田所浩二は女の子である   作:ほろろぎ

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珍しく連日の投稿イクゾオオオ!! オエッ!!


第13話 大乱闘スマッシュ勇者部ラザーズ 後編

 満開~。その呟きによって、田所の体が目も眩むほどの輝きに包まれる。

 光が晴れた後には、全身を銀色のメタリックカラーに染め上げた田所が立っていた。

 頭部には単眼のゴーグルを装着している。というか、それしか身に着けていない。

 満開状態の田所はなぜか裸だったのだ。

 

「「「「ファッ!?」」」」

 

 田所と、この場にいない夏凜以外の少女たちが驚きの声を上げた。

 心なしかスタークラスターもおっぱげているように感じられる。

 そのスタークラスターが、田所に向けて数十発の火球を放ってきた。

 

 バァン!

 

 盛大な大破音を響かせた爆発が起こる。

 

「タド!」

 

 心配の声を上げる風だが、炎が消えた後には無傷の田所が立っていた。

 そして、彼女の手には一振りの日本刀が握られている。

 

「じゃあ、まずは迫真一刀流の基本の、聖剣・月から教えるから」

 

 刀を抜き放つ田所。彼女が持つ聖剣・月によってもたらされた斬撃は、驚くべきことに一刀のもとにレオ・スタークラスターを真っ二つに両断した。

 これが満開の力だ。それもただの満開ではない。

 大赦のシステムアップデートによる今の満開は、従来の満開が勇者の力を10倍ちょっとにするものだとしたら、今回は120倍くらいじゃないすか?

 

「すごいじゃないタド! アタシの剣でも傷つかなかったのに、一体何をやったの?」

「袈裟ですね」

「袈裟ぁ!?」

 

 ただの袈裟切りであのバカげた威力を繰り出したと言う田所に風はおっぱげた。

 

「まだや、まだまだ。まだ戦いは続いてんだよ」

 

 そう言う田所はまだ満開を解かない。

 彼女の言葉通り、スタークラスターはまだ倒せていなかった。

 切られた傷を修復したスタークラスターは、さらに形態を変化させ始める。

 

「!?」

 

 姿を変えて最終進化を果たしたレオ・スタークラスター。

 その様を見た田所の顔が驚愕に染まった。

 

「その顔は……まさか、AKYS!?」

 

 悲鳴にも似た田所の叫び。AKYSとは、迫真空手の創始者でもある彼女の師匠の名前だ。

 進化したAKYSスタークラスターの姿は、かつて師事していた恩師そのものであった。

 失われていた彼女の記憶の一部が、図らずも戻ってきた瞬間である。

 

 スタークラスターは体に備わっている巨大な2本の角状の部位を、人間の腕に似た形状に変化させる。

 そして、その腕を使って田所に向かって、迫真空手による攻撃を行ってきた。

 

「AKYSォ、やめルルォ! 迫真空手はこんなことをするために創ったんじゃないだルルォ!?」

 

 田所は必死に叫ぶが、スタークラスターには聞こえていないようだ。

 叩き込まれる攻撃をさばいていく田所。その中で彼女は、スタークラスターの拳に『魂』や『信念』といったものが込められていないことに気付いた。

 

「そうか……こいつはAKYSなんかじゃない。ただ姿を真似しただけの偽物だって、はっきり分かんだね」

 

 本物のAKYSでないのなら自分にも勝ち目はある。

 しかしAKYSスタークラスターは腕を倍の4本に増やしたことで一転攻勢。

 手数に押された田所はやがて攻撃をさばききれなくなり、腹筋ボコボコにパンチくらって叩きのめされてしまった。

 ぐったりとする田所を掴み上げると、スタークラスターは4本の手で彼女を握りつぶそうと力を込める。

 

「痛い痛い! アンギャアアアアア!!」

 

 苦しみもだえる田所。彼女を助けなければと、樹は痛む体に鞭打って立ち上がる。

 

「タド先輩は私を助けてくれるって言ったけど……私だって、いつまでも守られるばかりじゃダメなんだ……だから、満開!!」

 

 樹は田所に使用を禁じられていた満開システムを起動した。

 光と共に彼女のモチーフである成子百合の花が咲き誇り、その姿が一変する。

 

「先輩を離してっ!」

 

 満開した樹の勇者服に装備されたいくつもの装置から、無数のワイヤーが放射される。

 それはスタークラスターの腕に巻きつくと、田所を拘束していた4本の腕をこともなげに切断した。

 AKYSは太陽のごとき大火球を生成し、それを樹に向かって撃ちだす。

 

「樹、逃げてー!!」

 

 風が叫んだ。

 だが樹は避けることをせず、正面から火球を見据える。

 ワイヤーを網状に構築すると、まるで虫でも捕まえるように大火球をキャッチしたではないか。

 

「そんなこと、しちゃぁダメだろ!」

 

 叫ぶ樹は火球ごと網を振り回し、AKYSに跳ね返した。これぞ姉の風直伝の技を利用した、1人犬吠埼大車輪だ。

 返された火球はAKYSに直撃し大爆発を起こす。

 渾身の攻撃だったのか、AKYSは爆発によるダメージで体の各部が崩壊し、樹海に墜落した。

 風たちは「はえ~、すっごい強い……」と、樹の雄姿を呆気にとられた様に眺めている。

 

「! 皆さん、御霊が出ます!」

 

 樹の声にAKYSに視線を向けると、確かにその体内から御霊が吐き出されたのだが……。

 

「はえ~、すっごい大っきい……」

 

 誰かがそう呟いた。

 AKYSスタークラスターの御霊は宇宙に飛び出ており、ちょっとした星ぐらいのサイズだったのだ。

 

「ふたご座は始末したわよー! ……って、なんだこの御霊!?」

 

 戻ってきた夏凜が、そのバカげたサイズにおっぱげる。

 AKYSスタークラスターの損傷が治りつつあることに気付いた樹。

 慌てて、起き上がろうとする怪物の巨体をワイヤーで拘束する。

 続けて風、東郷、夏凜もAKYSを封印するための儀式にとりかかった。

 

「これマズいわね……。どうやってあんなの壊せばいいのかしら」

 

 風が冷や汗をたらしながら言う。

 

「お前勝てねえなぁ? じゃあ俺が勝たしてやるか! しょうがねえなぁ~」

 

 田所が、自分が宇宙へ飛んで行って御霊を壊してくると言う。

 そこで友奈も同行すると言い出した。

 

「タドちゃん、合体バーテックスの攻撃で腕を怪我してるでしょ?」

 

 友奈の言うように、田所はAKYSの迫真空手を受け続けたことで両腕の骨を骨折していた。この怪我では巨大すぎる御霊の破壊はキツいですよ。

 

「この辺にぃ、空手をたしなんでる勇者部の少女、来てるらしいっすよ。じゃけん今(から2人で宇宙に)行きましょうね~」

 

 そう言うと、田所は友奈を抱え宇宙へと飛び立っていった。

 

 大気圏を抜け真空の宇宙へ到達した2人。

 地上からかなり近づいたおかげで、より御霊の巨大さが感じられる。

 

「……! タドちゃん、あれ!」

 

 友奈がなにかに気付き声を上げた。

 視線の先にはいくつものブロック状の物体が。それが2人に向かってくるではないか。

 どうやらこれはAKYSスタークラスターの御霊による攻撃のようだ。

 

「避けるぞ!」

「ダメだよ! 地上に落ちたら被害が出ちゃう!」

 

 友奈の制止を聞いて回避を止めた田所。

 代わりに聖剣・月による斬撃を飛ばすことで御霊の攻撃を破壊し、同時に地上への落下を阻止していく。

 

「あーダメダメダメ! 攻撃の数が多すぎてこっちを防ぐのに手一杯で、御霊を壊しに行けないゾ~!」

 

 どのみち負傷した田所の腕では、全長数100メートルはある御霊の破壊は難しいだろう。

 

「じゃあ私ギャラ貰って(御霊を壊してから地上に)帰るから」

 

 友奈は田所の手を離れて、1人御霊へ向かおうとする。その背に田所が声をかけた。

 

「YUN……無茶するんじゃねえゾ?」

「大丈夫だって、ヘーキヘーキ!」

 

 田所を安心させるように笑みを浮かべて、友奈は御霊へと飛んでいく。

 彼女に向かってくる攻撃は、田所が切り払っていき進むべき道を切り開いた。

 御霊の目前まで迫った友奈は、さらに加速して必殺の一撃を見舞う。

 

「勇者パーンチ!!」

 

 だが、その攻撃は大きすぎる御霊に傷一つ付けられなかった。

 

「だったら何度でも……!」

 

 そう言って両手で拳の連撃を加えるが、相変わらずヒビすら入れられない。

 地上でAKYSの封印をしている勇者たちにも焦りの色が見られる。封印の限界時間がもうすぐそこまで迫っているからだ。残りわずか数10秒……。

 もう迷っている暇はない。ここまで来たら勝つしかないのだ。

 友奈は心の中で田所に謝ると、気合と共に禁断の言葉を口にする。

 

「満開っ!!」

 

 宇宙に輝く星々と同等の光を放ち、桜の文様を背負った友奈が満開を果たした。

 その背には、巨大な2本の機械式アームが存在している。

 この両腕に使われている素材こそ、太古に存在した神鉄『ヒヒイロカネ』を大赦が科学の粋を集めて現代に再現した超硬耐久金属、『ヤメチクリウム合金』なのだ。

 

「行くよー! ギガンティック・勇者パアアアアアンチッ!!」

 

 メカアームを使った、星をも砕く必殺の勇者パンチは、見事御霊を粉砕することに成功した。

 

「やったぜ」

 

 ほっと一息つく友奈。同時に満開も解除される。

 

「やりますねぇ!」

 

 田所もやって来て、2人は勝利のハイタッチを交わす。

 やがて彼女たちの体は、重力に引かれて地球へ向けて落下を始めた。

 友奈を離さないように田所はギュッと抱きしめる。

 大気圏に近づき、徐々に体に熱を感じ始めた。

 

「ふぅ~、あっつ~」

 

 大気摩擦の熱気で汗が出てくる。

 このままだと熱で燃え尽きちゃいそうなんですけど、それは……大丈夫なんですかね?

 

「あっ」

 

 友奈が驚いたように声を発する。

 彼女らの前には精霊の牛鬼が現れていた。

 同時に牛鬼が張ったバリアが、2人を摩擦熱から守ってくれている。

 

「友奈、君はどこに落ちたい?」

「みんなの所に戻りたいよ……」

 

 二筋の流星となって地球へと落ちていく田所と友奈。

 その光は地上にいる風たちの目にも映っていた。

 御霊を壊されたことで、AKYSスタークラスターの体もすでに崩壊している。

 

「見て! こっちに来るわ!」

 

 夏凜が叫んだ。

 神樹の導きによるものか、田所と友奈は上手い具合に風たちが待つ樹海へと落下していった。

 

「! このままじゃ2人は地上にぶつかって大破してしまうわ!」

「慌てんなよ……慌てんな……」

 

 焦る東郷だが、樹が彼女を落ち着かせる。

 次いで減速できない田所たちのために、樹はワイヤーでネットを編み込み樹海に張り巡らせる。

 幾重にも張ったネットのおかげで2人を無事キャッチ。

 激戦だったにもかかわらず、勇者部は誰一人駆けることなく再び全員揃うことができた。

 だが……

 

「タド! 大丈夫!?」

「チカレタ……。すっげえきつかったゾ~。(SNNSK) 腕が痛いけど、生きてる証拠だよ」

 

 満開が解け、田所の姿も讃州中の学生服に戻っている。

 腕から出血しているが、命に別状はなさそうだ。

 東郷も友奈の元へ行き声をかける。

 

「友奈ちゃん! 友奈ちゃんが獅子座を倒したのね! やっぱり友奈ちゃんが勇者部で一番セクシー……エロいっ!」

 

 親友のことを褒め称える東郷だが、当の友奈からの返事が無い。

 

「……友奈ちゃん?」

 

 いつの間にか意識を失い、眠っている友奈の体を揺する。しかし友奈は一向に目を覚まさない。

 

「友奈ちゃん! しっかりして! 友奈ちゃん!?」

 

 いくら大声で叫んでも、体を揺すっても、友奈の意識は戻らなかった。

 樹海化が解け、少女たちは讃州中学の屋上に戻される。

 夏凜は慌てて大赦に連絡を取り、救急医療班を手配してもらった。

 その間もみんな友奈を心配し声をかけ続ける。

 

 どうやら少女たちの苦難は、まだ終わった訳ではないようだ……。




アニメほんへがここまででたった5話の出来事とかうせやろ? 展開が濃スギィ!

この作品も1つの山場を越えたので、次回から章をまたぎます
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