裏稼業とカカシさん(旧題:裏稼業の何でも屋が出向く先には必ずカカシが待っている件)   作:chaosraven

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 最近自分の文章が下手くそすぎて泣きそうになる今日この頃、いつもお目汚ししてすみません。精進します(滝汗)

 さあ、トリガーは引かれたーー


-39-ひらりひらり、蝶は舞う

 

 

 

 ある日の朝。鉄血工造第三兵器産業廠にある自身の執務室で業務を進めるルードは、どういう訳か異常な程の落ち着かなさを感じていた。

 自分の体にゾクゾクとした悪寒が走り、脈打つ鼓動もかなり早い。極め付けには精神を支配する大きな不安と恐怖。これらがルードに絶えず伸し掛かっていた。

 

 まるで、何かが起こる前の”虫の知らせ”なのかと思うほどに。

 

 何かとてつもない出来事が起こる気がしてならない。根拠も何もないただの勘そのものだが、彼にはそれが間違いなく現実になるという妙な確信すら芽生えている。

 利き足の貧乏ゆすりも止まらず、業務にもまるで手がつかない。何がここまで自身を不安にさせるのかが明確でないが故、余計に彼の中の不安を煽る。

 

 

「・・・一体、今日に限ってどうしてここまで不安を感じるのだろうか」

 

 

 一人口に出して呟いてみても答える人は誰もいない。焦燥、不安、恐怖、感じてる感情はこれらだ。じゃあ何故それを今感じてるのか? それが分からない。

 手元に置いてある水差しから一杯の水を注ぎ、一息に飲み干す。このどうとも御しきれぬ感情の渦に気を取られ、いつの間にか渇ききっていた喉を潤す。

 

 すっきりとした味わいと仄かな柑橘類の香りが口一杯に広がるが、それでもルードの心を落ち着けるまでには至らなかった。

 

 

「あぁぁクソ・・・なんでこんなに落ち着けないんだっ」

 

 

 頭を掻き毟り机に突っ伏すも、己の状況が変わるわけでもない。そして遂行しなければならない業務の量が減るわけでもない。

 こうしてる間にも時間はどんどん過ぎていく。時間を無駄にすれば一日で終わる業務も残業しなければならなくなる。ひとまず仕事に取り掛かろうとペンを取った直後・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーー目の前で”蝶”が一頭、ひらりと舞ったーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・は??」

 

 

 紫に光り輝く羽をはためかせる一頭の蝶。なぜこんなところに蝶が飛んでいる? 自分は幻覚でも見ているのか・・・そう思いつつ蝶へと手を伸ばしかけた次の瞬間、工場をとてつもない衝撃と爆発音が襲い、工場内に緊急事態を知らせるサイレンがけたたましく鳴り出した。

 

 

「うぉっとっっ!!」

 

 

 突き上げるような衝撃に椅子から転げ落ちてしまったルードだが、立ち上がるとすぐにデスクのPCに工場全体のモニタリングシステムを起動、今の爆発でどの設備が損壊したのかを確認する。

 

 目にも留まらぬ速さでキーボードを叩くルードは、セキュリティ上設けられている幾つかのパスコード入力画面を数秒の間にクリアし、目的のページを開く。

 

 

「第三から第十までのレーンがあるエリアで爆発? このレーンはノーマルモデルのボディ組み立てをするための場所じゃないか・・・っ!!?」

 

 

 一般向けの量産型ノーマルボディ、それらの組み立てをする設備での爆発という二つのキーワードに、ルードは考えうる最悪の状況を思い浮かべてしまう。

 いや、もしかしたら何らかの人為的ミスによって設備が吹き飛んでしまった”だけ”という可能性もある。もちろん企業としては十分に大損害だが、ルードの考える最悪の事態よりかはよっぽどマシであろう。

 

 第三から第十レーンの設備運用を管轄する部署に状況を確認するべく、内線を掛ける。

 

 

「こちら工場長! アンバー主任、何がありましたか!」

 

『緊急事態です! 起動待機中のノーマルモデルたちが、突然こちらからのコマンド無しに勝手に起動したのです! 緊急停止コードを打ち込んでますが、効果ありませガッ・・・」

 

 

 受話器が突然何かにぶつかる音がしたかと思うと、電話口のアンバー主任から一切の応答が無くなった。

 いや、その前に一瞬聞こえた、何かに刃物を突き刺すような音は何だ?????

 

 

「・・・もしもし? もしもしっっ!!?」

 

 

 血相変えて相手へ応答を求めるも、マイクが拾うのは遠くから聞こえる幾数もの足音のみ。

 今朝からずっと続く体調不良の原因はコレかっ。苦々しく舌打ちをするものの、それで何か変わるわけでもない。

 

 とにかく、この工場で最悪の事態が起こっている事だけは分かった。

 アンバー主任や現場付近にいる社員たちの命は恐らく・・・今は現場の最高責任者として最善の決断を下し、実行するほか無い。

 

 PCの画面に複数のタブを展開し、神掛かったスピードでキーボードをひたすら叩き続ける。今起こっている事態が出来る限り最良の結果に近付けられる様に、一人でも犠牲を減らすための仕込みを始める。その中には、ある人形の”強制コントロール”を発動するためのコマンドページも含まれていた。

 

 

「・・・ノーマルモデルたちが起動コマンドを出していないにも拘らず勝手に起動し、本来攻撃する事の出来ないはずの人間を傷付ける事が出来ている。

 マザーとリンクするための更新ファームウェアに致命的なバグがあったか、或いはマザーそのものがエラーを起こす様な事態が本社でも起こっているか・・・。

 いずれにせよ、我々が動き出した頃にはノーマルモデルたちのファームアップはとっくに終わっていた訳だっっ! クソぉッッ!!」

 

 

 全てが後の祭り、自分たちの取った行動は結局”子供達”を救えなかった。この事実に彼は歯噛みし、自身の不甲斐なさに憤る。

 彼の感情を表す様にタイピング音は益々激しさを増し、それでも彼は確実に一切のミスない入力を続け、現状をなんとか打開しようと懸命に動いていた。

 

 モニタリングシステム上の映像が監視カメラからのものに切り替わる。

 爆発の起こった生産ライン付近のカメラ数十台の映像には、”どういうわけか完全武装をした”リッパーやヴェスピド、さらにはイェーガーやドラグーンまでもが行軍している様子が映っていた。

 彼女達の中には赤い飛沫が顔についたままの個体もおり、彼女達が何を仕出かしたのかは一目瞭然。

 すなわち、人形が人形であるための安全措置(セーフティ)が機能していないという事。

 

 歯を食いしばりながらもタイピングは止めない。そして”あるデータ”を纏め終えたルードは、引き出しから四角い小さな金色のアクセサリーを取り出しキャップを外す。

 中から出てきたのはPCに接続するための汎用規格の端子。それを挿し込み、この短時間で製作したデータを次々にコピー処理を掛けていく。

 

 人差し指で摘めるほどのアクセサリー(記録メディア)だが、小さな本体からは想像できないほどの転送速度を以って、僅か数分ほどですべてのデータを保存し終えた。

 すぐさまPCから抜き取り、キャップを付けて元の引き出しに戻す。

 

 彼に残された時間は残りわずかであったが、暴走した人形達が彼の元に来る前になんとか全ての仕込みを終えることが出来た。

 

 

「・・・ふぅ。急なお願いになってしまったが・・・私の全財産と、軍の作戦に応援に出したハイエンドモデル運用のギャランティも振込先を変えて・・・これだけの額があれば”彼ら”も無下にはしないだろう。

 我が社が世界に誇れるエンジニア達と、彼らが手を取り合ってともに作った技術の結晶達だ。きっと、彼らなら・・・」

 

 

 打ち込んだ内容に目を通して問題ない事をチェックしたルードは、一縷の望みを託してメールを送信、そのまま別のタブより秘匿回線を使い、エージェント達に執務室へ来るように伝える。道中にもし無事な研究員がいれば、彼らを護衛しつつとも。

 

 やがて、執務スペースのあるこの建屋でも銃声が響くようになってきた。

 そしてそこかしこから聞こえる、社員達の悲痛な断末魔。

 代わってやれるならいくらでも代わってやりたい。でも、それは出来なかった。

 

 

「・・・すまない、皆。君たちを守ることが出来なくて、本当にすまない」

 

 

 きっとこの工場の建屋はさぞや凄惨な光景に変貌したことだろう。

 この悲劇を一体誰が生み出したか? 間違いなくその責任の一翼は自分にもある。上層部を止められなかった自分に・・・。

 

 考える間も無く、エージェントからこの部屋に着いたという連絡が届く。

 拳銃を構え、慎重に扉を開いた。

 

 

「お待たせしました工場長。エージェント以下当工廠にいる全ハイエンドモデル、ただいま参りました」

 

 

 声を潜めたエージェントが、微笑を浮かべルードに挨拶をする。

 彼女の後ろにいるハイエンド達は殺気立った様子で、幸いにも生き残れていた研究員達を囲うように警戒していた。

 

 結局ハイエンド達に守られながらここにきた研究員の数は、ルードが思ったよりも遥かに少なかった。

 ウロボロスを製作したリーサ・スタインフェルド、そして彼女の部下の研究者三名。

 

 そのほかには居なかったのかと視線で問えば、目を瞑り数度首を横に振るエージェント。

 ルードは大きくため息を零すと、執務室の入り口に鍵をかけた。

 

 

「とにかく皆よく来てくれた。時間が無い、まずはエージェントにこれを託すよ」

 

 

 ルードは自身のデスクから、金色に光る小さな四角のアクセサリーがついたネックレスを取り出す。

 彼はエージェントの後ろへと回りこみ、慣れた手つきで彼女の首に掛けてみせた。

 

 

「・・・工場長、これは一体?」

 

 

 突然ネックレスを渡されたばかりか工場長自ら彼女の首に装着するという行動に、彼の真意を理解しかねた様子のエージェント。

 いきなり訳も分からず、しかも命に関わる緊急事態にこんな事をされれば、誰もが怪訝に思うのも当然の事。

 

 戸惑いも隠さず、エージェントはルードにどういう目的があるのかを聞いた。

 

 

「この先君たちの身に何かあった時、必ずそれが役に立つだろう。とても大切なモノだ、決して無くしたり奪われたりしない様に」

 

「は、はぁ・・・?」

 

「分かったね?」

 

「か、かしこまりました」

 

 

 だが帰って来た答えはイマイチ要領を得ないものだった。

 納得していない事を1度目の返事で示すも、焦った様子の彼に念を押されて分かったかと言われればとりあえずはハイと返すしか無い。

 

 ひとまず了承の意を受け取ったルードは、打って変わって彼女に微笑み返す。

 

 

「さて、すまないが皆もう少しエージェントに近寄ってくれるかい?」

 

「はぁ? 工場長、今度は何を・・・」

 

 

 さらに繰り出された意図の不明な指示に、こんな事をしている場合なのかという顔のリーサ。ハイエンド達も生き残った研究員も同様である。しかし、ルードもふざけようと思ってエージェントに近寄れと指示を出している訳ではない。これから彼が実施する”策”を実行するための、最後の仕込みなのだ。

 意味があってやっているのだという事を視線で訴えかけると、リーサは渋々といった風にエージェントの周囲に密集する様、部下やハイエンド達に指示を出した。

 

 言う通りにしてくれた彼女達に満足げに頷いたルードは、デスクに戻ると強制コントロールコマンドを予め入力しておいたページを開き、キーボードのエンターキーに人差し指を乗せる。

 

 

「よし。それじゃあ最後だ。皆、この先色んな出来事が待っているだろうけど、どんな苦難にも負けることなく最後まで生き様を貫きたまえ! 達者でなっ!!」

 

「・・・えっ? あっ!!?」

 

 

 ルードが何をするつもりなのか気付いたエージェント達。だが、彼女らが何かをする前にルードは思いっきりキーを押し込んだ。

 ターンっと小気味良い音が響いた次の瞬間、エージェントの右手が『彼女の意思を介さず』十字を切り、彼女達をテレポートする際に発生するオーラが囲う。

 

 

「そ、そんなっ!? 待ってっ、お父様!!」

 

 

 自分の右手が何をしたのか、誰の手によってそれが行われたのかを理解したエージェントは、”父”と慕うルードを必死に呼び続ける。何故ルードは共に逃げないのか、何故自分たちだけを脱出させようとしたのか、何故”父”を置いていかなければならないのか。

 あまりにも起ころうとしている現実が訳が分からなくて、混乱しきったエージェントは嫌だ嫌だと首を振り必死に手を伸ばす。

 

 けれど、非実体エネルギーのはずのオーラは、外へと彼女の手が出ることを拒む。

 薄い壁一枚に阻まれ、娘は父へ手を届かせられない。

 

 

エージェント(リーリャ)。後のことは頼んだよ」

 

「嫌ぁっっ! お父様っ! 駄目ぇッッ!!!」

 

 

 涙に塗れ、グシャグシャになりながら必死にルードへと手を伸ばすも、自身の機能によって遂に粛々とテレポートは遂行される。瞬く間にいなくなったエージェント達の無事を祈りつつ、一瞬にして静寂が支配した執務室にてルードは腰を下ろす。

 デスクにある電子ロックのかかった引き出しに指をかざし、指紋認証を通してロックを解除した。

 

 

「・・・よもや、これを押す機会が来るとはね」

 

 

 取り出したのは、黒のプラスチックカバーの付いたリモコン式のスイッチ。

 それを押せば、第三兵器産業廠の至るところにある支柱に仕組まれた爆薬が起爆し、工場そのものを瞬間的に爆破する事ができる。

 本来の目的としては、工場の中枢部にまでテロリストなどの侵入を許した時に、捨て身の手段として実行されるもの。しかし、ルードはそれとは別の目的でこのスイッチを押そうとしている。

 

 

「あの子達が外に出て殺戮の機械兵となるのなら、あの子達を生み出した我々が責任を持ってそれを阻止しなければならない。

 まだどの個体も工場建屋からは出ていないはず、ならばーー

 

 

 

 

ーー心中してでも愛する子の暴走を止める義務が親にはあるーー

 

 

 

 カバーを指で弾き、親指をスイッチに乗せる。

 目を瞑り、一息に押し込んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ちょーっと待ってくれるぅ? お姉さん的には〜そのスイッチ押されちゃうとぉ、すっごく困っちゃうんだけどなぁ〜?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・・・な、に?」
























 予定通り事が動いているようで何よりだ。
 人類にとっては相応に長い時間を費やしたのだから、失敗に繋がる様な事態が起こるのは論外だけどな?

 素晴らしき世になるための第一歩だ、だがまだ俺たちが直接手を下す段階ではない。
 今暫く、静観に徹するとしよう。

 フフフフフ、お前がこの変化を見たらどう思うんだろうな。
 なぁ・・・『ネロ』?






P90に名前を付けるとしたら?

  • そのまま『P90』でいんじゃね?
  • 『ナインティ』でいんじゃない?
  • ナインとティを逆さにして『ティナ』とか?
  • いやいや変化球で『きゅーまる』はどうよ?
  • 良いアイデアがあるから感想に書くぜ
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