裏稼業とカカシさん(旧題:裏稼業の何でも屋が出向く先には必ずカカシが待っている件) 作:chaosraven
今回は5千字弱でちょい長めですが、どうぞご覧ください。
19/11/10 その筆が乗ったことにより、文章の一部分にまるで訳わからん読みにくさ際立ちまくりの部分がありましたので、削除・修正・追記を行いました。
修正前よりは多少は読みやすいかな?と思います。
コーラップス、そして三次大戦を経てボロボロとなった地球。人の住めなくなった地域が地表の大部分を占め、以前の様な社会的生活を送るなどほとんど不可能な時代。
なんて言われるこのご時世だが、それでもインフラが生きていて住人がまともに生活出来る場所というのは少数ながら存在する。
一つは居住区管理を委託されたPMCが運営する管理区域、もう一つはほとんど力を失いかけの各国の”首都”と呼ばれる街だ。
まあどちらも、俺のねぐらのように下手すりゃ電気どころか水すら来ねえっていう環境と比較すりゃ天国のようなものだ。スイッチを付ければ勝手に電気は付くし、蛇口をひねれば飲める水がジャージャーと出てくる。ガスもまたしかり・・・とは、さすがに生産プラントの問題があるからそうもいかねえが、電気と水が使えるだけでも生活の利便性は遥かに違う。
で、そんなところに住めるやつってのは金持ちか、住人の親戚縁者かなにかかコネがあるかのどれか。何せ昔と違い圧倒的に人の数も足りてないわけで、それはつまり一人当たりの税金の負担額が増えるという事。
世間の一般的な収入ではこの税金の負担額は相当切り詰めなきゃいけないレベルであり、しかもそこに『昔と比べて』かなり割高な電気代と水道代も掛かるし、日々の食費とか諸々を概算するとどう考えても住めないという結論になる。
ようするに、お国のお膝元で生活するには相応の稼ぎを得られる立場じゃないとまず無理。
まあ、お金があって豊かな人ってのは実は心が貧しいとはよく言うもんだが。
さて、そんな背景事情はさておき・・・。
俺たちはこの街にお仕事の依頼のため潜入していた。
依頼内容をざっくり言うと、この街で裏稼業・・・早い話殺し屋で生計を立てている女を始末してくれというもの。女を抹殺という結論に至った経緯とかは知らん。それを知ったら俺も殺される側に回りかねないからな。
出来る限り正体を知られず、
女の素性をちょっとばかし調べてみたが、さすが殺し屋なだけあって色々なスキルを有しているようである。銃器の扱いはもちろん、物理学や薬品類の知識等もそれなりに持ってるらしい。当然、足に使う乗り物類もバイクから大型車にトレーラー、はたまたヘリどころか戦闘機に輸送機までなんでもござれ。・・・ちくしょう、依頼が確実な抹殺でなかったら是非ともうちのギルドに引き抜きたかったところだ。
引き抜けないのは大変残念ではあるが、そんなわけでちょっとばかし相手取るには厄介そうな女を確実に始末するため、俺とスケアクロウは二手に分かれてプランを実行することにした。
まず女のセーフハウスを全て調べ上げ、そこにある情報端末へハッキング、場合によっちゃセーフハウスのすぐ近くまで接近しデータを抜き取る。それにより女がいつ何のためにどこを移動するのかのルートを割り出し、抹殺実行地点を複数候補に挙げ、計画を練る。
その際、気を張って仕事していたにも関わらず、俺たちの存在を認識しかけ何度も不審がるという風に警戒する様を見せていたため、その度に何度も計画を練っては修正してというのを繰り返す羽目になったが。
やはり、ただでやられてくれる様なボンクラ女では無かったという事、一層気を引き締めて首狩りに臨む必要がある。
そうして数々のプランニングとシミュレーションを繰り返した結果、一番確実にやれるポジションを見つけた俺たちはそこで実行することを決定。実行日をクライアントに伝え、必要な準備を整え当日を待つ。
そして実行日、俺は街を環状するように走る高速道路を上から見下ろせるビルの屋上にいた。
直接のやり口は単純、やつを狙撃して始末するだけ。高速域で真横に走り抜ける対象を確実にスナイピングする事と、高所の風と高速道路という二つの異なる風を上手い事組み上げる事の難しさはあるが、幸い今日は地上では無風と言っていいほど風はない。
無論今いるココは高所であるために流石に無風とはいかないが、そよ風程度の極めて小さな風量であるためそこまで気を張らなきゃいけない程でもない。
問題は高速道路側だ。
常に時速100km近いスピードで車が走り抜けるため、車が掻き分けた空気がものすごい風圧となって周囲に広がっていく。そのため、対向車線含め目標の周囲に車がいない状況で目標のみがここを走り抜ける、それが一番ベストで理想のシチュエーションだ。実際にゃまずそう上手くはいかねえだろうが。
ここまでの情報は全て、俺が観測用の双眼鏡を覗いて得た情報である。
あれ、じゃあ
『現在ストリート24をハイウェイに向けて北上、目標は
「おう、気を付けてな」
『了解しましたわ』
こんな感じでスケアクロウは現在、バイクで移動してる目標を同じようにバイクに乗って追跡している。といってもクライアントの要望もあるため、今乗っているのはサイドカーも何もない二輪車である。
一般的にはスーパーバイク、人によっちゃスポーツタイプ等と呼ばれる事も多いスピードを出せるバイク。それを現地で調達して真っ黒に塗り直し、闇夜に紛れる様に仕組んだのだ。当然ナンバープレートも存在しない偽造プレートを用意した。
さらにスケアクロウには黒のライダースーツに外からは全く顔が見えない
彼女に任せたのは、
欲を言えばハンドル握りながら9mm弾をばら撒く位の脅しは掛けたい所だが、実戦でバイクに乗るのが初めての彼女に、さすがにそこまでの要望はリスキーというもの。
計画実行前に公道運転の習熟のために一緒に走ったりもしたが、全く危なげなく周囲の状況を理解して運転できていたことを踏まえ、若葉ドライバーではあるが彼女に大事な役どころを任せたのだ。
電子戦対応モデルということもあって、もともとの演算能力が他のハイエンドモデルよりも更に高い仕様なのも幸いしてるはずだ。
『設定ポイントを通過。・・・ふむ、すぐに気付いた様です。足運びが変わりましたわ』
「りょーかい。目標がそこで気づいた所でもう抜け道は無い。一定の車間をキープしつつ追跡続行で頼む。くれぐれも無理だけはするなよ」
『ええ。この速度域でコケたら私は即スクラップ逝きですので』
「シャレになってねえよ」
・・・今回のために用意した二つの端末、片方に表示されている彼女の位置情報の動きが一気に加速している。つまり目標が本気出してスケアクロウを撒こうとしてるが、彼女はそれに食らいついて追跡できているようである。
もう片方の端末には、彼女のメットに取り付けた小型カメラからの映像を映しているが、中々面白い切り抜け方を試みる目標の動きとそれに追従する彼女の走りにニヤリとする。
なるほど、こんなあぶねえ運転してる中でもジョークを吐ける位の余裕はあるってことだな。
さて、
そうと分かれば、事を起こすまでの時間はあまり無い。セッティングしていたL96を構え、目標が射線上に到達するその瞬間を静かに待つ。
『現在の速度は150km/h、狙撃地点まであと3kmを通過』
「合図と同時に車線を変えて回避に移れ」
『了解』
到達まで20秒弱、風を読む、ボルトを引きトリガーへと指を掛ける。
3、2、1・・・。
「避けろ」
『!』
スケアクロウが車線を変えた直後、即ち、たった一本の細い射線上に目標が来る数瞬前、トリガーを引き絞った。
撃ち出された.338 Lapua Magnum弾は真っ直ぐ目標の女の頭へと吸い込まれ、ライダーを失ったバイクは制御を失い転倒した。
『目標の頭部に命中したのを確かに確認しました。計画は成功でしょう』
バイクのエンジン音と風をきる音に混じり、彼女からの確認のメッセージが届く。
「こちらの方でも双眼鏡で確認した。お疲れさん、そのまま所定のルートで撤退したあとバイクは処理してくれ」
『仕掛けた爆弾を起爆してから、待ち合わせ場所で合流すればいいんですのね?』
「ああ、買っておいた服に着替えるのも忘れずにな」
『分かりましたの』
さてと、長居は無用だ。とっととズラかろう。
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「お待たせ」
そう言って現れたのは、普段なら着ないであろうコーディネートで身を包み、さらに顔には特殊メイクを仕込み全く別人の顔となったスケアクロウ・・・人形であるという事も伏せるため、街中で行動するときの便宜上の名前として『サーリャ』と呼んでいる。ちなみに話し方も別人のように演じてもらっているため、こちらも普段ならしないような砕けた話し方をしてるのだ。
クライアントへの仕事の報告も無事終了し、俺がビルにいた痕跡も全てセキュリティにウィルスを仕組んだ事で抹消完了。具体的に言うと実行日当日のセキュリティ履歴を全て抹消するという、極めて迷惑な凶悪ウィルスを仕込ませてもらった。ビルの関係者には全く関係の無い事でとばっちりを食らわせちまったが、まあ許してくれたまえ。
もっとも、サーリャだけでなく俺自身も変装のために全く別人の顔のマスクを付けているため、まず俺の正体がバレるという事は無いとは思うが。
サーリャの方も、ICから出て予め決めておいたバイクの始末場所に置いたのち、そこに用意しておいた爆弾をバイクに設置、遠隔地から起爆することで証拠の確実な隠滅を行う。流石に殺し屋相手に追跡するってのに、自分が乗るバイクに最初から爆弾を付けるというのはどう考えてもアホだからな。
無論、黒づくめのライダースーツに顔の見えないヘルメットというのも側から見ると不審者極まりないため、爆弾とともに始末場に用意しておいた服に着替えてもらい、バイクと一緒に始末したという流れだ。
お互いにやる事を全て終わらせたのち、クライアントが用意したVIP用の駐車スペースで合流した俺たちは、数日間に及ぶ仕事を終え停めておいたオンボロと再会した。
「しかし、俺が適当にアパレルショップで見繕って選んだとはいえ、サーリャは元が良いからこういう服も似合うな。オンボロ本体とのイメージにはちょっと噛み合わねえかもしれねえが」
「街に潜入する前夜に紙袋を渡されて何かと思えば、まさか服を渡されるとは思いもしなかったわ。こんなふわっとした雰囲気の服、よく私がその場にいなかったにも関わらず買おうと思ったよね。嫌いじゃないけどさ」
ヒラリヒラリ、クルリと体を一回転するたび遠心力で広がるスカートに、どうやら新鮮さを感じているらしい。服買うときに自分なら絶対選ばないタイプだというのもあるだろう。
抹殺実行までの数日間、スケアクロウには街の偵察・・・つってもクライアントから提供されていた拠点にて、ネットワークを介して信号の制御リズムなどの情報を収集してもらっていたのだ。
が、顔を変えても服が普段のモノトーン衣装であったら変装の効果が半減してしまう。あの衣装も一般に売られてるものではなく、人形の市場に詳しい人間が見たら多分一発で鉄血製だとバレる。
どうせ顔にマスクを付けて化けるのなら、いっそのことスケアクロウのイメージから離れた雰囲気のコーディネートで纏めた方が、普段とのギャップもあってバレにくいだろう。ついでに話し方もちょっとだけ練習して、エージェントあたりが聞けばあんぐりすること間違いなしのタメ語カカシさまになった。
余談だが、サーリャという名前は彼女本人からそう呼んでほしいという
そんなわけで、ゆるふわ系美人のサーリャちゃんが誕生したのである。
監視カメラ等に俺たちの素顔を晒すのは極めてよろしくない。しかもスケアクロウに至ってはSP65型自体がこの顔で造形されているので、万が一記録として顔が残ったらその瞬間あっという間に俺の身元を特定されかねないのだ。
衰退した国とはいえ、俺たちがこの国の中で実行したことはれっきとした犯罪。彼女の顔がバレて警察権を発動されれば、社会に影響力のある大企業であっても逆らうことは出来ない。
ということで念には念を、石橋を叩きすぎて壊す直前くらいまで叩きまくった数日間だったが、苦労の甲斐あって無事に仕事を遂行できた。
一応街を出るまでは変装したままでいなきゃいけないが、出来れば今度はマスク無しで、顔が窮屈じゃない状態で来たいところだな。こういう仕事でもなきゃ、そもそも街に入れねえってのがなんとも痛いところだが。
「さて、それじゃサーリャ」
「なに?」
「帰るか」
「うん、そうね」
俺たちはオンボロに乗り、駐車場を後にする。
首都を出てしばらく走ること数刻、ようやくたどり着いた我らのギルドへと帰還。その際に消費した分のガソリン補給とギルドへの依頼達成の報告を済ませ、今まで顔の皮を厚くしていた特殊メイクを脱ぎ去る。
「・・・ふぅ。やっぱり素顔の方が可愛いな」
「なっ!!?」
おぉっと、つい漏れた。
漏れたついでに揶揄ってみるか。
「ば、バカ・・・」
「俺のことは褒めてくれないのか?」
「・・・つーん」
ちょっぴり耳だけ赤くして久々に拗ねちった。
はいスミマセン、調子に乗ったのは謝るんで一緒に帰りましょ。
こんな感じの書き方だと皆さん読みやすいですかね?(大汗)
19/11/10 前書きの通り、一部に修正を加えました(滝汗)
P90に名前を付けるとしたら?
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そのまま『P90』でいんじゃね?
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『ナインティ』でいんじゃない?
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ナインとティを逆さにして『ティナ』とか?
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いやいや変化球で『きゅーまる』はどうよ?
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良いアイデアがあるから感想に書くぜ