裏稼業とカカシさん(旧題:裏稼業の何でも屋が出向く先には必ずカカシが待っている件) 作:chaosraven
まとまらねえの、まとまらないから出すに出せない。
それと、仕事してる時は書きたくてたまらないのにいざ時間ができると書きたくなくなるあの現象、どうやったら治るの?
色々とショボーンな気持ちに包まれている今日この頃ですが、なんとか頑張って作品を続けていきたい所存ですので、皆様どうか応援よろしくお願いします。
E.L.I.Dの大群がこちらへとやって来る・・・。
人体に有毒な霧が発生し続けている汚染地域。こちらの視界の届かない霧の向こうから、奴らは俺たち生者を喰らい尽くすために歩き続けていた。
もはや”ヒト”であった頃の記憶なんて存在しない。ただ本能のままに仲間以外の生き物を殺し、捕食する。アレはもはや凶暴な猛獣と同じように、人間にとって危険な生物そのものだ。
ただの猛獣と違うのは、異常に強化された身体能力に加えて、道具の使い方といった”知識”が死んでる訳ではないというところか。
自身が体内に凶悪なウイルスを持ってる上に、例えば軍人だった奴なら持ってるコンバットナイフで切りつけてくるどころか、下手すりゃ弾の残っている銃で撃ってくる事すらあるのだ。
どの個体がどんな武器を持ってるかなんて戦いながら一々見てる余裕は無く、もしそうした危険な武器を持つ個体と出くわした時には・・・汚染地域と奴らのウイルスの性質上、正直生きて帰るのは絶望的かもな。
だが、悪いことばかりでもない。
幸いなことに、正規軍は今回のような大群による襲撃に備え、予め地雷原の敷設をする等の用意を整えていた。
電気柵などでルートを狭めたり、前線基地に向かうルート上にバリケードといった障害物を設け、さらに迫撃砲を使っての集団爆撃も行う。幾重にも仕掛けられたふるいに掛けられ、それでも生き残り進軍を続けるE.L.I.Dを確実に仕留め、殲滅する。それが今回の正規軍、そして俺たちのミッションだ。
「・・・空気が、張り詰めていますわ」
フルフェイスカバーを被り、見た目では軍の兵士と変わらない姿をしたスケアクロウが、軍人たちの醸し出す雰囲気に少しだけ息苦しそうに呟く。
周囲を見やれば表情こそ分からずとも、ここに立つ兵士全員がこれから迎える戦局に強い緊張感を持って臨もうとしている様子が分かる。
「無理もない。少しでも奴らの攻撃が自分の体に擦れば、その時点でほぼほぼアウトなんだから」
「コーラップスの爪痕の深さが分かりますわね」
「ああ」
コーラップスが起こらなければ、これから俺たちが殺そうとしている相手だって平和に生きていたのかもしれない。
化け物と化し、自身の理性すら失われた”ヒト”の成れの果て。自分の最期が化け物として同じ人間に殺されるなんて、自分がその立場なら何を思うだろう。
無論殺らなきゃ俺たちが殺られる以上、情け容赦をするつもりは全くない。
だが、この世に神がいるのなら、何故人類にこれほどまでの試練をお与えになられるのやら。まるで人類という存在そのものを淘汰するかのような・・・。
・・・考え事をするのも終わりだ。
まっすぐ戦場の方へと目線を戻し、来たる戦いへ意識を向ける。
「今更言うのもなんだが」
「なんですの?」
俺は左手に握り拳を作り、真横へ突き出す。
口元が緩やかな弧を浮かべる。
「頼りにしてるぜ? 相棒」
「・・・ホント、今更ですわね」
スケアクロウがやれやれといった風に首を振る。
直接は見えなくとも、彼女が呆れ混じりの苦笑いを浮かべてるのが分かった。
「でも、私も信じていますわ」
そういって彼女は俺の横に立ち、対となる様に構えた右手の握り拳をぶつけた。
『E.L.I.Dの軍勢第一派が地雷原に侵入! 各隊、戦闘用意!』
直後インカムから流れる司令部からの無線に、感覚を戦闘モードに切り替える。
P90のセーフティを解除し、奴らがトラップを抜けた先の迎撃地帯へと駆け出す。
”お仕事”の時間の始まりだ。
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辺り一帯そこら中で乾いた音や爆発する音、擲弾砲で打ち上げられた榴弾の飛翔音が響き渡る。それと共に、E.L.I.Dたちの身の毛のよだつような雄叫びも。
地雷原の敷設による第一派の撃滅は非常に大きな効果をもたらしていた。その後に続く電気柵による進行ルートの狭窄化やバリケードも、正規軍陣営にとって全て有利に事を進めるための伏線として順調に機能していた。これらの障害物によって移動が大きく制限されているところに、狙撃や擲弾砲で狙い撃ちにしていく。
レイたちはそれらのふるいを通り抜けてやってきた生き残りたちを狩るべく、最後の防衛ラインに設定された地帯でE.L.I.Dを倒していた。
基地の後衛には狙撃班もおり、前衛にはアサルトライフルや機関銃を土嚢越しに構えた兵士もいる。
すなわち正規軍の備えが十全であったという事であり、遊撃手をやってくれと言われた割にはそこまで大層な仕事があるかというと実際はそうでもなかった。
とはいえ戦場で棒立ちになってる訳にもいかないため、適度に力を抜きつつ各隊と連携し、生き残りのE.L.I.Dたちを確実に始末していく。
「S2! 2時方向にE.L.I.D3体!」
『了解! こちらで対処する!』
「R8! 11時方向にE.L.I.D2体!」
『よし! 報告感謝する!』
レイは自身のアイバイザーを駆使して得られた情報を、可能な限り味方に共有していく。その過程で自分で片付けるのが一番効率が良い個体も並行して始末する。
斥候役とまではいかないものの、第三者の視点から俯瞰的に見てもたらされる情報の有用性は言うまでもなく、正規軍も多少は仕事がやりやすくなっているだろう。
一方相方のスケアクロウは、自身のスペックをフルに活用して戦場で舞い踊るかのようにE.L.I.Dを撃滅していた。
遠隔操作型のビットを指揮棒を振りながら流麗に操り、的確なレーザー狙撃で確実にE.L.I.Dの弱点である頭部を射抜く。それだけでなく、ある程度の高さまで浮遊する事のできる彼女もまた、文字通り俯瞰的な立場に立って味方に情報を共有する事ができる。
レイとスケアクロウ、二人の観測手兼遊撃手がいることにより現場の運営効率は上がっていた。
『司令官が急に寄越した傭兵っていうからどんなもんだろうと思ってたが、意外と悪くねえ仕事ぶりだな』
ふとそんな無線がレイたちの耳に入る。
それはレイがはじめ危惧していた反感意識から来るものではなく、二人の仕事をその目で見て、少なくとも使える人材だと判断したからこそ出た言葉だった。
ーーならば、期待に添える仕事をするまでだーー
ーーならば、期待に添える仕事をするまでですわーー
レイたちは内心そう呟き、ニヤリと笑みを浮かべた。
「オォォォォアァァァァ!!」
E.L.I.Dが四体、トラップ地帯を越えて防衛ラインへとやってきた。
レイはすぐさまP90の銃口を一体のE.L.I.Dに向け、頭部めがけて発射する。
撃ち放たれた数発の弾丸が眉間に穴を開け突き抜けた直後、空から降り注ぐ三本の緑色のレーザー光線が残りのE.L.I.Dたちを貫く。
「さんきゅ」
「礼には及びませんわ」
レイの隣に降り立つスケアクロウ。
普段の彼女の衣装ならまさしく指揮者として様になったと思うが、今は完全防備の戦闘服姿。ピッチリとした真っ黒な服に自身のビットをまとわせる姿に、レイは異様な印象を受けたらしい。普段の姿とのギャップを感じたようだ。
スケアクロウは彼のそんな視線を敏感に感じ取ったのか、ジト目で彼の事を見つめる。黒塗りのフルフェイスカバーを付けているため、外見では全く分からないが。
「・・・なにか?」
「やっぱ普段の服でビット動かしてる方が格好いいなって思って」
「なっ、
棘のある返しをするものの、そう言った彼女の声色からは僅かに喜色が混じっているのが感じられた。
どうやら照れてるらしい。
パートナーのそうした機微をしっかりキャッチしたレイは、再びニヤリと笑みを浮かべ真っ直ぐ前を見据える。残りの仕事もしっかり果たして、貰ったギャラで酒でも買うかなんて思いつつ。
このまま展開が進んでいけば、予想していたよりはあまり犠牲を出さずに作戦を終わらせられるかもしれない。
そんな希望を戦場に立つ者たちが抱き始めた頃。
その直後だった。
戦局が一気に変わる凶報がもたらされたのは。
『っ!!? 地雷原正面に巨大なE.L.I.Dが出現! データ照合中・・・コイツは、まさかC級!?』
「・・・なに?」
「えっ?」
C級E.L.I.Dとは、A〜Dまで区分分けされているE.L.I.Dの強さのランクでは上から二番目、つまり例え一体でも、相手取るなら相応の犠牲を覚悟しなければならない強敵である。
戦車が撃った砲弾すら弾くような
要するに、今までいい流れで来てたのがそれ一体によって一気にひっくり返される可能性すらある危機的状況に陥ったと言っていい。
単純な皮膚の硬さといった耐久力も、今まで戦ってたA級E.L.I.Dとはレベルが違うため、レイの持つP90のようなPDWやサブマシンガンでは正直火力不足もいいところ。
彼が今持っている武装の中で唯一役に立ちそうなのは、近接戦用の武器として腰に差しているメーザーブレード。レーザーエネルギーによる超高熱の刃は、強力な耐熱性のある素材でなければ大抵はなんでも斬ることができる。
軍が市場への流通を制限している最大の理由はそこにあり、刃が持つ殺傷性能は、その実C級E.L.I.Dまでならまだなんとかダメージを与えられる程なのだ。
もっとも、巨体を持つ怪物に接近するという、ほとんど特攻と同義の行動をしなければならない致命的な要素があるわけで。
なので、普通なら他の基地から戦車などの増援を直ちに要請し、その間は擲弾や狙撃など、今この場にある物を駆使してどうにか時間を稼ぐといったことをする。
のだが・・・。
「・・・スケアクロウ、サポートは頼むぞ」
「ちょ、まさかC級に挑むつもりですの?」
正気を疑うような声でレイに問うスケアクロウ。
はっきり言って、歩兵一人でどうこうできる様な相手ではない。
にもかかわらず、レイの声色からは行き過ぎた恐怖といった感情は感じられず、状況とレイの心情とのギャップにスケアクロウは内心戸惑う。
「ああ。とりあえず基地の物資置き場に飛んで行って、ありったけのグレネードとかC4爆弾とか持って来てくれ」
彼女の問いへの返答は肯定、加えて大量の爆発物を持ってきて欲しいとのオーダー。
時々常識はずれな無茶苦茶なことをしてのけるレイだが、危機的状況の中でロクに考えも無しに突拍子もない事をいう人物ではない。少なくともバホな振る舞いが許されるか否か位は見分けられるはず。その事を今までの共闘で理解しているスケアクロウは大きなため息を零した。
「・・・貴方の事だからまたおかしな方法でも考えているんでしょうけど、一つだけ聞かせてくださいな」
「うん?」
「無事に生き残れますの?」
「紙一重で生き残れると思う」
「かっ、紙一重!? しかも生き残れると”思う”!?」
ガビーンという文字が出るくらい驚愕するスケアクロウ。
彼女的にはそこは正直生き残れると断言して欲しかった。
「冗談さ。少々荒療治になるが、多分、C級の耐久力ならなんとか出来ない訳じゃない」
「・・・本当ですの?」
「ああ。そのために今言ったものを持ってきてくれって話さ。地雷原はA級たちに踏み抜かれまくってて、残った地雷では正直それほど多くのダメージを与えるには至らないだろう。だから奴を倒すには別の方法でアプローチする必要がある」
「それが、大量の爆発物とどう関係すると?」
「ゴオォォォォォォォォォォォオォォォォォアアッッッッッ!!!!!!!!!」
スケアクロウの質問は、周囲に響いたC級の大きな叫びによって止められる。
レイはC級がいる方角へと視線を向け、P90を腰のクリップに固定し、代わりにメーザーブレードを取り出した。
「説明してる時間は無さそうだな・・・。指示は追って出すから、とにかく今言ったものを持ってきてくれ。E.L.I.Dがこっちに来るまでに用意できてると助かる」
「わ、分かりましたの!」
レイは右手にブレードのグリップを持ち、自然体のまま静かにC級がやってくるのを待ち受けるつもりらしい。
そんな彼の姿を見て半ばやけくそにも似た気持ちになったスケアクロウは、とにかく彼のオーダーを叶えるべく、基地にある弾薬の保管スペースへと文字通り飛んで行った。
「・・・まさかレイ、私が間に合わなかったらブレード一本でC級と戦うつもりですの????」
向かってる最中ふと思った。もしそんな事態になったら・・・なんて考えたら”急いで”なんて言ってられない。
超特急で取りに行かねばと思い、更にかそくしたスケアクロウであった・・・。
「突然だが君は・・・この先の戦争はどうなっていくと思う?」
「随分と藪から棒ですね・・・なぜそんなことを?」
「君の忌憚無き意見・・・いや、見立てを聞きたい」
「私の見立てですか・・・」
「ああ」
「・・・自律人形が戦争の主流となる時代は、そう長くは続かない・・・とか?」
「ほう? なぜそう思ったのか聞こうじゃないか」
「人形を作るための資源がどこまで保つかってことを考えたのですよ」
「・・・それで?」
「人形は、人間の目に直接触れるパーツこそ有機素材を使っています」
「ああ、そうだね」
「しかし、実際に人形に使われている素材の大半は鉄などを始めとした金属です。体の骨格だって、電脳の基盤回路だって、金属がなければそもそも製造することもできない」
「ふむ」
「ですが、コーラップス汚染により、主だった資源の産出地は殆どが人の立ち入れぬ場所となりました。E.L.I.Dの巣窟になってしまったと言い換えてもいいでしょう」
「確かに、汚染による影響はそうした所にも及んでしまっているね」
「さらに三次大戦により、そうした重要な場所への軍事攻撃による破壊が集中している。
以上を踏まえると、人類が新たに資源を獲得するためには、高いコストとリスクを承知でごく僅かに利用可能な産出地に出向くか、あるいは戦場で機能停止した人形を回収し、溶かして資源を獲得する位になるかと。
コーラップスの汚染がどの程度の期間を持って消失するかにもよりますが、少なくとも今後数十年でそれが起きることは無いでしょう。であれば、産出地に出向くのではなく回収して再利用というのが現実的な展開になる・・・」
「なるほど」
「ですが、経済活動としてここまで大きくなっている以上、そのような細々としたやり方ではすぐに限界が来る。
いずれすぐに、戦術人形に代わる新たな代替戦力を「結構。君が未来をしっかり認識し、理解している事はよくわかった」は、はぁ・・・」
「すまなかったね、大事な作業の最中だというのに」
「いえ・・・。失礼ですが社長、今のお話に一体何の意味が?」
「意味? さてね?」
「社長?」
「作業の邪魔をしてすまなかったね。今のは老人のちょっとした雑談とでも思ってくれたまえ」
「・・・」
「引き続き、我が社のために尽力してくれる事を期待しているよ。ではね」
「社長、あなたの眼に映る未来は一体・・・?」
P90に名前を付けるとしたら?
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そのまま『P90』でいんじゃね?
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『ナインティ』でいんじゃない?
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ナインとティを逆さにして『ティナ』とか?
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いやいや変化球で『きゅーまる』はどうよ?
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良いアイデアがあるから感想に書くぜ