裏稼業とカカシさん(旧題:裏稼業の何でも屋が出向く先には必ずカカシが待っている件)   作:chaosraven

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 お待たせしました。
 ちょっとモチベーションが落ちてたのでパソコンから完全に離れてました汗。落ちてる中で書こうと思っても結局書けなくて苛立つばっかりなので、それなら一旦完全に離れてから再度挑戦してみようという感じですね。

 今回は短め。レイ一味が戦線復帰するまでの幕間のようなお話でございます。


 ※どうでもいいことなんですけど、ACE COMBAT Xの『Strategic Briefing』っていう曲を海外の方が繋げて30分にしたBGM動画がありまして、それを聞きながらドルフロの『経験特訓』をプランモードで進めるのがすごい好きなんですけど、分かってくれる方は多分いない。


ー履歴ー
 19/09/22 誤字報告を受け、本文中の間違った部分を修正。描写の一部に追記。


-26-武器や道具と自分のメンテが終わったら次は現場復帰するための準備もしなきゃならねえから意外と忙しいんだってばよ

 

 背中のダメージが原因で入院していた日よりさらに数日ほど経ったある日。俺たちはオンボロのガソリン補充のため、ギルドを訪れていた。

 

 というのも、俺が入院している時もスケアクロウは寝ぐらに帰っていたので、その往復の際にオンボロを練習がてら運転していたというわけ。なんだかんだ入院用に、寝ぐらにある俺の着替えとかも取って来てもらわにゃいけなかったし。

 

 絶対にスロットルを半周以上回すなよという俺の警告をしっかり守ってくれたようで、二週間毎日行き来してれば順当の消費量という感じの減り方。無茶な運転をしてないようで何よりだ。

 

 ちなみに、病院の駐車スペースについては病院側が裏口に止めることを特別に許可してくれたので助かった。一般のバイクや四駆が止まってるあのスペースにオンボロを滑り込ませるのは、さすがに今の彼女では誘導がないと厳しいだろうから。

 

 

 というわけで、オイルメーターが半分を割ってきたためそろそろと判断し、ギルドへと足を運んだのだ。そのついでに30年選手であるコイツの簡易チェックと、その過程で可能な範囲のメンテもお願いする。

 

 

 ギルドのメンテナンスショップでオンボロを任せているエンジニア、コードネームを『ウラカン』と呼ばれるガタイのいい大男。クルーガーの顔にある毛を丸々無くしたみたいなツラで、それ以外の外見はほぼ一緒のイメージ。すなわち筋肉ゴリラの系譜だ。

 ハゲに加えてゴツい体型のおかげで、パッと見の第一印象は完全にギャングの頭である。のだが、実際には口は悪いがとても取っ付き易い優しい人格の持ち主であり、当ギルドの中でも特に外と内のギャップが大きい人物の一人である。

 

 ウラカンはオンボロのエンジンに火を入れてスロットルを吹かす等、走る際に行う事をしながらどんなメンテナンスが必要かどうかを見極めていたようだ。慣れた手つきであっという間に一通りのチェック工程を終えた彼は俺の名を呼んだ。

 

 

「・・・そういやレイ」

 

「ん?」

 

「そろそろ『Partner』の方のシリンダーを掃除した方がいいんじゃねえか? 前回精密メンテやってから、なんだかんだサイドカー込みでそれなりに走ってるだろ」

 

 

 ウラカンの言う『Partner』というのは、今のオンボロ横に付いてる巨大サイドカーに付いた名前だ。

 オンボロは専用の伝送システムを介する事で、サイドカー側の前輪をバイクのハンドリングに合わせ、曲がる角度に応じて最適化された挙動で左右に曲げたり、後部に搭載されたエンジンもバイクとリアルタイムで連携した駆動が可能なのである。

 なので、オンボロのエンジン系を見る時はバイクだけでなくサイドカー側の様子も見てあげなければいけない。いざという時に動かなくなると困るからな。

 

 

「ああ、そう言われれば。それの状態も見てくれるか?」

 

「おう。任せとけ」

 

 

 思えば、この男とも随分と長い付き合いである。

 なにしろ俺がオンボロの存在を知らされる前、つまり育ての親の”あの人”が生きてた頃に乗ってたサイドカー付きの超オンボロバイク、それを長い期間メンテしてくれていたのだ。

 確かあのバイクは当時の時点で製造から60年近い年数が経ってたと記憶してるが、よ〜くまあ今のオンボロに乗り換える最後の最後まで持ってくれたと思う。

 

 

 あれは”あの人”が亡くなって、仕事で稼いでは少しずつ壊れたパーツを作っては組み込んで修復っていうのを7年続け、ようやくオンボロ・・・『ネロ』を動かせるとなった時のことだ。

 

 ガタを言わせながらもなんとか走り続けてくれてた先代が、ネロに乗り換えるその日にギルドへと到着した途端、まるで俺の役目は終わったとでも言うかのように、突然ウンともスンとも言わなくなったのである。

 キーを差し込んでセルを回そうとしてもダメ、バッテリーを別電源から持ってきてエンジンを回そうとしてもダメ、ギアも回らないしメーターも動かない、何もかも動かなくなった。

 まるで、7年の期間を経て復活したネロに俺の”相棒”という仕事をバトンタッチしたかのような逝き方で、そう感じた瞬間思わず涙が流れてしまったものだ。

 

 本当に見事なまでに何も言わなくなった先代の様を見たウラカンも、この日までずっと俺を支えてくれて、そして自分がずっと面倒見てきたバイクへの想いが込み上げたようで、二人してホロリとしながら物言わぬ先代にお疲れさんと声を掛け続けたっけな・・・。

 

 そんなこともあって、俺とウラカンはライダーとエンジニアという関係以上の、ある種の固い絆で結ばれた間柄でもあるのだ。

 

 

 

「ところでレイ」

 

「うん?」

 

 

 熟練した技師のスキルをフル活用し、ものすごいスピードでサイドカーのエンジンをバラしていくウラカン。まだ俺に聞きたい事があるのか、再び声を掛けてきた。

 

 

「お前が買ったあの人形、確かスケアクロウって言うんだっけか? 実際のところ、どうなんだよ?」

 

「どう、とは?」

 

「それなりの期間一緒にいるんだろ。おめえの危なっかしい仕事っぷりとかにブレーキ掛けてくれたりってのはねえの?」

 

 

 苦笑しながら痛いところを突いてくる奴だな。

 そもそもの話、スケアクロウを救出する以前は仕事のなかで危なっかしい動きをしてる自覚は全くなかった。だって、そういう動き方をして仕事を失敗した事は過去に一度もないから。一回だけ、左頬骨の上に傷を作る原因になった仕事で死にかけた事はあったが・・・これも結果として失敗はしてないからノーカウントだろ。うん。

 

 しかし側から見てると俺のやり方動き方というのは、見ていてとてもハラハラさせられる動きであるらしい。色々人間やめてる動きと言われたっけか。んなバカな。

 

 散々な言われようだが、実はウラカン以外にもいろんなギルドの組合員から言われ続けてる。が、未だに俺はその事が解せない。遠くから飛んでくる対物ライフルの弾を避けるのはさすがに無茶振りだと思うが、アサルトライフル位の射速だったら弾道を”見て”避ける事くらい誰でも出来るだろ?

 本気で疑問に思ってそう聞いてみたら揃って『バホ』と言われた。解せねえ。背中の治療の担当医にも『バホ』って言われたし。

 

 今でも仕事の中でそういう動きってのは割りかし結構やって来たと思うんだが、最近はスケアクロウが事あるごとにジト目と共に規格外とかなんだのと言ってくるのが地味に凹む。

 無茶な事はすんなっていう心配の気持ちから言ってくれてるのは分かるんだが、俺の場合はアレが平常運転なんだという事をなんとかして納得して頂きたいところだ。この前みたいに故障抱えてる中でやったら確実に寿命縮めるけど。

 

 

「失敬な。俺の仕事ぶりのどこが危なっかしいっていうんだ」

 

「全部だよ!?」

 

「全部ですわ!?」

 

 

 間も無く発されたツッコミの声、っていうかウラカン以外にもう一人いる。そう思って振り向けば、必要なものを買い出しに出ていたスケアクロウがフヨフヨしてた。両腕に買い物かごを引っ掛けて、まるで主婦みたいな姿である。

 

 

「・・・危険な振る舞いをしてる事への自覚はきっちり持って頂きたいですわ」

 

「俺も同感だ。なんだかんだお前もこのギルドじゃ結構古株なんだし、無茶はしないでほしいな。相棒がいなくなっちまったら、オンボロも彼女も悲しむだろうよ」

 

 

 そんなに神妙な顔で言われてもなぁ・・・。

 

 

「だーかーらー、俺はアレが平常運転なの」

 

「「アレが平常運転でたまるかい(りますか)」」

 

「・・・」

 

 

 信じてもらえない事に傷付いたよ。

 まあいい。スケアクロウが買い物かご持ってるって事は、彼女に任せた買い出しの用事はもう済んだって事だ。あとはサイドカーの整備が終われば寝ぐらに帰れるな。

 

 彼女が持つ重たい方のかごを貰い、待ってる間ウラカンの仕事風景を間近で見させてもらう。

 格好良い、綺麗、早い、素晴らしい、あてはめるならこれらの言葉になるだろうか。この道一筋でずっと食ってきたプロフェッショナルのエンジニア、ウラカンの手さばきは実に見事なものだった。

 

 小話がてらなんて事も無いようにサイドカーのエンジンをバラしていった手際もそうだが、バラしたパーツ一つ一つの状態を迅速にチェックし、何か異常があるようであれば速やかに代替の部品と交換し、そして元の姿へと組み直していく。

 多分普通のエンジニアじゃこうはいかない。オンボロの構造を完璧に熟知しているのはもちろんだが、彼自身がエンジニアとして極めて高いスキルとセンスを持っているからこそ成せる早業なのだ。

 

 当たり前か。でなければ、世界に名を轟かせてたスーパーカーメーカーの新造プロジェクトで、全行程を総括するチーフエンジニアに抜擢されるはずが無い。

 本当、身近にいる人間との繋がりには恵まれてるな。

 

 

 エンジンをバラすなんてことは普通数日単位で時間が掛かるものだと思ってたが、彼の手腕に掛かればそこまで時間を掛けずして作業を終わらせてくれた。時間にして大体2時間ほどだが、彼の作業している姿は何度見ても飽きない。

 

 油のついた手を洗うために一旦奥へ引っ込んだウラカン、暫くして請求書と共に店先へと戻って来た。

 

 

「おまっとさん。今回は工賃とガソリン代、それにエンジンの交換した部品代を合わせてこんくらいだな」

 

 

 書面を見て思わず唸る。やはり、ガソリン代が結構な割合を占めてやがるな・・・。こればっかりは負けて?っていうわけにもいかないんだが、流石にハイオクガソリンはこのご時世積み重なるとバカにならねえんだよなぁ。

 

 そう思っても何かが変わるわけじゃないので、財布からカードを出して決済をする。ちなみにこれ、うちのギルド内でのみ使えるカード決済ってヤツな。当たり前だが、クレカの決済サービス大手ってのはどこもとっくの昔に滅んでるし。

 

 

 決済を終え、早速整備が終わったオンボロにまたがる。

 キーを差し込みエンジン始動、オンボロの低く唸る音がショップ中に響き渡る。

 

 外へと直接出られるガレージ用の大戸を開けたウラカンは、俺たちにサムズアップと共にニッと人の良い笑顔を浮かべた。

 

 

「まいどあり。んじゃあ嬢ちゃんも気をつけて帰れよ。事故んじゃねえぞレイ」

 

「ああ。いつもありがとう」

 

「失礼します」

 

 

 スロットルを回し、少しだけ強めの加速でもって寝ぐらへ向かう。

 必要な食料や消耗した弾薬も補充できたし、明日からは本格的に仕事復帰するか。

 

 30年選手とは思えない元気な走りで荒野を駆け抜けるオンボロ。

 先代、いまもコイツは元気に走ってるからよ。どうか最後の最後までこいつを見守っててやってくれ。

 

 

 いまはもう居ない、かつての俺の最高の愛車(相棒)を想いつつ、まっすぐと帰っていった・・・。




 次回からレイ一味の戦線復帰が始まる(予定)

 一応車検()も通したし、補充も終えたし、いつでもいけるね!

P90に名前を付けるとしたら?

  • そのまま『P90』でいんじゃね?
  • 『ナインティ』でいんじゃない?
  • ナインとティを逆さにして『ティナ』とか?
  • いやいや変化球で『きゅーまる』はどうよ?
  • 良いアイデアがあるから感想に書くぜ
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