裏稼業とカカシさん(旧題:裏稼業の何でも屋が出向く先には必ずカカシが待っている件)   作:chaosraven

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 お待たせしてすみません。
 書く意欲が全く湧きませんで、そんな状態で書いてもつまらないということでちょっとお休みをいただいてました。

 久しぶりの本編の更新になりますが、ここんところ進みが遅いので、うまいとこ要点だけまとめてスピーディーに進められる様文体をまた考えないといけないですね汗。

 今回も6千字オーバーですが、どうぞご覧ください。


 21/05/20 ゲーガーのレイに対する言葉遣いを修正。


-29-鉄血の人形には色々とびっくりな生態があるらしいんだがそれはそうとメンテナンスも終わったしとりあえず帰るか

 

 

 新しく生まれた私の妹の一人、ゲーガーにメンテナンスを行ってもらうこと数刻。潤滑油などの定期的な交換が必要になるものを交換してもらい、メンテ後のテストで腕を回してみる。

 

 

「その、どうだ? 何かおかしな所はあったりしないか?」

 

 

 どこか不安そうな顔のゲーガー。聞けば、自分一人だけでメンテナンスをしたのは私が初めてだったそう。確かに、初めて自分一人だけでする仕事は色々不安でしょう。その気持ちは私も分かります。

 ですけど、今日実施した事はメンテナンスの中でも簡単な作業だけ。センサー類にもオイルの注ぎ過ぎといった反応はありませんし、初めての仕事としては上出来ですわね。

 

 素直にそう伝えようかと思いましたが、キリリとクールな佇まいの妹の見せる落ち着かない様子を見ていると、どうにも揶揄って慌てる姿を見てみたいという悪戯心が湧き上がってきました。

 今日だけでも悪戯心に満ち満ちたあのバホ姉(エージェント姉さん)のことを色々シバきましたが、フフ、これでは私も人のことを言えませんわね。曲がりなりにも”姉妹”なのを実感します。

 

 

「ちょっと調子がおかしい・・・」

 

「なっ、ど、どこがおかしいんだ!? すぐに直さないと!」

 

 

 若干気怠げな演技をしながらそう呟けば、案の定自分にミスがあったのではないかと焦り出すゲーガー。

 ・・・揶揄ってる立場でこう言うのもなんですが、この子は少々緊張しすぎなのかもしれません。自分の役割に一生懸命なのは良い所ですが、あまり肩に力が入りすぎても良い仕事はできませんわよ。

 

 

「クスっ、いえ、ごめんなさい。調子が悪いというのは冗談ですわ」

 

「なっ、揶揄ったのか!?」

 

 

 赤くなった顔で私を睨むように見つめるゲーガー。あら、この子もアーキテクトに負けず劣らず、実は表情豊かな様です。心なしかぷっくり頰が膨れている様にも見えます。

 

 

「ひ、ヒドイじゃないか! 唯一の良心だと信じていたスケアクロウ姉さんまで私のことを揶揄うなんて・・・」

 

 

 あっという間に顔が死んでいくゲーガー。はて? 唯一の良心とはどういう事でしょうか?

 まさか、私の目が届かないのをいい事に、バホ姉がゲーガーを弄り倒している?

 

 

「ごめんなさい。クールな印象を与える貴方が、この時ばかりは不安そうな顔を浮かべているのがどうにも嗜虐心を煽られてしまって」

 

「やっぱり姉妹は姉妹という事なのか・・・。私はもう誰も信じられない」

 

「えっ」

 

 

 ・・・どうやら私にはバホ姉をしばき倒す理由がもう一つ増えたそうです。

 というか、そこまで思い詰めてるのを知らなかったとはいえ、本当ごめんなさい。

 

 

「・・・ぷっ、くはハハハ!!」

 

 

 と思った直後に私の顔を見て吹き出したゲーガーに、実は私の方が揶揄われていた事を理解しました。

 妹が姉を揶揄う? ・・・私は揶揄われる事が嫌いなんですのよ。

 

 我ら鉄血の技術を駆使して作られた、もちもちスベスベの柔肌ほっぺを両側に抓る。抓ります。抓りますの。

 

 

「ごうぇんなひゃい」

 

「わかればよろしい」

 

 

 バホ姉と違うところは、ちゃんと直ぐに謝る素直なところでしょう。そういうところは姉を見習わないでほしいですね。

 

 

「まあ、センサー類や計器になんの異常も認められないし、ましてやチェッカーでスキャンもしたんだ。不安に感じる気持ちもあるからこそ、姉さんのメンテは気を付けてやったつもりだよ」

 

「まったく・・・。私は姉妹には容赦をしない性質なので、揶揄い方には気をつける事を勧めますわよ?」

 

「・・・肝に銘じておこう」

 

 

 さて、それでは改めて結果を聞くとしましょうか。

 

 

「メンテナンスの方についてだが、姉さんの方で分かってると思うけど特に異常と呼べるところは無かった。強いて言えば反重力ユニットの基盤回路に若干多めの電流が流れてた様な形跡は見られたけど、それもSP65型の運用コンセプトから見れば概ね想定の範囲内ってところだろう。

 その他の関節駆動部の磨耗なども通常使用の範囲内で、オイル類の交換や継ぎ足しをしたくらいだな。

 ・・・ところで姉さんのボディって、私たちとは本当に違った作りをしてるんだな」

 

「うん?」

 

「さっき言った反重力ユニットなどが特にそうだが、人形という事を考えれば食べ物のことなんか考えないで、胴体のどこかに収める方が効率が良いんじゃないかと思う。でも姉さんに限っては両腕両脚の極めて少ない面積をやり繰りしてユニットを設置してるじゃないか。なんでわざわざそんな所に収めたんだ?」

 

 

 心底不思議そうな顔を浮かべるゲーガー。彼女が感じたその疑問はごもっともです。

 人形はサイボーグではありませんから、製作する段階で自由にパーツの配置を考えることが出来ます。もちろん耐久面などの実用性との兼ね合いはあるにせよ、人体を改造して機械化するサイボーグ手術とはユニット配置の自由度に圧倒的差があるのは言うまでもありません。

 

 ですが、私とあの姉のみは作りが異なる『特異』なケース。

 そしてそうなった理由というのは・・・実に全くしょうもない話です。表向きには、ですけれど。

 

 

「ふむ・・・。あのバホ姉にも言える事ですけれど、私と姉に関してのみは製造時のアプローチがそもそも異なりますから。

 ・・・”人間そっくりに内蔵の機能をもつ部位をそのまま収めた後”で『戦術人形を作ってる事を忘れてた』のに気付いたせいで、なんとか”少ないスペースをやり繰りして”無理やり戦術人形として活動できるよう”パーツを設計し直して作って”というのを繰り返したみたいですわよ?」

 

「・・・つまり、人間と同じように心臓や肺や胃や腸や膵臓や肝臓やといった部位が姉さんの胴体には入っていて、それらを作って収めた後で武装用のユニットを収めなきゃいけない事に気付いたがもう後の祭りで・・・」

 

「そこで内蔵類のユニットを全部取り出して武装用のパーツを収めてからやり繰りすれば良いものを、あの人たちは根本から考えの仕方が違う人種ゆえ、武装用ユニットを残されたわずかなスペースに入る様に小型化しつつ、実戦に耐えうる出力が出せるものに仕上げると言う事を本当にやってのけたのですわ。

 ・・・本当、自分で言うのもなんですが私の両手両脚はそれなりに細い方だと思うのですけど、人工筋肉や骨格もある中でどうやってあれだけの出力を出せるユニットを収めたのでしょう?」

 

「・・・私たちを生み出したあの方たちって、実はかつて存在したというノーベル賞クラスのエンジニアではないのか??」

 

「・・・彼らのあのノリを見るとそれは無いと否定したい所ですが、他でもない私の部品に彼らの技術と努力の結晶が込められている以上、肯定するしかありませんわね」

 

 

 関心を通り越してもはや呆れるというか、HENTAIs(彼ら)の事は考えるだけ無駄という結論に落ち着きました。

 さて、メンテナンスが済んだのであれば早くレイの元に戻りたいですわ。

 

 

「それじゃあ、姉さんのオーナーを待たせている部屋に案内しよう」

 

「ええ、よろしくお願いします」

 

 

 

 ———

 

 

 

 暇潰しに本棚にあった本を手に取り、読み進めていくこと暫し。扉をノックされると同時に女性としては低めの声を持つゲーガーに入室の許可を求められた。

 どうぞと返事を返せばすぐに開いた扉より、ゲーガーとスケアクロウがそれぞれヒョコッと顔をのぞかせた。・・・戸を開けたんなら顔のぞかせるだけじゃなくて入ってきなさいな。

 

 

「おかえりスケアクロウ。ゲーガーも彼女をメンテナンスしてくれてありがとう。早速だが、メンテナンスの結果を教えてもらえるか?」

 

「ええ。といっても、実際に行ったことは先ほど提示した見積もりの通りです。具体的には関節などの駆動部に用いられる潤滑油の交換及び補充、その他の搭載されている各ユニットの動作チェックを行った上でさらに専用のチェッカーも使用してのシステムチェックも実施。もちろん結果は全てオールグリーン、異常はありません。

 掛かった諸経費などを諸々込めたメンテナンスコストについては後ほど、エージェント姉さんからまた話があるはずです。とりあえず、今の所スケアクロウ姉さんに行うべき定期メンテの内容は全て実施させて頂きました」

 

 

 ふむふむ。

 つまり部品交換といったことは今回は特にやってないわけね。

 

 

「なるほど。それじゃあこの後は、エージェントの案内で会計してさようならって流れでいいのか?」

 

「はい、そうなります。・・・ところで、アーキテクトはどこにいるのでしょうか? 確か私たちと別れた後は、貴方が鉄血の人形に対し感じることをフィードバックすると聞いていたのですが」

 

 

 ああ、その話ね。

 アーキテクトなら今は・・・多分自分の部屋で気を失ってるんじゃねえかなと思う。

 そのフィードバックのをしてる最中に彼女がやらかした事件が露呈しちまったもんで、エージェントにお仕置きをされたばかりである。だが果たしてこれを彼女らに言っていいのだろうか。

 

 

「・・・あの子なら今頃は部屋で泡を吹いているでしょう。ゲーガー、貴方もアーキテクトに便乗して何かおかしなことをしてないでしょうね?」

 

「うわッッ!!?」

 

「きゃっ!?」

 

 

 突如二人の後ろに現れたエージェントが、ドス黒いオーラを纏ったままスケアクロウたちの肩に手を置く。強い怨念を抱いた亡霊が生者を呪い殺さんばかりの迫力に、妹二人はガタガタと肩を震わせ顔を青ざめさせる。

 ・・・大方俺たちの会話を廊下で聞いてて、俺を呼びに来るついでにテレポートして脅かしにきたって所だな。二人からは振り向かないとエージェントの顔が見えないが、もともと相対してる立ち位置の俺にはペロリと舌を出して笑ってらっしゃる。

 

 

「二人にはアーキテクトがお仕置きされたことはまだ伝えてないから、そういう言い方をしても伝わらないぞ。というか、自分の妹をあんまり怖がらせてやるなよ・・・」

 

「ウフフ」

 

 

 意味ありげな微笑を浮かべ手を離し、くるりと一回転してスカートを一摘み。

 

 

「メンテナンスの全行程が終了しましたので、後はお会計を済ませて頂くだけとなります。窓口にご案内いたしますので、どうぞこちらへ・・・」

 

 

 そして、俺に飛び込んでこいと言わんばかりに両腕を広げるエージェント。

 え? 飛び込んでこいって? もしかしてテレポートで窓口に行くの?

 

 本当にテレポートは大丈夫なのかという俺の不安を読み取ったらしいエージェント、しかし自分の命を任せるには実に頼りないお言葉を返してきた。

 

 

「・・・人間が一緒でもちゃんと安心して転移できます。多分」

 

「多分じゃダメでしょうが」

 

「・・・信用が無いというのは傷つくものですわね」

 

「過去のご自身の行いを振り返れば自ずと答えは出るんではなくて?? そんなんだから(いもうと)にバホ姉などと呼ばれるんですのよ???」

 

「ヒドい!?」

 

 

 なんてやりとりをしながら工廠内を移動し、窓口にてお会計を済ませる。事前にゲーガーが算出していた見積そのままの額だったことに一安心。

 今回は最低限の消耗品の交換だけで済んだが、果たして部品交換が必要となった時には幾らほど掛かるんだろうな。

 

 ハイエンドモデルは薄利多売で利益を取るノーマルモデルとは根本的にコンセプトが違う。彼女らは量産の効かない強力な性能を持つ人形であり、それはイコール部品そのものがワンオフである可能性もあるわけで、そうなれば部品代だけで値段が跳ね上がるなんてこともあるはず。

 

 旧文明においてネジやら工具やらが安く手に入っていたのは大量生産が出来ていたからに他ならない、なので生産数が一般的な金属部品よりも極端に少ないだとか、そもそも受注してから部品を作るとかってパターンだと薄利多売の真逆、多利薄売かあるいは多利一売みたいな構図になる。

 

 もちろん、もし部品交換が必要になった時は一切の妥協無く必要な分だけ金を出すが、そのことを考えると少しばかし頭が痛くなってしまうな。

 

 

「それじゃあスケアクロウ姉さん、また何かあったら連絡をしてくれ」

 

「ええ。貴方も整備の腕を頑張って磨いてくださいね」

 

「もちろんさ」

 

 

 エントランスにて、ゲーガーとスケアクロウが握手を交わす。

 その一方で、エージェントは先ほどから停めてあるオンボロにチラチラと目線を向けている。・・・スケアクロウといい、乗り物に興味を惹かれるところも姉妹なんだな。

 

 

「乗りたいのか?」

 

「い、いえ。でも、サイドカーに乗ってというのは憧れますわね。いつも妹がそこに乗ってると思うと、少しだけ羨ましく思います」

 

「今日はスケアクロウが運転してきたんだけどな」

 

「・・・・・・・・・マジですか?」

 

「むっ」

 

 

 心底信じられない、そんな顔を浮かべたエージェントに対しどんどん機嫌が急降下するスケアクロウ。心なしかツインテールがメラメラと逆立つ様に・・・あれ、怒ってる?

 

 

「だって、あのスケアクロウですよ? ハイエンドモデルのくせに運動音痴(ウンチ)なあの子が、サイドカーがついてるとはいえバイクを運転できるなんて・・・信じられませんわ」

 

「君の中での妹のイメージにはノーコメントだが、オンボロを任せる前には教習よろしく普通サイズのバイクでしっかり練習してるぞ? 最初の頃はコケてばっかだったけど、ある時コツをつかんだのか中々上手く乗りこなせる様になったんだ」

 

「ば、バカな・・・!!?」

 

 

 いよいよ口をあんぐり開き、唖然とした顔で妹を見つめるエージェント。

 ・・・そんなにスケアクロウの運動音痴(ウンチ)は酷かったのだろうか? 少なくとも俺に引っ付き回ってた頃にはそんな様子は無かったんだが。

 

 

「・・・スケアクロウ。ご主人様(オーナー)の乗り物だけは絶対壊さない様に。特にこの車種、製造当時ですらも世界に10台しかない超超高級車ですからね。少なくとも確か300万ユーロ程はしたはず。壊したら謝っても済まないですわよ?」

 

「・・・・・・・・・マジですの?」

 

「おう。つっても俺が買った訳じゃないが、発売時はそんくらいの値段だったというのは大マジ」

 

「・・・・・・・・・えっ?」

 

 

 お化けよろしく、フラフラとした力ない歩み(フヨフヨ)でサイドカーに乗ると、その状態でシートベルトを固定する。

 ・・・姉妹にオンボロ乗り回してるところを自慢したいんじゃないのかいな。

 

 

「そんなに高いバイクなら先に言って下さいまし! この前なんて、私思いっきりこのバイクを宙に浮かせて移動してしまいました・・・」

 

 

 この前ってああ、森ん中に作られたヤクの倉庫を攻撃した時か。そういやあん時は1t以上あるこのバイクを、しかもサイドカー付きという状態にもかかわらず浮かせて俺のところまで運んできてくれたんだよな。

 改めて思うが、彼女の反重力ユニットとやらの出力はいったいどうなってるんだろう。車を浮かせて運べるって、戦術人形としては相当強力なアドバンテージになるぞ。

 

 

「別に、それは気にしてない。あの時取れる一番最良の選択だったし、おかげで仕事も捗ったんだ。まあどこかに大きくぶつけて不調になったとかだと話は変わってきそうだが、それを言うならまだ購入手続きをしてないキミを散々仕事に連れ回しちまってたしな」

 

「・・・私が勝手に付いて回ってただけですけれども」

 

「せっかく言わないでおいたのに自分で言うんかい。ほら、せっかく乗りこなせるようになったんだから。帰りもキミがハンドル握って帰ろう」

 

「・・・良いんですの?」

 

 

 ショボンとした雰囲気のスケアクロウ。先ほどまでメラメラしてたツインテールもシュンと垂れ下がってる。いや、物理法則的に垂れ下がってなきゃおかしいんだけどさ。

 ほらほら、そんな暗い雰囲気纏ってないで元気出しなさいって。

 

 

「それこそ今更だな。なんのために何度もコケさせながらバイクの乗り方教えたと思ってるんだか。それとも、オーナーからの指示っていう風に言い直したほうが良いか? あんまりパートナーに命令するような事はしたくないんだが」

 

 

 そう言って凄みを利かせて彼女を見る。凄みを利かせてる時点で事実上の命令になってることにはツッコまない。

 

 

「もうもうもう! 分かりましたわっ、私が運転して帰りますの!!」

 

 

 俺の視線を受けヤケっぱちに答えるスケアクロウは覚悟を決めたらしく、つい先ほどまで不安がってた表情とは打って変わって真剣(マジ)の目つきでオンボロに跨りハンドルを握る。

 なんだかんだやる時はやる子だし、せっかく覚えたスキルを姉妹に見せてやったらいい。

 

 

「はっはっは! そういう訳でエージェント達、またな」

 

「あ、ああ。また」

 

「どうぞお気をつけて。スケアクロウ、調子に乗って事故だけは起こさないように」

 

「ええ、それだけは肝に銘じておきますわ」

 

 

 スケアクロウがキーを回し、5.2Lエンジンのアイドリング音が周囲に重たく響き渡る。

 すると、工廠のほうからダダダダダと何かが走ってくるような音が聞こえた。

 

 エントランスの自動ドアが開いた直後、黒い物体が高速でオンボロに向かって駆け寄ってきた。

 

 

「わっほーーーーい!!! スゴイねスゴイねこれがフォーミュラのネロ・リヒトシュトラールなんだねこの5.2Lエンジンの重低音と言いこのバイクらしからぬ圧倒的な大きさの巨体と言いバイクのくせして四輪車と類似した構造のトランスミッションを駆使して走る前代未聞の構成と言いもう何もかもが素晴らしすぎる究極かつ至高のバイクがまだこのご時世にも残ってたんだわっほーーーーーいアダッ!?」

 

 

 言うまでも無い。黒い物体の正体はアーキテクトだった。

 鼻息荒く、両目をカッと見開きながらオンボロのボディを舐め回すように凝視していく様に、俺含め全員が一瞬フリーズするが、一番先に復活した相方のゲーガーから目で追えないほどの勢いで後頭部をスパーンと叩かれた。

 目に涙を浮かべ、ヒーヒー言いつつ叩いたゲーガーを悲痛を訴える目で見るアーキテクトだが、そんな視線を受けた当人はさらに冷たい視線を返すのみ。

 

 

「うぅスケアクロウお姉ちゃん、ゲーガーがイジメるよぅ」

 

「自業自得でしょう」

 

「ひどいっ!!?」

 

 

 ・・・薄々そんな予感はしてたけど、スケアクロウ本当自分の姉妹に容赦ねえな。

 

 

「まあまあ・・・。アーキテクト、またここに来た時に都合が合えばオンボロを見せてやるよ。それでいいか?」

 

「え、いいの?」

 

「ああ。こいつもまた、キミや鉄血のエンジニアが追い求める”ロマンの塊”の一つだからな。今度ロマンってのを、一緒に色々話し合おうじゃないか」

 

「いいの!?」

 

 

 目がキラキラしてる。あれ、サイドテールもピョコンと上に向いてる。

 ・・・鉄血人形は感情が高ぶると顔だけじゃなくて髪型にも現れる機能でもあるのだろうか?

 

 

「私の髪の毛はアンテナじゃないよ!」

 

「だからなんでキミら姉妹は俺の考えてることが分かるのよ」

 

 

 まあそれはさておき・・・。

 

 

「では改めて、この辺りでお暇いたしますわ」

 

「みんなに良いオーナーとの出会いがあります様に」

 

「はぐっ!!?」

 

「「エージェント姉さん!!?」」

 

 

 去り際に言った言葉によりメンタルにダメージを負ったハイエンドが一人いたみたいだが、まあ、うん。

 時間とともに心の傷も癒えるだろう。多分・・・。

 

 

 さあ、俺たちの日常に戻るとしようか。




 そろそろ”時間軸を前に”進めないと・・・。

P90に名前を付けるとしたら?

  • そのまま『P90』でいんじゃね?
  • 『ナインティ』でいんじゃない?
  • ナインとティを逆さにして『ティナ』とか?
  • いやいや変化球で『きゅーまる』はどうよ?
  • 良いアイデアがあるから感想に書くぜ
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