進んでいる。

 護送を始めてから4時間あまりが経過した頃。周囲は日の入りを迎えいわゆるマジックアワーなどと言われるような時間帯に、突如前衛を護衛していた人形が眉間に開いた穴から血を吹き出させてぶっ倒れた。

 それを皮切りにまるでゲリラのごとく湧いてきた武装した敵部隊。こちらが迎撃を開始する前にワラワラと銃を持ってこちらへと奇襲を仕掛けてきたのだ。

 

 予想よりもとても大きく素早い勢い、ゲリラ戦法を完璧というレベルでこなし、こちら側に反撃させるチャンスを与えずに神出鬼没といった体で一方的に攻撃を仕掛けてくる。あまりにも味方に近い位置どりで仕掛けてきたもんだから、高火力武装を持つハイエンドモデルの初手迎撃は行えず。このまま進むと本気でマズイ展開になる。なによりも光がほぼ無いという状況でゲリラ戦法を取られる事ほど厄介な事は無い。そして、

 

 

「暗がりの中でこちらの戦力を着実に減らしていける、どう考えても素人の集まりじゃねえ・・・」

 

 

 鉄血のマーケティングを快く思わない戦闘のプロによる襲撃の可能性も出て来ていた。さらになによりも厄介なことがもう一つある。

 

 

「闇夜の中でも確実に頭を射抜ける腕の良いスナイパーがいる。そいつをなんとかしないとマズイな・・・」

 

 

 せめてそのスナイパーさえどうにか出来ればもう少し前に出て攻めの姿勢も取れるのだが、射線上に入ったら最後と言わんばかりの敵ながら見事な狙撃で着々と味方を削られるこの状況は極めてよろしくない。

 なによりも光が無い状況というのはこちらにとって不利過ぎる。連中はこのままゲリラ戦でジワジワ削っていくつもりなのかもしれないが、どうにか削り切られる前に戦局を開く一手が欲しい。

 切り札、少々リスクが伴うがカードを一枚切るか・・・。

 

 

「A、B、C部隊の狙撃兵付きの観測者各員へ、次に敵部隊が現れ次第すぐに大体の方向と座標軸を直ちに測定し通信にて発信。あとは分かるな? デストロイヤー」

 

 

 暗がりのゲリラ攻撃により、観測なしに撃てば味方を吹き飛ばす恐れのあったデストロイヤーは戦線から一旦下げていたのだが、ここまで部隊が損耗しているともはや手段は選んでいられない。

 ゲリラの部隊規模等もほとんど情報を得ることはできていないが、敵の攻撃開始直後に大火力による面制圧射撃を行われれば敵とてタダでは済むまい。

 

 

『おっけー! 最初いきなり敵が出てきて撃てなくなっちゃったのは不満だけど、まあ真打ちは遅れてから活躍するものよね!』

 

「スケアクロウはビットをデストロイヤーの周囲に展開。万一スナイパーがデストロイヤーを狙った場合に備えてくれ。最初に撃たれたRipperが眉間に穴が開く程度のダメージで沈められた事から、少なくとも今まで使用しているのは対物ライフルでは無いはず。危険を承知で頼む、奴らにきついのを一発喰らわせてやれ」

 

『りょうかーい!!』

 

 

 直後敵部隊の攻撃がまた始まった。即座に各部隊の観測者からのおおまかな座標情報が発信され、デストロイヤーは既に射撃準備を整えた特製グレネードランチャーを目標点に向けて構える。

 

 

『それじゃ一発目、いっくわよー!』

 

 

 ポンッという気の抜けた音が響いたかと思えば直後、ドォンと鈍い音が腹の底にまで響く。

 続いて再び弾を発射し爆破、三度射撃を行い、三部隊から伝えられた座標点の敵の迎撃に成功したらしい。

 

 

『やったー! わたしの優秀さが見えた?』

 

「喜ぶのはまだ早い。早く車内に戻りな」

 

『は〜い』

 

 

 さすがにチミっ子でもハイエンドモデルを名乗るだけの火力、そして伝えられた複数の座標を記憶して順番に迅速な処理を行う演算能力を持っている。

 さて、ここで足止め食ってるわけにもいかん。

 敵に一矢報いて怯んだ隙に車列を出発させないとな。

 

 

「全車両ただちに発進。一刻も早くゲリラ隊が待ち受けているこのエリアを脱出する」

 

『了解』

 

 

 車列は再び動き出す。

 エンジンを吹かし、とにかくここを早く離れるために。

 

 警戒を続けながら集団は本社に向けて動くが、やはりそう簡単に仕事が終わる事は無いようで。

 

 

 パァンという鼓膜が破けるかと思うような破裂音がしたと同時に俺の乗る指揮車、つまりウロボロスを運んでいる車が制御を失いスピンしだした。

 

 

「くそっ、やっぱり上手くいかねえか! ちくしょう!」

 

 

 肝心の守るべき護送車が動けなくなっては意味が無い。

 やむなく車列は再び動きを止め、護送車を中心に守るように車を止める。

 まさか夜間に走ってる車のタイヤを撃ち抜いてくるとは、俺が思ってるよりも遥かに狙撃手のスキルは高いぞ。

 

 ・・・本格的に手遅れになる前に、カードを切らないとな。

 スピンした車の動きに耐え切れず倒れていたエージェントを起こし、そして重大な決断を下した。

 

 

「こうなれば戦力を出し惜しみしてられないな・・・。エージェント、キミに人形達の指揮権を預ける」

 

「よろしいのですか!?」

 

 

 まさか指揮権が自分に渡されるなんて言われるとも思ってなかったんだろう。普段の彼女なら間違いなく見せることの無い驚愕の表情を浮かべる。

 彼女はウロボロスの直衛としてここに居させていたが、そろそろ本格的な迎撃をしていかなければウロボロスを無事に送り届けるなんてことは達成できなくなる。このままじゃ全員共倒れ・・・少なくともハイエンドモデルの彼女達はそんなことにはならないだろうが、俺や一緒に乗ってる研究員たちはそうはいかん。この戦局を乗り越えられなきゃほぼ確実にぶっ殺される。

 

 もはや最大戦力を残しておく理由は無くなった。なりふり構ってなどいられない、総力を以って敵を撃破する。

 

 

「エージェントはハイエンドモデルの中でも最強最高なんだろう? キミなら人形同士のネットワークを使って、人間の俺が指示を出すよりも遥かに効率的に戦局を進められるはずだ。”鉄血最強”のチカラ、見せてくれよ。エージェント」

 

「・・・畏まりました。指揮権を拝命し、敵戦力の撃破に総力を尽くします」

 

 

 スカートをたくし上げ、4本のアームを繰り出すエージェント。

 車両を出る際に振り返り一礼し、彼女は戦場へと降り立った。

 

 

 そっからの展開はまあ、言うまでもない。

 

 ぶっちゃけた話、最初からエージェントに指揮を任せておけばよかったと、そう思えるほどに彼女は戦局を一気にひっくり返して見せた。

 まずあの子、身体能力べらぼうに高い。回し蹴りからのコンマ何秒の着地からムーンサルトを決めたり、撃ち出された弾を見て避けるとか。

 そんでもってスカートの中からこんにちはするあの武装アームもすげえ。発射されるエネルギー弾の威力は俺が見たどの武器よりもずば抜けていて、デストロイヤーのグレネードの爆発に匹敵する威力じゃねえかと思っちまうほど。ちなみにこれ見てたデストロイヤーは冷や汗を流したらしい。

 

 声に出して指示を出さなきゃいけない人間(アナログ)と、声に出さずともほぼタイムラグなしで直接やり取りできる人形(デジタル)では、やはり戦闘の進み方にはあまりにも差が出る。それを今日とても実感させられたよ。

 

 

 彼女自身の戦闘能力と卓越した指揮能力を以って行われた迎撃戦は、どさくさに紛れて俺がウロボロスたちを別の車両に移動、動く準備が整ったところで一気に急発進して戦闘地域を脱出する形で終わった。

 なにせさっきと同じような展開で車を潰されるわけにはいかないと思ったのか、エージェントは狙撃兵がいるであろうあたりに無茶苦茶に撃ちまくったのだ。特に狙いを定めること無く、あの”デストロイヤーのグレネード弾”に匹敵する威力のエネルギー弾をな。

 4つのアームからポンポン代り番こに自分のいる方角めがけて飛んでくるなんて、考えただけでもゾッとする。狙撃兵もアレの威力はスコープ越しに見ていたはずだろうから、それが自分のいるおおよその位置に向けて無作為に撃ちまくられるのは本当にたまったものじゃない。優位を保っていたはずがいきなり大悪夢である。

 

 ・・・こんな凄まじいスペックを詰め込んだから高くなり過ぎて行き遅れにnアダダダダ

 

 

「人の気にしている事を考える頭はどれでしょうか?」

 

「すんません、本当すんません」

 

 

 余計な事は考えないようにしないと。

 

 

 ところで、本来あの護送車から動かす予定のなかったウロボロスなのだが、実は鉄血側からのちょっとした約束事を出発前にしていた。

 その内容は『もしウロボロスを別の車両に移す必要が出た時には、安全な地に入ったら必ず電脳のチェックを行ってくれ』というもの。やり方自体は単純、スケアクロウの時と同じようにチェッカーをウロボロスと接続し、あとは勝手に機械が診断プログラムに沿ってチェックを実行していくだけだ。

 

 というわけで、早速チェッカーを接続して異常がないかを調べる。

 ・・・何かとてつもなく嫌な予感がするのは気のせいだと思いたい。

 

 数分ほど経過し、チェッカーが全ての診断を終わらせて『AIの起動を実行』する。・・・AIの起動???

 

 

 うっすらと開いた、綺麗な睫毛を持った吊りあがり気味の眼が俺を捉える。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(ぬし)様が、私のご主人様(オーナー)であるか? 私は型式名『SP235 Ouroboros』ウロボロスと呼ぶとよいぞ」

 

What are you saying?(You何言っちゃってんの?)

 

 

 もしかしなくても、これデジャブ??




 最近投稿間隔が不安定気味です。
 そしてあたしにゃ戦闘描写は上手く書けなかった・・・。

 レイの主な武装がここにきて明らかとなる。
 日本版のP90実装はよはよ。

P90に名前を付けるとしたら?

  • そのまま『P90』でいんじゃね?
  • 『ナインティ』でいんじゃない?
  • ナインとティを逆さにして『ティナ』とか?
  • いやいや変化球で『きゅーまる』はどうよ?
  • 良いアイデアがあるから感想に書くぜ
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