女子小学生に大人気の官能小説家!?   作:暮影司

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取材と称して弟子と秘密の関係

 

「マズいよー。絶対マズいよー」

「小説家とその弟子が取材に来ていることの何がマズいんですか?」

「18歳の男が小学生の女の子とラブホテルに入ることがマズくないわけないよ!?」

 

 俺とあげはちゃんは川沿いにある、ちょっとお城っぽいホテルを土手から見ていた。俺がこれ以上近寄ることを拒否しているためである。

 

「回転するベッドを見たこと無いから下手くそなんだ、と師匠が言うからじゃないですか。さぁ、行きましょう」

「ごめんって! ごめんなさい! 謝ります! 許して!」

 

 俺は夕日を浴びながら、川の土手で必死に女子小学生に土下座していた。一応草のある場所で土下座しています。コンクリートはさすがにツライので。

 なお、あげはちゃんの俺の呼び名は先生から師匠に変わりました。先生ですら恥ずかしいのに師匠はちょっと、と思いましたが責任を取らないといけないので。ダーリンよりはマシだと思うことにしました。

 

「師匠、頭を上げてください。なんなら亀頭も上げてください」

「いや、土下座で亀頭が上がるような性癖はないんですけども」

「師匠が、あげはのことを女として意識してるからラブホテルに入ることについてドキドキしすぎてビビっちゃうのはわかります。でも、あくまでも小説家の師匠と弟子なんですよ。問題ないんですよ」

「いや、単純に社会的に死ぬことが怖いだけなんですけど」

「なるほど、つまり社会的に死んでしまった後なら躊躇なく入れるということですね……」

「やめて!? 何をする気なの!? やめてください!」

「じゃあ、入りましょう。大丈夫、怖いのは最初だけです。すぐに気持ちよくなりますよ」

「うう……」

 

 あげはちゃんに土下座程度で勝てるわけがなかった。袖を引っ張られてラブホテルに連れて行かれる俺。ふえぇ……。

 

「そもそも小学生だってわかったら即通報では?」

「受付は顔が見えないようになってますよ」

 

 なんで知ってるんだよぉ……。

 着いちゃったよぉ……。

 こんなに入るのが怖い入り口初めてだよぉ……。

 白いお城っぽいのに、ラストダンジョンくらい怖い。

 あげはちゃんは少しも怖がってないどころか、ピクニックにでも出かけるような表情だ。

 

「ほら、早く部屋を選びましょ」

「うう……なんでこんな水族館みたいな感じなんだよ」

「ムードがありますね~。ここなんてどうですか、お風呂にジャグジー付いてます」

「なんでそんなに平然としてるの……ラブホテルだよ、ここ?」

 

 タッチパネルで空いている部屋の中から、それなりに広い部屋を選択した。せっかく取材するなら設備が全部整っている方がいいという説得力のある発言を弟子がいうので。

 費用だって経費で落とせるでしょう、と言われたが、白い鳥文庫の小説でラブホテルに入らないと書けない小説などあるわけがない。どうやって自作に生かすんだよ。そもそも領収書を編集の富美ケ丘さんに出す勇気がない。

 

「師匠、そんなにキョロキョロしてないで。さ、早く行きましょう」

「うう……誰かに見つかったら……」

「そのときは、結婚してあげますね」

 

 ……じゃあ、いいか……。

 覚悟を決めて、中へ。

 

「401号だそうです……どこかな」

「401号ってことは4階だよ」

「えっ、そうなんですか!? すごい、さすが師匠」

 

 こういうことを知らないあたり、小学生だということを再認識するな……。

 

「やっぱりラブホテルに詳しいんですね」

「普通のホテルもそうだし、カラオケルームもそうなんだけどね」

「そっか、普通のホテルやカラオケルームでもエッチしますもんね」

 

 そういうことではないのだが。

 エロいことしか俺が知らないと思っているのだとしたら……光栄だな。官能小説家として誉れなので、それでいいや。

 

「やっと二人っきりになれましたね」

「エレベーターに乗ってるだけですけども」

「その割には、緊張してますね」

 

 そりゃそうだろ。女子小学生とラブホテルのエレベーターに乗ってんだぞ。誰か乗ってきたらどうすんだよ。

 4階に到着し、ドアが空いた。誰も居ないことに安堵する。

 

「ん~……こっちだな」

 

 抜き足、差し足、忍び足。なんとなくそうなってしまう。

 あげはちゃんは完全に堂々と歩いているので、俺一人が忍者になっても意味はないのだが。

 

「よし、ここだ」

「おじゃましま~す」

 

 ドアを開けてあげると、他所の家に伺うみたいにあげはちゃんが入室した。俺は今の声が誰かに聞こえたらと思うと気が気でない。

 

「なんか明るいんですね」

 

 あげはちゃんはキョロキョロと、まるで遊園地のアトラクションでも見ているかのようだ。いつも大人びた態度なのに、こういうときに限って年相応なんだよなあ……。

 

「すごいすごい、お風呂、丸見えですよ! 丸見え!」

「そ、そうだね。大体そうだよ」

「さすが師匠」

 

 俺も初めて入るんだが、今更そんなことは言えない。ベッドの隣にバスルームがあるのだが、その壁が透明なアクリルで出来ているようだった。

 

「わ、コスプレ衣装がありますよっ」

「結構色々あるね」

 

 チャイナドレスにセーラー服、ナース服といった定番のものから、有名なアニメキャラクターのものもあった。いいですねえ~。

 あげはちゃんも興味深そうに服を選んでいる。

 

「うーん、でもサイズが合わないな~」

 

 ラブホテルに小学生サイズのコスプレ衣装があるわけない。特にあげはちゃんは、色々と小さい。幼稚園児の服というマニアックなものもあるが、それでも大きい。

 

「せっかくなら着てプレイしたいですよね」

「プレイはしないよね!? 取材だもんね!?」

「これだけ付けとこ」

 

 メイド服のカチューシャだけ装着した。超かわいい。全部着たらヤバいな。

 てこてこと壁に歩いていき、くりくりとつまみを動かすと、部屋がぼんやり暗くなったり明るくなったりした。

 

「これは照明の調節か~。師匠は、明るいのと暗いのどっちが好きなんですか」

「ん~、小説だと暗くても描写できるからいいけど、実際には表情とか明るくないと見れないから明るいほうがいいな」

「じゃあ明るいままにしますね」

「いや、どっちみち暗くする必要はないよね」

「あげはは、明るいと恥ずかしいんですけどぉ……」

「だからプレイはしないから! むしろ写真とか撮るよね?」

「写真を? は、恥ずかしい……」

「恥ずかしい写真は撮らないよ!? 取材だよね!? 部屋とか設備の写真を撮るんだよ!?」

 

 俺はスマホで撮影を開始。もちろん部屋やベッドなどであり、あげはちゃんではない。お風呂の照明のつまみも撮っておこう。

 天井も撮影しとくか……

 ベッドに寝っ転がり、照明などを撮影。

 ぼすん、という音とともに俺の腰に重みが。

 

 カシャッ

 

 スマホの撮影音がする。

 腰のところに、あげはちゃんが跨って、俺にスマホを向けていた。

 

「騎乗位なう、と」

「こらああああ!?」

 

 俺を社会的に殺すってそういうことかよ! やめろ、俺は児童向けレーベルの小説家だぞ! 駄目、絶対!

 

「やっぱり最初は騎乗位じゃないですかね。正常位? バック?」

「そういうことじゃないのよ!? 嘘はよくないよ!?」

 

 むしろ騎乗位がいいです。おっぱいが揺れるのを見ながらがいいです。そんなことはどうでもいい。

 

「あ、こっちはミラーになってるんですね」

「おっ、そうだな」

「師匠、アヘ顔ダブルピースしてください」

「こうか?」

 

 カシャカシャカシャカシャカシャカシャ

 連写!?

 

「四十八先生と、ラブホなう、と」

「こらああああ!? だから嘘は駄目だと!」

「嘘じゃないですよ」

「おっ、そうだな。いやいやいや! おっ、そうだなじゃないんだよ。これは秘密でしょ? あげはちゃんと俺だけの秘密」

「ヒミツ……甘美な響き。師匠とあげはだけのヒ・ミ・ツですね」

 

 満足したようで、ベッドからどいてくれた。

 その後、回転するベッドを動画で撮ったり、お風呂を観察したり、取材を行なって退室。

 やれやれ、誰から見つかることもなく、なんとか平和に終わってくれて何よりだ。本当に取材になったが、もちろん経費計上はしません。

 

 その夜、あげはちゃんから「お土産」というタイトルのメールが届いた。文章はなく、画像が添付されている。お土産?

 その画像は、コンドームを口に咥えたあげはちゃんだった。おそらく自撮り。

 どうやらホテルのベッドにあったものを貰ってきたようですね……。いつのまに。まったくとんでもない女子小学生だ。

 

 でも。

 うん、この子は絶対に官能小説家として才能がある。

 いい弟子をもった。





この小説、小説家になろうとカクヨムにも載せてたんですよ。

そしたら運営から連絡きまして。

性的表現がNGですって。削除になりました。

異種族レビュアーズかよ。

ハーメルン様~、許してくだせぇ~。
これはあくまでコメディで、エロいのは言葉だけなんですぅ~。小学生と仲良くしてるだけなんですぅ~。勘弁してくだせぇ~。

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