裏稼業とカカシさん(旧題:裏稼業の何でも屋が出向く先には必ずカカシが待っている件) 作:chaosraven
書いては消して書いては消してを繰り返してました(滝汗)
進みが遅いッッ!!!
20/10/04追記 ティナ(戦術人形P90)のサングラスについてですが、公式ではなくオリジナルの設定ですのでご承知おきください。
工場からもモーテルからもそれなりに離れた所にある、かつての集落跡に建つ小屋の一軒。
あれからモーテルにやって来たオークションの招待客『アルフレド・ワーグナー』を、組織から派遣された案内人という体で外に連れ出し、隙を見てスタンガンで気絶させてから此処へと運び込んだ。
椅子に座らせ、手首を後ろで縛った上で更に椅子ごと胴体を縄でグルグル巻きにして拘束。その後目を覚ました奴に『台本』を全て読ませ、奴の声を
目を開けた途端銃口が向けられているのに気付いた奴は恐怖と緊張で相当息を荒げた様子だったが、声を録り終わるまでは何も手出ししないというのを行動で示してみたら、あっさり『台本』を本来の調子に近い声で全て読み上げてくれた。
ちなみに俺が示した行動というのは持ってるナイフ類を全て机に置き、Five seveNのマガジンを抜いて装填済みの弾も取り出し、予備のマガジンも机に置いてそこから離れるというもの。
正真正銘、俺がワーグナーに危害を加えられるのは自分の体術だけだというのを直接見せてやったという訳だ。
そんなわけで約束通りワーグナーの拘束を解き、晴れて自由の身となった奴が俺に背を向けまいと警戒しつつ部屋を出ようとした折である。
小刻みに体を震わせながら立ち去ろうとする奴の姿に、俺は苦笑混じりにこう言った。
「・・・こちらの目的は果たした。
「フンッ! この私を拘束した時点でそんな言葉信用出来るか!」
おっしゃる通りで。実力行使をされた時点で信じろってのが無理な話だ。
だからまあ、お前の思った通りの最悪のシナリオを現実にしてやる。
「ハハ、それもそうだな。・・・殺れ」
「は? ふグッ!!?」
扉に背を当てていた奴の心臓部から、突如鮮血が噴水のように真っ直ぐ吹き出した。
胸に開いた『5.7mm』の穴から音を立て流れ出る血液。奴の体は瞬く間に生気を失っていく。
自分の体に起こった事態が飲み込めないまま倒れ伏すワーグナー。その顔は血の気がどんどん引いていく中、どうしてという疑問が色濃く現れている。
「な、何故・・・」
「生かして帰すと思うか? なんのためにお前の声を録ったと思う? なんのためにお前を拘束したと思う?
悪いが俺たちの目的のため、これからお前に成り代わらなくちゃいけない」
「なに・・・?」
「困るんだよ、”本物”に生きてもらっちゃあな。それにお前、表向きはともかく
「ひっ、ま、待ってくれ! 金ならある!」
いよいよ差し迫ってきた自身の死に、金で命乞いするワーグナー。
だけど、命乞いをしたところで助ける気は更々無い。元より始末するつもりでここに連れてきたのだから。
だから”心臓を撃ち抜かせた”のさ。たとえ神の手を持つと称されるような凄腕の医師だって、生命維持に絶対欠かせない臓器を物理的に撃ち抜かれりゃどうしようもない。
「金があったって助からねえよ。
そう言って俺は自分の心臓のあるあたりを指でグルグルとなぞる。
それを見たワーグナーは絶望に染まる。受け入れたくない現実の到来を目前に目を見開く奴は、やがて出血の勢いが収まるのに比例して静かに命の火を消した。
念のため首筋の脈を取り、一切の拍動が感じられないのを確認して、扉の向こうに立つ”仕上げ人”に声を掛けた。
「・・・もう大丈夫だ。ご苦労さん、
「いぇい」
俺が交渉人をやっている間に扉のすぐ側に控えさせ、俺の指示とともに扉に背を預けた奴の心臓を一撃で貫く。これがティナに任せた役割だ。
彼女が頭に乗せているサングラスが”実は”高性能な戦闘用バイザーであるのを利用し、奴が扉に近づいたところでバイザーからのX線照射によりクリアリング、扉の向こうを透視した状態で奴の心臓を撃ち抜かせた。
これが、彼女が初めて自分の手を汚した仕事になる。結果は上々、指示してから発射するまでの即座の対応、正確に必殺できるポイントを狙撃して見せたこと、文句のない仕事ぶりだ。
「・・・上出来だ。よくやってくれた」
「いえいえ。無事にお仕事達成できました♪」
にへらと笑うティナ。頭の団子と合わせてどこか小動物のように見えた俺は、ふと気付くと手触りの良い彼女の頭を撫でていた。
あっと思ったが、顔見た限り満更でもなさそうなのでそのまま続行する。・・・喉まで鳴らして、猫みてえだな。
「むふふん♪ もっと可愛がるが良いぞ」
満面の笑みでこんな事をぬかしおった。
無意識的に俺から撫で始めてしまったとはいえ、あくまでここは現場。お互いに気を引き締め直さねば。
「調子に乗るな」デコピン
「あたっ!?」
なでなでタイムは終わり。
アインスたちとの集合場所に急ぎ向かう事とする。
「証拠になる物は特にナシっと・・・」
指差し確認で一通り見渡し、俺たち自身を特定し得る証拠が残ってないのをチェックして部屋を出る。
小屋を出る時も周りに誰の気配も無いのを確認し、ティナと共にオンボロのもとへ戻った。
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アルフレド・ワーグナー。
旧ドイツ連邦共和国領に暮らす裕福な家庭に生まれ、コーラップスや三次大戦が起こった後の荒れ果てたこの世界において尚不自由無い暮らしを謳歌する、俺たちからすれば天上人のような生き方をする者。しかし天変地異と戦争とを乗り越える中で家族や親戚は全員亡くなり、今は天涯孤独の身でもある。
現在は上流階級が利用する雑貨チェーンを経営する社長として日々忙しく生きるワーグナー。しかしそれは表向きの顔で、裏ではエゲツない商売を手がける人物でもあった。
以下、端末から奴の裏商売が運営しているサイト(もちろんURLを知ってなければ入れない)にアクセスし、ソコが提供している”サービスプラン”を読み上げてみる。
「強姦そのものと言っていいプレイを専門に手掛ける高級娼館のオーナーねぇ。人間も人形も関係無く、しかも店に"在庫として"入ってさえいれば老若男女すら問わず。
縄で雁字搦めにしたり鞭打つ程度は序の口で? 熱した鉄やタバコの火を身体中に押し付けたり、他の客とグルになって気が済むまで延々と回し続けるプランに、痛覚を含めたあらゆる感覚を”過剰”に頭脳に伝達させる神経物質類までオプションで付いてるのか」
・・・
ポロシェンコに負けず劣らずの相当のイカレポンチ加減に頭が痛くなってくる。しかもこんな商売が成り立ってるってことは、そういう欲求を持って訪ねる”客”も一定数いるということだ。
「・・・胸糞悪い商売ね。私も裏社会で二十数年生きてるけど、流石極まった男どもの考える事は一味違うわね」
ストライカーの運転席に座るアインスが呟いた。
ハンドルに組んだ脚を乗っけて、さながら一昔前のトラックの運ちゃんのように寛いでいるが、その顔は嫌なモノを見聞きしたと言わんばかりのしかめっ面だ。
「一味どころか四つ味位違うだろ・・・」
「それもそうね」
にしても、こんな娼館を現実に運営してる奴がいるとはな。ハードプレイの域を超えた内容の”サービス”を提供するなんざ、バレれば間違いなく死刑ないしは無期懲役確定だ。そのリスクを背負ってでも経営してたって事は、裏を返せばそれだけ儲かるんだろうが・・・。
まったく、道理で『DG Platoon』なんて特殊部隊が結成されるワケだ。業務提携先の製品が凄惨な目に遭ってるとなれば、I.O.P.から”戦力を借り受けて”運営しているG&Kにとって黙ってられる問題じゃない。
戦場という環境、そして戦術人形という性質上、全てを完全に管理するのは無理があるとはいえ、こういった連中の存在を知ってて行動しないという選択肢は有り得ない。見つけ次第速やかに排除する、そのために導入されたのがDG Platoonなる部隊なのだろう。
「さてと。それじゃあ全員揃った事だし、エクスキューショナーを奪い返すプランを練ろうと思う。スケアクロウ、ハイエンドたちに図面データをリンクしてくれ」
「分かりましたわ」
「おっ?」
言うが早いか、アーキテクトのサイドテールがピコン!と上を向いた。データを無事に受信できたらしい。
・・・髪がどうしてあのような動きをしたのかは突っ込まない。突っ込まないからな。
「ねぇねぇ
「心配せずとも、ティナに合わせて形式を更新したファイルを別に用意してありますわ」
「おおっ! さっすがサーちゃん♪ おっ??」
次の瞬間、ビクンっと動いたティナ。その後すぐに「ふむふむ」とか「なるほど」とか呟いてるので、データは無事に受信できたらしい。
ところで、この子たちには受信に成功すると体でアピールする機能でも付いてるのだろうか?
「付いてる訳ないでしょう。そんな事より、早く始めましょう」
「相変わらず俺の思考読んでのツッコミどうも。ほんじゃ、工場内の地図データを開いてくれ」
同時に俺自身も端末で工場の地図を開く。
「見ての通り、今も現役で使われてるエリアってのは実はそう広くはない。構成員らが詰めてるスペースと、捕らえた人形を保管しておくためのスペース、そして売りに出すオークション会場、大きく分けるとこの三つだ」
それ以外の工場内の施設はセキュリティの履歴を見た限り、全ての隔壁が完全に降ろされた上で物理的に電力の供給を断ち切られているらしい。第三次大戦中の敵軍からの防御策として実行されたようで、恐らくこれがネックとなって組織の連中も施設の一部だけしか使えなくなっていると思われる。
なにせ隔壁を動かすには相応の電力を食うわけで、それを供給するには高電圧高電流に耐えうる送電網を備えなきゃいけない。組織は人形の密売をメイン事業にしてるだけで、こうした専門性の高い技術が要求される設備改修をするスキルは無い。元の持ち主が撤退した後にどさくさ紛れに施設を掻っ攫ってるため、表の事業者に頼むというのも無理。したがって、制圧対象はこの3エリアのみと考えれば良い。
「この3エリア自体は歩いて行き来出来る程度の距離にあるが、問題はこの全てがドールズジャマーの影響範囲内にあるという点だ。使われてるジャマー本体の型式や中のOSを見たところ、出力自体は俺が今まで見てきた中では上の下といったところだが、設置してある数が文字通り桁が違う。施設内のどこにいても影響を受ける様に満遍なく、おまけに複数の機体である程度範囲を被らせて照射する様に配備されてる。
恐らく電子戦に対応できる人形、ないしはそれも含めた価格度外視の万能仕様機でも思考演算に支障が出るレベル・・・電子戦を考慮してないモデルだと接近するのも危険なほどだと推測される」
以前戦ったギャングの持っていたウーファー型のジャマー。あれは捕らえたライフル人形たちの悉くを行動不能に追い込める出力を持っていたが、工場内に設置されているのはそれを出力をある程度落とした代わりに小型化したモデルだ。更衣ロッカー位のサイズの機器、それが工場の至る所に、妨害波形が隈なく施設内を行き渡らせられるように配置されている。しかも内部だけでなく建屋の外、敷地内の屋外にまで配置しているという徹底ぶりだ。
おかげで、基本的に人形だけで工場に殴り込みを掛けるのはとても高いリスクを伴う現場となってしまっている。人形を戦力として運用してる”表”のPMCが今まで手を出してこなかったのには、そうした事情もありそうである。
「はぇー・・・」
「主様、そんな場所で私たちに何を求めるのだ?」
「そう、そこさ。そこの
「ほぇ? というと?」
俺の考える、ギルドが目を付けられることも無く連中を引っ掻き回せるプラン。それはーー
「・・・キミ達に”暴走しているフリをしてもらいながら”オークション会場にカチコミ掛けてもらう」
『・・・・・・はい???』
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工場から少し離れた所にある、旧雑貨店の大型駐車場跡。
長年の風化によりマス目の薄れ切ったそこに、一台のハンヴィーがきっちりセンターに収まっている。
エンジンも点いていない真っ暗な車内で、二人の男が密やかに合流していた。
「アルフレド・ワーグナー? 誰だソイツ」
後部座席に座る薄茶色の革ジャンを着た男・・・DG小隊副隊長の『スミス』が、運転席に座るもう一人の人物に言った。
「今度のオークションに参加する招待客の中でも特にふざけた野郎だ。ヘリアンを通して情報部からデータを取り寄せたんだが・・・話すより見て貰った方が早い」
そう言ってもう一人の男・・・DG小隊隊長のバレットは懐から出した数枚の紙を渡す。
そこに書かれている内容を見た男は不快気に顔を顰め、吐き捨てるように呟いた。
「ん、これがその資料か・・・チッ、バレットの言う通りだな。こんなクズ野郎、虫酸が走るぜ」
「ああ。コイツは逃すわけにいかない。他の参加者たちは”別の隊”に拘束させるが、ワーグナーだけは会場で必ず仕留める。人形をここまで痛めつけるような奴を許してはダメだ」
「それは同意見だがバレット、こいつの”抹殺許可”って下りてるのか?」
DG小隊・・・正式名称『Doll's Guardian 小隊』は、非合法な活動に協力させられていたり今回の様に非道な扱いを受けている人形の救出を主任務とする特殊部隊である。その性質上、議論の通用しない”カルト教団”や過激思想を持つ武装組織を相手にする事もあるため、本来『
が、それはあくまで正式な手続きを踏み、正当な武力行使であると上層部が判断してでなければ実行してはならない決まりとなっている。人形が人間を”抹殺”する、それは軍事力を資本に活動する企業として慎重に扱うべき事柄だからだ。
人形と人間の単純な身体能力の差は言うまでもない。人一人で人形をどうにかするのは基本的に困難であり、だからこそ”力”を振るう際にはその正当性を吟味してから臨む必要がある。
そして何より、『人形を不当も過ぎる扱いをしているから』という理由で何でもかんでも直ぐに抹殺していいかと言われれば、そんな極端すぎる話があるわけがないし、あってはならない。どのような重い罪を犯した罪人であっても、法の下に公平な審判を下すべきである。それをおざなりにして”力”を振るおうとすれば、待っているのは反感から来る平穏とは程遠いドス黒い未来だろう。
故にスミスは、人形に
”力”を振るうことは許されてるのか?と。
スミスの懸念を感じ取ったのだろう。バレットは苦笑しながら渡した紙の一番後ろのページを指差し、こう言った。
指定されたページは
「問題ないスミス。資料にも書いてある通り、今まで多くの人や人形たちがコイツの経営する娼館に捕まって悲惨な目に遭ってる。I.O.P.製の人形もそれ以外のメーカー製の人形も、オモチャに出来れば何でも良いってザマさ。ここが生きてるのは誰にとっても面白くないからな、これを期に娼館の制圧に乗り出すらしい。状況証拠は揃ってるから殺して構わないとのお達しだ」
「なるほど。それなら気兼ねなくってな」
「ああ。・・・ふざけやがって、必ず報いは受けさせてやる」
「もちろんだ。全力で手伝わせてもらうぜ」
「頼んだ」
バレット達は拳を付き合わせる。
DG小隊結成当初からの絆を再確認した二人は、二日後に迫ったオークションに向け覚悟を決めた。
囚われの人形達を救うために。
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此処は、何処だ・・・?
あぁクソ・・・腕も脚も関節部の回路が殺られてやがる。これじゃオレ様の本気なんか全然出せねえじゃねえか。
しかもさっきから頭ん中がガンガンして、凄え気持ち悪くなってきた。
・・・ちっくしょう。あともう少しでM4をぶっ殺せたのに、誰だよオレ様の邪魔しやがった奴は。
見事に脚のブースターと右手のコアをぶち抜きやがって。おかげでこのザマか。
・・・っていうか、なんであそこに
なんでオレ達鉄血を
ぐぅっ、頭が痛くて考えんのも辛い・・・。
to be continued...
NTK氏、小隊のお二人ってこんな感じで違和感無いですかね?(震え)
それとDG小隊の抹殺権限云々については、NTK氏に確認を取った上で『本作における』部隊運用のルーチンとして描写しております。
下手に手続き無しでポンポン武力行使して行っちゃうと、行政も担ってる企業として社会的にも政治的にも”色々と危険”だよなと思いまして・・・。
・・・他作者様とコラボする時は、平行世界の相手キャラに出くわしたっていう体にした方が何かとやり取りが平和に進むかもしれない(滝汗)
次回こそオークション編に突入したい(切望)