裏稼業とカカシさん(旧題:裏稼業の何でも屋が出向く先には必ずカカシが待っている件)   作:chaosraven

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 モチベーションが下がりまくってて書いてもまとまらねえってなってたら思いっきり1週間過ぎてました(大汗)
 ということで最新話、どうぞお楽しみください。
 今回は-45-と同時投稿です。


-44-作戦会議(Mission Briefing)

 

 

 

『本日、G&K社より極めて重大な情報が発表されました。

 昨夜未明、鉄血工造製の戦術人形が突如暴走状態に突入。メーカーが公表している緊急停止コードのいずれも受け付けず、人間に対し攻撃を開始しました。

 現状、鉄血製の戦術人形は”人形の意思のみで人間の殺害が可能”であり、接触すること自体が極めて危険な状態にあると推測されています。

 住民の皆さんはくれぐれも不要不急の外出は避け、鉄血製の人形を見かけた場合は速やかに最寄りのグリフィン基地へ通報をお願いします。

 繰り返しますーー』

 

 

 テレビを消す。

 今朝からずっと、グリフィン公営放送はこんなような内容の臨時特番を流し続けている。

 

 同じ内容のニュースは二度も聞けば十分。

 それに、その当事者たちが目の前にいる中で鉄血を責め立てるような口調の報道を繰り返し見る必要も無かった。

 

 

「・・・って話だそうだが、実際のところどういった経緯で暴走に発展したのか分かる方は?」

 

 

 夜が明け、俺たちは鉄血の面々を加え朝一から緊急会議を開催している。

 俺以外の『組合員』はもちろんギルドの『構成員』も全員出席しており、さらには此処ではない本業の方のオフィスに身を置くギルドマスターまでもが音声のみの通信で参加している。

 鉄血がやらかした此度の大事件に、それぞれがどう対応していくべきかという事への強い関心が見て取れる。仕事中に鉄血人形に乱入されたりしたら面倒どころじゃ済まないため、この反応は当然とも言えるが。

 

 その中で、なんだかんだでギルドの中で鉄血と一番繋がりの深いのは俺なので、ギルドの連中を代表して進行役を務める。

 

 俺の質問に対し一つの手が挙がる。

 手の持ち主はウロボロスの開発を主導した研究員のリーサ。俺が頷くとスクリと立ち上がり、彼女は少し緊張した面持ちで口を開いた。

 

 

「実は、暴走事故が起こる少し前に上層部である動きがありました」

 

「動き?」

 

「ええ。鉄血人形の全個体がアクセスできるネットワークを設立し、その頂点にマザーAIを置いた大規模なシステムを構築することを突然上層部が発表したのです。

 この体系は、各人形がそれぞれ獲得した戦闘経験をネットワークにアップロードし、蓄積されたビッグデータから最も優れた情報をマザーが選別・最適化した上で人形にフィードバックする・・・これにより、圧倒的なスピードで鉄血の人形はAIを強化していくことが可能となる、そんなシステムだと工場長は言っていました」

 

 

 それはまた、正しい形で実現していれば素晴らしい発明になっただろうに。

 要はどのメーカーにも到達し得ない、最強の戦術人形を作り出すための新体系を生み出そうとしていたのだ。

 

 

「なるほど・・・ところが、そのシステムに異常が生じたか何かで、鉄血の未来を切り開くどころか逆にお釈迦にしてしまったと」

 

「有り体に言えばそうなります・・・。すでに製造された人形たちがネットワークにリンクするためには、彼女たちに元々搭載されていたファームウェアを更新しなければならなかったのですが、私たち現場の人間にその情報が下ろされてきた時点で、上層部の遠隔操作によってすでにファームアップは終わっていた様です。

 恐らくは更新されたファームウェアに致命的なバグがあったか、或いは・・・」

 

 

 一瞬言い淀むリーサから、言葉を引き継ぐ。

 

 

「リンクした先のマザーが何らかのトラブルによって暴走し、リンクしていた人形たちもそれに巻き込まれたか・・・か。

 スケアクロウ、昨日人形にハッキングを試みた時、人形たちのプログラムのパターンは見たことのないものだったんだよな?」

 

「・・・え、ええ。少なくとも私は見たことのない配列でしたわ・・・」

 

「ふーむ・・・」

 

 

 まあ、考えられる二つの内どちらの経緯で暴走したのかというのは俺たちにとってはさほど重要ではない。どっちのプロセスを踏んだとして、ノーマルモデルたちが暴走しているという結果は変わらないからだ。

 いずれは事態の終結を図るために暴走状態にある人形をどうにかする必要もあるだろうが、それは専門家であるリーサたちに任せるべき領分である。

 であれば今、この場に於いては俺たちが仕事中に万が一鉄血人形に遭遇した場合、どうやって状況打破をしていくかに焦点を当てた方が良い。

 

 

「・・・ともかく、現状最も憂慮すべきなのは『依頼の遂行中に鉄血人形が乱入してきた』時にどうやって状況をコントロールするかだ。

 イレギュラーな展開によってプランにどんな影響が出るか、その上で結果を最良に近づけるためにどう動くのか。

 その場で即座に判断するには、暴走したノーマルモデルの各機種の特徴をよく理解してなきゃいけない」

 

「同感だ。それを知ってるか知らないのとじゃ天地の差が有る。

 研究者の姉ちゃんたち、一通り知ってる事を全部話してくれねえか?」

 

「分かりました・・・それでは私が解説をさせて頂きます」

 

 

 リーサによる解説が始まった。

 

 

 

 -----

 

 

 

 一通りの解説が終わり、ギルド側からの質問も大体出尽くしたタイミングで、今まで無言を貫いていたギルドマスターの(ヌル)が口を開いた。

 本来の声質が全く割り出せない位に電子加工されたヌルの声が会議室に響く。

 

 

『さて・・・我がギルドの組合員の懸念も粗方払拭し終えたところで、私から一つ提案をさせてほしい』

 

 

 SOUND ONLYと表示された画面越しに、ヌルは俺たちに大胆な案を提示した。

 

 

『現状、鉄血人形の暴走が始まってからまだ一日すら経過していない。暴走が始まったばかりの今、第三兵器産業廠がどうなっているのか調べてみたいとは思わないかね?』

 

 

 第三兵器産業廠、ギルドから最も近くにある鉄血のメインファクトリーの一つだ。鉄血の重要な施設であるがゆえに、もし未だ本社とのネットワークが生きているのであれば、工場の端末から鉄血人形が陥っている状況を正確に把握するためのヒントが得られるかもしれない。

 おそらく本社にいた上層部の面々は全滅している事を考えると、鉄血の情報をいち早く獲得するためには第三兵器産業廠に今乗り込むのがベストな手段であると、ヌルはそう言いたいのだ。

 

 しかし、それをこなす事でギルドに得られるメリットは何か? 抱えるリスクに見合うリターンがあるのか?

 

 俺たちは慈善事業をするために武力を持っている訳ではない。リーサたちを受け入れたのも、工場長が自分の財産を報酬にギルドに”依頼”したから。即ちビジネスが成立したから受け入れただけなのだ。

 組合員の連中も、現場に鉄血が乱入してきたらという懸念があるからここまでの関心を持っているのであって、極端な話、乱入の可能性がゼロであればギルドにとって鉄血人形は『どうでもいい存在』にすら成り得る。

 

 ヌルが何を目論んでこんな案を提示しているのか、俺を含めこの場にいる皆が掴みかねているのを見て、アインスが自身の考えたヌルの目的を述べた。

 

 

「・・・鉄血の暴走がどのような状態にあるのか。もしその情報を得ることが出来れば、軍やこれから鉄血人形との防衛戦に参戦するPMC相手にコネクションを作ることが出来る・・・そうすれば、私たちの動き方も大きく広げられますね」

 

『左様。腐ってもI.O.P.とシェアを二分していた大企業ゆえ、こうなった今奴等が抱えている戦力は桁違いに多い。そこらのPMCを相手に破壊工作するのとは訳が違う。

 これからの動きだが、はっきり言って多くの武装組織が鉄血の侵攻に対して後手に回るだろうと私は見ている。優れたネットワークを駆使し、効率的に密な連携をとって次々に制圧を始める筈だ。鉄血製の人形にはそれができるスペックが備わっているのだから』

 

 

 ・・・情報、ねぇ。

 ヌルの言いたいことは分かる。もし手に入れられるのなら、それはとても価値あるモノになるってことも。でも、それを誰がどうやって取りに行くってのが問題だ。

 

 暴走状態にある人形たちがウジャウジャいる工場。下手したら設備をフル稼働して新たな人形を生産し始めてるかもしれない。あれだけデカイ工場なら人形製造に使う資材も潤沢に保管してあるはず。満タンとまではいかなくても、一定ライン以下になるような使い方をあの工場長が許すとは思えない。

 

 それを抜きにしても、人間よりも五感センサーの優れた人形がたくさん闊歩しているところへどうやって忍び込むのか。失敗したらまず生きて帰ってこれないし、機械を相手にしてる以上は一度潜入したら脱出するまで無線の類も一切使用出来なくなるだろう。まるで決死隊だな。

 

 つまるところ、ここまでの危険を冒してまでそれらの組織団体相手にコネクションを作る理由が果たしてあるのか?

 ギルドが切れるカードを増やすためだけに、自殺同然の潜入劇を演じる必要性がどれほどある?

 

 

『今この機を逃せば、工場に潜入できるチャンスは恐らく当分やってこないだろう。それに、ルード・ジーバンほどの男が何も残さずにいるというのもどこか信じがたい。何かしらオフィスの中に仕込みをしているはずだ。

 レイ。工場に潜入し、得られるだけの情報を持ち帰ってくれたまえ』

 

「・・・マ〜ジか(ジーザス)

 

 

 ギルドマスターから直々のご指名が来てしまった。

 どうやらよほどヌルは第三兵器産業廠の様子が知りたいらしい。

 

 

「・・・でしたら、私も同行しますわ」

 

 

 スケアクロウが一歩前へ進み出る。

 突然こんな事件が起こってしまった事に、彼女も内心何故と思っているだろう。訳も分からず起きた出来事に動揺もしていると思う。

 それを調べられるかもしれない機会、絶対に逃したくないはずだ。

 

 

『そうしてくれ。君も色々思うところはあると思うが、兎にも角にもレイのサポートを頼むよ』

 

「分かりましたわ」

 

 

 彼女のサポートがあるなら俺も心強い。まともに正面から入ってなんてのは出来ないだろうが、電子戦特化の彼女の協力があって出来る事もきっと多い。

 

 

『アインス、工場に潜入するレイ達を途中まで運びなさい。その後は状況に応じて適宜お前が最適だと判断した行動をする様に。・・・久々の実地だが、いけるね?』

 

「問題ありません。責任を持って、レイ達を支えます」

 

『結構。では、ただちに行動を始めてくれたまえ。時間との勝負であることをくれぐれも忘れない様に』

 

「・・・りょーかい」

 

 

 ヌルとの通信が切れる。

 

 ・・・今度のミッションは気を引き締めて掛かろう。

 虫の知らせかも分からないが、なんだか物凄く嫌な予感がするんだ。




 エライこっちゃな展開が続きますぞ。
(これでもゲーム本編のまだ1年前の段階なんだよなぁ・・・完結までに何年掛かるやら)

 P90はちゃんと引き当てられたので速攻Lv100に育てました()
 そのうちレイとコラボさせたい(願望)

P90に名前を付けるとしたら?

  • そのまま『P90』でいんじゃね?
  • 『ナインティ』でいんじゃない?
  • ナインとティを逆さにして『ティナ』とか?
  • いやいや変化球で『きゅーまる』はどうよ?
  • 良いアイデアがあるから感想に書くぜ
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