裏稼業とカカシさん(旧題:裏稼業の何でも屋が出向く先には必ずカカシが待っている件) 作:chaosraven
改めまして、皆様新年明けましておめでとう御座います。
私は捻くれているので、周囲と同じタイミングで同じことをするのが何となくイヤだったので今挨拶します。要するにアホの極み()
ということで本編の方の最新話です。
どうぞ宜しくお願いします。
※推奨BGM: DragonForce / Ashes of the Dawn(YouTubeで調べると出てきますので是非)
C級を倒してから僅かな時間をおいて、A級の大群が迎撃範囲へと侵入した。
いたるところに設けていた筈の電気柵やバリケードは殆どがC級の強行突入により破壊され、しかも擲弾砲を設営した陣地にバリケードがぶん投げられるというオマケ付き。
後方から遠隔攻撃を行える拠点も、ほぼ全てがC級の”オマケ”によって機能停止に追い込まれてしまった。地雷原もデカイ図体したC級に踏み残しを掃除されちまった様で、すなわち
不幸中の幸いなのは、現在に至るまで兵士の人的損害は殆ど出ていないという事。ただでさえ元の数でも負けてるのに、これで更に減ってたらいよいよ明日の太陽を拝む事もできなくなりそうな状況。可能な限り情報共有を密にして、一人でも死者が少なくなる様に努めないとならなかった。
生き残ってる数が多いという事は、巡り巡って自身の生存確率を高める事にもつながるのだから。
そう考えて、もう一踏ん張りだと気を入れ直したはずだったんだがな・・・。
A級の大群がやって来てから現在に至るまで、撃っても撃っても、いつまで経っても侵撃が終わらない。
チラリと空を見れば、作戦開始時には真上にあった太陽が今は地の果てへと近づいていっている。
防衛戦が始まってから結構な時間が経った。だが、何体殺したのか分からなくなる程殺しても、まだE.L.I.Dたちは現れ続けていた。
倒せど倒せど、その度に倍の数の敵が俺たちの目の前に現れる。
周囲にいる友軍基地からの支援も絶望的という状況の最中、恐れていた事が起こった。
『破壊されたG17陣地の防御壁を突破してE.L.I.Dが侵入! 直ちに防衛措置を取れ!』
意図的に侵攻ルートを狭め、一度に戦う数を減らして有利な状況に持っていく事で、人間は初めてE.L.I.Dと安全性を保ったまま戦う事ができる。それがE.L.I.Dの圧倒的な物量によって覆された、まさに凶報だった。
戦線を構築してきた前だけではなく、横は、後ろは? 様々な方角に気を向けねばならなくなる。しかも暗闇が近付いてくる中で、”超人的”身体能力を持つ化け物を相手取る・・・。
『こちらM44隊! 誰でも良いっ! 誰か支援を『ゴブゥアッッ!!』ギャアァァッッッ! ・・・・・・』
そこかしこで支援を求める無線が届いては、E.L.I.Dの咀嚼する音や断末魔が聞こえたり・・・。
一度瓦解した壁はもはやボロボロに崩されるのを待つばかり、その他の箇所でも複数でE.L.I.Dの強行突破を許したという一報も入る。
今ここは地獄と化した。
一人、また一人とE.L.I.Dに喰われていく・・・。
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ーー今日一日だけで、一体どれだけ殺してきたっけなーー
長時間に渡る命がけの戦いに呼吸は整わず、顔を覆うフルフェイスの内側で荒い息を吐き続ける。
周囲にはすでに夥しい数の”ヒトの成れの果て”の死体。だが殺しても殺しても、それらを踏み越えて次から次へと新たな”ヒトの成れの果て”が襲いかかってくる。
もはや数の暴力と言って良い。人っ子一人二人で出来る事なんかたかが知れてる、こんなの幾ら何でもキャパオーバーだと、今日だけで何度そう思ったかも分からない。
「ハァ、ハァ、クソ・・・このままじゃ、本当に、ジリ貧じゃねえ、か・・・」
誰に聞こえるわけでもない、小さな一言。それでも呟かずにいられなかった。じゃないと、とてもじゃないが頭がおかしくなりそうだったから。
「オォォォアァァァァッッッッッ!!!!」
仲間の屍を踏み越え、生者の気配を嗅ぎ取った
「オラァ!」
すれ違いざまにメーザーブレードを振り抜く。ザシュリという確かな手応えと共に、化け物の体が斜めに切り分かたれた。
全ての銃が弾切れとなり、メーザーブレードに切り替えてから殺した数はもう分かりゃしない。数えるのもバカバカしくなるほど殺した事だけは分かる。それ以上に正確な数なんて計ったところで、今更どうなるというのか。
「ゴォォアァァァァ!!!」
考える時間すらも与えられず、また一体がこちらへやって来る。
剣を構え、向かってくる化け物を迎え撃つ。
「アァァァァァ!!?」
「死ねぇッッ!!」
化け物になったとはいえ、元は人間。身体能力が強化されてはいても、弱点や急所は変わらない。
一対一であれば、ロクに働かせる頭もなくただ突っ込んでくるだけの化け物に負けはしない。首を刎ね、或いは頭や心臓に一突き。それで終わる。
だが、殺した数が三桁を超えてくると色々な所に疲労が出てくる。さっきからずっと呼吸も整わないまま。
気を抜けばすぐにフラリといくだろう。ヘヘっ、こいつは”働きすぎ”ってヤツだな・・・。
「ハァ、ハァ、流石に、ちょっとやべえか・・・」
いつまでも
「ハァ、ハァ、レイ! 生きてますの?」
俺の背後で、同じようにブレードを構えるスケアクロウが叫ぶ。
彼女もまた、止まる事を知らない大群を前にビットのエネルギーが尽きてしまった。
不幸中の幸いなのは、メーザーブレードの扱い方を一通り心得ていたということか。なので丸腰にはならず、今も襲いかかってくるE.L.I.Dを相手になんとか二人で対抗できている。
「ハァ、ハァ、誰に向かって、言ってる? 俺は、
ダメだちくしょう、一向に息が整わねえ・・・。
これじゃ安心させるどころか余計に心配させるだけじゃねえか。
そんなこちらの不安を他所に、彼女は少しだけ明るさを含んだ声色で返す。
「ハァ、ハァ、生きてるんなら、良いんですの・・・」
ただし、彼女自身が抱える疲労感は隠しきれていなかったが。
スケアクロウも、今日一日だけで数え切れないほどのE.L.I.Dを斬り殺してきた。
いくら人形と言ったって、おそらく戦場で想定された稼働限界なんてもうとっくに振り切ってるだろう。朝から戦い続けて今は夜の一歩手前、この間多少の休息こそあれど、動かした分に見合う休養は取れていない。
浮遊に使うエネルギーすら惜しまなければいけないほど、彼女もまた消耗しているのだ。
なぜこの様な事態になったか?
それは俺たちが主にサポートに入っていた部隊が壊滅してしまったから。
次々と瓦解した防御壁から侵入してきたE.L.I.Dの群れ。そのうちの一派が俺たちのいた拠点の真後ろに回り込み、結果正面と合わせて挟み撃ちとなった状況に部隊が対応しきれなかったのだ。
絶命するほどの深手であればまだ良い。だが中途半端な怪我ではウィルスの感染が進み、いずれ敵と同じように化け物と化す・・・。そのため、襲いかかってくるE.L.I.Dを撃退する合間に、生き残った者たちが共に戦ってきたはずの兵士の介錯もしなければならなかった。
仲間を自らの手で殺め、ヒトのまま死なせる。
それを任された兵士の心痛はいかばかりか。
兵士は仲間が確かに生きていた”証”を受け取り、戦う。だが兵士は戦いの最中E.L.I.Dにやられてしまい、自分の”証”と預かっていた仲間の”証”をまた別の仲間へと託す・・・。
そんなことを繰り返してる間に、気づけばこの拠点で生き残ってるのは俺たちだけになってしまった。
ポーチに入っているのはこの拠点で散った兵士全員のドッグタグ。そして、彼らから貰った命綱とも言うべきメーザーブレードのグリップ本体とバッテリー。これがあったから、元々持っていたバッテリー全てのエネルギーが切れても、使いすぎでブレードの回路が焼き切れても、ブレードという”最後の武器”を失う事なく戦い続けられていた。
こんなところでくたばるつもりは微塵も無いし、何よりも持ち帰らなければいけないものが沢山ある。
たとえ住む世界が違くても、捕らえる捕らわれるという関係性であっても、散った彼らが今日を共に戦い抜いた戦友であることは紛れもない事実。
彼らの肉体がここで朽ち果てる
たとえ地を這いずり回ってでも、な・・・。
「・・・レイ」
「ハァ、ハァ、どうした?」
「私たち、生きて、帰れますの?」
荒い息を吐きながら、不安な感情の滲んだ声色で問うスケアクロウ。
冗談抜きに押し潰されそうな状況を打開する術が無く、内心ではいよいよもって”死”を覚悟し始めているのかもしれない。
そう思ってしまう気持ちは身を以てよく分かってる。
でもその感情に身を委ねてしまっては、生き残れるかもしれない希望を自分で踏み潰すのと一緒だ。
暗がりに生きる裏稼業が随分ポジティブに考えてるなんて思うかもしれないが、裏社会は例えどんな手を使ってでも生き残るというしぶとさが無きゃ生きていけねえ。今みたいに生きるか死ぬかの状況なら尚更だ。
生き残ることを止めた奴に希望は決して降りてこない。
だからこそ生きる事を諦めるなよ。そう伝えてやる。
「ばーか。んなもん、自分で、決めるもんだ。誰かに、委ねるもんじゃ、ねえだろ?」
「ハァ、ハァ、ですが、こんな、状況じゃ・・・」
「いっその事、工場長にでも、応援頼んでみるか? 代金は軍に、全部ツケさせてな・・・」
「・・・うっふふ、案外、それが一番、ベストかも、しれませんわね?」
フェイスカバーの奥で、辛そうに息を吐きながらもニヤリと笑みを浮かべたのが分かった。
ああそうさ。いっその事出来るならそうしたい所だ。エージェントの圧倒的火力、デストロイヤーの強力な面制圧力、そのどれか一つでも借りられるのなら、この危機的状況を脱する事が出来る。
だが、手元にある無線機では残念ながらその手段を取る事はできない。せめてまともに普段使い用の端末さえあれば・・・そう思ったって、無い袖は振れない。
今はなんとかして退路を開き、後方の基地へと撤退すること。それが今の最優先の目標なのだ。
この無尽蔵に湧いてくるE.L.I.Dの群れのどこかに隙さえ見出せれば、一気にスパートを掛けて撤退するつもりでいたが・・・。
二人して呼吸をまともに整えられもしない現状、全力疾走で逃げるという手段すら選べないほど俺たちは消耗してしまっていた。
・・・クッソ、どうやってこの状況を切り抜ける?
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「いっその事、工場長にでも、応援、頼んでみるか? 代金は、軍に全部、ツケさせてな」
レイが苦し紛れに言ったこの一言に、私の頭に電流が走りました。
今の戦況は極めて劣勢、という言葉でも足りないでしょう。はっきり言ってレイの身体能力と過去の戦闘経験があったからこそ、私たちは今なおE.L.I.Dに屈することなく立っていられるのですから。
しかしそれも限界に来つつある今、軽い冗談のつもりで放ったであろう彼の言葉に、私たちが生き残るための希望が見えました。
正直あのバホ姉の力を借りるというのは”妹”としてはとても癪に障りますし、有り体に言えばものすごくムカつく事でもありますけれども・・・。
私の
私は上空に浮かぶ旧文明の人工衛星に位置情報を問い合わせると同時に、私自身に埋め込まれた通信ユニットを使って上空に浮かぶ通信衛星へアクセスを試みます。
ウフフ・・・。常識にとらわれた戦い方だけでは戦局を切り開けないなら、レイがさっきも無茶苦茶な方法でC級を倒したように私だって常識はずれな事をやったって良いでしょう?
少なくとも結果が良ければ過程がどれだけぶっ飛んでても構わない、それが私の
「レイ!!」
「どうした?」
「救援を呼べるかもしれませんわ!」
「なんだって?」
予想だにしなかった言葉に、大きな驚きを含んだ声が返ってきます。
でも、上手くいけばきっと・・・なんとか出来るはずですわ。
「私の残った力で、上空の通信衛星にアクセスを試みますわ! その間、貴方には私を守って欲しいんですの!」
今のボディのエネルギー残量からすると、衛星にアクセスしている間は一切身動きが取れそうにありません。
さすがに数十年前の遺物ですから、ハックする事自体は恐らくそう時間は掛からないと思いますが・・・。
今のレイは満身創痍そのもの。状況を打破できる可能性があるならば少しでも早く取り掛かるべきです。
どちらか一人が欠けて帰るなんて・・・絶対に嫌ですの!!
「・・・なるほどね。確かに、空には雲一つ浮かんでない。余裕が無さ過ぎて、人工衛星の事を完全に失念してたよ」
声だけでも彼が苦笑いを浮かべてるのが分かります。突拍子もないアイデアですから、そう感じるのも当然でしょう。
でも、彼の声には終わりの見えない戦いへの絶望感はもう感じられませんでした。
生きて帰る、強い確固たる生存本能ともいうべき意識がありありと伝わってきます。
「じゃあ!」
「スケアクロウ。俺たちの命、キミに預けるぜ。絶対に生きて帰ろう! 二人でな!」
「! ええっ!!」
直後、GPS衛星から、私たちの位置情報を取得するための
それを元に手早くこの場所の座標算出を完了し、残るもう一つの通信衛星のハッキングに集中します。
閉じた瞼の裏に浮かぶのは数多のプログラム構文。
セキュリティウォールを構築しているプログラムにアクセスを一極集中させ、旧世代に作られた壁を次々とぶち抜く。
早く、早くっ、早くっ!!
たった一秒すら惜しい。レイの命が懸かってるんだ!
こんな藁みたいな壁ごときに時間を持って行かれる事が本当にもどかしい。壁なんかに構ってる時間は無いっ、早く! 早く中枢へ!!
何十枚何百枚と設けられたセキュリティを突破して、遂にやっと衛星の中枢までたどり着けた。
ここまでやってきた”
その強靭さは今までの比ではなく、衛星そのもののセキュリティの更新が行われていた頃ならば誰も対抗する事は出来なかったかもしれません。
(でもそれは”当時”の話! 私は”お前”よりも未来に生きる、”
私の持つすべての演算能力をつぎ込む勢いで、目の前に立ちはだかる防御壁を打ち砕きに掛かります。
複雑な法則のもと展開されるプログラム。でもそれを長々と観測して突破口を見つけるなんてしてる時間は無い!
丁寧にやるのが無理なら、強引にやってでも鍵をこじ開けてみせる。
貴方から受けた期待は裏切らない! 絶対に!
(はぁぁぁぁぁぁぁぁっっっっっっ!!!!!)
渾身の力を掛けて、壁を破る最後のコードをぶち込む。
壁を壊しさえすれば、衛星の主導権さえ握れれば、レイを助ける事ができる!
バッキャーーン!!!
次の瞬間、まるでガラスが粉々になる様に防御壁が砕け散りました。
間髪入れずに奥の中枢システムへアクセスし、管理者権限を『私のIDコード』に書き換える。
電子的に正式に管理者となった私を認識し、システムは迎撃行動を中止します。
電脳内での安全が保たれた事を確認し、すぐさまルード工場長の端末と”バホ姉”のシグナルコードへ、取得した位置情報と私たちの現状を簡潔に纏めたメールを送信。
お願いします・・・どうか、私たちに力を貸してください。
”リーリャ”姉さん、”お父様”・・・。
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スケアクロウが電子戦モードに突入した直後、自分らに危害を与える相手が一人減ったのを見計らって、E.L.I.Dが三体で組んで襲い掛かってきやがった。
「ウオォォォオォォォッッッ!!!」
「ウザってえんだよッッ!!!」
瞬間的にブレードの出力を操作し、刀身の長さを一瞬だけ伸ばして纏めて薙ぎはらう。
非実体の刃という性質は、こんな時にもリーチを変えて対応出来るから助かる。
「ヴァアァァァァァッッ!!」
「見えてるぞ!」
視界の外から飛びかかってきたE.L.I.Dに、剣を突き刺し頭を貫く。
ブシュリと脳が潰れる音と傷口からボタっと流れ出る血。
振り抜きざまに血を払い、未だ俺たちを取り囲うように立つE.L.I.Dたちを見据える。
同時にブレードを最大出力に、そしてリーチの設定も・・・とにかくボタン連打で”凄く長くなる様”に右手で設定を弄る。
「・・・来いよ?」
左手でクイクイと挑発する。ヒトとしての理性はとっくに死んでるが、欠片程度に残った知性で俺のジェスチャーを理解したらしい。
刹那、デカイ咆哮を上げて一斉に突っ込んできた。
『ガァァァァァァァァァァァァッッッッッッッ!!!!!!』
「そらぁッッ!!!」
駆け抜けてくるE.L.I.Dの大波を前に、設定を弄ったブレードを大ぶりに振り抜く。
通常よりも強く、そして長いリーチを出すよう指定された刃はまるでムチの様にE.L.I.Dのもとへと伸び、強力な切断力を以って大波を斬り裂いた。
こんなやり方、間違いなく回路が焼き切れて廃棄して交換になるだろうけど、どの道持ち主はもういない武器なんだ。なら、最期まで敵討ちがてらフルパワーで使ってやってなんぼだろう。
「次っ!」
たった一発だけで終わらせるなんて勿体無い。
返し刀にもう一発振り抜き、射程範囲外に逃れたE.L.I.Dたちを葬る。まだイケる? ならさらにもう一発だ!
『ヴァァァァァ・・・』
E.L.I.Dの断末魔がそこら中で響く中、ムチ代わりに酷使して遂に回路が死んだのか、突如ブレードのグリップが急速に熱を持ち始めた。
即座にこちらへやってきている新たなE.L.I.Dの頭めがけて、デッドボールを決めるつもりでぶん投げる。
「ガッ!? ボフッ・・・」
我ながら見事な当たりで直撃した直後、バッテリーのエネルギーを正常に処理できなくなったグリップが爆発。E.L.I.Dの頭を丸々吹き飛ばす。
その隙にまた新たなブレードとバッテリーを装着し、”通常設定”で刃を展開する。
「チックショウ・・・今ので結構削ったと思ったんだがな、まだこんなに湧いてくんのかよ・・・」
心底ふざけた身体能力だ。一瞬はきれいに掃除できたと思ったのに、アホみたいな足の速さでやってきた新手にあっという間に囲まれてしまう。
不幸中の幸いなのは、周囲に転がってる”仲間”の死体を誰が作ったのかを奴らが認識してるって事か。
化け物らしく考えなしに一気に押し切られたら勝ち目も何も無いが、奴らにわずかに残ったヒトとしての知性が、”俺”という存在相手にどうやって倒すべきかを逡巡させてるのがこの膠着状態を生み出している。
ゾンビ映画よろしく腕をブラブラさせながら、俺を食い殺すタイミングを窺う大量のE.L.I.Dたち。
いい加減このエンドレスバトルからは抜け出したい。E.L.I.Dの顔なんざもう一生見たくねえくらい拝んだ。
「・・・テメェら、いい加減失せろォォォォォッッッ!!!!」
『了解しました』
『ぶっ殺してあげる!』
『主様のお望みのままに』
思わず腹の底から叫んだら、どういうわけか俺の声を拾ったらしい”誰かさん達”から無線で返答が来た。
直後、見覚えのある”赤黒いエネルギー弾”がE.L.I.Dの大群のそこかしこに撃ち込まれ、かと思えば後ろからミサイルは飛んでくるわ、チミっ子が猛スピードで俺の横をすり抜けたと思えば駆け抜けながらポンポン撃ちまくるわで、つまるところ鉄血最強率いるハイエンドモデル達によるE.L.I.Dの蹂躙劇が開幕した。
『・・・妹を傷付ける者は許しません。そして妹の大事な人であり、私の”未来の
・・・あれ、頼もしい増援が来てくれたもんだと思ったはずなのに、メイドさんがなんかとんでもない事口走ってるんだけど。
『
チミっ子も殺る気マンマンだな。無線越しに結構なハイペースでグレネード弾を撃ち込む音が聞こえる。
ってか、チミっ子はスケアクロウの事『サーリャお姉ちゃん』って呼んでるのか。確か前に殺し屋の女を殺すための潜入依頼の時に、スケアクロウが自分でこう呼べと名乗った”偽名”だったと思う。なんで偽名にその名を使ったのか聞いても、当人は顔赤くしてそっぽ向いて教えてくれなかったけど。
もしかしたら鉄血では、ハイエンドのように個体数の少ないモデルは同じ型式でも一個体ごとに名前を付けてるのかもしれない。自分たちの生み出した人形に深い愛を持ってるあの技術者達なら、いずれ自分の元を離れてくとはいえ人形に名前を付けててもおかしくはないし。
ふーん・・・今度呼んでみるか。
生きて帰らなきゃいけない理由がもう一つ増えた。
『今こそ主様に私の力を見せよう。というかバホ姉めっ、主様が次に契約を結ぶのは『
『ばっ、バホ・・・』
最新のハイエンドモデルまで買っちまったら、今度こそオンボロ手放さなきゃいけないんだけどね?
俺の懐にウロボロスまでローンを組む余裕はないっちゅうの。遠距離から的確にミサイル撃ち込んでE.L.I.D爆散させてるのはすごく助かるけども!
そしてここでエージェントの個体名?らしき名前も発覚した。エージェントは『リーリャ』というらしい。スケアクロウといい、本当に”姉妹”の関係を示すような名前をそれぞれ持っているようである。
っていうか・・・。
『ぬははははは!!! 主様見ているか!? 私はこれだけの事が出来るんだ!』
『うわっ! ちょ、ちょっとウロボロス! 私の進行方向に撃ち込まないでよ!?』
『むむ? それはすまなかったデストロイヤー』
さっきまでの危機的状況が嘘のようにひっくり返ってる。
本気で死ぬかもしれないという展開が見事に180°回ったわけで、圧倒的大火力によるE.L.I.Dの強行制圧が本当に成し遂げられそうでヤベえ。
あまりの急展開に正直感覚が追い付いてないぞ。
そんでもってこっちは・・・
『ば、バホ・・・とうとう
『!?』
桁違いの火力で繰り広げられる蹂躙劇の最中、ついに最近生まれたばかりの
『皆して私を”バホ”って呼んで! 私だって・・・あんまりバホバホ言われたら傷付くんだぁぁぁぁッッッッ!!!!』
・・・それって、自業自得って奴じゃねえの?
そんな事を考えてる間に撃ち放たれたエネルギー弾が着弾し、特大の”汚い花火”が地上でたくさん咲き誇った。
名実ともにエージェントは『鉄血最強』だわ、うん。
・・・・・・帰ろう。
話の内容に対して色々と言いたいことはあると思いますが、許してください(土下座)。
いよいよ・・・。
P90に名前を付けるとしたら?
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そのまま『P90』でいんじゃね?
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『ナインティ』でいんじゃない?
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ナインとティを逆さにして『ティナ』とか?
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いやいや変化球で『きゅーまる』はどうよ?
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良いアイデアがあるから感想に書くぜ