田所浩二は女の子である   作:ほろろぎ

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第3話 ゴッド・ブレス

「まずうちさぁ……屋上……あんだけど、焼いてかない?」

 

 昼休みに入ったので、弁当でも食べながらこれまでの経緯を話そうと、田所は風を校舎の屋上に誘った。

 

「まずの意味が分からないし、ここはタドの家じゃないし、焼くってなにを?」

 

 風の疑問の声を無視して、田所は屋上に出るための扉を開く。

 だが今の季節は冬真っただ中であり、外は急な猛吹雪に見舞われていた。

 

「サムゥイ! 寒すぎィ! 雪降ってるじゃなーい!」

「こんな吹雪の中で昼食とか、拷問かな?」

 

 田所は即座にドアを閉じて建物の中に引き返した。

 

「仕方ないね(レ)」

 

 2人は屋上に出るのを断念して、出入り口のドアの内側の所に腰を下ろした。

 弁当を広げながら、田所はこれまでのできごとを語っていく。

 

 

 

◇ ◆ ◇ ◆

 

 

 

 時は戻り、まだ田所が大橋病院に入院してから数日後のことである。

 相変わらず彼女の近くに来ると、精密機械は不調になりきちんとした検査を受けることができないでいた。

 しかし看護婦と医師の懸命な手当てのおかげもあり、命にかかわる重症だった怪我は超スピード!?(レ)で回復していった。

 

 田所はベッドの上で横になりつつ、一緒に住もうと温かい言葉をかけてくれた犬吠埼姉妹のことに思いをはせていた。

 

「ンーーー、改めて考えると凄いな、って思うなあ。俺はやっぱ。凄いなあと思うなあ。

人も助けれるしさ、その人の心配もしちゃうし、ほんでー掃除も洗濯もできるでしょ?

ほんでー、さらには食事の支度してるって? ほんでー、妹の世話も一人でやってるって?

なかなかできないよ、そういうことは。なかなか難しいと思うよそういうことは。

そういうハートフルな人はなっかなかいないと思うよ」

 

 そんな時、田所の耳に自分の病室のドアをノックする音が聞こえてきた。

 

「入って、どうぞ」

「邪魔するぜぇ~」

 

 入室を許可すると、扉を開けて来訪者が姿を見せた。

 その人物の服装は、奇妙の一言に尽きる出で立ちである。

 神事を行う際に神官が身にまとう、白衣(びゃくえ)と呼ばれる白装束を上下に着込んでおり、顔の正面には誰か判別できないようになのか、植物のような模様が入った仮面をつけていた。

 

「ファッ!? だ↑れ↓だ、あんた!?」

「突然失礼いたします」

 

 田所は怪しさ全開のその人物に尋ねた。

 それに答えた白衣の人物は、声色から女性だと思われる。女性神官が田所に問いかけた。

 

「貴方の御名前を、お聞かせください」

「……田所 浩二だけど……」

「タクラマカン砂漠様ですね」

「なんでどいつもこいつも、俺の名前を覚えられないんですかねぇ……」

「気にしてはなりません。それで正しい(・・・・・・)のですから」

「? どういうこったよ?」

 

 女性神官は田所の疑問の声を無視して話を続ける。

 

「私は大赦から、神樹様のお告げにより貴方様に拝謁するためやって参りました」

「大赦? 神樹?」

 

 神樹の存在も、この世界の成り立ちもまだ知らない田所は、神官の言葉に首を傾げた。

 そんな彼女に神官は、公の歴史である世界のあらましを説明する。

 

「ウイルスのせいで世界が?!(重要)……滅んで?(驚愕)」

 

 四国という限られた土地でしか生存できない人類、という事実におっぱげる田所。

 

「神樹様は貴方様にお会いしたがっていらっしゃいます。どうか私と共に、大赦本部までおいでくださいますよう……」

 

 そう言って女性神官は、礼儀正しく頭を下げた。

 

「あっ、おい待てぃ! そんなことして俺に何のメリットがあるんですか(正論)」

「神樹様にお会いくだされば、貴方様の失われた記憶も蘇るかと」

「ほんとぉ?」

 

 突然現れた怪しい人物の言葉に疑いを隠せない田所。

 しかし現状目の前の女性に頼るしか、記憶に関する手掛かりがないのも事実だ。

 

「まま、ええわ。許したる。俺は大赦に行く。大赦が一番いいでしょやっぱ」

 

 こうして田所は、女性神官に連れられ病院から姿を消したのだった。

 

 

 

◇ ◆ ◇ ◆

 

 

 

 田所と女性神官が、病院の前に停められていた大赦専用の黒塗りの高級車であるトヨタ・センチュリーに乗りこむ。

 しばらく車に揺られ、大橋市にある大赦本部へと到着した。

 

「はえ^~すっごい大きい……」

 

 大赦本部の建物は、これまで田所が目にしてきた建築物よりもはるかに巨大なものであった。実際に、大赦の建物はその重要性に見合った大きさに造られている。

 田所は女性神官の後をついて、本部の入口の前に立つ。ガチャン! ゴン! と大きな音を立てて重厚な扉が開かれた。

 

「入って、どうぞ」

「あっ、おじゃましまーす。家の中だぁ……」

 

 ギィー、ガッタン! 再び大きな音を響かせ扉が閉じられる。

 

「†悔い改めて†」

「あっ……すいません」

 

 突如神官に懺悔することを求められた田所。反射的に謝罪の言葉を口にしたが、具体的に何に謝ったのかは彼女にも分からない。

 

 女性神官に案内され、はぐれれば確実に迷って二度と外には出られないだろうと錯覚するほどの、迷路のような室内を進んでいく。

 やがて2人は建物の最奥へと到着した。そこもまた、木造りの重厚な扉が待ち構えている。

 

「ここより先は私は入ることを許されておりません。高枝切りバサミ様御一人でお入りください。中で神樹様が御待ちになっております」

 

 田所は扉の前に立ち、ノブに手をかけると、ゆっくりとそれを回した。

 扉を開けた先は吹き抜けの空間になっている。そこは建物の中であるもかかわらず、大きな泉が広がっており滝まで流れていた。

 

「はえ^~すっごい……」

 

 不思議な光景におっぱげながら、田所は広がる景色に目を奪われた。

 彼女の驚きはそれだけにとどまらない。泉の中心に、田所に会いたがっているという謎の神性、神樹が座しているのに気付いたからだ。

 神樹──それは読んで字のごとく、巨木の姿をした神なのである。その大きさは、普通の木であれば樹齢数万年でも足りないほどのスケールだ。

 

 風も吹き込まない室内であるにもかかわらず、神樹の枝に生い茂っている葉がサラサラと揺れた。それはまるで、田所を呼び寄せているようだった。

 田所は夢遊病者のようなフラフラとした足取りで、誘われるように泉の中に入ると神樹の元へ歩いて行く。

 神樹の根元までたどり着いた田所。見上げると、彼女の到来を喜んでいるかのように、枝がざわめいている。

 田所の方でも、なぜか初めて見る神樹に対して、懐かしさ(・・・・)としか表現できない感情が沸き上がってきていた。あるいはそれは、もっと大切な感情かもしれない。

 

「お ま た せ」

 

 不思議と田所の口から、そんな言葉が出てきていた。

 そっと自身の手で、神樹の幹に触れてみる。さらに優しく撫でまわしていく。それはまるで、男性の体を撫でるようないやらしさを意識させる手つきであった。

 突如、神樹が淡い光を発した。光は田所の周辺にも広がり、彼女の体を包んでいく。

 光の中で田所は、触れた手の平を通して神樹の意志ともいうべきものが、頭の中に流れ込んでくるのを感じた。

 はっきりとした言葉を持たないそれは、何と言っているのか明瞭に聞き取ることができない。

 しかし、田所の身を案じているような内容であることは、何となく察せられた。と同時に、別のところでは彼女に助けを求めているような、切迫した意思も感じることができる。

 

「オォン! アォン!」

 

 まるで複数の意識に触れているような感覚におちいる田所。直後、彼女の頭に自信についての失われていた過去の記憶が流れ込んできた。

 ごく少数のわずかな記憶であるにもかかわらず、まるでそれはパズルの枠に別のピースを無理やりはめ込んでいくような不快感を生じさせており、彼女の口から苦悶の声が漏れる。

 

「ファッ!? ウーン……」

 

 田所は不快感に耐えられず、ついには気を失い倒れてしまうのだった。

 

 

 

◇ ◆ ◇ ◆

 

 

 

「ってなことがあったんだよなぁ……」

 

 田所は一通りの説明を終えたところで、喉の渇きのため飲み物を口にした。

 

「神樹様に呼ばれてねぇ」

 

 風も、話を聞きつつ弁当を食べ終えたところだ。

 

「それで、結局タドの失くした記憶って?」

「俺の家族はもう全員死んじゃってて、親戚もいないから施設で暮らしてたんだ。で俺、水泳部だったから練習のために海で泳いでて、そこで溺れて記憶を失ったみたいなんだ」

 

 田所も身寄りのない、天涯孤独の身の上だったという。風はそれに共感を覚えた。

 

「タドも苦労してたのねぇ……」

 

 うっすらと涙ぐみながら、そう声をかける。

 

「でも、冬に海で泳ぐのはやめた方がいいわよ。下手したら寒さで死ぬから」

「反省してまーす」

 

 まったく反省していなさそうな声で田所は言った。「あっ、そうだ」と彼女は言葉を続ける。

 

FU()さ、お前さ、勇者になるんだってな」

「ファッ!?」

 

 田所の発言に驚く風。

 なぜなら、勇者という存在は世間には秘密にされているので、関係者以外には公言するなと春信に言われていたからだ。なぜ田所が勇者という存在について知っているのだろうか。

 

「んにゃぴ、神官さんから聞きました」

「ほんとぉ?」

 

 田所ははぐらかすように曖昧に答えた。

 

「俺もFUのこと手伝うよ。つっても俺はまだ勇者じゃないから、具体的に何ができるかはこれもうわかんねぇな」

 

 神樹を訪ねて大赦を訪れた際、彼女は勇者としての適性があるか検査されていたのだ。

 

「こ、これは……!?」

 

 測定器を使って田所の勇者適性を測っていた大赦の職員が、驚愕の声を上げた。

 

「この方の適性は、これまでの歴代最高値をはるかに上回っています!」

「そうですか。やはりタンタンの冒険様は、神樹様のお」

「いえ、待ってください!」

 

 女性神官の言葉を遮り職員が叫んだ。

 

「こんどは数値が下降していきます。こ、これは……適正がありません!」

「どういうことですか?」

「わかりません。測定器の数値が変動して安定しないのです」

 

 職員は目の前のできごとに困惑しながら答えた。このような現象は前代未聞のことである。

 結局機械の不調ということで、田所の勇者適性は不明と判断された。

 

「勇者かわかんないのに、なんでタドがそんなことするのよ。多分だけどすっごい危険だと思うわよ?」

 

 風が心配そうに声をかける。

 

「大赦から頼まれたんだよね。お前と同じで、生活の面倒見てくれるっていうからさ。それに、助けられた恩返しもしたいし」

 

 借りはちゃんと返す、そこのところを有耶無耶にしない田所は人間の鑑である。

 

「神樹からも、首突っ込んで場を引っ掻き回すくらいの勢いでIKEA! ってお告げがあったからま、多少はね?」

 

 これは半分嘘だ。神樹の感情には確かにそういった面もあったが、残り半分は田所を関わらせたくないという不安をはらんだものだった。

 

「この世界を守ってください! なんでもしますから!」

 

 田所は風に嘆願した。

 

「ん? 今なんでもするって言ったよね? じゃあ今日の宿題代わりにやってもらおうかな」

「やだよ、おう」

「聞くって言ったのに聞かないってのはおかしいだろそれよぉ!(正論)」

 

 田所は即答で返す。さっきなんでもすると言ったばかりなのに、約束を破る人間の屑がこの野郎。

 

「許してプンスカ……」

「冗談よ。せっかくだし、家で一緒に宿題やらない? 樹もタドに会いたいだろうし」

「あっいっすよ。(快諾) 一人の友人の家に遊びに行くなんてひさびさだから、楽しみっすよ」

 

 田所の話を聞いている間に、外の雪はすっかり止んでいた。雲の切れ間から太陽の光が差し込んでいる。2人は屋上に出て、日の光のすっげぇ温かさに包まれるのだった。

 

 ここまでで、実は田所は風に話していないことがいくつかあった。

 それは1人の少女との約束によるものであるのだが、それは目の前のあなたにだけ、これから語ろう。

 

 

 

◇ ◆ ◇ ◆

 

 

 

 続きだぜ。

 

「ヌッ!」

 

 神樹に触れ、過去の記憶の流入による不快感から意識を失っていた田所は、唐突に目を覚ました。

 目覚めた場所は、ついさっきまでいた神樹の座す泉ではない。

 そこは非常に薄暗く、目が慣れるとどこかの部屋の中ということが分かった。同時に、その部屋の異様さにも気づく。

 床や壁、天井にいたるまで、部屋の中にはいたるところに無数の人形(ひとがた)と呼ばれる、人間の姿を模した紙細工が貼りつけられている。まるで呪いの儀式にでも使われるようなありさまだ。

 

「はぁぁあああっ…!!(畏怖)」

 

 部屋の持つ不気味さに恐怖を覚えた田所は、フラつく体で外に出ようとする。そこで、ふいに彼女に呼びかける少女の声が響いた。

 

「あっ、おい待てぃ(江戸っ子)」

 

 その言葉に反応し田所は動きを止めた。振り向き、声の聞こえてきた方に顔を向ける。

 視線の先は部屋のちょうど真ん中。

 そこには神社の入り口にあるような鳥居状の物体が設置されており、その中には神棚とベッドと、その上に横になっている1人の少女の姿があった。

 こっちこっち、と少女は右手で田所を呼び寄せている。それに従い田所はベッドのそばに近づいていく。

 

「おっ、大丈夫か? 大丈夫か?」

 

 ベッド上の少女が、フラついている田所に声をかけた。

 少女は顔じゅうに包帯が巻き付けられており、わずかに見えるのは左目と口元のみである。声を聞かなければ性別の判断は難しかっただろう。

 体には入院患者が身に着けるような寝間着が着せられている。少女の服から覗いているのは顔と右手だけで、左手と両足があるべき個所に膨らみはなかった。

 なにか分からないが、とてつもない重症であるのは間違いない。

 

「お前の方が無事じゃなさそうなんですけど、それは大丈夫なんですかね……」

「大丈夫っすよ、バッチェ~元気ですよ~」

 

 田所は心配そうに包帯の少女に言うが、少女の方はなんでもないといった風に、あっけらかんと答えた。

 重病人に見えるが、そうは思えない明るさをもった謎の少女。そんな彼女が、自らの名前を名乗る。

 

「初めましてだね。私の名前は乃木 園子。あなたは……」

「……田所 浩二だ」

「ターボレンジャーさんかぁ」

「だから違げぇっつってんじゃねえかよ」

 

 名前を間違えられるのが当たり前となり、もはや棒読みで田所が訂正する。

 

「ごめんね~。私、人の名前覚えるのが苦手で……。あだ名だったら覚えやすいんだけどなぁ」

 

 園子は田所の姿をしげしげと眺めた。彼女の、野獣のような鋭さを持つ眼光が目につく。

 

「じゅうちぇるか……ぱいぱいやじゅ美はどうかな~?」

「えっ、なにそれは」

 

 独特のセンスを持つあだ名を提案され、田所は困惑した。

 

「んまぁ、そう……じゅうちぇるの方がマシですかね」

「よろしくね~、変態クソハゲステロイダーさん」

「酷すぎィ! ただの悪口じゃねえかそれよぉ、なぁ!」

「ウ ソ だ よ 。やじゅじゅはどうかな?」

「いいゾ~これ」

 

 『野獣』というワードからとったネーミング、それは意外と田所の気に入るものだった。

 あっそうだ、と園子が話を続ける。

 

「やじゅじゅをここに連れてきてもらったのは、私の指示なんさ」

「おまえが? なんで俺を?」

「神樹様がやじゅじゅの扱いに困ってるって聞いて、どんな人なんだろ~って気になって、会ってみたくなったんだ」

 

 扱いに困っているというのは、田所を勇者たちと接触させ共に戦わせるか、なにも知らせずにおくかということだ。

 2つの相反する考えがあるのは、神樹が複数の神の融合体で意見が割れているためである。

 

「勇者?」

 

 この時、田所は初めて勇者、そしてバーテックスのことを知った。勇者が世界を救える唯一の存在であることを、園子から聞かされる。

 

「我々大赦としては、タイキック様には勇者様の戦力となっていただきたいと考えております」

 

 唐突に、2人の前にそれまで姿を見せなかった女性神官が現れた。

 

「園子様、このような独断の行動は慎んでいただきますよう……」

「ごめんなさ~い。でも、覚悟もなしに戦わせたくなかったからね」

「人類の存続のためには、ターメリック様のお力が必要なのです。神樹様もそれを望んでいらっしゃるはず。それに犬吠埼 風様も、勇者となることを決断してくださいました」

「FUが?!(重要)……勇者に?(困惑)」

 

 神官の言葉を聞いた田所は驚いた。命の恩人である少女が危険な目に合うかもしれないのだ。そして、田所はそれを黙って見ていることなどできない少女だ。

 

「俺とFUがさ、勇者になったらどうする? 俺とFUが……え? 救世主の誕生か? あ? そうだよな、ハハハハ!」

 

 園子は女性神官の脅迫めいた言葉に怒りを覚え、一言文句を言ってやろうと思ったが、それよりも田所が勇者となることを決意するほうが早かった。

 

「……やじゅじゅは、それでいいの?」

「FU1人だけ危ない目には合わせられないダルルォ? 俺はあいつに助けられたんだ。なら、今度は俺が助ける番だってはっきりわかんだね」

「戦えば、いずれ私みたいな体になるとしても?」

SNK(園子)……お前も勇者だったのか」

 

 田所の言葉を肯定するように、園子は目を伏せた。

 

「俺はただやりたいようにやるだけだよ。なったらその時に考えるくらいでいいんだ上等だろ」

「玉も竿もでけぇなお前(褒めて伸ばす)」

 

 田所の決意は固く、揺るがせることはできないだろうと園子はあきらめ、代わりに賞賛の言葉を贈った。

 ここで田所は、本来園子に面会できる立場ではないため、女性神官から退室を促される。彼女が部屋を出る前に、園子が声をかけた。

 

「私のことは皆には秘密にされてるから、今日会ったことは誰にも言わないでくれる?」

「おかのした」

 

 続けて田所が、ふと湧いた疑問を園子にぶつける。

 

「お前もしかして、ずっと1人でこんな変な部屋にいるのか?」

「そうだよ。この体じゃ自由に動けないからね。私の行動も大赦に制限されてるし」

「こんなところにずっといたら頭おかしなるで」

「泣いても泣いてもオッパラディンだから、もう慣れちゃった」

 

 そう言って、園子は寂しそうに笑った。彼女のことを何とかしてやりたいと思う田所だが、ただの少女に何ができる訳でもない。

 

「あ、さ、ならさ、また会いに来るよ」

「ありがとう。でも私は囚人の身だから、よっぽどのことがないともう会えないと思う……」

「あっそっかぁ……(お前を外に連れて)行きてえなぁ……」

 

 せめて話し相手にでもなれればと思ったが、それすら叶わない。田所は己の無力さを痛感した。

 部屋を後にする最後の瞬間、彼女は園子に1つだけ宣言する。

 

「SNKのためにも、俺はこの世界を……まもるっ!」

 

 世界を守る、それがどれほど大変なことか今の田所にはまだ分からないが、それでもかつてその身を犠牲に人々を守り抜いた1人の少女を見て、そう強く伝えずにはいられなかった。




今回のサブタイはそのっちの花言葉である、「神の祝福」の英語読みです。
ガバ翻訳だから間違ってたら許してお兄さん!
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