裏稼業とカカシさん(旧題:裏稼業の何でも屋が出向く先には必ずカカシが待っている件)   作:chaosraven

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 大変長らくお待たせしております。
 最近少しずつ調子が戻ってきたので、これを機にペースを戻していきたい所です。

 前話にてお話しした通り、公式コミカライズの『人形之歌』の設定を流用して書いておりますので、そちらもまだお持ちでない方は是非そちらもご覧ください(ダイレクトマーケティング)。
 っていうことは、本編でいう指揮官(主人公)が誰になるかは・・・


-55-M4A1救出作戦・・・の裏で糸引いてる裏稼業

 

 

 

 S-09地区で潜伏を始めて70日。

 グリフィンの人形がすぐ近くまで到達したのを確認した私は、”賭け”の用意を整え隠れ家を後にしようとしていた。

 

 グリフィンと鉄血、どちらが先に私の足跡(手がかり)を見つけるか。上手くいけば(グリフィンが先なら)私の勝ち、でも失敗すれば(鉄血が先なら)待っているのは破滅。私は任務を全うできずに鉄血に身を壊されるんだろう。あのとき私たちが死に物狂いで放った一矢は、エージェントたちの怒りを買うには十分なモノだと思うから。

 なんて・・・ネガティブに考えすぎてちゃいけない。きっと、”コレ”はグリフィンが先に見つけ出してくれるはず。

 そう信じて、私は隠れ家の引き出しに足跡(手がかり)を書いたデータメモリーを隠した。

 

 ・・・お願い、上手くいって。

 

 

 

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『! コテージ内部の人型に動きがありましたわ』

 

「何があった?」

 

『・・・何かを机の引き出しに隠した? あら、武器や荷物を全て持ち始めましたわ』

 

「味方がここまで戦線を押し上げたのに乗じて自分も動くつもりか・・・。監視を続行、絶対に見失うな」

 

『了解しましたわ』

 

 

 遂に動く気になったか。

 今の彼女は武器や弾薬に余裕が無い。ならば、味方が近くまでやってきた段階で早い所賭けに出ると言う選択は十分取り得るものだ。それが生か死かの大博打だったとしても、俺が彼女の立場にあったならきっと同じ選択を取るだろう。生き残れる可能性が少しでも高い方に賭けたくなるのは当然のことなのだから。

 

 しかし、I.O.P.もいつの間に優秀な人形を製作していたらしい。

 404を率いているUMP45は例外として、新たに”指揮モジュールを搭載した”人形を作っていたとはな。

 

 性質上どうしても指示待ちになりがちな普通の戦術人形では、2ヶ月以上の時を見つからずに潜伏し続けるというのは基本的にまず不可能。常に先を読み、状況を的確に把握し、処理するというのはそれだけで膨大なタスクを生み出す。量産型の戦術人形ではそれを為そうとすればまともに動けなくなる程に。今の技術ではそれをコストを抑えた量産型に要求するのは無茶というもの。

 

 事実、ライバルだった鉄血が誇るハイエンドモデル、その導入に掛かる高いコストの大半はこの”莫大なタスクを迅速かつ的確に処理する”能力が占めていると言っても過言では無い。高いパフォーマンスを発揮出来るハイスペックなAI、堅実な動作性に低コストがコンセプトのノーマルモデル、この二つの経営戦略(マーケティング)が噛み合ったからこそ鉄血はI.O.P.とシェアを競い合えていたのだ。

 それが今回、I.O.P.の見目麗しくも逞しい戦術人形という特徴に加え、高い指揮能力という面も合わせてロールアウトさせたのだ。これだけでも異例と言っていいかもしれない。

 

 さあM4A1、お前の頭脳(AI)は未来をどう切り開く?

 

 

『コテージを出ましたわ。北西方向に向けて歩き始めました』

 

「北西?」

 

 

 伝えられた情報に、俺は思わず手元の地図を見返す。

 というのも、M4のいた民家から北西方向には鉄血が仮拠点としている集落跡がある。当然、鉄血兵の数も多い。

 単騎で突っ込んでいくには相応の用意が無いと無謀極まるが・・・さっきコテージん中に隠した代物、おそらくそいつに彼女の描く未来のヒントがあるとみた。

 間違っても無策で敵陣に出向くほどバカじゃないだろうし、状況的にメンタルが極限まで追い込まれてるってことも無い。M4A1が下した決断を見せてもらおう。指揮モジュール搭載人形のお手並み拝見だ。

 

 

「OK。俺たちも追跡に入る。分かってると思うが、向かう先には鉄血の仮拠点がある。今まで以上に上空の監視にも気を付けてくれ」

 

『了解』

 

「P90、行くぞ」

 

「いぇっさー」

 

 

 おどけた様子のP90を一瞥しつつ、俺たちは再び歩き出した。

 

 

 

 -----

 

 

 

 雨が降っている。

 どんよりとした分厚い雲がザーザーと大粒の雨を落とす。お陰で地面はぬかるみ、体も濡れて余計に体力(エネルギー)を使ってしまった。

 

 でも、何とか追っ手が追いつく前に必要な準備は整えられた。”救援”が来るまでの間、少しでも長く私が長く生きるための”仕込み”だ。手数も時間も足りなかったから随分とお粗末な出来だけど、それでも”あの鉄血ボス”を相手にするなら十分やりようはあるはず・・・。

 

 

「・・・見くびってる訳じゃないけど、流石に早い。もうここまで追いついてきたのか」

 

 

 潜伏してる民家の二階、窓から出した得物のスコープに追っ手の姿を収める。

 リッパー、ヴェスピド、ダイナーゲート、イェーガー、そしてそいつらを指揮するハイエンドモデルのエクスキューショナー。

 一見真正面から戦うような見かけに依らず、効率的に部下の機能を駆使して追跡する位の能はあるらしい。ダイナーゲートが目玉から光を照射して、私の足跡を見つけ出している。そしてボスを見つけると嬉しそうにぴょんぴょん跳ねる・・・犬でも真似てるのかしら?

 

 エクスキューショナーは人間サイズの左手でダイナーゲートを撫でてやると立ち上がり、部下達に行動を指示しようとして・・・何かに気付いた。

 

 

「・・・!」

 

 

 私がいる民家へ向かうルートは二つある。

 一つは広い空き地を経由して通り沿いに来るルート。もう一つは高台になっている地形から一旦降りて、左右を囲われた細い道を経由するルート。

 そのうち私が予め仕込みをしておいたのは空き地を通る方。針金を使ってブービートラップを仕込み、もう一つのルートへ誘導する。そうすることで、私は敵の戦力を一人でもまともに削ることが出来る。

 

 左右が高台の崖に囲われているということは、逃げ場は前か後ろにしかない。もしかしたらふざけた脚力でジャンプして何てこともエクスキューショナーならできるかも分からないけど、少なくともノーマルモデルにはそんな真似は無理。なら細道に入ってきたところを狙撃(スナイピング)していけば良い。これもこの天候の中で簡単な事じゃないけど、真正面からタイマン張るよりは遥かに望みはある。

 

 案の定、私の”仕込み”を”粗末な罠”だと断じたらしいエクスキューショナー。二〜三言何かを命じると、鉄血たちが揃って細道へ歩みを進めた。

 

 

「掛かった!」

 

 

 口元が僅かに緩む。

 射程内に入ったヴェスピドたちを照準(レティクル)に合わせ、呼吸を止めて引き金を引く。狙いは頭、そこさえ撃ち抜けば確実に数を減らせる。

 一機、二機、三機、四機・・・を撃ち落としたところへ部下たちが無駄に消耗するのを嫌ったのか、エクスキューショナーが入れ替わりに前に出張ってきた。

 

 チャンス。

 

 

「これで・・・終わり!!」

 

 

 エクスキューショナーの額に向け、私は力一杯引き金を引き絞ったーー

 

 

 

 -----

 

 

 

 

「・・・結局、M4A1は狙撃が出来る民家に忍び込んだか」

 

「わざわざ分かりやすくブービートラップも作ってたし、狭い道に誘導して一体ずつ撃ち抜いてって感じかな」

 

「一対多の状況においては安全牌と言えますわね。ただし、鉄血を率いている”アレ”に通じるかどうかですが・・・」

 

 

 M4らしき人形の追跡開始から半日ほど。俺たちは鉄血がうじゃうじゃいる仮拠点を潜り抜け、抵抗を試みるM4A1が見通せる場所に張り込んでいた。

 具体的には彼女が潜伏している民家の真反対、距離にして1kmほど離れた所に立つ廃屋の二階にて、完全にうつ伏せになった状態で愛用のL96ライフルをセットしている。いざ彼女が本当に危険と判断した場合は、ただちに援護をする用意があるというわけだ。

 

 ところで、彼女を追う中で改めてこの辺り一帯の状況を観測してみたが、仕事を受ける前に懸念していた嫌な予感が見事的中してしまっていた。

 正直勘弁願いたいその事実に、射線を見据えながらも内心憂鬱な気持ちである。

 

 

 M4の捜索隊を率いている指揮人形は型式名『SP88 Executioner』通称”処刑人(エクスキューショナー)”と呼ばれるハイエンドの一機。ハイエンドの中ではスケアクロウと並びコストの比較的抑えられたモデルで、しかしソレを名乗るだけの確かなスペックを有している。

 

 例えば非実体のエネルギー波を繰り出す巨大なブレード、それを支える巨人のような右腕。左手にはハンドガンが握られているが、それも彼女の仕様に合わせて作られた大口径高威力のレーザー銃(メーザーブラスター)で、当たれば生身の人間は瞬く間に焼き肉になるシロモノ。

 以前E.L.I.Dと戦ったときに”メーザーブレード”を使ったが、メーザーと名のつく通り基本構造が共通しているこれらの違いはエネルギーを”撃ち出して使う”か”斬るのに使う”かである。無論、極めて殺傷性の高い武器なのも共通しているので、こちら(ブラスター)も滅多に世間には出回らない。閑話休題。

 

 

 製造元の鉄血のカタログ曰く、エクスキューショナーは近接格闘戦を得意とするハイエンドというのがコンセプトらしい。だがしかし、エネルギー波を敵にぶっ飛ばしていく攻撃もそうだが、実は手持ちのハンドガンを使った射撃も高い精度を持っている。しかも弾が”非実体弾”というのが厄介な点で、銃身が焼き付かない程度ならある程度多めにチャージしてその分射程を伸ばすなんて真似も出来てしまう。もちろん、それは原理を同とするブレードを使った遠距離攻撃にも言える。

 近接格闘戦が得意とは書いてあるが、遠距離戦には向いてないとは一言も書いてない。何なら数あるハイエンドの中でも最もバランスのとれた武装構成をしてるんじゃなかろうか。

 

 生身の人間である俺にとって、エクスキューショナーにこちらの居場所を悟られるのは一気にデッドエンドに近づいてしまう。M4を援護しつつエクスキューショナーもどうにかする・・・少なくとも、俺たちが地区を脱出する位の時間は稼がないといけない。

 ハイエンドさえ始末を付ければ、混乱の隙を突いて脱出する糸口は掴めるはずなんだ。・・・いっその事、狙ってエクスキューショナーをブチ抜くか?

 

 

「それは厳しいかと。近接戦をメインに据えているだけあって、人間でいう動体視力と反射神経にあたるセンサーがとても鋭敏ですから」

 

「・・・俺の思考を読んでのお言葉ありがとう。ってことはだ」

 

 

 スコープ越しにM4を見据える。

 いつの間に上部のアタッチメントをスコープに換装した彼女は、自身がキルゾーンにした細道に向けて銃口を向けている。もちろん、彼女が仕留めたいのは指揮官(エクスキューショナー)だろう。

 

 

「M4がこれからやろうとしてるのは、決まり手どころかむしろ悪手になるんじゃ?」

 

「だと思いますわ。アサルトライフル程度ではあのブレードで弾き飛ばせるでしょうから」

 

「そりゃまた心を折りに来るスペックだこと」

 

「ご主人ほどじゃないと思うけどね〜」

 

「右に同じくですわ」

 

 

 横で二人が心外なことを言い始めるが、それに応ずる間も無く向こうの状況が動き出した。

 改めていつでも撃てるよう構えつつ、これからの展開に二人を備えさせる。

 

 

「・・・鉄血組が細道に向かって歩き出した。P90は観測手(スポッター)を、スケアクロウはいつでも飛び出せるように頼む。

 あのでかいブレードをブンブン振り回せるアレ(エクスキューショナー)にとっちゃ、あそこからM4のところまでの距離なんて屁でもねえんだろ?」

 

「ええ。20秒もあれば走りきれると思いますわ。両足のブーツ型も実は出力増幅装置(パワーブースター)が付いてますので」

 

「・・・えっぐ」

 

 

 ますますM4だけでのアレの撃破は厳しいように思えてくる。

 ましてや近接専門モデルと旧世代の銃器を使う人形では、手が届く間合いにまで入られたらもはや勝負にならないだろう。

 

 

「! M4がエクスキューショナーを撃った!」

 

「ああ。本当に見事にブレードで弾いたな」

 

「ところでご主人、向こうは南東方向に微風が流れてるっぽいね。雨粒がほぼまっすぐに落ちてるからそんなに風は強くないよ。んで、足のブースター(ヤツ)を狙う?」

 

「出鼻を挫くにゃそれしかねえだろ」

 

 

 次の瞬間、どでかい雷がすぐ近くに落ちた。眩い強烈な光と共に鼓膜が破れるかと思う程の轟音が辺り一帯を襲う。

 ・・・今の光で完璧にM4の居場所がバレたな。その証拠に、イェーガーたちがそろってM4のいる家に向けて狙い撃ちし始めた。幾ら連射できないとはいえ、あれだけ集中砲火をされたら流石に顔も出せねえ。

 M4が動けないのを良いことに、エクスキューショナーは彼女のいる方にブレードの切っ先を突きつけ、笑う。ブーツからは何かの予備動作なのか、バチバチと赤黒い電流が走り始める。

 

 

「悪いが、スタートダッシュを切らせる訳にゃいかないんだよ」

 

 

 駆け出そうと力を込め踏み込んだその瞬間、L96から放たれたマグナム弾が右足のユニットをブチ抜く。

 どうやらエクスキューショナーは目指す目標へ”文字通り”飛び掛かるべく、足のソレにかなりのパワーを充填していたらしい。結果何が起こったかというと、駆け出した途端に右ユニットが破壊されて左右の出力バランスが狂い、残った左足だけでは姿勢を制御し切れずマンガよろしく実にとっても派手(コミカル)にズッコケた。

 

 なにせ、踏み込んでパワーを解放した直後に片方だけ動かなくなったのだ。駆け出そうとした途端、右足に足払いを掛けられてコケる様な物といえば分かりやすいか。姿勢が崩れた状態で左足のユニットが思いっきり吹かしたもんだから、その後どうなるかは言うまでもない。

 

 

「どわああぁぁぁぁぁぁっっっ!?!?!!?!!?」

 

 

 腹から目一杯に出した叫び声がここまで響いてきた。二回、三回と地面をバウンドした後、ズサァァっと顔から地面に突っ込みスライディング。人間でああなったら悲惨だが・・・まあ人形なんだしその辺は頑丈に出来てんだろ。

 それより少しでも戦力を削る方が先決だ。急いでボルトを動かして次弾を装填。次は顔面スライディング直後でピクピクしてる巨大な右手、その中央部にあるエネルギーコアを狙って・・・発射。貫通はしなかったが、コアにヒビが入ったのが確認できた。ブレードにエネルギーを供給する大元が壊れちゃあ、右手で放てる強力な攻撃は当分使えないはず。

 

 

「エクスキューショナーが此方に警戒を向け出しましたわ!」

 

「OK! 潮時だ!」

 

 

 深追いは禁物、それがスナイパーの鉄則だ。

 とっとと荷物をしまい込み、敵に何かされる前に民家を脱出する。

 

 

「どチクショぉぉぉがぁっっっ!!! 何処にいる!? 出てきやグァッ!!?」

 

 

 突然の俺の戦闘介入から立ち直ったM4が、俺に意識が向くことで彼女に出来た隙を早速突く。

 怒り心頭で叫ぶエクスキューショナーに間髪入れずに狙撃したようだ。

 

 二方向からの挟撃。追い詰めたと思っていたはずのたった一体の人形に実は連携できる仲間がいた、このドタバタした状況下では一時的にはそう考えても可笑しくない。冷静になりゃそんなバカな話はあり得ないとすぐに分かるだろうが・・・そう悠長に考える余裕を与えるつもりはない。

 さあ、とっておきのビックリ攻撃と行こうか。これならあの鉄血ボス(エクスキューショナー)もいよいよ混乱するだろう。

 

 

「スケアクロウ! ビットだけをヤツの周囲に展開して動きを阻害してくれ!」

 

「そうくると思って、既に用意は出来ていましてよ」

 

 

 流石は相棒。

 いつでもビットを飛ばせる状態にスタンバッてた彼女は流麗に指揮棒を降り、複雑奇怪な動きを刻むビットをエクスキューショナーの周りに浮かばせた。同じ鉄血製の兵装が突如周囲に現れたのはもちろんながら、エネルギーを充填した銃口が”味方であるはず”の自分へと向いている、その事実に驚愕の表情を浮かべる彼女(エクスキューショナー)

 

 

「戦えない程度に手足を潰せ」

 

「了解。・・・あなたに恨みはありませんが、しばらく大人しくしていて下さいなっ!!」

 

 

 刹那、レーザーが肘と膝の関節を貫いた。物理的に動けなくさせる事、同時に装備している武装へエネルギーを供給する回路を寸断する事で、もはや彼女はまともに戦う事すら出来ない屍同然の人形となる。

 その間に俺はライフルを再び構え、彼女を取り巻く残りの人形たちを撃ち抜いていく。鉄血人形はプログラム上ある種I.O.P.の人形以上に指示待ち人形の性質が強い。ボスが身動き出来なくなれば、その隙はより大きな物となる。それを利用しない理由はない。脱出路を切り開くためにやらせてもらう。

 

 

「・・・ははっ。まさか”オリジナル”のスケアクロウが俺たちの計画に敵対してるなんてな。俺は・・・」

 

 

 そんな声が聞こえた様な気がした。

 だがその直後、鉄血の仮拠点のある方で二度の大きな爆発が起こる。

 

 どうやらM4がコテージに仕込んだモノをヒントに、G&Kの部隊が遂にここまでやってきたらしい。あの爆発なら恐らくもう拠点としては使えない。この辺一帯の鉄血の支配継続は難しくなった。

 そして、俺たちもこの時を以ってお役御免となる。早いとこズラからないと今度は別の問題が起きてしまう。

 

 

「よしっ。二人とも直ちに撤収! グリフィンに勘付かれない内にとっとと脱出するぞ!」

 

「えぇ〜? グリフィンの仲間に会ってかないの??」

 

「ばーか。俺たちの立場を考えろ」

 

 

 俺たちは闇ギルドから派遣された裏稼業の仕事人。G&Kからしたら何故鉄血のテリトリー内にいるんだって話になるし、敵の支配地域云々を除いてもG&Kが管轄する地区に無断で立ち入ってる時点で拘束されても文句は言えないのだ。

 そんでもって、今回の仕事はあくまでCEO(クルーガー)から”秘密裏”に受けた依頼だ。M4の救援隊を動かしている指揮官が俺たちの存在を知らされてるとも思えない。救援隊の人形たちにこちらの存在を悟られれば要らないトラブルを抱え込みかねない。そうならない内に、さっさとこの場を後にしてオンボロの元まで帰るのだ。

 

 

「でもでもー、そこで倒れてるハイエンドさんはどうするの??」

 

「拾って帰る余裕は無い。後でここに来たグリフィンが回収するだろう。勝手に持ち帰ろうもんならそれこそ要らんトラブルの元だ」

 

「ほぇー・・・アーちゃんとかゲーちゃんは連れて帰ってきてほしいのかなぁなんて思ったんだけど」

 

「・・・兎にも角にも、ここから立ち去る事が最優先だ。長居は無用、急ごう」

 

「「了解」」

 

 

 手早く荷物を纏めた俺たちは、道のど真ん中で仰向けに倒れるエクスキューショナーを尻目に帰路へとつく。

 G&Kから遠く離れた頃合いを見計らい、スケアクロウのフヨフヨパワーで一気にオンボロの所まで直行。その足で二人をサイドカーに乗せてギルドへ。

 

 やっとレーションばっかの潜伏作戦からはオサラバだ。帰ったら久々の固形物をたらふく食ってやる。

 

 

 

 -----

 

 

 

「エクスキューショナーの回収完了。これよりI.O.P.研究所へ運びます」

 

 

「っ!? 地上からの地対空攻撃! しかも数が多い!? 回避機動! クソっ、被弾した!」

 

 

「クク・・・グリフィンがやけにデカイヘリを飛ばしてると思ったが、まさかこれほどの”大捕り物”とはな・・・」

 

 

「捜索隊が来る前にさっさと始末付けるぞ。急げ」

 

 

 Lost...




 初めて相対する鉄血ボスがスケアクロウではなくエクスキューショナーだった理由。
 それはコミックにおいて第一戦役の話が完全にスルーされているからです()

 恐らく例の指揮官の入社後の訓練とか、そっから状況が転じてスケアクロウの部隊と交戦してスコピッピを助けようって話も描こうと思えば描けたとは思うのですが・・・コミックだと主人公の位置に立っているのがM4なので、スケアクロウのエピソードはM4視点だと中々膨らまない→それだとアレだから、ゲームで語られていないM4の潜伏中の行動を代わりに描こうってことで落ち着いたんだと思います。

 なのでコミック版の話の流れに合わせている関係上、レイ達が懸念していたように”敵対する”スケアクロウ達も確かに存在してはいますが、このお話の時間軸においては既に指揮官が撃破しております。
 ・・・そのうちどっかで第零Ver.のスケアクロウが大量発生するかもしれませんが()
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