裏稼業とカカシさん(旧題:裏稼業の何でも屋が出向く先には必ずカカシが待っている件) 作:chaosraven
今回こそ、この一件は完全に終わりです。ということでよろしくお願いします。
注:後半部分にグロテスクな描写がありますので、予めご了承ください。
ダクトに忍び込んでから一時間が経過した。
予め頭に叩き込んでいたダクトの配線図に従い、周囲から最も見えにくいところにある排気口に辿り着いた。そこは元々掃除用具などの類の備品を置いておく倉庫で、工場建屋のすぐ近くに建てられた小屋みたいな建物だ。
倉庫は工場内の空気を排気するためのダクトを天井に通す作りになっていて、複数ある出口の内の一つが倉庫と工場建屋に挟まれた位置に置かれている。こそこそ出るにはおあつらえ向きという訳だ。よーく耳を澄まし、誰もいないのを確認してから工具でファンを取り外していく。
程無く取れたファンを置くとそいつを跨いで排気口へ。もう一度周囲の状況を確認してからシュタッと脱出・・・
「残念だったわね、ワーグナーさん?」
「・・・ジーザス」
したところに、直後まさかの上から降ってきたDG小隊+わーちゃん一味に取り囲まれてしまった。・・・よりによって倉庫の屋根の上でじっと待ち伏せてたとはな。そこにいられちゃダクトから顔出さないと分かんねえよ。
しかもメンバーを複数に分けず、リストにあった小隊メンバー全員を引き連れて待ち伏せてた辺り、わーちゃんは俺がここを狙って出てくるのを確信してたようだ。
小隊の皆様方は先ほど俺が手を撃ち抜いてしまったもんで、揃って無事な方の手でコンバットナイフを握り、刃先を此方に向けてジワジワとにじり寄ってきている。一方その後ろに立つわーちゃんは、それはもうフンスと言わんばかりのしたり顔で腕を組んで俺を見下ろしてた。どーでもいいことだが、そのおかげでボリューミーなお胸がギュムっとなってて眼服である。閑話休題。
さて改めて皆様のお顔を見渡すと、全員が笑いながらビキビキと額に青筋立ててらっしゃるのがよく分かる。よくもやってくれたなこんにゃろうという事らしい。
特に、グレーの髪をしたMP5kを持ってた青年と茶髪の革ジャンを着たリボルバー使いに関しては、怒りのボルテージが一段階上にある様にも思える。前者はこの中で一番攻撃しちまったし、革ジャンの方は・・・あぁなるほど、最後ダクトに突っ込んで煙を浴びたのはキミなのね。口元がさっきからものっそいヒクヒクしてる。まぁまぁそんな怒んなよ・・・ていうのが無理か。俺だったら徹底的に追い詰める位キレる自信がある。
「・・・よぉ〜。よくもやってくれたなこの野郎」
・・・わ〜お。お声にドスが効いてますこと、リボルバー使いさん。
「散々コケにしてくれやがって」
「ここまで腸が煮えくり返る思いをしたのはそうそうありませんよ? 覚悟は出来ているんでしょうね?」
「・・・許しません。レストさんにあんな事したのも含めて」
「そういうわけだワーグナー。俺たちの狙撃を”運よく避けた”事から始まり、様々なまぐれで命拾いしてきた様だが・・・それもここまでだ。
年貢の納め時という言葉くらいは知ってるだろう? 自分のやってきた事のけじめを付ける時間だ」
そう言うや否や、全員の顔から笑みが消え殺気混じりの怒りそのものだけになる。
いよいよもってヤバイな・・・アインス、バイザーからこっちの状況は見てるだろ? このままだと刺されて終わるぞ。
そう考えたって伝える手段が無きゃ何も出来ないのだが。さてどう場をひっくり返すか頭を巡らせていたその時。
「ハイハイ、皆そこまでよ。コイツをどうするかは”弟子”の私に任せてもらえる?」
パンパン手を叩いたわーちゃんがそう言って、俺を囲んでいた小隊の間を縫って俺の前にしゃがみ込む。その際スカートの前布でキチンとガードするのも忘れない。・・・その辺りの昔俺がツッコミ入れたところを覚えてるのね。
しかも自分の事を指差して弟子とまで言い切りおった。完っ全に俺の正体バレてーら。
しかしその事情を知らない彼らはいきなりそんなことを言われて納得出来る訳もなく、黒髪の男が強い疑念を
「それでハイそうですかと納得出来ると? しかも”弟子”って一体どういう意味だ? ・・・まさか、アンタもコイツと同じような思想を」
「な訳ないでしょうが。私だって未遂とはいえ、理不尽に傷付けられる事への恐怖を経験した人形よ」
「じゃあ何故!」
「コイツがアルフレド・ワーグナーに化けた赤の他人だからよ。抹殺対象じゃない人間を殺っちまったら凄く不味い事になるでしょ」
「「「「「・・・・・・は?」」」」」
瞬間、全員がポカンとした顔になり、そしてほぼ同じタイミングで持っていたナイフを落とした。
次に俺とわーちゃんの顔を、これまたシンクロしたような動きで二度三度交互に見て、首を傾げる。・・・キミら仲良いな。
彼らのそんな動きに苦笑を浮かべたわーちゃんは得物を横に置くと、何を思ったか俺のバイザーを取ると両手で俺の頬をムニムニ弄り始めた。右へ左へ、上へ下へみょーんみょんと。
そのうち楽しくなってきたのかニヘヘと漏らしながらそれでも止めないわーちゃん。ちなみに引っ張ってるのはあくまでシリコンのマスクなので、俺自身は全然痛くも痒くもない。ただこんなに色々引っ張られると、せっかく俺の顔に合わせて調整したマスクの装着ポジションがズレてくるんだg・・・あぁ、それが目的か。
程なくして満足したらしいわーちゃんはパッと両手を離す。俺自身は今の自分の顔がどうなってるのかを見れないが、所々さっきまでと感触の違う部分があるので、側から見ると今の俺の顔は歪な造形をした顔になっているんだと思う。
「ほら。これでもコイツがワーグナーだって言える?」
「あ・・・」
DG小隊はわーちゃんの手遊びで歪になった俺の顔を見て唖然としている。
まあ、普通はこうなってるとは思わねえわな。しかも念には念を入れて顔だけじゃなくて声までも化けてたわけで。
「こ、こんな事って・・・」
「普通は起こらないでしょうけどね。考えてもみて? レストが最初に仕掛けた時も、その後の衝撃で体制を崩された時の反撃も、わざわざ手を狙わなくとも頭を狙って撃てばそれですぐに済ませられたでしょ? でもコイツはそれをせず、武器だけ使えないよう手を撃つ程度に収めた。どうしてかしら?」
「・・・この男には、俺たちを破壊する理由が無い?」
「そーいうことよ。どういう目的でここに忍び込んだのかはこれから聞かせてもらうとして・・・」
俺に目配せするわーちゃん。どうやらここでネタをバラせという事らしい。
俺はため息を零し、静かに立ち上がる。顎の辺りにあるマスクの取っ掛かりを指で引っ掛け、捲る様にして思いっきり引っ張る。
「・・・マジか」
「完全に別人ですね・・・」
剥がれた化けの皮の下には当然
胸ポケットに入れたスマートグラスを掛けつつ改めて俺の本来の顔で彼らに向き直る。
するとわーちゃん、打って変わってものすごく怪訝な顔を浮かべながら俺のバイザーを寄越してきた。
「・・・アンタがバイザー以外のモノを着けるとか、もしかしてそっくりさん?」
「失敬なやつだな!? そんな事言ってるとそのリボン没収するぞ」
「い、イヤよ!? 何の権限があって私の宝物を横取りしようとするわけ!?」
手をワキワキさせて揶揄ってやると、サイドテールを結わいた
「・・・あのツンデレわーちゃんがあげた本人の目の前で素直に宝物と言い切るなんて、もしかしてそっくりさん?」
「失敬ね!? しばき倒すわよ!! あとわーちゃん言うなこのバカレイ!」
ブンブン両手を振り回してムキーっとなるわーちゃんの姿に、取り残された五人は一様に唖然としていた。
多分彼らの前ではエースライフルらしい立ち居振る舞いをしていたのだろう。それが俺と再会して一気に化けの皮が剥がれてのこれである。ギャップを処理しきれて無いらしい。
あんま長居する気も無いし、手短に話だけ済ませて今度こそ本当に帰るとしよう。
「ハイハイ。んで、一応聞くけどわーちゃんたちは何が聞きたいの?」
「だーかーらー・・・もう良いわ。そうそれよ、私が聞きたいのはアンタがここに化けてまで潜り込んだ理由よ。といっても大凡予想は付いてるけど」
腕を組み、ちゃっちゃと話しなさいと言わんばかりの顔。
「思ってる通りだよ。エクスキューショナーがテロ組織みたいな危ない連中に落札される前にこっちで奪取するのが目的だった」
「たった一人で?」
「いんや、機を見て俺の仲間に暴れさせる予定だったさ。お宅らが電源に仕掛けた爆弾のせいでプランが全部お釈迦になったけどな」
いやはや本当にとんだ一日だった。
予定ではある程度オークションが進んだところでセキュリティをハッキングし、ジャマーを無力化してハイエンド達に暴れてもらって掻っ攫う筈だったんだが。
よりにもよってグリフィンが部隊を組んで一斉制圧に乗り出してくるとは流石に思ってなかった。精々がこのDG小隊による妨害工作くらいだろうと踏んでたが、見たてが甘かったと言わざるを得ない。
「結構じゃない。合法的なオモテの力でこの組織を潰せたんだから。あ、そうそう。分かってると思うけど、工場に捕まってた人形はすべての例外無くグリフィンが保護したから」
「そいつは良かった。もう二度と横から掻っ攫われる様な大間抜けはしないでくれと社長に伝えといてくれ」
一瞬、黒髪の男の目尻がピクッとなったが無視する。
「・・・そうね。で、もしアンタ達がエクスキューショナーを回収してたらどうする気だったの?」
「グリフィンに秘密裏にコンタクトを取って少し上乗せして売り付ける。わざわざお膳立てまでしてやったってのに、運んでる最中にパクられるなんて事されたら多少は吹っ掛けたくもなるだろ?」
「ふーん・・・お膳立て?」
おっと、余計なこと言っちまった。
「こっちの話だ。じゃあ俺からも聞こう。・・・いつから俺がワーグナーじゃないと気付いてた?」
「最初からよ」
「・・・あ?」
「私がここの近くにある会合地点でこの三人と打ち合わせしてた時、空に光るモンが見えたのよ。何かと思ってチラッと一瞬目凝らして見たら、見覚えのあるハイエンドのビットが浮いてるんだもの」
「・・・・・・」
思わず頭を抱えてしまった。こっちから指示出せる状況じゃなかったとはいえ、何やってんのあの子。
というより、アインスの指示でとりあえず出来る範囲で情報収集を図ったとかか? グリフィンがそれなりの戦力整えてやってきたことが想定外で、バレるのを覚悟の上で敢えて飛ばしたのかもしれないが、案の定バレていたらしい。
ハイエンドという単語にDGの面々が首を傾げるのを横目に、昔いつも見せていた彼女らしいしたり顔で勝ち誇る様に説明し始めた。
「目合わせて笑ってやったらあの子、発射口に貯めたエネルギー量を調節して発光信号代わりに『Ray』って送ってきたわ。暴走状態のスケアクロウが送り込んできたビットじゃないってことはその瞬間分かったし、その彼女が私らの真上にビットを一機だけ送り込んできたってのはつまり私らがどう動くのかを知りたいからでしょ?
敵による偵察の線は薄いと分かったから、あの子たちのお望み通り、当初から決まっていたプランで工場内に突っ込んで制圧を進めたのよ。さらに言えばわざわざアンタの名前を伝えてきたってことは、ジャマー稼働下でも影響を受けずに動ける”人間”のアンタも仕事に来てるってこと」
「そんな分かりやすい合図をされたら、そりゃ嫌でも伝わるわな・・・」
続いて出てきたスケアクロウという単語に今度は『えっ?』という顔を浮かべ、次に本当に大丈夫なのか?と不安な物に変わるDG小隊たち。事情を知らないため当たり前だが、今俺は彼らに鉄血のハイエンドに利用”されている”人間とでも見られているのだろうか?
しかしその割にはわーちゃんが自信満々なフンスという雰囲気を全く崩していないため、問題が有るのか無いのか、果たしてどう受け取れば良いのか分からなくなってきている様にも見える。
そんな彼らの表情の変化を他所に・・・多分気付いてるんだろうが気にせず話を続けるわーちゃん。
「だけどあの組織が招待する客を選んでるのは知っての通り。まさか素顔のまま入り込むワケはないから、どこかしかで招待客のリストを洗ってそのうちの誰かに化けるというのは容易に思いつくわ。でも化けた姿でボロが出てもマズイし、それなら組織にも顔や性格趣味嗜好の情報が殆ど知られていない、オークション初参加の客に化けるだろうってね。
あとは戦い方のクセとか使ってる武器もそうだけど、あの子の事前情報だけでない、確実にこいつレイが化けてるなって確信した一番の決め手は骨格よ」
「骨格ぅ?」
理路整然とした筋の通った根拠を説明されてたところに突如出てきた単語。なんでそこで急に骨格が出て来るんだ?
訳が分からず聞き返すと、後ろで手を組んだわーちゃんが前屈みに歩み寄り、ジト目で俺を見上げてきた。まるでデート中”
・・・見た目が美少女なだけに、そういうイメージを思い浮かべても違和感なく飲み込めてしまうな。
とりあえず分からないものは分からないので、両手を挙げて降参のポーズをとる。
ジト目にムッスリモードが追加された。
「・・・アンタねえ。誰が私に『顔の骨格の見分け方』を仕込んだのよ」
「ん? そーいえばそんな知識も休憩がてら教えた様な・・・」
「様なじゃなくて教えたの。私に仕込んだ”他ならぬ”師匠の骨格を
「・・・そりゃすごい」
あの頃と比べて随分と高みに上り詰めてきてるようで。
まさか顔の骨格で見た瞬間正体を見抜かれてるとは、喜ぶべきなのか時と場合によっては厄介事が増えたと見るべきなのか・・・。
っていうか訓連の休憩は10分とかそこらだった気がするんだが、まさかその短い間に話したことを後で自分で復習して叩き込んだのか?
・・・本当に頑張ったんだなぁ。ちょっと心にジーンときた。
「そのあとはレイだったらどこを抜け出すポイントに選ぶだろう?って考えて、ここで一時間待ち伏せてたらビンゴよ。
どう? 師匠の意図をここまで汲み取ってくれる弟子、今からでも
・・・俺の思考パターンを先回りしてくるエーススナイパー、つくづく敵に回したくねぇ。
彼女が俺の正体を確信してなかったら、出くわした途端に撃ち抜かれて終わってたかもしれない。事実、それを為せる実力もある。
そんな彼女とこの先相対するシチュエーションを避けるには、本人の言う通り誓約の手続きをするのが一番分かりやすい方法ではある。
今の彼女の立場でそれをやろうとすると非常に面倒くさい問題が出てくるのだが。
「そんだけの実力持ってるエースを引き抜くだけで幾ら掛かるのか、考えるだけでも頭を抱えたくなるね」
「ケチ」
「無茶言うなって」
そんなやり取りをしてる中で、グラスの裏面にスケアクロウからのメッセージが届いた。
俺の真上に浮いてていつでも俺を回収できるらしい。
そろそろお暇しようか考えてたその時だった。
突如、顔の真横に向かって飛んできた拳を掴んで受け止める。
突飛なストレートを繰り出してきた本人に対し、俺は険を帯びた表情で睨みつける。
「・・・なんのマネだ?」
「・・・ねぇ、久しぶりにサシでヤらない?」
勝気な・・・いや、獰猛な笑みを湛えたわーちゃん。俺に右手を掴まれながらも闘争本能剥き出しといった様子だ。
・・・さっきの小競り合いだと物足りなくてスイッチ入っちゃった感じか。ちくしょう、さっきの感動が台無しだよ。
「嫌だと言ったら?」
「引き摺り込むまでよ!!」
「うぉっ」
直後、俺に掴まれていた自身の右手を人形のパワーで無理やり引っ張るわーちゃん。咄嗟に手を離すも体は引き寄せられ、そこに待ち受けていた左手が顔面めがけてジャブを放つ。
ストレートよりは軽めとはいえ、当たれば要らんダメージを負うことに変わりは無い。ジャブが当たる寸前で手を弾き、同時に距離を取ろうと彼女の肩を押し込む。
だがわーちゃんは上半身が押し込まれた勢いを利用し、後ろに倒れこむ姿勢のまま左足を軸に右足を思いっきり振り上げてきた。
食らったら脳震盪を起こしかねないスピードだ。ブオンという風切り音と共に顎目掛けて飛んでくるつま先を仰け反る事でギリギリ避ける。
振り上がった右足がピンと伸びる。わーちゃんは後ろへ倒れようとする動きを流れを殺す事なく両手を地面に付き、綺麗なバック転を四度に渡って見せてくれた。
そして体勢を直し、ファイティングポーズを取る。
「今のはジャブよ・・・まだまだこんなもんじゃないでしょ? もっと本気でキなさいよ」
「ざっけんな! ポンコツ時代ならともかく、修羅場潜り抜けてきたエースの戦術人形に生身で対抗するとかそれだけで分が悪いわ!」
「な〜に? 私とは戦えないって言いたいの? アンタそんなに弱っちいヤツだったかしら」
・・・すっげえ憎たらしい煽るような笑顔になりやがった。
いつの間にこんなバトルジャンキーになったんだ?
「現実を客観的に述べてるだけだ。地力が違う相手に無謀に挑むほどアホじゃないっつうの」
でなきゃさっきみたいに青年の口にわざわざ銃突っ込むなんて真似はしない。人間相手なら組み敷きゃそれでほぼ終わるが、人形相手じゃ強引に逃げられることもある。
「ふーん・・・煽っても乗ってこないんなら、無理やり乗せてやるわ!」
「このバホっ! 言う事きかねえ小娘は大っ嫌いだよ!」
完全に昂った肉食獣のような笑みのまま、俺の元へと突っ込んできた。
間合いに入るや否やいきなり回し蹴り。右腕で受ける。が、腕に走る衝撃の強さに思わず顔を顰める。
クソ、分かっちゃいたが人形のフィールドで格闘するのは無理がある。このまま続けてたら骨にヒビが入っても可笑しくないぞ。
一方蹴りを止められたわーちゃんは、片足立ちのまま繰り出した左足を今度は膝から下を捻り回す様に連続して動かしてくる。
ブラジリアンキックの要領で出されるスピードの乗った蹴りは、人間の俺にはとても何度も耐えられる様な物じゃない。
・・・そろそろ終わらせるか。
わーちゃんが左足を下ろすタイミングに合わせ、俺はいきなりそれに当てつける様に右足で払う。
「!」
一瞬バランスを崩したが、それも軸足を使ってその場で回って力を相殺してしまう。どころか、90度反時計回りに回った次の瞬間、地に付いた両足をバネに前傾姿勢を取ったままタックルをかまして来やがった。ご丁寧に右ひじで肘鉄を構えるおまけ付きで。
”人形の脚力”で踏み込んだタックルも俺にとっては致命打になる。ましてや肘なんて当たれば動けなくなるだろう。ふざけた瞬発力で踏み出したタックルをギリギリで横に避け、過ぎ去る彼女の背中に蹴りを叩き込む。
「んふっ!!?」
衝撃に前につんのめりながらもバランスを崩しきる事はなく、すぐに体勢を整え再び相対するわーちゃん。
その目は未だにヤル気満々という状態で、順当に闘ってると結構な時間を浪費する羽目になるだろうというのがよ〜く分かる。
だが、グズグズしてると彼女らの同僚が此処に探しに来てしまう。そうなったら俺は言い訳の余地なくグリフィンに拘束される。
多分クルーガーから口添えとかはしてくれると思うが、そういう融通の利かない管理職の下に送られたら終わる。
悪いがわーちゃん、今回の格闘は強制終了だ。
チラリ、先ほどからグラスに表示されているスケアクロウからのメッセージを見る。
せっかく申し出てくれているのだから、ここは彼女に幕引きを頼もう。
「・・・ふふふふふ。ねぇレイ? もっともっと楽しみましょう?」
「お生憎様。時間切れだ」
「え?」
「スケアクロウ、『トルネードスピン』」
『了解。グリュングリュンにして”キラキラ”させてあげますわ』
「え、ちょ、ちょっと!? アンタあの子に私をどうさせるつもり!?」
「どうってーー」
「こういうことですわ」
『本当にハイエンドが現れた!!?』
直後、俺の背後に指揮棒を持って両腕を広げたいつものポーズでスケアクロウが降りてくる。
一方、本当に鉄血ハイエンドが現れたことにDG小隊の面々は驚愕した顔を浮かべた。
いきなりのご登場に加えてこれから何が始まるのかを読めていないわーちゃんは、ファイティングポーズはそのままに不安混じりの目で俺とスケアクロウを交互に見やる。
そんなわーちゃんの動揺などまったく意にも介していないスケアクロウは、流麗に指揮棒で円を描いていたかと思うとビシっとわーちゃんへ向け、そして一言。
「トルネードスピン、ですの」
「ふぇ? ちょ、ちょちょちょギャアァァァァァァーーーーーー!!?!?!?」
地上5m位の高さまでフヨフヨパワーで持ち上げられたわーちゃんは、体を全方位にぐるぐる回されながらゆっくりと地面へと下降してゆく。当然、胃の中身はフルシェイクだ。
やがて優しく降ろされたわーちゃんは四つん這いになり、それでもゲロを吐く瞬間の顔を見られたくないというプライドか、最後の力でこちらに尻を向ける位置に居直ると口から”キラキラ”し出した。
「うぇぇぇぇぇぇぇ」エロエロエロ-
『えぇ・・・』
突然の乱入&正々堂々のせの字も無い無茶苦茶な戦闘終了劇に、DG小隊の面々は揃って俺たちに軽蔑する視線を向けている。
うん、確かに言いたいことは分かるけども、手早くダウンさせるにはこうすると早そうだと思ったからやってもらっちゃった。
暫くしてシェイクしたものを一通り出し切ったのか、口元を拭いながらツンケンした顔でズンズン此方へ歩み寄ってくるわーちゃん。そんな彼女に
「ゲロを手袋で拭くんですの・・・?」
「誰のせいでゲロったと思ってんのよ!!?」
「ちなみに釘刺しとくが、もっかい俺に吹っかけてきた瞬間『トルネード”エクストリーム”スピン』が待ってるぞ」
「勘弁してよ!?」
「やってみたくなりましたわ。準備はよろしくて?」
「良いワケないでしょうがっっ!!」
ゼーハーと息を吐くわーちゃんとそれを澄まし顔で弄るスケアクロウは置いといて、俺は先ほど蹴り入れたり銃を口に突っ込んだり・・・有り体に言うと結構な暴力を振るってしまったグレーの髪の青年へと近づく。
こちらに気付いた青年は少し警戒と緊張が混じった様子で俺を見据える。ん? 目の下のソレは・・・。
「・・・そのタトゥー」
「っ!」
「復讐を誓うのは別に良い。が、せっかく仲間が出来たんだ。感情に身を任せて、彼らを危険に晒す真似だけはしない様に気を付けろ」
強い憎しみにとらわれ、感情のままに力を振るう者。裏社会にはそんな奴が何人もいるが、経験上そういう生き方をしてる奴は大抵目的を果たしきれずに早死にする。
復讐に限らずあらゆる分野で己の目的を完遂するには、自分一人だけの力では絶対出来ない。いつかどこかで必ず蹴っ躓く。社会ってのはそう出来ているから。
でも自分を支えてくれる仲間がいれば、目指す結果に辿り着ける可能性を引き上げられるはずだ。
青年にどういう過去があったのかは知らないが、一応警告の意味も込めてそうアドバイスしてやると、緊張から一転。不思議そうな顔をして彼はこう言った。
「・・・アンタもあのWA2000と同じことを言うんだな」
あん? わーちゃんも同じ様なことを言ってたのか。・・・そうか、わーちゃんもタトゥーを見てある程度察したんだな。
彼もまた、俺たち人間の醜い部分に直面した経験を持つ一人だということを。
さっきワーグナーのフリをしてた時の彼の俺を睨む目、あれはその身を痛めつけられた経験が無きゃ出来ないほどの強い憎しみを宿していた。
おそらく作戦前のブリーフィングか何かで、そうした彼の感情が表出したのをわーちゃんが目敏く見つけたのかもしれない。
「弟子が師匠に似るのはよくある事さ。それとさっきは悪かった。皆もそうだが、特にキミには」
「・・・いや、もう良いさ」
「すまないな・・・スケアクロウ! グリフィンの仲間が来る前にズラかるぞ!」
「分かりましたわ」
「えっ!? ちょ、ちょっと待ちなさいよ!」
俺の掛け声に結構なスピードのフヨフヨで俺の後ろへやってきたスケアクロウ。そして俺は彼らへの餞別の品としてある物をストレージから取り出す。
一方、もう帰るという言葉にまだまだ話し足りないと言わんばかりに駆け寄ってきたわーちゃんだが、俺の手元に召喚されたその”品物”を見た途端彼女の顔が引き攣った。
DG小隊も、おいまさか・・・という顔で見ている。
「・・・レイ、それで何する気?」
「何するってーー
「こうするんですわ?」
「アンタ達のそのノリはもう良いっての!!」
そう言われてももう帰るし。
俺はさりげなく”品物”を起動させた上で地面にポン置きする。
直後スケアクロウの腕が腰に、彼女の豊かなお胸が背中にギュムっと押し付けられ、離陸準備が整ったのを確認してこう言った。
「ではバイバイ」
「ご機嫌よう」
「ま、待ちなs〔シューーー〕ゲホっ、ゴホっ、ゴホっ・・・・・・
バカレーーーーーーーーーーーイ!!!!!!」
「Fuuuuuuuuuuuuuuuck!!!!!!」
煙が出るタイミングで離陸、速やかにアインス達の待つ装甲車へと飛び立つ。
甘いな諸君。天丼というのは何度も繰り返すから天丼というのだ。
最後わーちゃんとリボルバー使いらしき男の叫び声が聞こえてきたが、この状況においての俺たちとキミらは敵ではないが味方でもないのである。
意外とこうやってしつこく同じトラップを仕掛けてくる奴も世の中にはいるからな、是非この機会を自らの糧にしてくれたまえ。なんてね。
「・・・さっさと帰ろう。今日は疲れた」
『お疲れ様ですの』
骨伝導式のグラスのスピーカーから彼女の労いが届く。
そりゃこんな轟々風音が吹いてたら聞こえにくいわな。・・・ていうかスケアクロウさんや、さっきからすげえ吹いてくる風が強いんだけども。
「・・・ところで、今時速何キロで飛んでんの?」
『はて、120km/hくらいかと』
「なんでそんな飛ばしてんの!?」
『だ、だって、こんなに密着してるって思うと恥ずかし・・・・・・っ!!? 何を言わせますの!!』
「オーケー落ち着け、今ここで手を離されたら流石の俺でも一発で死ねる」
『と、とにかく早く行きますわよ!!』
「ちょ、オイオイオイ更に加速するなよ━━━
死ぬかと思った。
メットも何の防具もない、スーツ姿で120km/h以上の風を真に受けるのは凄まじい恐怖を感じるモノである。しかもそれが自分の意思によるものではなく、他人に全てを委ねたフライトなのが余計に怖さを煽るのだ。
スケアクロウを信じる信じないの話ではなく、本能的な恐怖によるものなので、そこは誤解なきよう。
もしかしたら同じ理由で絶叫マシンはダメな人間なのかもしれない。それはさておき。
あれからアインス達と無事に合流しギルドまで戻った俺たちは、ポロシェンコの死が確認できた事、会場にいた人形達はすでにG&Kの部隊によって回収済だった事などを互いに共有し、一連の報告書を纏めてようやく仕事が終わった。
寝ぐらまでのオンボロの運転はスケアクロウに任せ、ギルドから走らせる事数刻。やっと愛しのマイホームに帰ってきた。
安心感から猛烈に強まる眠気を堪えて水を沸かし、お湯に浸けたあったかタオルで体を拭いて身綺麗にしたりと、寝る前の用意を終えて即座にベッドイン。
程なく俺の意識は真っ暗闇に落っこちていった···。
はずなのだが、お月様が空で煌々と輝く夜中、ふと目が覚めた。はて、特に寝苦しさを感じる様な覚えは無いんだが。
体を起こして布団を捲ってみるも誰もいない。部屋を見渡しても404の連中が入ってきてる何て事もない。そしてさっきまで悪夢を見てたり、急に催してきたという訳でもない。
・・・???
首を傾げる。
が、そんな考えても答えが出ない様な事を考えてる時間が勿体無い。とっとと寝付いて体と頭を休めるほうが大事だ。
そう思って横になろうとしたその時、隣の部屋から呻くような声が聞こえるのに気が付いた。
目を瞑り耳を澄ます・・・左隣、スケアクロウに割り振った部屋だ。
・・・。
俺は懐中電灯とスケアクロウの部屋のキーを持ち、扉に耳を当てて中の様子を伺う。
・・・うん、この声は間違いなく彼女のものだ。だがその声が尋常じゃないように聞こえるのは気のせいか?
「スケアクロウ、スケアクロウ。聞こえるか? 聞こえるなら戸を開けてくれ」
ノックと共に中にいる彼女に声を掛ける。二回、三回。
しかし反応は無く、何かに耐えている様な呻き声が止まる事も無い。
・・・まさか、どこかでウィルスか何かに感染したんじゃないだろうな?
そんな懸念が頭を過ぎった。
緊急事態に発展する可能性アリと判断し、キーを回して彼女の部屋へと入り込む。
そこにいたのは・・・
「う、うぅ・・・ぐぅっ! イヤ、イヤイヤイヤ止めてっ・・・イタイイタイイタイイタイ!? お願い・・・もう、イヤだ・・・」
「スケア、クロウ・・・?」
ベッドの上で自分の四肢を掻き抱く様に丸まりながら、見ている夢の中で遭わされている出来事に恐怖し、痛みを感じ、尋常じゃない量の汗を流し魘されている相棒だった。
今まで起こった事の無い事態に動けなくなる中、彼女の口から漏れ出た言葉に俺の頭は真っ白になった。
「!!?」
嗚咽交じりに紡がれた、か細い声。耳に入れるだけでも痛々しい声色で、彼女の口から一番聞きたくない言葉が紡がれた。
一体彼女は何に魘されているんだ。なぜそんな事を願ってしまうほどの悪夢を見ているんだ。
俺は彼女の汗がにじむ手を握り、何度も彼女の体を揺すって刺激を与えてやる。
早く目覚めろ。お前がいるのは夢であって現実じゃない。早く戻ってこい。悪夢なんか忘れさせてやるから。
「・・・起きろスケアクロウ。目を覚ませスケアクロウっ、スケアクロウ!!」
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「な、なに、コレ・・・? 誰か、誰か!」
「いい気味だなぁ
「・・・んぅ、あ、あら・・・? だ、誰か!? どうなっているの!?」
「ね、姉さん!?」
「お姉さまもお目覚めだな。さて、早速だがお前達には死んでもらう。だがただ殺すだけじゃ俺たちの恨みは晴れないんでな、徹底的に痛めつけてから殺してやる。楽に逝けるなんて思わない事だ」
「恨みですって!? 私たちはここまでされる程の事をした覚えはありません! 早急に解放しなさい!」
「黙れよお姉さま」
「はぐッ!?」
「ね、姉さん! 大丈夫なの!?」
「口を慎めよ小娘が。今のは景気付けの一発だ。オイ、妹の方にもやれ」
「あいっす、へっへへへ・・・ふんっ!」
「がふっ!!?」
「ひぐぅっ」
「まだまだこれからだ・・・徹底的にやるからな。お前の
「なんで、どうして・・・」
「いいなその顔・・・お嬢様にはピッタリなボコボコの顔だなぁオイ」
「っ!? その音、チェーンソー・・・? ま、まさか! 本当に!?」
「言ったはずだぜお嬢様達。全てをそぎ落として泣き叫ばせてやるって。まずは妹の左腕からな。すぐに止血はしてやるよ。あっという間に死なれたらこっちが欲求不満に終わっちまう」
「ままま待って! お願いだからそれだけはッ━━━━━━
「う、うぅ・・・ぐぅっ! イヤ、イヤイヤイヤ止めてっ・・・イタイイタイイタイイタイ!? お願い・・・もう、イヤだ・・・」
「イヤだと言われて止める訳は、ナイだろ?」
「・・・ふぃー。大分痛めつけてやったな。まだまだ足りねえけど」
「・・・お願い。もう、いっそ殺して」
「ヤダね。まだまだ死なせられない。まだ俺たちの復讐は終わってない。もっと苦しみを味わえ」
「お願い・・・もう耐えられな、い」
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「っ!?」
ガバリっ。魘されていたスケアクロウはその瞬間、ものすごい勢いで跳ね起きた。額から滴り落ちる自らの汗、荒い呼吸、煩いくらい鳴り響く胸の鼓動・・・誰にとっても最悪の目覚めであろう。
暫くして多量の寝汗によるものか、あるいは精神的なものか、彼女の体が小刻みに震えだす。体を巡る悪寒に無意識に体を抱こうとしたその時、彼女はようやく自身の左手が誰かに握られていることに気付く。
「・・・おかえり。ここは俺たちの寝ぐらでキミの部屋だ。分かるか?」
「え、えぇ・・・」
「すまないな。ふと夜中に目が覚めた折、この部屋から呻くような声が聞こえたんでな。万一ウィルスか何かだとマズイから、無礼を承知で入らせてもらった」
「そう、でしたの・・・」
そう言ったきり目を伏せるスケアクロウに、レイは手を握ったまま自らの胸へと彼女の体を抱き寄せる。
「!? れ、れれれレイ!?」
「だいじょーぶだ
「あ・・・」
背中をゆっくりと擦り、時折ポンポン叩くレイ。
いつにない優しさに溢れた顔を浮かべ、震える彼女の体を温める様に抱擁していた。
そうしていること暫し。
少しだけ心の落ち着いたスケアクロウが、ぽつりと零す様に小さく呟いた。
「・・・夢、を見たんですの」
「あぁ」
「体の至る所を殴られ蹴られ、挙句両腕、両足を切り落とされたんです」
「・・・あぁ」
「もう、耐えられなくて、苦しくて、痛くて・・・死んだ方がマシだと思えるくらい・・・!」
「サーリャ、それは夢であって現実じゃない。とても怖かったんだと思う、けどここにキミをそんな目に遭わせるクソ野郎はいない。俺も、ティナも、ギルドの連中も。
大丈夫。キミは五体満足な”この”現実に生きてる。俺たちが付いてる。すぐに忘れるのは無理かもしれないけど、現実でそんな事絶対に起こさせはしない。約束する」
「・・・約、束?」
涙に濡れて目元の腫れた顔を上げるスケアクロウ。
レイは少しだけ体を離し、彼女と同じ目線で見据えた。
「俺の仕事はもうキミ無しでは考えられない。そのくらい頼りにしてる大事なパートナーなんだ。大切な仲間を夢で見た様な状況なんかに絶対巻き込んでたまるかってな。
だから約束だ。そんな事態は起こさせない。そして俺はそれが出来るくらいには実力があると思ってる。・・・これでもサーリャは安心できないか?」
僅かに目を細め、ちょっぴり不安げに見つめるレイ。だがその言葉には彼女を守るという確固たる決意が宿っていた。
彼の決意を正面から受けたスケアクロウは、涙まじりではあるが頰に微かな紅みを帯びた微笑みを返す。
思わず息を止め、じっと見入ってしまうレイ。彼がスケアクロウを”意識”し、見惚れた瞬間だ。
だが気付くと照れ隠しに頭を掻きながら、寝汗を大量にかいてしまっている彼女に着替えと体を拭くように促した。
「と、とりあえずだ。今日は着替えて俺のベッドで寝ると良い。汗で濡れた布団は明日洗って干そう。俺はお湯沸かしてくるから、着替えの用意だけ整えて体冷やさないようにしてなよ」
「え、えぇ」
「んじゃ沸いたらノックするから」
戸惑いや緊張のせいか、らしくない早口で要件だけ伝えるとレイはパパッと部屋を出て行ってしまう。
滅多に見せない彼のそんな姿にポカンとしていたスケアクロウだが、飲み込んでいくとやがておかしさがこみ上げてきたらしく、クスクスと笑い始める。
彼女の顔にはもう、悪夢で魘されたことへの恐怖心は浮かんでいない。
部屋を出たレイ。
彼は体を拭くタオルを浸けるお湯を沸かしながら、スケアクロウとの会話を思い出していた。
悪夢の内容。リンチを受け、四肢を切り落とされた・・・考えるだけでも凄惨そのものな事件現場だ。
好き好んで見たいかどうかはともかく、夢の内容自体は別におかしな話ではない。人の想像力によっては、そのような類の悪夢に魘されるということもあるだろうし、実際レイも過去の仕事の経緯からその手の恐怖を煽る悪夢を見たのも一度や二度ではないからだ。
問題なのは、夢を見たのが誰なのかという点だ。
(スリープモードは起きてる時の行動で蓄積した余分なキャッシュ除去や、記憶情報の最適化を図るためにある機能だ)
記憶の最適化、という一面で見れば夢を見る可能性はあるかもしれない。
しかし、民間人と同じ屋根の下で暮らす民生人形ならともかく、戦術人形に夢を見る機能を付ける理由は何か?
しかもI.O.P.の様に民生人形を戦術人形化したのではなく、初めから戦闘目的に開発された
・・・いや、無い。
夢を見たからといってコミュニケーションに幅が大きく広がるという訳でも無い。一時の話題にはなるかもしれないが、それだけだろう。
(そういえば、スケアクロウの『サーリャ』って名前・・・)
とある女仕事人を抹殺する依頼を遂行する際、変装した彼女が名乗る偽名に自らサーリャを指定してきたのを思い出す。
あの時は理由を聞いても恥ずかしがるだけで答えてくれなかったが、そう呼んでほしい何か大きな理由があった?
(リンチ、手足の切り落とし・・・さっき聞いた夢の内容も、思えば随分と実感の籠った恐怖が声に宿っていた気がする)
その時、レイの頭の中に嫌な予感が過る。
それが的を射ているのであれば、鉄血はとんでもない所業を犯している事になる。
「・・・明日、リーサに聞いてみるか。戦術人形が夢を見る事はあるのか・・・それと━━━
過去に鉄血の関係者に存在したかどうかを、な
シリアスなムードが漂ってきた一方で、汗まみれになってしまったベッドの代わりに自分のベッドで寝かせるべく、部屋にスケアクロウを招いたレイ。
が、なぜか彼女の体をぬくいタオルでやさしくていねーいに拭き拭きしたり、『貴方の寝床にお邪魔するんですもの、貴方もここで寝ましょう?』とか色々押し問答する羽目になり、結局一緒のベッドで寝ることになりました。
・・・そこまで書いてたら投稿の間が空きすぎるので、本編では割愛します。
書きたい方がいればどうぞ書いて下さい♪ 見に行きます汗
というか誰か甘々なこのシーン書いて下さい(土下座)