裏稼業とカカシさん(旧題:裏稼業の何でも屋が出向く先には必ずカカシが待っている件) 作:chaosraven
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お待たせしております。
大型コラボレーション(当社比)の第二部でござんす。
キナ臭さが増していく・・・。
「R20地区に向かえ?」
今日の仕事を終えてギルドに報告していた夕暮れ時。担当のアインスから別業務にそのまま向かえとオーダーが入った。
R20地区はG&Kが管轄してる一地帯で、いくつかのビルが立ち並ぶ等賑やかな一方でスラムも大きい、住民の貧富の差が激しいと言われている地区だ。
今いる場所はR20から約30km離れた辺り。地区直通のハイウェイもあるから行く事自体に問題は無いが・・・。
『クルーガーからの指名よ。ココ最近イレギュラーな取引をしてた武器商の話は聞いてる?』
「あん? あぁ、フォックスが調べ回ってた件か。確かヘンブ・・・なんつったっけか?」
小耳に挟んだ程度の噂は聞いていたが、名前までは思い出せない。
『ヘンブリー・ステイン。元薬物商で、昔グリフィンに取引を潰されて武器商になった男よ。
今日私らの情報を元に、グリフィンの特殊部隊が奴の車列を奇襲したの。で、とんでもないモノを見つけたから急遽本部に運んで尋問、出てきたのがR20の
「ほぉーん」
ご指名を頂いたというあたりで鼻がピクリとし、続く情報に益々の面倒事なニオイを感じ取れた。
そもそもギルドが察知したイレギュラーな取引ってのは、文字通りエリア近辺の相場を上回る規模の物流があったとのことで、要はこれが何かデカイ出来事の前触れなんじゃなかろうかと警戒していたのが始まりだ。
肝心の男の名前こそちゃんと把握してなかった俺だが、これは言い換えればそれだけウラでは知名度の低いありふれた武器商の一人ということ。そんな奴にわざわざ調査を入れる辺り、どう考えても自力だけで集められない量の武器を集めてる可能性があったのだろう。
さらにG&Kに取引を潰された過去の持ち主となれば、誰だってそんな事してりゃG&Kに蜂起でも考えてるんじゃと思いつく。だから、事前に部隊を配置して奇襲させた。
問題はアインスの言う『とんでもないモノ』とやら。
・・・余程の戦略兵器か、あるいはG&Kにとっての天敵になる様なモンでも積んでたか?
「・・・身内で尋問して答えを引き出したんなら、特殊部隊もとっくにR20に向かわせてるんだろ? なんで非合法組織の俺まで現場に送り込む必要がある?」
『ドールズジャマー』
「あ?」
発された単語に顔が引き攣った。
『ヘンブリーが運んでたブツの内の一つよ。他にはジャベリン、ミニガン、RPGなどなどなど。随分な大火器を複数台のトラックに載せて運んでたみたいだけど、中でも不味いのがジャマー。グリフィンで解体して独自に解析したら驚愕の結果が出たわ」
解析したら驚愕の結果が出た、ねぇ・・・。
「・・・半径15m以内にいる戦術人形は全滅、とかか?」
思い浮かんだ厄介そうなスペックを口にしてみた。
この出力なら、満遍なく展開出来るように複数配置すれば、人形メインの部隊なんて簡単に殺せてしまえる。
が、その位だったらまだマシだったかもねと前置きした上で、予想よりも悪い事実を告げた。
『残念。半径30メートル以内は例外なく電脳が焼き切れ、50メートル以内でも行動不能に陥る。妨害波が強力すぎて、付近にある電子機器ももれなく狂わせるレベルよ。ティナはもちろん、電子戦モデルのスケアクロウも恐らく危険ね』
・・・一体何の冗談だ。
ある程度対策がされてる筈のスケアクロウですらも危険? 妨害波が強過ぎて近くの電子機器も漏れなく狂わせる?
そこまで出力強化したジャマーを持って何をするつもりだ。
いや、武装蜂起を目論んでるのはハッキリしてる。だがそんだけの代物、まずヘンブリー程度の男が用意出来る規模じゃない。裏で金を出してる奴がいる。
・・・運んでた武器を聞く限り、それらを使った蜂起はちょっとしたテロとかそういうレベルじゃ済まないのは一目瞭然だ。
その上、制圧に来た主戦力の人形部隊はジャマーで軒並みノックダウン。実際に蜂起が発生すれば、状況は最悪に近い展開に流れてくだろう。
「・・・・・・随分と過剰な出力だな。というかそこまで行くと、最早仲間同士で通信を取り合うのも難しくなるレベルだろうに。装備に下手な電子機器も詰め込めない・・・いや違うな。
普段は出力抑えめで使うが、いざって時には周り諸共まとめてクラッシュさせられるってか。どっちにしても頭の痛い問題だぜ。どこの馬鹿がそんなとんでもない爆弾作りやがったんだか」
『データは無いわね。公的機関向けに卸されてるモノを改造したみたいだから』
「チッ、改造を手掛けた奴は人形に余程の恨みでも抱えてるのか・・・」
『どうだかね。とにかくよ』
アインスは一区切りの間を置き、ギルドの人間として正式に俺に仕事を回した。
『指名されてる以上、受けない理由は無いわ。幸いアンタはヌルのハイヤーをした直後で、乗ってる車はパナメルカーラ。敵に逃げられても追い付けるし、防弾仕様だからそこらの小銃程度じゃ走りにも影響無い。
ハイウェイの受付には話通しとくから、上がってR20地区に急行して。スケアクロウ達にアンタの装備は持たせてる。合流ポイントは追って車のOSに送っとくわ』
「・・・せめて一旦ギルドに戻ってからじゃダメなのか?」
『一刻を争うわ。グリフィンの影響力が下がれば私達の収入源も減るのよ』
「そうは言ってもねぇ・・・」
俺は自分の格好、周りの状況を見渡してみた。
アインスの言った通り、今日の俺の仕事は
加えて俺の服装はハイヤーらしくスーツにケピ帽、白手に目線隠しも兼ねた黒塗りのスマートグラス。普段の戦闘服といった着替えの類は積んでない。必要無いから。
どうしたって長くなる仕事、それもドンパチ込みだろ? せめてギルドに帰ってシャワー浴びるか体拭くくらいしてから行きたい所なんだが、スケアクロウに
「なぁ、スケアクロウは何で現場に来るんだ? それと一緒に乗ってるのは誰だ?」
『ティナよ。心配しなくても、流石にオンボロを勝手に動かしたりはしてないから安心して。ギルドが持ってるスーパースポーツで行かせたわ。一応二人にそれぞれストレージも持たせてるし、合流した後すぐに仕舞えるわ』
二人それぞれにストレージを持たせてると。アインスの方でもこれは長くなる仕事と見てるらしい。
アイツの事だから中に詰め込む弾や武器のチョイスはしっかりしてると思うが、念の為突っ込んだモノのリストも合わせて送らせるか。
「・・・分かった。今からR20地区に向かう。
二人のストレージに入れた物のリストも一応送っt」
言いかけたその時、アインスから端末に着信があったことがスマートグラスに表示された。
『何か言った?』
「いいや、痒い所に手が届く仕事をどうもありがとう」
『帰ったら酒に付き合いなさい。それで労われてやるわ』
「ハッ、言ってろ」
通話を終えると同時に、パナメルカーラの内部OSが勝手にナビの目的地を入力し始める。
・・・このOS、俺達の会話を聞いてたな? ちゃんと正しいルートを割り出してナビゲートするつもりでいやがる。
「ふぅ・・・Hi カルフェル」
『Hello Mr.レイ。目的地の入力は既に済んでいます。出発しますか?』
「直ちに現場に急行しろ、だそうだ。動力配分をリア6に変更、飛ばすぞ」
『かしこまりました。いつでも行けます』
俺は着座姿勢を整え、ステアリングに両手を添える。すると座席とハンドル位置が勝手に動き出し、登録してある俺のドライビングポジションで固定される。サイド、ルームミラーの位置も完璧、センサー類の動作にも問題無し、駆動モードも一番スピードの出る設定に変更されてるし、動力配分も前:後で4:6になってる。
・・・つくづく、コーラップスが起こる前の車の機械制御は凄え仕様だと思う。『
『・・・ワタシに乗ってるにも関わらず他のクルマの事を考えるなんて、相変わらず浮気症でトンデモネエ方ですね』
「こんな世の中にならなかったifの世界を思い浮かべてただけだよ。さて、それじゃ行きますかね」
『何度も繰り返したフレーズですが』
「ん?」
『貴方に最高のドライブフィーリングをお約束致します』
「フッ、あいよ」
シートベルトを締め、ブレーキを踏んでシフトをDレンジへ。
直後、今までバッテリーのみの動作で静かだった筈の車体に響くセルモーターの音。間も無く吹き上がる心地良いエキゾースト音と共に、車体を4.0LのV8ツインターボエンジンが揺らす。
・・・イイね、この感触。サルーンでありながらハイパフォーマンス、矛盾しそうでしてない緻密なクルマ作りの集大成だ。
俺はステアリングを握りしめ、アクセルを踏み込んでハイウェイのICへと駆け出した。
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R20地区一般商業区画に建つ、とある商業ビルの屋上。
タイ無しのスーツに黒のロングコートを羽織った男・・・グリージョは、高層故の風に髪を靡かせ、眼下の街並みをサングラス越しに見下ろしながら耳のインカムで話していた。
『グリージョ。囮役のヘボ商人、全部喋ったよ』
「想定内だ。
『あ、そう? で、グリフィンに押収された武器はどうするんだい? あれ揃えるにもまあまあ金掛かったんだろ?』
「問題無い。無駄に溜め込んだ
『へぇ? まぁ良いけど。ヘンブリーの処遇は? 処すか?』
「ヤるなら気付かれない様にしろよ。お前の眷属を使って上手い事やれば良い。ヤツが生きてようが死んでようが、プランの進行に影響は無い」
『りょうかーい。んじゃまた後で・・・あぁそうそう』
「なんだ?」
『眷属からの情報だけど、グリフィン本部直轄の『MAG』が動き出したよ。そっちに向かってる、気を付けな』
「ふむ・・・分かった。そちらは引き続き任せるぞ、『
インカムから手を離したグリージョ。
その顔には好戦的な笑みが浮かぶ。
「前線で戦う指揮官率いる特殊部隊、ね・・・お手並み拝見だな。ロッソ、聞こえるか」
『どうしたの?』
「クルーガーの切り札が此方に来るそうだ。接客は任せる」
『食べて良い?』
カクン、掛けていたサングラスがズレた。
「良い訳あるか。人間態のお前にどれ程やれるか調べるだけだ。能力次第でどうするか決める」
『彼、私相手にやれるの?』
「軍人時代のかつての経歴・・・カーターが寄越した
『・・・なぁにそれ、すっごくムカつくんだけど?』
スピーカー越しの相手が露骨に拗ねていくのが分かる。ただの元軍人がそこまでの実力を持つなんてと言いたげだ。
「Mr.ブリッツ・・・軍人時代はブランクと呼ばれてたようだが、この男の戦闘能力は本物だ。今奴が管轄しているS-10地区基地も、元々鉄血に占領された拠点を
気を抜くなよロッソ。生身の人間が鉄血の巣に潜り込んで奪い返したんだ。人間態の俺達では、油断すれば直ぐに狩られると思え」
『・・・・・・面白くないわね。でも分かったわ。あ、搬入の方だけど』
「何かあったか?」
『全〜然。今予定してた武器全部の納入とチェックが終わったトコよ。にしても、グリージョも意地の悪いこと考えるわよね?』
「意地が悪い?」
少しだけ眉がへの字に曲がる。
『そうよ。鉄血が開発した『ストレージ』の技術を流用して、色んな物に紛れ込ませて武器を密輸するなんて。公に広まったらウラに革命が起こるわよ』
「消える運命だった企業が心血注いで造った技術だ。使わないで歴史に埋もれさせるには惜しい。
それに、当分コレを公にする気は無い。使えるだけ使う。・・・我々の計画の為に」
『ンフフ、そうね♪ じゃあまた後の定時連絡でね』
「あぁ」
グリージョは通話を切ると、懐からタバコを取り出し火を点ける。
咥えたまま口から煙を吐き出すと、その口元はこれから訪れるであろう愉悦に歪んだ。
小ネタ解説
〜
レイの乗るクルマを作った『カレラ・フェルディナント』製車載型AI。ギルド所有の車ではパナメルカーラに搭載されている。
レイのオンボロと同様、製造されてから30年以上経つクルマのパナメルカーラだが、この間カルフェルの学習記憶は一回も消去を含む人の手によるデータの整理が行われていない。
そのため、現在のユーザーであるギルド関係者の口の悪さまで移ってしまい、丁寧語の中に所々に口調がぶっきらぼうだったりぞんざいなフレーズや言い回しが混じる等、言葉使いだけ聞けば高級車メーカー製のAIとは思えない状態になってしまっている。
が、レイよりも長い時間を稼働してきたのは伊達ではなく、今まで学習してきた経験は他のあらゆる機械に積まれた人工知能の比ではない。人の細かな言い回しの違い、イントネーションの聞き分け、状況に応じた臨機応変的な対応力の高さは、2030年以前に作られたクルマとは思えない程の、極めて高い応答性を兼ね備えた唯一無二のAIとなっている。
※ちなみに余談ですが、カレラ・フェルディナント社のモデルはドイツのポルシェ。(創業者がフェルディナント・ポルシェ博士 + ポルシェを代表するクルマが『カレラ』であることに由来)
パナメルカーラは同社のパナメーラというクルマ、カルフェルはメルセデス・ベンツの車載AI『MBUX』をそれぞれモデルにしています。ご興味あったら調べてみてください( ̄▽ ̄)/
以下あとがき↓
協定統合が実装され、確定でスケアクロウさんが囚われ仲間に加わると言う事で・・・
ワタス? もちろん速攻でLv.90まで上げましたとも。星5にもしましたとも。指輪も送りましたとも。スキル全部上げるのにはまだ時間かかりますがね・・・。
現在エクスキューショナーのエリアが星2の個体しか引っ掛からないため、次のリセット開放待ちでパルスが溜まってゆくこの頃。早いとこ彼女もお迎えしなければ(使命感)。
次回、どうなるのでしょうか(訳:どうなるんだろう)