裏稼業とカカシさん(旧題:裏稼業の何でも屋が出向く先には必ずカカシが待っている件) 作:chaosraven
それはそうと、やっぱり丸一日休みの日にお話書くと一気にペースが上がりますね。休み万歳。
最近お気に入り登録者数の数が減ったり増えたり、そして感想欄にも結構厳しいご指摘があったりと正直戸惑っておりますが・・・。
総合評価順にドルフロ小説を調べると2ページ目には拙作が来るという位には、皆様にスケアクロウのことを愛していただけていると思いますので、これからも頑張って参りますね。
ちなみに、-14-の設定集に下手くそ(プラス影とか首から下の服装丸々適当ってか手抜きだけど)なレイのイメージを挿絵として掲載しましたので、ついでにそちらもあわせてご覧ください。当方がイメージしてるレイは大体こんなもんだと思っていただければ・・・
「はぁ・・・。武器の扱い方はともかく、戦場での動き方は全然ダメだな。あれだけ自信たっぷりに言ってた割にはペンキまみれじゃねえか」
「ぐっ・・・うぅぅっ!」
ここはグリフィンに派兵された戦術人形が戦闘訓練を行うための数ある施設の一つ。旧市街跡地をちょこっと改装したこの一帯は元々街だっただけあってかなり広く、主にゲリラやテロ組織、あるいはそれ以上に規模を肥大化させた武装組織との市街地戦を想定した訓練が行える。
んで、俺の前でペイント弾のペンキまみれになって、ぜーぜー息を吐きながら大の字になってるのもそんな戦術人形の一人。随分とマニアックな型式の銃を使う彼女は正式名『ワルサーWA2000』といい、戦術人形としてのスペックは”カタログ上は”最高クラスらしい。まあ俺の目の前で倒れてる奴にそんな面影は見られねえけどな。
「よーく分かったろ? いくら
俺にしては珍しく厳しめの顔を作って問い詰めてやる。というか、伸びかけの天狗の鼻を折りに行ってると言うべきかな。
もちろんこんな事をやってるのも仕事だからだ。依頼内容はグリフィンのある人形を徹底的に鍛え上げろだったかな。今なお呼吸の整わないWA2000の様子を見るに、どうやら少々手を焼きそうな予感がするが。
「ハァ、ハァ、・・・チクショウっ!! 私はこんなに無力だっていうのっ!?」
こんな口ぶりをしてる事から御察しの通り、WA2000・・・呼びにくいからわーちゃんでいいや。この子はつい最近作られたばっかりなんだけど、この子じゃない他のわーちゃんがどの子も戦場で華々しい活躍を上げてるのを社内報か何かで見て、自分も戦場に出れば即戦力、華々しい活躍ができると本気で思い込んでしまった様なのだ。
すぐこの考えに直結するあたり、実際に”生きてる”時間と”内面の成熟度”にギャップがある人形ならではか・・・。
例えるなら人間が10年20年生きてる中で経験して学習するものを、彼女たちは基本的な知識をインプットされた状態で生み出される。
これはいわば外から知識を押し付けられて頭で知ってるというだけの状態で、あくまでも彼女自身が直接その身で経験したことじゃない。
でもこのわーちゃんは人形だし、他のわーちゃんだって人形であり、”同じ人形ならプログラムも一緒=アイツにできて私に出来ない道理はない”と、機械であるが故にそんな理屈で思い込みが起きたわけだ。
ただ、入力されたプログラムを元に処理を実行するだけのコンピューターならその理屈の通りだが、戦場というのはパターン化された戦術だけで事が全て進行するなんてことは絶対に無い。常に起こりうるイレギュラーを想定し、どの様に動いて敵を排除して、どう作戦成功に導くのか、そんな複雑な事を考えながら戦場を駆けるなんて、ある程度の知識や言語を埋め込まれただけの生まれたての新兵に出来るか? 答えは否。
早い所彼女の思い込みを修正してやらないと後々とんでもない事になる。いつか必ず同行する部隊員を危険に晒しかねない、グリフィン社長のクルーガーはそう考えて俺を教導役に据えたのだ。
・・・オモテでもそれなりに売れてるグリフィンの社長が裏稼業の
結果は新人わーちゃんのツッケンドンな性格が災いし、教官わーちゃんと喧嘩になって失敗したと。・・・俺と初めて顔を合わせた時もそんな感じだったし、その光景がもの凄くはっきりイメージできる。
クルーガーとしても、それなりにコストを掛けて製造した人形を無駄にはしたくない。なんとか使い道を見出してやりたいというお気持ちの様で、俺もその思いは同感なのでこうして仕事を引き受けたのだ。
最初教官わーちゃんが初対面でどんなアプローチをして喧嘩になったのかは知らないが、何はともあれはっきり言えるのは、伸びかけの鼻をへし折るには実地で叩きのめしたほうが圧倒的に早い。
ここはPMC、軍隊と同じ様に部隊を有し戦う軍事企業。
まともに使えもしない新兵が調子に乗ってるのなら訓練でボッコボコにボコすだけ。決して教官という立場だけで上から目線で言ってる訳じゃない、経験してきたからこそ確かな実力を持てる事を身を以て教えてやれば良い。
ここでヘコタレてプライドまでポッキリいくような軟弱者ならその際は製造元のI.O.P.に返還する、重々しげにクルーガーはそう言っていた。たった一度の挫折で心まで折れるような奴は、残念だが過酷な戦場で生き抜くには向いていないから。
さあ、ここでキミが立ち上がれるかどうかで未来が決まるぞ。
「・・・」
「・・・どうした」
ペンキまみれのわーちゃんが漸く立ち上がった。まだ疲労は抜けてない様子だが・・・ほーう?
「私に・・・教えて下さい」
「何を?」
「私に生き抜く術をッ、殺しの術をッ、仲間を守る術をッ、教えて下さい!! お願いしますッ!!」
ガバッと、勢い良く頭を下げ教えを請う。
立ち上がった彼女の眼はまだ死んでなかった。どれだけペンキまみれになろうとも、ボッコボコにボコられても、彼女は諦めないと決めたようだ。
伸びかけた余計な長さの分は今日一日で、必要最小限の長さまで無事に折れたらしい。真剣で凛々しい彼女の顔には、戦闘開始前までのどこか驕ったような感情は見られない。
「これでキミも分かったはずだ。同じ人形だから全て等しく同じようにこなせるとは限らないと。他の子にできて自分が出来ない筈は無い、自分も戦場に行けば即戦力になれるなんて考えは今すぐ捨てろ。
今日は模擬戦で、しかもキミ”一人”だったから良かった。だがこれが実戦だったら? これが部隊だったら? キミ一人が戦局に対応できないただそれだけの事で、キミと組む全ての仲間が危険に晒される。下手したら全滅のキッカケにだって成り得るだろう」
「ひっ」
戦闘前の彼女の精神状態が兵士としてどれほど危険な状態なのか、ようやくその実感を得たようだ。事実、今日の訓練の中で彼女はただの一発も俺に当てる事は出来なかったからな。
「だがキミはこの敗北を通して学んだな? 今のキミに圧倒的に足りていないのは経験だ。敵はどのようにして自分に接近してくるのか、どう動けば敵からの攻撃に晒されずに済むのか、どうやって周囲の確認をして安全と判断するのか、その経験が圧倒的に足りていない。だからキミはここまでペンキまみれになり、反対に俺の服や髪にはペンキをかすらせる事すらも出来なかった。
でも、これからは違う。キミは一つ学んだ。そしてこれから実戦に出るまでも学び続ける。学ぶという事は知識を蓄積し、経験することだ。”ある程度のレベルまで”は俺がキミを引っ張り上げてやる。でも”その先の高み”には自分で辿り着かなきゃ意味がない。だから学ぶことを諦めるな。そして止まるな。止まったら、キミの成長はそこで終わりだ」
「・・・なってみせる。他のどの私にも負けないくらい、グリフィンでWA2000と言ったら”この私”を示すって呼ばれるくらい、強くなってみせるわ!」
「ハハハハハッッ!!! イイ覚悟イイ面構えじゃねえか! だったらお望み通り、そこまでの高みにたどり着ける手助けをしてやらないとな!」
「望むところよ!! ここまで私のプライドをへし折ってくれたんだからっ、本気でやってくれないと許さないんだから!!」
-----
・・・懐かしい夢を見た。そういえば、あの人が死んで少し経った頃にWA2000なんて人形を指導したっけか。窓を見やると外はまだ暗い、どうやら真夜中に目覚めてしまったらしい。
最近は夢なんて見ることもなかったから不思議な感覚だ。あれはオンボロを『数年間一切走ってなくて全く動かせねえ状態』から、とりあえず『最低限エンジンだけは回る』ようにした頃だったからもう5〜6年前か。
他のどの私にも負けない最強を目指すと言っていた”あの”わーちゃんはまだ元気なのかねぇ。グリフィンからの”オモテで仕事をする人形と関わる依頼”はあれが最初で最後、それ以外では404以外と組む機会も無かったからな、もし生きてるんなら久々に会ってみたいもんだね。それこそ酒でも酌み交わしながら。
きっと根のツッケンドンなところは変わってないんだろうから、いろんな奴に対する愚痴があふれてきそうだな。
ところで、俺は夢見はともかく寝つき自体はものすごく良い人間である。もしこんな半端な時間に起きるとしたら、それは敵らしき存在が自分のもとに接近しているか、あるいは・・・
「ん・・・」
俺の体の上に何かが乗っかったか触れているかで寝苦しさを感じたときである。
今の状態をありのままに言うと、多分寝てる俺の横で膝立ちになりつつ、ベッドに肘をついたりとかして寝顔を観察?してたスケアクロウが寝落ちして、俺の横腹にコテンと自分の頭を預けてるような状態。ようするにはたから見るとイチャイチャカップルみたいな状況である。なぁにこれぇ・・・。
おまけに男がベットで熟睡してるのに対して、女がその横で膝立ち姿勢で寝落ちしてるとか絵面悪ぃなオイ。恐らく自分からこうなったとはいえ、俺に何の責も無いはずなのに妙な罪悪感を感じるのは彼女を大事な仲間と思ってる証かね?
今の彼女は寝るために髪をほどいていて、クルクルカールのクセが残ったストレートヘアに寝間着という格好。基本的に仕事中以外はガスマスクも付けてないから可愛い寝顔が100%見えている。・・・まったく、彼女が人間だったら俺は今頃狼さんになってるかもしれないぞ。油断しまくってる気の緩んだ寝顔を浮かべちゃってまあ・・・。
ともかく、この姿勢で寝続けるのは人も人形も悪影響しか無いので、ササッと運んでまた眠るとしますかね。
そう思い彼女の体をお姫様抱っこした次の瞬間、突然抱きかかえられてスケアクロウはびっくりしたらしい。反射的に下された彼女のコマンドで飛んできたビットに背中を殴られてボテン・・・ごふっ。全然油断なんかしてなかったスケアクロウさん流石。それよか・・・
「あイッタァァァァァァッッッッ!!!??」
「きゃあアァァァァァァッッッッ!!!??」
いった!? クッソ痛え!? てか硬えよスケアクロウ! 硬すぎるよスケアクロウ!?
あまりの痛さにゴロゴロ悶絶しながらのたうちまわるしか無い。いやホント、のたうちまわってないと痛みが半端じゃなさすぎて耐えられん。てか痛った!?
スケアクロウも俺の叫びに思わず驚きで叫んでしまったが、あまりに無様にのたうちまわる俺の姿に一瞬で落ち着きを取り戻したみたいだ。・・・ゴロゴロ転げ回って痛みを誤魔化そうとする大人、滑稽だな。笑え・・・痛い。
「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」
「・・・その、ごめんなさい。反射的につい・・・」
すまないスケアクロウ。わざとじゃないのは分かってる。俺が不用意に部屋に運ぼうとしたからこうなったんだもんな。そもそもの発端は俺、それは分かってるから別に責めたりはしないよ。
でもごめんな。俺、いま悶絶してなきゃいけないターンなんだよ。めいれいさせろでコマンド入力しようとしても『もんぜつ』っていう状態異常に掛かってるから入力できないんだよ。だからあともうちょっと待ってくれな? あと、15ターンくらい・・・チーン
「ああ、あの人が三途の川の向こうに見える・・・おーい」
「その川を越えたら本当に逝ってしまいますわ!!?」
結局、あの人は一瞬見えただけですぐに意識は現実に戻ってきた。
幸い神経の痺れや骨の位置がイカれた感覚は今の所無い(アドレナリンが出て知覚出来てないだけかもしれないが)ので、明日医者の真似事ができるヤツの所に行って診て貰おう。というか診て貰えとスケアクロウが粘った。
フゥ、こんなくっだらない事で体が動かなくなりました〜じゃ、スケアクロウのローンの支払いも滞っちまう。確実で安全な道を採ることにしよう。
とりあえず、朝までお休み・・・スケアクロウさん? さっきと同じその姿勢で寝るのは良くないのよ? 部屋に戻って横になったら?
「もし何かあったときに私が気付けないのが一番問題でしてよ。それに原因は私にあります、責任は嫌でも取らせて頂きますわ」
「・・・あいよ。悪いな」
「どうぞお休みになって?」
お言葉に甘えて眠る。イタタタ、寝返りを打とうとするとまだ微妙に痛いかも。
明日は本当に医者んとこに行こイタタタタ
というわけで、レイさん病院行き決定です。
過去に出会ったわーちゃん、彼女は今どうしているのでしょうか?(分かりやすすぎる前振り)
P90に名前を付けるとしたら?
-
そのまま『P90』でいんじゃね?
-
『ナインティ』でいんじゃない?
-
ナインとティを逆さにして『ティナ』とか?
-
いやいや変化球で『きゅーまる』はどうよ?
-
良いアイデアがあるから感想に書くぜ