田所浩二は女の子である   作:ほろろぎ

20 / 21
最終決戦は、聖闘士星矢の神との戦いをイメージして書いてます


第20話 不滅の(たましい)

 満開を完了した勇者たちは、今度もすべての攻撃を一点に集中してGOに見舞う。

 

「ギガンティック・勇者パアアアアアンチッ!!」

「「「「「はああああーっ!!」」」」」

 

 通常の120倍くらいに強化された攻撃は、今度こそGOの展開したバリアを砕き、彼の体に触れることに成功した。

 

「あれーおかしいね、全然ダメージを受けてないね」

 

 田所がこぼした。

 勇者たちの攻撃は確かにGOの体に直撃した。

 しかしGOは平然としている。

 

「! みんな、見て!」

 

 友奈が驚愕の声を上げた。

 

「GOの体の中に、宇宙空間が広がっている!?」

 

 田所の言うように、攻撃を受けたGOの体は宇宙と繋がり、全ての攻撃の威力はその中に吸収され、受け流されていたのだ。

 

「カスが効かねえんだよ!」

 

 さらにGO自身による呪力攻撃、『チンポガ』が発動。

 

「ぬわああああん!!」

「「「「「うあぁーッ!?」」」」」

 

 田所がとっさに前に出ることで盾となり直撃は防いだものの、それでもチンポガの威力はすさまじかった。

 余波だけで、これまで無敵を誇っていたヤメチクリウム合金製の満開の装甲が砕けてしまったのだ。

 これが神と人の力の差なのか……。

 

「やっぱりカラダはトータルバランス!! 残念した~」

 

 倒れている勇者部の姿を見て、GOは勝ち誇ったように言い放つ。

 

「ごほっ……!」

 

 チンポガの直撃を受けた田所は、口から血を吐いた。

 体の至る所さん!? からも出血している。

 

「手を入れる専門家も呼んであるからな」

 

 そう言うと、GOは手刀にエネルギーを収束させ刃を作り、それを田所のどてっ腹に突き刺した。

 

「ぐはぁ!(致命傷)」

 

 田所は苦悶の叫びと共にさらに吐血する。

 

「タド……!」

「タドちゃん……!」

 

 風たちは串刺しにされた田所を見て、痛む体に鞭を打って立ち上がる。

 その様を見たGOは、見下すように「哀れ」と一言漏らした。

 さらに追撃のチンポガを見舞う。

 

「なんのぉーっ!!」

 

 夏凜が叫ぶ。

 同時に他の勇者たちも、チンポガの直撃を超スピード!? で回避することに成功した。

 

「なんだと!?」

 

 これまで余裕の表情を崩さなかったGOの顔に、初めて驚きの色が生まれた。

 

「勇者に一度見た技は、二度とは通じないのよッ!」

 

 夏凜はそう言うと、満開で発生した4本のサブアームを使い6刀流の剣戟を駆使し、GOに切りかかる。

 しかし、6本の刀はGOに触れる前にバリアで阻まれてしまった。

 

「無駄だよ。そのバリアは、私の『どうぞ』という声でしか解除されないのだ」

「くっ……!」

 

 夏凜1人の力ではGOのバリアは破れない。

 だがここには仲間たちがいる。

 

「アタシたちの攻撃が通じないなら、それよりも強い力を加えればいい! そのためには協力、あとは協力。あとは協力と。あと、友情、ですね。それさえあれば、いけると思いまスゥゥー」

 

 風はそう言いながら、巨大化させた大剣を叩きつける。

 

 バキィ!

 

 2人の力が合わさったことで、ついにバリアを砕くことができた。

 まさか破られると思っていなかったGOの顔が、再び驚愕に染まる。

 

「東郷さん! 樹ちゃん! 行くよ!!」

 

 友奈の声に合わせて東郷が、戦艦状の満開の武装から大砲のようなお太いビームを放った。

 

「ちぃっ!!」

 

 GOは両手を体の前で交差しビームに耐える。

 そこに、樹がワイヤーを友奈の体に巻き付け振り回すことで、遠心力を加算した必殺パンチが加わる。

 

「ギガンティック・大車輪・勇者パアアアアアンチ!!」

 

 友奈の拳はGOの胸に直撃した。

 だが、GOは必殺の技を受けて尚平然としている。

 

「オラどけコラ!」

 

 チンポガの4倍の威力を持つ炎の攻撃、『シュバルゴ!』が放たれた。

 

「「「「「きゃあああああッ!!」」」」」

 

 今度は田所の身を挺しての防御もない。

 直撃したGOの手加減なしの攻撃により、人類の技術の結晶であるヤメチクリウムの装甲は粉々に砕かれた。

 強大な神の一撃により満開も解け、勇者たちは力を失い宇宙を漂う。

 

「だから(お前らの攻撃なんて)効かねえっつってんじゃねえか(棒読み)」

 

 感情のない平坦なGOの声。

 やはり人の力で神に抗おうなどと無謀でしかなかったのか。

 

「……ッ!? こっちにも衝撃が……きたぁ!」

 

 まったく通じていないと思われた勇者たちの攻撃。だが蓄積されたそれは、確実にGOの体に届いていた。

 GOは口から血を吐き、ガクリと膝をつく。

 初めて神に、人の力が届いた瞬間だった。

 

「じゃあ、(神の体に傷をつけるなんて大罪を犯した下等生物は惨たらしく)死のうか」

 

 取るに足らない存在と思っていた人間に傷を負わされた。

 そのことに怒りに顔をゆがませるGOは、再びシュバルゴを放とうとする。

 動けない少女たちの前に、フラつく体を無理に奮い立たせ友奈が立ち上がった。

 

「……ッ。YUN……逃げルルォ!」

 

 田所が叫ぶ。

 

「……逃げない……! 私は勇者だから、みんなのことを……まもるっ!」

 

 友奈の姿は通常の勇者服、それだけだ。GOの攻撃を受けてはひとたまりもない。

 しかし、楽に友奈を葬れる力を持っているGOは、なぜか彼女を攻撃しようとしない。

 友奈の顔をまじまじと見ながら、GOは「あっ、そっかぁ」と1つの事実に気付いた。

 

「お前、正規の時間軸でこの後、俺の体に怪我を負わせて眠りにつく原因になった、2015年(この時代)の勇者の生まれ変わりだな」

 

 GOの言う通り、勇者部がタイムスリップする前の時間では、この時代に初めて勇者となった5人の少女の1人──高嶋友奈がGOに深手を負わせ、神と人との決戦に終止符を打ったのだ。

 その高嶋友奈が、時代を超え結城友奈へと生まれ変わった。この事実にGOはさらに怒りを覚える。

 

「まさか同じ人間が、2度も神である俺に怪我を負わせるとはなぁ……。頭に来ますよ~。2度と転生できないよう魂をバラバラに引き裂いて、宇宙の果てにバラ撒くぞこの野郎!!」

 

 GOは、今度は迷わずにシュバルゴを友奈に向けた。

 牛鬼が全力で張ったバリアも、薄紙を貫くように突破される。

 

「友奈ちゃああああん!!」

 

 東郷が悲痛な叫びをあげる。

 迫るシュバルゴを防ぐ手立ては友奈にはない。

 このまま死を迎えるしかないのか……。

 

「やめろぉ! ……おうどん!(カズヤ)」

 

 叫びと共に飛び込んできた田所が、寸での所で友奈を抱えシュバルゴの軌道上から逃れた。

 

「いやぁ、ビビるって……ビビるわぁ!!(カズヤ)」

 

 死ぬかもしれなかった友奈の危険な行為を田所は叱責した。

 そしてフラつく友奈を東郷に預け、2人を後ろに下がらせる。

 向かい合うGOと田所。2柱の視線が交錯する。

 

「とりあえず土下座しろこの野郎。ヨツンヴァインなって犬の真似したら許してやるよ」

「GO、俺が必ずお前を止めてみせる……!」

「そういうの(大言壮語)いつも吐いてる?」

 

 GOが田所に向けてシュバルゴを放つ。

 

「満開~」

 

 もはや遠野の加護もない今、田所は自らの寿命を縮める行為である満開を迷わずに行った。

 聖剣・月を取り出し、正面からシュバルゴの威力を受け止める。

 

 バキィ!

 

 シュバルゴの直撃に耐えきれず、聖剣・月が折れた。

 さらに攻撃は田所の体にもダメージを与え、満開が解けてしまう。

 

「チンポガ」

 

 GOが追撃を放つ。

 

「くっ! 満開~」

「ダメよタドちゃん先輩! それ以上満開を使っては……!」

 

 田所は続けざまに満開を使った。

 それを見て、東郷は堪らずに制止する。

 

「どうしたの東郷? タドは満開を使っても反動は無いはずでしょ?」

 

 風はまだ、田所の満開の代償を知らない。彼女の言葉に、東郷は首を横に振った。

 

「タドちゃん先輩は、満開を使うたびに自分の寿命を削っているんです」

「ウッソだろお前……じゃあ、このままじゃタドは……!」

 

 GOを倒すまで田所の命が持つのか、これもう分んねえな。

 

「このままじゃ、たとえ俺を倒したとしても死んじまうかもしれねえんだぞ! 先輩、アンタ……命が惜しくはないのか!? 俺たちは神と言えど、永遠の生命を持っている訳じゃないんだぞ!!」

 

 神を自称していると言え、その実態は進化した人間。生物である以上、その命も無限ではなく限りがあるのだ。

 GOは、自分の命を顧みない田所に恐怖を覚えた。

 

「たとえ今この命が尽きたとしても……勇者部のみんなを、地球に住むみんなを想う心は……魂は永遠に不滅だ!!」

 

 田所が叫び、GOに迫る。

 

「なら、先輩も……『火で死ね』!!」

 

 太陽神アポロンとも形容される炎の神──GOの最大の技、地球全土を燃やし尽くした『火で死ね』が田所に放たれた。

 

「グっ……!」

 

 田所はそれを、折れた聖剣・月で受け止めた。

 炎を受けた刀身が徐々に溶け始める。

 

「音! 亜音!!」

 

 雄叫び一閃。刀身が溶けきるよりも先に音速の素早さで刀を振り回し、火で死ねを切り裂く。

 渾身の力でGOの最大威力の攻撃を相殺した代償に、聖剣・月は完全に砕け、田所の満開も解除されてしまった。

 

「俺の射程距離に近づけたゾ、GO……」

 

 代わりに田所は、GOの攻撃の範囲外である懐に入ることに成功する。

 

「聖剣・月はもう無くなっただルルォ? 今の先輩に攻撃手段なんてある訳がな~い♪」

 

 武器の無い田所にはもはや何も出来ない、とGOは高を括った。

 

「あのさぁ……もう神の天下はいいから、人に世界を返してもらってさ、終わりで良いんじゃない?(棒読み)」

 

 田所の右の拳が怪しく輝いた。

 それは光ではない。宇宙の暗黒よりも尚暗い、漆黒の闇色の輝き。

 この拳こそ、田所の究極の一撃。

 

「『邪拳・夜』……逝きましょうね……」

 

 この世の全ての光に闇をもたらす必滅の拳が、確かにGOの体に叩き込まれた。




多分次回でこの作品も終わるぜ
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。