裏稼業とカカシさん(旧題:裏稼業の何でも屋が出向く先には必ずカカシが待っている件)   作:chaosraven

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 お待たせしております。
 キリが良いので一旦ここで投稿します。

 今回、DG小隊の面々の口調に違和感を感じる方もいらっしゃるかもしれませんが、何卒ご容赦頂きますよう御願いします。

 20/11/13 文中の一部描写、スマートグラスについての描写を修正しました。


-60-ハイエンドモデル奪還作戦その4

 

 

 

 

 

 

 Pi Pi Pi Pi Pi Pi Pi Pi...

 

 ファンが回る音が鳴り続ける、とある場所にて。

 大型の配電盤らしき機械の下に押し込まれた小さな機械から、規則的に電子音が鳴り続けていた。

 機械は赤い文字で時間の経過を示す。

 

 カウントダウンがゼロになるまで...あと数十分...

 

 

 


 

 

 

 

 

「いらっしゃいませ。招待状を確認させて頂きます。それと申し訳ありませんがセキュリティ上手荷物検査とボディチェックもさせて頂いておりますので、恐れ入りますがお手荷物はそちらのカゴに、お客様はこちらの足跡のマークに合わせてお立ち下さい」

 

「・・・失礼、バッグの中にあったこちらの道具は一体?」

 

「見ての通り、それは頭に付けるアクセサリーだよ。もし落札した人形に似合いそうなら付けてやろうと思ってね。一応金属を素材に作ってるからX線検査に反応してしまうと思うが、着飾らせる以外に使い道のない物を持ち込んだって特に問題はないだろう?」

 

「ええ、まぁ。お求め頂いた人形をどのように着飾らせるかは全てお客様の自由で御座います。出過ぎたことを申しまして失礼致しました」

 

「構わない。危険な人物が中に紛れ込むのを事前に防いでくれてると思えば、この程度のことで目くじら立てるなど馬鹿馬鹿しい」

 

「ご厚情痛み入ります」

 

「確認が取れました・・・アルフレド・ワーグナー様で御座いますね。ようこそ当オークションへお越し下さいました。こちらが会場の見取り図と入札用の番号札となります。札はオークション終了後に回収致しますので、くれぐれも紛失等なされない様ご注意願います。

 それではどうぞ、開催までごゆっくりとお過ごし下さいませ」

 

「あぁ、ありがとう」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・レストよりバレット、スミスへ。ターゲットが中に入ったのを確認した」

 

 

 オークション会場の入り口から少し離れたところに停められた一台の軍用車両。その後部座席の窓から双眼鏡を出していたグレーの髪の青年・・・DG小隊の一人であるレストが、無線機に向かってそう言った。

 間を置く事なく、耳に差したインカムから自身を率いる部隊長の声が返ってきた。

 

 

『了解。バレットよりDG小隊各員へ通達、これより予定通り作戦を開始する。

 俺とスミスは内部に潜入し、()()したタイミングでワーグナーを射殺する。三人は別働隊として外で待機、その間の指揮はウェイターに任せる。

 オークション開始時刻に合わせ、グリフィンから派遣された制圧部隊が到着する手筈になってる。彼女らとの合流後速やかに準備を整え、仕込みが作動し次第内部に突入。会場にいる全ての関係者たちを拘束しろ。

 敵は人形の事をコケにしてきたクソッタレな連中であるのもそうだが、何よりグリフィンにとって奴らの存在は非常に目障りだ。必ずここで叩き潰す。

 また、会場の制圧と同時進行で囚われている人形の救出も行う。特に優先度の高い救出目標は、先のヘリ墜落事件で敵に連れ去られてしまった鉄血ハイエンドの『エクスキューショナー』だ。

 鉄血のハイエンドモデルを鹵獲できれば、これからの鉄血との戦いに有利に働く可能性もある重要な目標だ。他の人形よりも優先度(プライオリティー)が高いことは念頭に置いておいてくれ。

 以上、何か質問は?』

 

『無いぜ』

 

「ありません」

 

「無い」

 

「大丈夫です」

 

『フッ、頼もしいな・・・。

 これより俺とスミスはジャミングの影響範囲内に侵入するため、仕込みが作動するまでは其方と一切の連絡が取れない。何かあればウェイターが適宜対応するように。

 ・・・今回の任務、特にレストは心中穏やかじゃいられないと思うが、くれぐれも感情に身を任せた行動は厳に慎んでくれ。皆で協力して、囚われた人形たちを助け出そう』

 

「バレット・・・分かった。俺も出来る限りの事をする」

 

「レストさん・・・」

 

「ええ、皆で作戦を成功させましょう。バレット、スミス、どうかお気をつけて」

 

『それこそ大丈夫だ。俺のS(スミス)& W(ウェッソン)M500がありゃ百人力さ』

 

『作戦開始。お互い頑張ろう』

 

 

 その直後、ジャミングの影響範囲に入ったのかすぐに耳障りなノイズが流れ始める。

 レストはバレットたちに繋がる回線を一旦切り、車内で待機する残りのメンバー・・・ウェイターとノアに向き直った。

 

 

「・・・ムカつくぜ。好き放題に弄ぶクソ野郎共が」

 

「レスト。今回の任務はそんな者達を一人でも多く捕らえる事を目的としています。怒りと嫌悪感はもっともですが、今は抑えて下さい」

 

「分かってるっ! けど・・・」

 

 

 そう言ったレストの手は小刻みに震えている。

 男に犯されるという屈辱的な陵辱を若い青年に味合わせたい。そのような歪んだ欲望を満たすためだけに生み出された彼の”心”には、その身が自由となった今もなお根深いトラウマが刻まれていた。

 そんな彼の手に、白く柔らかな手が重ねられる。男性型人形よりも少し小さい9A-91(ノア)の手。けれども確かに”心の温もり”を持ったその手は、レストの震える手に優しく触れ、ゆっくりとさすっていく。

 

 

「レストさん・・・大丈夫です、私たちが付いてますから。今はここで成功を祈りながら次の段階まで待ちましょう」

 

「もちろん私も、バレットも、スミスも、皆貴方の味方ですよ。レスト」

 

 

 今度は白手に包まれた手が重なる。

 自分をこんなに想ってくれる仲間がいる・・・彼らのもたらす温もりからか心を包んでいた恐怖が薄らいでいくのを感じるレスト。

 気付けば手の震えは止まっていた。

 

 

 行動開始まで、あと少し。

 

 

 

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 中身のチェックを終えたバッグを受け取り、建物の中へ。(ちなみにバッグの中には会計する気がある様に示すため、クレジットカードに精巧に似せたプラ板を入れた革財布、それと諸事情により『ウロボロスのヘッドセット』が入っている)

 まずは会場内に忍び込むことに成功した。

 今の俺の装備はワーグナーからパクったスーツ一式、見た目は薄手のその実高い防弾性能を持つビジネスバッグ、それとファッショングラスに似せた軍用のスマートグラスを掛けている。

 線の細いワーグナーの整った顔にはよく似合うチョイスで、中にいる人間も俺のこのサングラス姿には特に違和感を抱いていない様子。

 

 このスマートグラスは暗視モードやX線照射による透過、HUDといった視覚面のアシストに加え、ツルの部分に骨伝導式の小型スピーカーも内蔵しており、あんまボリューム上げるとすぐに音が漏れるという欠点はあるが、インカムを耳に差さずとも密かに無線を受信できるという便利な代物だ。さらに、無線受信モードや視覚表示切り替えを装着車の脳波を読み取る事でも出来るので使い勝手が良い。

 

 だが、視界に関連したアシスト機能はともかく、この無線受信機能に関しては今のところ出番が無さそうである。何故なら・・・。

 

 

(薄々予想はしてたが、案の定外との通信をジャミングで完全にシャットアウトしてやがる。さっきから聞こえるのは砂嵐のノイズだけ・・・事を起こすまでは下手に無線機能を立ち上げない方が良いな)

 

 

 この組織、”今日に関しては”その辺の情報管理をとにもかくにも徹底しており、なんと電波を発する機器は全て持ち込み厳禁となっている。手荷物検査はもちろん俺自身のボディチェックも行われ、スパイの侵入やオークションの情報流出を阻止しようと頑張っているらしい。

 これが毎度のことなのか、それとも今日売り出す大目玉(エクスキューショナー)の存在がここまで警戒を厳しくさせてるのかは定かじゃないが・・・。

 

 今のところはっきり言えるのは、オークションが終わるか事を起こすまでは外との連絡は物理的に取りようが無いということ。まあそれは恐らくどこかに忍び込んでるであろう”DG”の連中も同じだと思うが。

 ・・・まさか、グリフィン部隊を結集させて一斉大捕物でもする気じゃないよな? そうなると少々逃げるのが面倒くさくなるんだけども。・・・とりあえずダクトのルートは頭に叩き込んであるし、いざとなったらその時考えるとしよう。

 

 

(それにしても、どう見ても俺が着ける代物じゃないヘッドセットを見ても少し説明しただけでバッグに収めてしまう辺り、多分客の中には”女物の下着”とかもっと直球なキワドイ物を持ち込む奴も一定数いるんだろう。おかげで大して怪しまれずに道具箱(ヘッドセット)を持ち込めたんだが・・・はぁーあ、鉄血が平和だった内に俺用の道具箱(ヘッドセット)みたいなツールを作ってもらえば良かったかね)

 

 

 そう言っても後の祭りだが。

 

 ところで今回、何故わざわざウロボロスのヘッドセットを持ち込んだのか。その理由は言わずもがな、武器をデータ化して持ち歩ける事で得られる恩恵が大きいからだ。

 事前に手荷物検査をされる会場となれば武器持ち込みは基本的に不可能に近い。まともな武器を得るには警備員をぶっ倒してパクる等、現地調達するのが一番手っ取り早い手段となる。

 が、他にも大勢の客がいて、俺自身も客の一人として中に紛れ込んでる以上、警備員を倒して武器をパクるというのも現実には不可能じゃないが難しいものになるだろう。

 

 つまり、丸腰も同然のこの身一つ、しかもいつ不確定要素(DG Platoon)が乱入してくるかも分からない中でエクスキューショナーの元まで行けとなるわけだが、それでは色々と心もとない。

 そんな折思い出したのだ。ウロボロスとアーキテクトとゲーガー、この三人は普段頭の飾りに自分の巨大な得物を収納してるじゃないかと。

 

 その中で薄いバッグに入る大きさなのはウロボロスのヘッドセットのみ。アーキテクトとゲーガーの奴は地味に大きく、特にアーキテクトの奴は下手するとロケラン系の弾頭に見えなくも無いので誤解される危険がある。少し縦に長い簪みたいな形状のウロボロスのモノであれば、バッグの中に持ち込む分には丁度良いというわけだ。実際警備員に言ったこれの使い方もウソは言ってないしな。

 もっとも当の本人は「私のチャームポイントがぁ〜」などと弱い抵抗を示していたが、必要な事と押し切って(ちょっと強引に)借りてきた。

 

 なので今のストレージには彼女のランチャーユニットではなく俺の仕事道具が入っている。具体的にはアイバイザーとFive seveNにP90、愛用のコンバットナイフに工具類、それと”ちょっと改造したクレイモア”にスタングレネードやスモークなどetc...。

 

 いざという時に戦う武器がすぐ手に入るので、俺としてもとても気が楽になった。ウロボロスにはちょっとばかし申し訳ない事をしたが、普段から俺の事を主様と呼んでるんだし、その辺りは勘弁してもらおう。余談だが、現在のウロボロスには普段つけてるヘッドセットのツノが無いので、どこか見た目に違和感と物足りなさが感じられるぞ。暇があればイメージしてみよう。閑話休題。

 

 

 会場となる劇場のホール前には組織が設けた物販コーナーが幾つか並んでおり、参加客であろう者たちが列を作って並んでいた。連中もまたより取り見取りで、白人ルーツもいれば黒人ルーツもいるし、アジア系の顔をした客もいる。体系も痩せてたりデップリ肥え太ってたりと様々だ。

 

 物販で売ってる品物もチラリカタログを見てみたが、一体お前はどんな”プレイ”がしたいんだと問いたい物ばかり。ムチ、ボンテージスーツ、ボールギャグを始めとした拷問器具、どこから仕入れたのか女物の下着多数、まともなモノから際どいモノも・・・どうやらこの空間ではこれが当たり前の”光景(常識)”らしい。反吐が出る。

 

 おそらくワーグナー本人が参加していたら、今頃はこの手の品物にも目を掛けてたかもしれない。当たり前だが俺はコレには用は無いので、素通りして大人しく自身の番号の座席に座る。

 

 オークション開催時刻がだんだんと迫るごとに、買い物を終えた客たちも続々と席に座りざわめきが大きくなっていく。

 やがて席の全てが埋まったところで開演のブザーが鳴り、客席側の照明が落ちた。

 

 

 始まった。

 

 

 

 -----

 

 

 

『Ladies & Gentlemens!! 本日は我々のオークションにご参加頂き、誠にありがとうございます。本日も選りすぐりの商品を多数ご用意しておりますので、是非皆様奮って競りにご参加下さい!

 また、本日は最後に滅多に出会えない貴重な人形もご用意しております。どうぞ最後までお見逃しの無いようお願い致します!』

 

「なーにが、選りすぐりなんだか・・・っつうか、さっすがバレットでもキツイっつってただけあるなぁコレ。さっきから頭ん中ガンガンして、凄え痛みだぜ・・・」

 

「ッ、仕込みが動くまでもう暫くだ。もう少しだけ我慢してくれ・・・」

 

 

 二階席より更に高い位置にあるバルコニー席、そこにDG小隊のバレットとスミスはいた。

 バルコニーの席を取っていた”本来の客”は既に彼らによって絞殺され、物言わぬ屍となり床に横たわっている。

 

 既に客席側の照明はそのほとんどが落とされ、何か目立つような事をしない限りはバレット達に目が向く事は無いだろう。即ち、排除目標である『アルフレド・ワーグナー』の射殺準備に堂々と入れるという訳だ。

 だが、普段の彼らならば淀みなく用意を整えるはずのこの状況において、二人の作業はいつもよりもペースが遅い。

 

 

 ドールズジャマー。

 人形の電脳に直接干渉する妨害電波を発する等、様々な方法を用いて人形の行動を制限する、或いは電脳自体を焼き切ってしまえる様な機器を総じてそう呼んでいる。

 競りに出される人形(商品)のほとんどが同意なく持ち去られたモノである以上、逃亡を図る可能性も決して低くは無い。それを未然に防ぐ為、また落札された人形が新たなオーナーに刃向かい流血沙汰になるのを防ぐ為に、オークション会場は満遍なくジャマーの電波が行き渡る様に機器が配置されている。

 

 バレットとスミスはDG小隊の中では比較的ジャマーへの抵抗力が強化された個体であるが、そんな彼らでさえ会場にいるだけで常に頭を鈍痛が響き続けるという状態に置かれるのだから、この組織の対人形への”事故防止策”は徹底されていると言える。

 ジャマーの影響は思考や手足の動きの演算にまで支障が出る程でなく、M107ライフルの組み立て自体に問題無いのは幸いか。普段の人並外れた実力(パフォーマンス)をこの状況下で発揮するのは流石に厳しいだろうが、16Lab製の特別な戦術人形であるからこそ、彼らのダメージはこの程度で済んでいた。

 

 いつもより長い時間を掛けて組み上げた二人は、バルコニーの手すりの下、会場を彩る装飾(デザイン)として開けられた小さな穴からM107のバレル先端をせり出させる。

 手すりの上を跨いで銃を設置すると流石に目立つため、隙間からわずかにバレルを通すことで可能な限り目に付きにくい様にしている。ここからバレルを穴から抜き出して再び持ち運び出来る状態にするには少しの時間が掛かるが、仕込みが作動した時点でグリフィンの部隊が工場内に突入する事になっているため、ワーグナーが狙撃を回避する様な事態が起こらなければバレット達の仕事はそこまで難しいものにはならない筈である。

 ちなみに手すりの下を通している関係上、当然ライフルのスコープは遮られて使えない。バレットは射撃姿勢をキープしたまま手すりに遮られた視界の向こうへ意識を向ける。見えていないターゲットに確実に当てるためのサポートをするのは、観測(スポッティング)用の双眼鏡をぶら下げたスミスの仕事である。

 

 

「・・・ふぅ、まさかライフル一つ組むのにここまで疲れるとは、な」

 

「無理もない。この前潜入した時より、明らかに頭の痛みが強くなってる・・・出力自体が上がってるんだろうな」

 

「・・・俺たちを警戒して、か?」

 

「俺たちだけじゃない。グリフィン以外にも、戦術人形を主戦力にしてるPMCは数多い。色んなとこから恨みを買ってる筈さ」

 

「・・・うしっ。後は仕込みが動き出すまで、暫しの辛抱だな」

 

「あぁ。万一の時は、フォローを頼む。一発で仕留めるつもりだが、この劣悪なコンディションで仕損じるかもしれない」

 

「任せとけって。つっても、同じ状態の俺も、何かやらかすかもだけどな・・・」

 

 

 苦笑を浮かべつつ、二人の顔には尚も頭に響く鈍痛による苦悶が浮かぶ。

 気を乱さず、針の穴に糸を通すがごとく高い集中力が求められるスナイパーにとって、常に頭痛で意識を持ってかれるこの状況は決して整ったコンディションとは言えない。

 一度撃てば、対人用の狙撃銃を上回る威力で目標をあっという間にミンチに仕上げてしまえる。だが、それだけの火力を持つ銃を制御するには、当然人並み外れた実力が伴わなくてはならない。

 

 たとえ平時であればM107ライフルを立射、しかもライフルであるのを考慮すれば十分連射と言えるほどのスピードで射撃が出来るバレットであっても、彼自身のコンディションが悪ければそれを最良のクオリティで為せない事も当然あるのだから。

 

 

『ーーそれでは! 入札する際の注意事項も全てお伝えしたところで、いよいよオークション本番に参りましょう!』

 

「・・・競りが始まる」

 

「いや、始まらないさ。・・・3、2、1、Black out」

 

 

 直後、オークション会場を複数回の大きな揺れが襲うと同時に、ステージや非常口灯など全ての明かりが消えた。

 一瞬にして真っ暗闇となった会場に参加者達は戸惑い、何があったのかとざわめきが大きくなってゆく。

 

 そんな中、頭に響き続ける()()()()()()二人は剣呑な光をその目に宿し、己の役割を全うする最後の行程に入る。

 

 

「・・・角度上方向に2.3cm、右に3.6cm修正」

 

「了解」

 

 

 人間では困難を極めるcm単位での射線修正法。人形であるからこそ射撃姿勢を寸分も乱れず保ったままでいられる・・・つまりまるで固定砲台のような事が出来るのを利用し、事実綺麗に定まったまま留まっている射線をこれまた的確に細かく観測し伝えていくスミス。

 彼の指示もあり、M107の銃口はまっすぐ”ワーグナーの脳髄を貫く”位置へと定まった。その時、

 

 

 コンっ、コンっ、

 会場のどこかから堅い物同士で打ち当てた様な音が響いた。

 

 一瞬何の音かと疑問を抱くスミスだが、続くバレットの言葉に今は狙撃に集中すべきと意識をそちらに戻す。

 

 

「修正完了」

 

「・・・撃て」

 

「・・・消えろ、ゴミクズめ」

 

 

 スミスの号令が下るや否や、人形を不当に扱う者への怒りと共にバレットは引き金を引き絞ったーー

 

 




 レイの運命は如何にーー!!?

 次回『レイ玉砕』
 デュエルスタンバイ!

 ※次回予告はあくまでも予定であり、実際に発表される本編とは内容が異なる可能性があります。
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