女子小学生に大人気の官能小説家!?   作:暮影司

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妹の性癖の名前を兄はまだ知らない

「お兄ちゃん」

「ん? なに?」

 

 イベントでの購入特典用に色紙へのサインをしていたら、改まって呼びかけられた。子ども部屋に一緒にいるときはいきなり要件を話すのが普通で、なにやら違和感がある。

 まぁ、大した用事じゃないだろうが。

 

「ラジオ聞いた」

「なんだってー!?」

 

 とんでもない要件だった。

 

「なんでだよ! 普段ラジオなんて聞かないでしょ!?」

富美ケ丘(ふみがおか)さんがツイートしてた」

 

 あの編集! 余計なことを!

 

「今度私も出演したいな」

 

 できるわけ無いだろ!

 ラジオ自体は十八禁じゃないが、トークテーマが十八禁なんだよ!

 

「で、美少女ゲームってなぁに?」

 

 ですよねー!?

 当然その質問出ますよね―!?

 

「ググったんだけどよくわからなくて」

 

 でしょうね! 俺の小説を読んでエロいと思わないくらいですからね!

 

「教えて欲しいんだけど。可愛いメイドさんが出てくることはわかったけど、それ以外はよくわかんなかった」

「うーむ……それはなあ」

 

 なんとかして、ごまかしたいが。

 どうにかなるのかこれ。

 

「小江野さんは知ってたんだよね」

「いや、知らないから俺が教えた」

「え!?」

「この前に家に帰らなかった日あっただろ。あの日に一晩中教えてたんだ」

「――んー!?」

 

 体をびくんとさせる詩歌。たまになる。

 

「ちょ、ちょっとベッドで話してもいい?」

「またか」

 

 妹は体調不良でもないのに、やたら布団をかぶって話を聞きたがることが多い。

 スカートのままでベッドに入るのはどうかといつも思うのだが。

 ちょっと遠いので、仕方なく詩歌側のスペースに入り、ベッドの近くに置いてあるドーナツクッションに腰を下ろした。真奈子ちゃんが遊びに来たら座る場所だ。

 

「ふぅふぅ、で? 小江野さんと?」

「朝まで一緒にいた」

「……っ……何をしてたの?」

「まぁ、その、ゲームだな」

「それって対戦的な?」

「違う違う。パソコンのやつ」

「パソコンのゲーム? どうやって二人でやるの?」

「一台しかないからな。肩を寄せ合って」

「一晩中、肩を寄せ合ってた」

「そう」

 

 くちゅくちゅくちゅ

 

「ん?」

 

 どっから音が?

 なんか最近我が家はこの謎の音が聞こえることが増えている。

 

「んん~っ!」

「どうした?」

「ふぅふぅ、いやなんでもない」

「そうか?」

 

 様子がおかしいが、こいつが変なのはいつものことなので気にすることもない。

 

「で、どんなゲームなの」

「うーむ」

 

 なんと言えばいいのか。

 エロゲーとは何かを実の妹に説明するとき、みんななんて言っているの?

 

「なんというか、あれだな。ノベルゲームだな」

「ノベルゲーム。あー、文章を読むやつ」

「そうそう。それの美少女が出てくるやつが、美少女ゲーム」

「ああ。なんだ、じゃあお兄ちゃんが書いてる小説みたいなものってこと?」

「そうだよ! まさにそう!」

 

 俺の書いてる小説はエロゲーみたいなもんだよ! まったくそのとおりだが、全国の女子小学生の三万人が読んだらしいよ! やばい! なんか小学校の図書室にあるっていう話も聞いたことある。やばい!

 

「じゃあ、私もやりたい」

「え、駄目でしょ」

「なんでよ!?」

「あげはちゃんならともかく」

「ん!? あげはちゃんならいいの?」

 

 あげはちゃんは下手したらやってるんじゃないでしょうか。

 年齢制限のあるものですから、やってたとしたら褒められたことでもないので聞けませんけど。

 

「まぁ、あげはちゃんは特別だから」

「あっ、やば」

 

 くちゅくちゅくちゅくちゅくちゅくちゅ

 

「ん、あっ、お兄ちゃん、もう一回、もう一回今の言って」

「は?」

「いいから! 早くしてくれないとイッちゃう」

「はあ? うーん、あげはちゃんは特別なんだよ。他の子とは違うの」

 

 くりゅっくりゅくりゅ

 

「んんんんん~ッ!」

「な、なんだよ」

 

 いつも変とはいえ、変すぎるぞ。

 

「ふう、ふう。ふひー。いやー、他にはいないの? 特別な子」

「は? ゲームのことはいいの?」

 

 いいならいいが。

 

「ああ、そういえばそうだった」

 

 忘れてたのかよ。

 

「どんな美少女が出てくるの?」

「んー。真奈子ちゃんみたいな」

 

 いや、実在する小学生をエロゲーのキャラに例えるのはどうかと思うけど。

 

「お兄ちゃんって、まなちゃんのこと美少女だと思ってるの?」

「誰がどう見ても美少女だろ」

「うんうん。そうだね、いいよいいよ、その調子」

 

 何がいいんだ。

 

「どのくらい美少女かな、まなちゃん」

「そうだな、ゲームで言うとメインヒロインだな」

「メインヒロインって、ゲームのパッケージに一番大きく描かれてるってこと?」

「そうそう。一番可愛い子」

「んっ、一番、可愛い……まなちゃんのこと……そんなにっ」

「なんか顔赤くないか?」

 

 なんで?

 お前を可愛いって言ったんならわかるのよ。

 俺の小説で頬を赤らめるシチュエーションとまったく異なるんだよな、我が妹は。

 自分以外を褒めてるんだから、嫉妬するんじゃないの、普通。

 いや、別に兄になんて嫉妬することもないと思いますけども。

 

「その子とどういうお話になるの?」

「うーん」

 

 いろいろあるが。

 陵辱することもあるし、一緒に戦うこともあるし、世界を救うこともある。

 だが基本的にはアレだな。

 

「その子と恋愛をして、エンディングを迎えるかな」

「まなちゃんみたいな女の子と恋愛するゲームやってるんだ」

 

 そう言われると俺がやばいやつみたいじゃん。

 

「ゲームやってて、どんどん好きになるの?」

「あ、ああ。そういうゲームだからな。ラジオでもそう言ってたと思うが」

 

 ぐちゅぐちゅぐちゅ

 

「はぁはぁはぁはぁ!」

「おいおいおい! 何してる! 何をしてるんだお前は! 布団の中見せろ!」

「ええ? はぁはぁはぁ、それもアリかも……――ッ! ふぅ~」

 

 うーん。まるで賢者タイムみたいな表情なんだけど……。

 むしろこいつがエロゲーをプレイしてたんじゃないかと疑うレベルだよ。

 ところがどっこい、俺がゲームの話をしていただけなんだ。わけがわからないよ。

 

「じゃあお兄ちゃんがまなちゃんそっくり美少女にハァハァしてたゲーム貸してよ」

 

 言い方……! 少しも間違っていないが……!

 しかしながらエロゲーを妹に貸せるわけがない。断りましょう。

 

「やだよ。そもそもパソコン持ってないだろ」

「パソコンも貸してよ」

「駄目だよ、原稿書かなきゃいけないんだから」

「え! 三巻!? 三巻書くの!?」

「そうだよ」

「どうなるの、どうなるの」

「お楽しみに」

「楽しみだな~!」

 

 そう言いながら、ティッシュで手を拭く詩歌。

 そこまで楽しみにされると悪い気はしない。

 

「じゃ、ゲームはいいや。十分楽しんだし」

「あ、そう」

 

 助かった。あぶなかった。俺は胸をなでおろした。

 

「ラジオも楽しみだな~」

「来週は聞かないでくれ!」

 

 来週は妹モノのエロゲーの話だ!

 絶対に聞かれてはまずい!

 

 





なにこれw

自分で書いててどうかしていると思いますね(今更か)
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