裏稼業とカカシさん(旧題:裏稼業の何でも屋が出向く先には必ずカカシが待っている件) 作:chaosraven
コロナをやらかしたとか病気したとかって訳ではないので、そこは安心してください(心配する人はいないでしょうが)
お待たせしといてなんですが、今回は3000字程度で短めでござんす。
-49-岐路
「45姉・・・本当にここで合ってるの?」
「指定された座標は確かにこの場所を示してるわ。間違いない」
「・・・と言う事は、このボロボロのマンションのどこかに”提供者”がいるって事ね」
「・・・えぇー。登るのメンドくさそう」
「アンタねぇ・・・」
漆黒の闇に包まれた夜。分厚い雲が月明かりを妨げ、完全な黒闇と化したかつての市街地。
ボロボロに朽ち果てつつあるその中を、闇に紛れて動き回る4人の存在がいた。
彼女達は『404小隊』と呼ばれる、裏工作など公に出来ない秘密作戦を専門にこなすエキスパート。構成員全員が”表向きには存在しない”戦術人形であり、任務記録等も一切残されない部隊の性質からこのような部隊名を与えられている。
隊長であるUMP45を筆頭に、同じくサブマシンガンのUMP9、アサルトライフルのHK416とG11。比較的バランスの取れたメンバーで小隊を組み、今宵も舞い込んできたオーダーをこなすためにこの地へやってきたのだ。
彼女達に与えられた任務は、鉄血工造の工場に潜入したスパイから『ハイエンドモデルの設計図面データ』を受け取る事。ちなみにこの仕事を指示してきたのはI.O.P.である。
二ヶ月前、鉄血の人形が暴走したばかりの頃に無謀にも工場に忍び込み、内部のコンピューターからデータを抜き出した猛者がいたらしい。それを聞いた4人は呆れ半分、よく生還できたという感嘆が半分という感覚を覚えたもの。
とはいえ、I.O.P.が裏で動く404に指示を出すということは、相手は軍人などではなくもっと黒い社会で生き抜く人物ということ。最悪404に危害を加えてくることもあるかもしれない。あるいはこの取引を嗅ぎつけた何者かが襲撃を掛けてくる事も?
45達は考えられる最悪の事態を想定し、取引場所に指定された廃マンションの前に到着しても気を抜く事なく睨むように見上げた。
外壁には所々コケやヒビ割れが見られ、とても人の住めるような状態にはなっていない。当然街自体のインフラが死んでいるので、このマンションも例に漏れず中は真っ暗闇だろう。
「・・・行くわよ」
「りょーかーい♪」
陣形を組み、足音を殺して慎重に中へ。
4人がそれぞれ別方向を視界に収めながら前進する。
「クリア」
「クリアよ」
周囲のクリアリングを手早く済ませながら、足音を立てずに目的の階へと上がって行く。
途中階段が崩落しているところは避けつつ、敵と思しき存在と遭遇することもなく取引相手のいる部屋の前へと着いた。
「45姉、私が扉を開けるよ」
「お願いねナイン」
「うん♪」
ナインがドアノブに手を掛け、後ろで銃を構える仲間とアイコンタクト。直後勢い良く開け放ち内部へ突入、部屋のリビングへと押し入った。
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「待ってたぜ」
リビングの真ん中に置かれた草臥れたソファーに深く腰掛け、悠々と足を組みながら待っていたのはレイだった。その横には相棒のスケアクロウが寄り添うように座り、それとレイ達を囲う様に”鉄血人形”が五体、堂々とした笑みを浮かべながら立っていた。
余裕綽々に笑う人形達の姿に私は訝しむ目を向けるが、よく見ると腰にランチャーを着けたデストロイヤーはともかく、他の四体も丸腰の様に見えて、実はその立ち居振る舞いに隙が無いことに気付く。人形達の目は皆例外なく、私達の持つ銃のトリガーへと視線を送っている。
・・・何か仕出かせば即座に制圧出来る用意があるってことかしら。
武器を持たずに丸腰でいるのは、わざわざ武器を持たずともすぐに飛びかかれるだけのスペックを持っているから?
・・・ふーん。
私は皆に銃を下げるよう合図を出し、レイを怪しむような目つきで見据えつつ口を開いた。
「・・・あんな事があったっていうのに、レイのところの人形達はみんな無事なのね? しかも数も増えてるのに」
「色々理由があってな。キミらが危害を加えようとしない限りは急に暴れることは無いよ」
「ふーん?」
・・・随分と鉄血の人形達を信頼してるみたいじゃない。
いつもは感情を読ませないようにスッとした微笑みを浮かべているように心がけてるけど、私はなんだか面白くない。いまさら誤魔化すような仲でもないし、私は思った気持ちそのまんまの顔で人形達をしげしげと観察していく。
「ふーん?」
「な、なんだ?」
まずは銀髪の背の高い女から。少し前に目を通した鉄血のカタログには載ってなかったから、多分新型のモデルなんでしょうけど。
じっくり上から下まで観察し、ときおり澄んだ緑色の目を覗き込んだり、ムカつく位たわわに実った箇所を射殺すように睨んだりした後、離れる。
「ほーん?」
「な、なによっ?」
次にデストロイヤー。
小柄なボディの腰回りに装着されたランチャーユニットをしげしげと見る。いざという時はここから暴力的に榴弾が撃ち込まれるわけね。
ついでこの子の腰回り、脚、腕、胴体を観察し、私は少しだけ勝ち誇った笑みを浮かべて離れる。
「はーん?」
「な、なにさ?」
黒髪をサイドテールにしたピンクの目をした女に移る。この女も銀髪たわわと同じく、私の見たことのないモデル。
ちっくしょう・・・コイツもスタイル抜群ね。特にたわわな箇所に向けて、私の持ち得る猛烈な殺意を視線で浴びせかけた後、イラっときたのを敢えて見せつつ離れる。
「へー?」
「な、なんだというんだ?」
ものすごく長い黒髪をシニョンとツインテールでまとめ、ヘソ出しルックに鋭利な印象の吊り目と、この人形を作った技術者がどういう思考で設計したのかよく分かるわね。モテなさそうな男が自分のフェチ全開で作ったってところかしら?
憎たらしいくらいにボン、キュッ、ボンのスタイルしてやがるわ。病気レベルに色白なのに、なんで体の方はこんなに健康味あふれる抜群の体型してやがんのよ? ムカつくわね・・・。
まあでも・・・
「・・・ふっ」
「・・・なんですか?」
レイの後ろに控えるメイド服を着た人形にだけは、私は絶対に負けない自信がある。もしレイが私とこのメイド人形のどちらを定価で買うかってなったら、100%私の方が選ばれる自信があるわね。だってこのモデル、昔からカタログに載ってる”鉄血最強”だし?
だからコイツだけは特に観察するでもなく開口一番鼻で笑った。・・・その瞬間能面になったけど、全く意に介さず私はさらに爆弾を放り込む。
「んーん? 貴方はレイから一番買ってもらえなさそうな人形だなぁって思って?」
「シバいてやりましょうか???????」
次の瞬間、スカートをめくりアームを展開しだしたメイド人形をレイ・・・ではなく、スケアクロウがどこからか取り出したハリセンで叩いた。ちなみにその際、スパーンというとてもいい音が鳴ったことも明記しておく。・・・え?
この流れるようなツッコミ、しかもキレもあるわ。普段からやってないと出来ない洗練されたツッコミね。こうなる原因を作った本人的にもちょっと予想出来なかったわ。
「・・・貴女がそれを撃てばこの建物が崩壊しますわよ??」
「ごめんなさい・・・」
図星を突かれたとはいえ、何年も人の手の入っていない建物で彼女が暴れたらシャレにならないのは、彼女改め『SP47 Agent』というモデルに付いた”鉄血最強”というコピーからも容易に想像できる。おそらく彼女の火力を知っているんだろう、鉄血人形達も胸を撫で下ろしていた。
場の空気がひと段落したのを見計らい、ソファーから立ち上がったレイが私にある物を差し出した。それは、耐衝撃防塵防滴仕様の
普段は気さくなところもあるレイだが、HDD片手に私達を見つめるその目はどこか鋭利な印象を与えるもの。少なくとも、ジョークの通じる状態では無かった。
「一応分かってると思うが、俺の相棒達にはこいつが唯一の生命線だと言っていい。・・・任せたからな?」
「・・・分かってるわよ。確かに受け取ったわ」
肩を竦め、苦笑いでHDDを受け取る。
私が確かに懐に収めたのを確認したレイは一度頷くと、腰のP90を取り出してこう言った。
「それじゃ、帰るまでが遠足だからな。皆気を抜かないで帰路に着くとしますか」
「そうね。ナインたちも、これからが本番よ」
やれやれ。16Labに届けるまでに何も起こらなきゃ良いんだけど・・・。
伏線を仕込んで仕込んで回収しきれなくなるパターンだけは避けたい()
P90に名前を付けるとしたら?
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そのまま『P90』でいんじゃね?
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『ナインティ』でいんじゃない?
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ナインとティを逆さにして『ティナ』とか?
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いやいや変化球で『きゅーまる』はどうよ?
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良いアイデアがあるから感想に書くぜ