女子小学生に大人気の官能小説家!?   作:暮影司

46 / 105
新婚気分で朝までしっぽり

「だってほら、小さな女の子だったら、ねえ? そんなにエッチじゃないでしょ」

「ああ……」

 

 そういう理由だったか……だとすると残酷なことを告げねばならない……。

 

「あと、キミが本当にそうなのかっていうことも知りたいし……」

 

 え?

 本当にそうとは……まさか、児童向け小説家だということを疑われているのか。それに関しては自分でも疑わしいと思っています。正直、エロゲーシナリオライターの方がよっぽどしっくり来ます。

 でも小さな女の子だらけのエロゲーと、児童向け小説はまったく関係ないぞ。

 俺のさっきの説明で、ちょっとえっちな少女漫画と区別がついてないのかもしれない。

 

小江野(こえの)さん。むしろ小さな女の子ばっかりのヤツの方がガチの抜きゲーなんだ」

「え!? なんで!?」

 

 なんでと言われても……。

 なんでと言われてもねえ?

 性癖というのは神秘と同じだ。なぜ惹かれるのか、本人にさえわからない。

 よって論点を変えるぞ。

 

「ほら、だって萌えゲーとか泣きゲーとかだったら普通のさ、中高生くらいの方が違和感ないじゃない。小学生だとさ、なんで? ってなっちゃってシナリオに没頭できないんじゃない」

 

 多分、そうなんじゃないかな。

 しらんけど……。

 

「……中学生は十分小さな女の子だと思うんだけど……」

 

 ハメられた!?

 そんな普通の社会の一般常識みたいなことを言うなんて!

 くそっ、エロゲー声優のくせに……

 

「こほん。いいかな? 真面目な話だ」

「真面目な話なんだね」

 

 小江野さんも仕事ですからね。真面目です。俺も真面目です。

 

「こういうゲームはね、高校生が主人公であることが非常に多いんだ。だから年下キャラとして中学生くらいは普通に登場するんだよ」

「あー、不思議だよね。ラノベなら読む人が高校生だからわかるけど、エロゲーなんてオジさんがプレイするのに」

 

 こやつ……いちいち言ってはならぬことを……。

 

「エロゲーなんてな、高校のときにモテなかった男が、女子中高生とえっちな青春したかった思いを叶えるためのもんなんだよ」

「そうなんだ……キミが言うならそうなんだろうね」

 

 屈辱!

 これほどの屈辱がこの世にあったとは!

 

「別に俺の話ではないのよ?」

「あぁ、つまり賢者(さかひさ)くんは、小学生のときにモテなかったんだね」

 

 モテた……とは言わないが……。

 っていうか別にそういうのを持っているわけでは……持っていないわけでもないけれど……。

 そんなことはいい。

 そもそもの話。

 今彼女がプレイするべきなのは、そういうやつなのか?

 

「なあ、ラジオで話をするときに、ガチロリ抜きゲーの話なんて出来るのか?」

 

 アリかもしれないが、初っ端からパンチが強すぎるだろ。

 まぁ、陵辱レイプものならいいのかというとそれもアレだけど。

 

「うっ……ほら、妹みたいな小さな可愛い女の子が好きでー、っていう設定で」

 

 どこのこんなに可愛いわけがない妹だよ。

 

「コンシューマに移植されそうなやつの方がいいんじゃないのか? 将来そういう仕事がしたいんだろ」

「えっ。ひょっとして……自分の事すっごく考えてくれてる……?」

 

 えっ私の年収低すぎ? みたいな顔をするな。

 

「とりあえず有名どころをいくつかインストールしよう。で、ひとつクリアしておけば最初の収録は乗り切れるだろう」

「すごい……頼りになる……エロゲーの師匠」

 

 エロゲーの師匠。

 その肩書、悪くないね。

 

「ところでインストールって何?」

「そっから!?」

「だってパソコンなんてブログとSNSくらいしかやらないし……」

「ああそう……基本的にパソコンゲームはメディア再生で遊ぶんじゃなくて、一度取り込む作業が必要なんだよ。ちょっと時間がかかるぞ」

「そうなんだ。じゃあ、待ってる間にお礼をしようかな」

 

 そう言うと、彼女は立ちあがった。

 お礼……!

 しゅるしゅると衣擦れの音をさせる小江野(こえの)さん……!

 ――来たか。

 少しは期待していたんだ。

 財布の中に、お守りも二つ入れてきた。

 

「そこまでしてくれるなんて……嬉しいよ」

「え? そんな大したこと無いよ」

 

 大したこと無いのか。

 結構大胆だな……普段からちょいちょいしているのかな……なんてエッチな人なんだ……。

 

「こんな夜に、急いで来てくれたんだもん」

 

 恥ずかしそうに、頬を赤らめた。マジですか。

 そこまで感謝してくれているとは。

 ただエロゲーを持ってきただけなのに。

 まさか、それほどの見返りがあるなんて……

 俺が財布から薄いお守りをひとつ取り出そうとしたところで小江野(こえの)さんは、小さくガッツポーズをすると、

 

「夕飯くらいごちそうするの、当たり前だよ。お金はいらないから」

 

 ……夕飯?

 じゃあその今、身につけたエプロンはコスプレじゃないのか。すっかりそういうプレイなんだと思っていた。

 普通エプロンっていうのは台所でえっちをするときに雰囲気を盛り上げるためのアイテムだろう。

 まさか料理をするために使うなんて……。そんな……。

 

「あれ? がっかりしてる? もうご飯食べてきた?」

「いや、腹は減ってるけど」

「じゃあ、下手だと思ってるんだなー? インスタに載せるために練習してるんだぞー」

 

 むふん、とガッツポーズをして台所へ。

 ほどなく包丁で食材を切る音が聞こえてきた。

 後ろから胸を揉むシチュエーションだな……まぁ実際にやったら刺される可能性があるからやめておこう……

 お尻なら許してもらえるだろうか……

 あ、次のディスク入れないと。

 

「ふんふんふふ~ん♪」

 

 台所から鼻歌が聞こえる。

 うーん、完全に新婚シチュじゃないですか。やはり料理の邪魔をするしかないのかっ。それがお約束というものだ。

 おっと、次のディスクを入れなければ。

 

 インストール作業を真面目にしてしまった結果、料理は完成してしまった。なんということだ……。

 

「どうよ、感想は?」

「んー。新婚みたいだなって思った」

「えっ!? ええっ!? 料理の感想を聞いたのに……」

 

 料理の感想を聞くなら、食べてからにして欲しいんですが。見た目の感想を求めるあたり、インスタのために料理をしすぎだ。

 ただ、確かに見た目がいい。

 うっすら焦げ目のついたバケットに、黒酢の酢豚、そしてトムヤムクン。豪華だし、かなりの腕でないと作れないだろう。

 しかし……

 

「バカなの?」

「えっ!? すごくない?」

「すごいけど、どうすんのコレ。酢豚を口に入れてからすかさずバケットをかじってトムヤムクンで流し込むの?」

「あー。食べ合わせのことは考えてなかった」

「一番重要なことだよ!?」

 

 普通にご飯と味噌汁に酢豚でよかっただけの話だ。インスタでもそういう反応になると思いますけどね。

 

「まぁ、いただきます」

 

 とはいえ食わないという選択肢はないので、ありがたくいただく。

 

「うん、美味しい」

 

 トムヤムクンも酢豚も美味い。一緒に食べたのは初めてだが。

 

「はー。ごめんね?」

 

 食べ合わせのことで反省しているらしい。本当に考えてなかったのね……。

 

「いや、なんかこういうやり取りも新婚っぽくていいよ」

 

 不発に終わった新婚シチュを補充できたような気がするね。ちなみに俺はぬか漬けの切り方や味噌汁の具の数で文句を言ったりはしない。

 ただし枕は、はいとイエスの二択だ。新婚でノーとは言わせん。

 

「っ!? またそういうことを……」

「早く食べて、二人でやろうぜ」

 

 なぜか食べようとしない小江野さんを急かす。

 頬に手を当てている場合ではない。酢豚を咀嚼しろ。

 

「えっ!? 二人で!?」

「そりゃそうだろう……こうなったら朝までやるしかないだろ」

 

 インストールしといたからやっとけ、っていう感じじゃない。きっちりマンツーマンで熱烈指導だ。

 意外と酢豚のタレは、フランスパンにも合うようだ。

 しかし俺は飯を食いに来た訳じゃないからね。

 ゲームをしにきたんだよ!

 小江野さんと!

 

「うう……新婚……そっか……」

 

 顔を赤らめる小江野さん。

 今更なにを。

 

「むしろ食べながら始めるか」

「ええっ!?」

「大丈夫、小江野さんは何もしなくていい」

 

 ゲームといっても、いわゆるアドベンチャー系のやつはオートモードにしておけばオッケーだ。勝手にテキストが進んでいく。

 

「俺に任せておけばオッケーだから。ね?」

「あうあう……でも、そうだよね。初めてだから優しくしてね……」

 

 初めてなのは知っている。

 だから来たんだろ。

 

「じゃあ、いくぞ……最初からいきなりハードだからビックリしないでね」

 

 抜きゲーじゃないけど、序盤がエロいというパターンはよくある。今からやるのはそういうやつだった。

 

「うう……優しくしてって言ったのに」

 

 そう言われてもしょうがない。

 とりあえずパソコンの位置を変えようと、立ち上がると小江野さんはびくんと身体を固くした。そこまでビビらんでも。所詮ゲームだよ。

 

「で、電気」

「へ?」

「暗くしないの?」

「しないけど?」

 

 ホラーゲームじゃあるまいし。

 

「でも、明るいと恥ずかしいし……」

「明るくても暗くても同じだろ」

 

 暗い部屋で二人でエロゲーをするというのも悪くないが、目によくない。

 料理の皿をずらして、ノートパソコンをテーブルに乗せる。

 小江野さんの隣に腰を下ろす。

 

「じゃ、始めるか」

 

 マウスを握って、彼女の顔を見たら、目をつぶっていた。

 

「おいおい、目をつぶってちゃ始められないだろ」

「うう……目を開けるの?」

「そりゃそうだろ」

 

 サウンドノベルって言い方もあるが、基本的にはビジュアル重要だぞ。

 

「さ、プレイするぞプレイ」

「ぷ、ぷれい……」

 

 いくらなんでも緊張しすぎだろ。がっちがちになってるぞ。

 

「大丈夫?」

 

 肩に手を触れると、びびくんと大きく反応。いきなり触れるのはまずかったか?

 

「だ、だだだだ、大丈夫」

 

 大丈夫じゃねえな。

 まぁ、いいや。

 オープニングでも流そう。オープニングにはエロいグラフィックはない。歌もエロくない。

 

「ほら、目を開けて」

「あうう……あれ?」

「これはオープニングだから安心してくれ。ま、すぐにそういうシーンになるがこの作品はライトな感じなんで。オートモードにして見ながら食おうぜ」

「……そ、そ、そうだね。そうだよね!」

 

 なんだ?

 トムヤムクンを飲みながら、顔を真っ赤にしている。

 辛いのが苦手なのに作ったのかしら。

 俺たちは朝までしっぽりとエロゲーをプレイした。なんとかひとつは全クリアしたので、なんとかなるだろう。ガチロリ抜きゲーは、ちょっとしかやらなかった。

 





タイミングって重要ですねー

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。