裏稼業とカカシさん(旧題:裏稼業の何でも屋が出向く先には必ずカカシが待っている件)   作:chaosraven

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 お待たせして本当にごめんなっさい!
 最近久々にサイクリングの趣味を復帰させて外の空気を吸いに出たら、頭の回転が少しずつですが戻って来た感じがします。
 モチベーションを保つには気分転換も必要ということがよく分かりました(滝汗)

 それとなんですが、こういう状況が続く場合は活動報告の方に別途投稿すると思いますので、何卒ご容赦ください。


-50-やること済んだらさっさと帰ろう

 

 

 

「そう思ってる時に限って上手くいかないのよねコンチクショウ!!」

 

 

 マンションの一室でブツを受け取り、さあ取引も終えてさっさと帰ろうというところへ突如ロケット弾が撃ち込まれた。それもポンポンポンポン、隅から隅まで虱潰しに片っ端からね。

 狙ったかのような奇襲攻撃に毒を吐く。でも私達もレイ達も、その程度のことで慌てふためくほど弱くはない。

 状況を把握し、すぐさま部屋を脱出したレイ達。鉄血人形達はバルコニー状の廊下から次々に飛び降りていく。それなりに高さはあるはずだけど、ここから飛び降りても平気でいられるのは流石ハイエンドと言うべきかしら? さすがに生身のレイはそうする訳にもいかなかったのか、外壁に遺っていた雨水用の排水管に飛び移って勢いよく滑り降りていく。・・・一緒に仕事するたびに思うけど、本当サルみたいな身のこなしね。

 

 けど、一刻も早く脱出するには一番適したやり方なのは間違いない。ボロボロの排水管だから、滑り落ちてる最中に引っ掛けてタイツがビリビリになるかもだけど、この高さで飛び降りたら量産型の私達は色々ぶっ壊れちゃうから。レイにならってさっさとこの場からズラかりましょう。

 

 

「行くわよ!!」

 

「ふえぇぇ!? アタシの銃じゃ持ちながら滑れないよぉ〜!」

 

「ったくもうっ!!!」

 

 

 私が示した脱出手段にG11が涙目で無理と言う。銃自体が元々それなりに大きい上に、扱う人形(ボディ)はかなり小柄。確かに銃を持ちながらコレを滑り落ちるのは無茶ではある。

 でも、私は何も考え無しに言ってるわけじゃない。だってね?

 

 

「アンタのを私が持って行ってあげるから、代わりにアンタは私の銃を持って降りなさい! これならなんとか持ちながらでも滑れるでしょっ!」

 

「あ、ありがとぉ〜!」

 

 

 416が自分の銃とG11の銃を手早く交換し、胸に大きな銃を抱えながら滑り降りていく。

 なんだかんだでG11の世話をよく焼いている416だもの。見捨てるという選択はよほどの事態じゃなきゃ取る筈は無い。416ならきっとこう言ってG11が安全に脱出できるよう計らう、そう確信してたから、多分本人にこう言ったら怒るのを承知の上で敢えて利用させてもらっちゃった。テヘ♪

 

 

「45姉!」

 

「殿は私がやるから! 先に行って!」

 

「うん!」

 

 

 淀みなく滑り落ちるナインを尻目に周囲のクリアリングだけ手早く済ませ、スリングに銃を固定し排水管に飛び移る。

 

 バキっバツンっ

 

 

「・・・あ?

 

 

 私が全体重を排水管に移し終わった瞬間、不吉極まりない音が頭上と下の方から鳴った。

 咄嗟に見上げると、排水管を固定している金属のネジが壁から外れて”いっている”のが見えた。

 

 

 バキバキっ

 ミシミシっ

 バツンバツンっ

 

 

 何かに亀裂の入る音を皮切りに次々と嫌な音が鳴り出したかと思うと、上部の支えを失い、遂に人間大の重さに耐え切れなくなった排水管が折れ始める。トップヘビーになった排水管は私を乗っけたまま、地面に向かってグンニャリ曲がっていく。

 

 

「ちょいちょいちょいウッソでしょ!!?」

 

 

 着地の寸前で無理くり飛び降りるのを覚悟したその時、両脇からスッと通された腕に私の体は抱えこまれた。

 今いるメンツでそんな真似が出来るのは一人だけ。すぐにそこに思い当たった私は、内心ホッとしながらすぐさま排水管から手を離す。

 

 程なく地面に叩きつけられた排水管は、衝撃でボロボロに砕けちった。よほどプラスチックの劣化が進んでいたようで、管はほとんど原型を留めず粉々になってしまった。

 これだと着地手前で飛び降りようと足に力を加えた瞬間に排水管自体が砕けて、上手く回避しきれずに巻き込まれてたかもしれない。ふぅ、助けてくれたこの子には感謝ね。私と彼女とどっちが先に作られたのかは知らないけどさ。

 

 

「・・・ありがと」

 

「どうぞお気になさらず。そのHDDをきちんと渡してくれさえすれば良くてよ」

 

「アンタもサラッと毒吐くわね・・・」

 

 

 スケアクロウは私を抱えたまま、先を進むレイ達の元へと急ぐ。

 ・・・空飛べるのって地味に便利ね。どういう理屈で浮いてるのか全く分からないけど。

 

 

「直に触れてなくても重力を操作できますので、貴女にもスペースに余裕があるなら是非とも導入をお勧めしますわ」

 

「ねえ待ってそれマジでどういう理屈なの??」

 

「はて? 重力とは意のままに操れる自然現象では?」

 

「・・・アンタ何言ってんの?(You何言っちゃってんの?)

 

 

 I.O.P.が市場から鉄血を駆逐しきれなかった理由が分かった気がする。

 スケアクロウ自身が高級モデルとはいえ、こんな化け物みたいな技術を開発して取り入れられる鉄血の技術力の高さ。あんな事件が起こらなければ、今後ますますI.O.P.と競り合って凄いテクノロジーを生み出してたかもしれない・・・こう考えると、このご時世では貴重な優れたエンジニアが失われて勿体無いわね。

 

 

 フヨフヨ浮かぶスケアクロウに抱き抱えられながら、マンションから少し離れた一軒家に隠れていたレイ達の元へ無事に合流する。

 ・・・道中背中にデッカいモノが当たってたけど、気にしてないから。気にしてないんだから。気になんかなってないんだから。

 

 合流したメンツは各々自身の得物を構えており、レイを中心としてこちらへ攻撃を仕掛けてきた者達の存在を嗅ぎ分けようと警戒を周囲に向け続けていた。

 抱き抱えられての登場となった私を見て、ニヤリと笑うレイ。

 

 

「無事で何より。俺の相棒は優秀だろ?」

 

「・・・そうね。それより敵の情報は?」

 

「さあてな。月明かりすら無いこの真っ暗闇だ、奴さんの姿を直接視認するには少々厳しいものがある」

 

 

 やれやれと言いたげに首を振るレイ。

 続いて銀髪ロングのたわわな女が口を開く。

 

 

「だが、私たちの対人レーダーでは今の所付近に反応は見られない」

 

「つまるところ、主様諸共我々をロケット弾で殲滅するつもりなのやもしれんがな」

 

 

 ツインテセーラーのボンキュボンは目を閉じ、腕を組んで思案している様子。

 組んだ腕に上から押し付けられて、でっかいカタマリがグニュっと変形してるのには殺意が湧き出てくるけど、いけないいけない平常心平常心・・・。

 

 

「かも、な。爆撃でケリつけるんなら別に近くに人を置く必要は無い。観測主の一人二人はいた方が確実とは思うが」

 

 

 ま、それもそうね。

 敵に私たちの居場所が割れているのであれば、今頃間髪入れずにロケット弾で爆撃してきても可笑しくない。専用に作られた爆弾程でなくとも、ある程度の範囲をまとめて爆撃できるのだから、多少狙いが正確でなくたってそれほど影響はないわけで。

 それをしてこないという事は、少なくとも今の段階ではこちらの位置をおおまかにも把握しきれてないと見るべきか。

 

 ロケット弾は数ある爆薬の中でもそれ相応の値段のするもの。さっきは虱潰しに撃ち込んできたとはいえ、敵にとっても弾を必要以上に使う理由は無い。

 すると、空から小さくはあるがプロペラの回転する音が聞こえてきた。

 

 

「・・・スケアクロウ」

 

「了解」

 

 

 声を潜めたレイの言葉に一つ頷き、間髪入れずにスケアクロウがビットの一機を空に向かって飛ばした。

 浮いてる仕組みとかはともかく、彼女のビットなら大きな音を立てずにプロペラ音の発信源・・・敵が放ったと思しきドローンへと接近する事が出来る。

 

 

「・・・ドローンの数は二機。周囲に複数周波帯の電波を発信し、操縦者側と常時交信しているようですわ」

 

「ハックは?」

 

「可能です」

 

「OK。回線を辿って相手の情報を頼む。次の行動を起こされる前にケリをつけたい」

 

「分かりましたわ」

 

「俺たちは引き続き周囲の警戒を。気付かれないよう動きは最小限で」

 

『了解』

 

 

 私たちはすぐさまプロトコル通信を始め、404の皆に手早く指示を出す。

 私と416はレイ達のいる部屋の窓際に、ナインとG11は隣の部屋の窓際に張り付いて、近くに敵を見つけたらすぐ対応できるよう構える。

 

 

「敵の規模は2個小隊ほど。何れもタクティカルベストに企業のマークらしきワッペンが刺繍されています。ロケットランチャーを持つ兵士は4人、アサルトライフル等の火器で武装した兵は13人、指揮者が1人。ところで、このマークに見覚えは?」

 

「うん? げっ・・・」

 

 

 P90を一旦降ろし、端末を手に取ったレイは、次の瞬間画面に映ったものを見て露骨に顔をしかめた。アイバイザーを付けてても分かるくらいだから、素顔は結構なしかめっ面になってるんでしょうね。

 レイは端末を仕舞い直すも苦々しげな顔は変わらず、ポツリと成り行きの真相を噛みしめるように呟いた。

 

 

「・・・レインファル・アーミー。なるほど、な」

 

 

 レインファル・アーミー? 聞いたことのある単語ね。

 確かグリフィンの同業者だった様な。そういえば最近名前を聞かないわ。

 

 

「ん? その会社って小規模のPMCじゃなかった? 何かあったの?」

 

「俺とスケアクロウが出会うきっかけを作った大馬鹿PMCだよ。鉄血の役員1人を買収して、工場から堂々とハイエンド一体を盗み出して技術を売り払おうとしたんだ。俺が単身突撃して中にいた連中全員ぶっ殺したから、機密流出は未遂に終わったようだけどな」

 

 

 レイの言葉に呆れ返った顔を浮かべる416。ため息の一つでも零しそうなジト目でレイを見据えつつ、鉄血に喧嘩を売ったそのPMCにも呆れは隠せないらしい。

 

 

「そりゃまた、随分と無茶な真似をするPMCもいたものね。・・・ってことは?」

 

 

 416がハック中のスケアクロウに視線を投げかけると、レイは首肯した。

 

 

「そういうこと。やれやれ、ようやく話が読めてきたぞ・・・」

 

 

 ははーん? 私も話が読めてきたぞ?

 

 レイの言う技術獲得の為に盗み出されたハイエンドってのが、レイの口ぶりから察するにスケアクロウだったわけね。

 そのあとなんだかんだでレイと購入契約を結ぶに至り、現在まで一緒に行動してると。

 

 要するに、この襲撃はレイへの逆恨みで行われてる可能性が極めて高い・・・というか、十中八九そうじゃない?

 連中がこんな暴挙を仕出かしたワケは全く知らないし理解する気も無いけど、連中にとっちゃすごく大きな一手を打ったところでレイに計画を破綻させられたんだから。

 レイを敵に回してしまった彼らにはご愁傷様と言うほか無いけど、だからといってその攻撃に私らまで巻き込まれるのは許容できない。

 なんか正体が分かるとバカバカしくなってきちゃった。さっさとぶっ潰してペルシカにデータを渡しましょう。さっき私を助けてくれた恩くらいは返さないと。

 

 ・・・なんとなく、そう、なんとなくレイの隣を陣取るあの子にムカつく気持ちがないワケでもないけど、とりあえずはこの状況を打破しないとね?

 

 

「・・・どうやら、ロケット弾の運搬ケースを蓋を開けたまま野ざらしに置いてるみたいですわね」

 

「ほーん?」

 

 

 ニヤリ笑みを浮かべたレイ。なんとなくだけど、言い出すことが読めたわね・・・。

 

 

「スケアクロウはケースの位置を座標に変換してデータリンク。ウロボロスはリンクされた位置座標に向かって一発だけブチ込んでやれ。チェックメイトだ」

 

「フフン? 主様の期待に応えるとしようか」

 

 

 誇らしげに腕を組み、したり顔で胸を張るボンキュボンことウロボロス。

 ぐぬぬぬぬ・・・。

 

 

「では、私はドローンを此方の動きを拾えない場所に移動させますわ。ウロボロス、外に出るのは少し待ちなさい」

 

「心得た」

 

 

 30秒ほどで一つ頷いたスケアクロウに見送られ、ウロボロスは堂々とした足取りで外へ歩み出る。そして両脚の脇に浮くランチャーユニットの発射口を上に向け、彼女もまたニヤリと笑って。

 

 

「主様の御心のままに華を咲かせよう・・・発射ァッ!!」

 

 

 一発のミサイルが放たれ、ロケット弾の詰まった運搬箱へと飛んでいく。

 ジェット推進で猛スピードで飛翔するそれは、さして間を置くことも無く着弾し、大きな花火を”地上で”咲かせてみせた。

 

 

「・・・爆風により近くにいた大半は死亡、重傷者数名、軽傷者と無傷者は無しというところでしょうか。追撃は?」

 

「必要ない。それよかとっとと離れるぞ」

 

「了解した」

 

 

 ウロボロスはランチャーユニットを元のポジションに戻し、武器を構えて出てきたレイ達に続いて走って行く。

 

 

「404小隊も続いてこのエリアを脱出するわよ。いつもの様に、よろしくね?」

 

『了解』

 

 

 私たちも陣形を組み直し、レイたちの後を追いかけた。

 

 

 

 -----

 

 

 

「お疲れ様。コーヒーでも飲む?」

 

 

 あれから無事にI.O.P.に帰還した私たちは、社屋にあるVIP専用のルートを通り、上位研究機関の16Labへと通された。研究室で待っていたのは、整った目鼻立ちに濃いクマを作った不健康な顔に笑みを浮かべる、ボサボサの赤みがかった長髪をした一人の女性研究者。

 私たちI.O.P.製自律人形の根幹たる技術を生み出した『Dr.ペルシカリア』。イヌダテのコードネームの通り、頭にイヌ耳みたいな髪留めを付けてるのが特徴。それと、こっちも憎たらしいくらいのかたまりを持ってる・・・。

 余談だが、このご時世だから仕方ないといえば仕方ないけど、ペルシカの作るコーヒーはすごく美味しくない。

 

 

「結構よ。それより、例のデータを持ってきたわ」

 

「ありがと。それじゃあ渡してくれる?」

 

 

 自分の分のコーヒーだけを応接用テーブルに置き、悠々とリラックスして腰掛けるペルシカ。私たちもそれに習って相対する様にソファーに座る。

 

 

「んで、これが鉄血のハイエンドの設計図面ってわけね」

 

「らしいわ。受け取った直後にドンパチに巻き込まれて、詳しく中身は見てないんだけど」

 

「あらそう? じゃあちょっとだけ確認してみましょうか」

 

 

 テーブルの上にあった自分専用の薄型PCを立ち上げ、HDDを繋いでデータの確認作業に入るペルシカ。

 さすが一流の技術者だけあって、タイピングの早さは凄まじい。人によっちゃ指の輪郭を捉えられないんじゃないか、それほどのスピードで打ち込まれていく数多のコード。そして打ち込んでいくペルシカ自身の表情も段々と険を帯びる。

 

 数分後、一通りチェックを終えたらしいペルシカは険しい顔のままPCを閉じ立ち上がった。

 

 

「鉄血の技術を反映させてウチの人形にフィードバックしてこう・・・なんて最初は考えてたけど、気が変わったわ」

 

「・・・どういうこと?」

 

 

 妙に真剣味溢れるペルシカの珍しい顔に、私だけじゃなく404全員が呆けた顔でペルシカを見つめる。

 先の表情の移り変わりといい、なんだか彼女のなかで大きな決心をしたような口ぶりに私は首を傾げた。

 まるで、何かのメッセージを受け取ったかのよう。

 

 

「なに、私も人形を生み出した技術者の一人として、託された想いは繋いでいかないとって思っただけよ。

 ところでUMP45、追加のお使いがあるんだけど頼んでも良い?」

 

「えぇ? 構わないけど、別料金よ?」

 

 

 追加のお使いって・・・。ようやく休めると思ったのにまったくもう。

 裏の部隊をパシリに使うんだから、料金は高くつくわよ?

 

 

「データの提供者って、確かF-05地区のエースライフル(白リボンのWA2000)の教導役だったよね?

 鉄血の工場から命かけてこのデータを持ってきてくれた彼に、私からささやかながらお礼の品をデリバリーしたくなってね?」

 

 

 そう言ったペルシカの顔は、イタズラを思いついたイジらしい笑みを浮かべていた。




 次回は番外編に投稿する・・・かも?
 進捗次第ですが、まあ気長にお待ち下さい。

P90に名前を付けるとしたら?

  • そのまま『P90』でいんじゃね?
  • 『ナインティ』でいんじゃない?
  • ナインとティを逆さにして『ティナ』とか?
  • いやいや変化球で『きゅーまる』はどうよ?
  • 良いアイデアがあるから感想に書くぜ
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