しかし回り込まれた! 逃げられない!
「なんでだよ!?」
そこにはいるはずのない人間がいた。いや、まだわからないが……。マジの間男の可能性もあるが……。
「どこへいくんですか、
「帰るんですけど」
「まだ、ボクに殴られてもいないし、お尻を開発されてもいないのに?」
やっぱりかよ!?
玄関前で俺の行く手を遮ったのは、あげはちゃんのパパだった。あげパパ。
あげパパは自宅にいるにも関わらず、白いスーツを着ており、髪型はばっちり整っている。金髪だ。さすがあげはちゃんの父親だけあって、端正な顔立ちだし、若く見える……が、要するにホストっぽい。
「尻を開発されるなんてゴメンだ」
「ハハハ。娘が望んでいるから、キミの尻は開発させてもらう」
うん。やっぱりやべーやつだ。
「さっきの、見てたんですか?」
「全部見てたとも」
「あの、俺、ディープキスされてましたけど」
自分の妻が他所の男とディープキスしてるのを平然と見ている男がどこにいるというのだろう。
NTR属性なの?
「取材だろ?」
確かに。
小説の取材は最優先事項であり、そのためならば何をしても許されるのは自明の理。世界の常識だが、しかしそれは俺たちの、書く側の世界の常識なのでは?
ふつー、それで納得できるのか? いや、この男からは普通じゃない感じがビンビン伝わってくるけども。
「取材ならすべて許されるんです?」
「可愛い娘が望んでいることだ。娘のためなら命も惜しくない」
確かに。
あげはちゃんの可愛さは異常であり、あげはちゃんのためならば命を投げ売ってもおかしくはない。それはそうなんだが、やっぱり理解し難い。
「それが奥さんとのエロいことでも?」
「娘が望むことはなんでもしてやりたい。それが父親というものだよ」
なんだろう、そのセリフは理解できるんだけど、あなたという人間はまるで理解できない。
「だから、キミを殴ってからお尻を開発させてもらう」
「だが断る」
可愛い弟子のためでも、殴られて尻を開発されるのはゴメンだ。断固拒否。
「すでに靴は隠させてもらった」
鬼か。
「裸足で帰ります」
尻を開発されるくらいならその方がマシ。
「四十八先生、どうして急に……」
あげパパと玄関前でカバディカバディしていたら、あげはちゃんがやってきた。
俺を睨みつけていたイケメンの顔がゆるむ。
「あげはちゅわ~ん、今すぐこいつを殴ってお尻を開発するから待っててねぇ~」
あげパパキモい。
「パパ、キモい」
「グハア!?」
さすがあげはちゃん。キモさについての感性が正しかった。あげパパは倒れた。ふー、俺の尻はこれで守られるぜ。
「やっぱりパパは何もしなくていい」
「そ、そうか……」
「こっちきて見てて」
「わ、わかった……」
ずるずると這いつくばって廊下を移動するあげパパ。見るも無残だね。
「四十八先生、戻ってください」
ずるずると首根っこを掴まれて部屋に戻される俺。ふふふ、どうだあげパパ。羨ましいだろう。
そのまま、あげママの隣に連行される。あげパパは見苦しくも白いスーツで床を掃除しながらリビングに到着した。
「はい、座ってください」
「おかえりなさ~い」
強制的にソファーにリターン。ついさっきと同じ様に、あげママが左隣、あげはちゃんは右隣にひっついて座っている。ほんの少し違いがあるとしたらが、あげパパが俺の目の前で俺を見ていることくらいのものだ。
「じゃあ、浮気現場の続きをしましょう」
「は~い」
は~い。
じゃねえよ!? あげパパの前で何をしろって?
「じゃあ、ママはおっぱいで顔を挟んでください」
「は~い」
は~い。
え、マジ?
「本当はあげはがしたいんですけど……物理的にできないので」
そうだね、おっぱいがまだないからね!
でも、倫理的には二人ともできないことだと思いますけどね!?
「失礼しま~す」
手慣れた感じで、俺のひざの上に座るあげママ。うーん、
ましてや、人妻であり、さらにいえば、その夫が目の前にいる。マズすぎるしヤバすぎる。
そしてその夫は何か言おうと口を開いた。
「そんなことを」
許すはずがない。そう続くんだろうな。普通はそうだぞ。いいぞ、この状況は止めていいぞ。
「パパは指を咥えて見てて」
「はい」
あげパパは律儀にも人差し指を口に咥えた。訓練されスギィ!
「ねえ、あげは。服は脱ぐのかしら」
「あ、四十八先生は着衣の方が興奮するタイプなのでそのままで」
「おっけーい」
あげはちゃん……さすが、俺のことをよくわかっている……! 俺はメイドさんのメイド服を脱がすとかは決して許さない主義。着たままでお願いしたい派。よってメイやマイも基本的に服は脱がない。
しかし今は少し後悔している。あげはちゃん、決して胸が見たくないわけじゃあないんだよ? 勘違いしないでよねっ、全裸より半裸がいいだけなんだ。
あげママは胸元がばっくり開いた黒いドレスのまま、俺の膝の上から立ち上がってその豊かな胸で顔を挟む。ブラジャーはつけていない。
「こうかなぁ」
ふにょ~ん。
ああ”~~。
全裸だの半裸だの、どうでもいい。
やわらか~い。気持ちい~い。
おっぱいで顔を挟まれたらすべてのことはどうでもよくなる。これはとんでもないことを発見してしまいましたね。ご主人さまはよくもまぁ、この状態から偉そうなことが言えたもんだ。
ちゅぱちゅぱ
違います。これは俺があげママの乳首を吸った音では無いんです。これはあげパパが自分の指を吸っている音です。うーん、自分の妻が他所の男にぱふぱふしているのを見ながら指を咥えて見ているとか、なかなかのもんですよ。しかしなんかこう、勝った! っていう感じがしますね。フハハ!
「いいですね~」
何がいいんでしょう。あげはちゃんは何故か満足しているようです。どんな小説書くつもりなんですかねえ……。
「ママ、ピースして~」
「は~い」
「四十八先生もお願いします」
え?
目線をずらすと、あげはちゃんはスマホをこちらに向けていた。ぴ~す。
カシャカシャ
俺があげママのおっぱいに顔をうずめながら二人でピースしている写真が撮れました。わ~い。
ちゅぱちゅぱ
カシャカシャ
あげはちゃんは、その現場を指を咥えて吸ってる父親の写真も撮りました。うわ~い。
「あげはちゃん? これどういうことなの?」
さすがに理解できなさすぎて質問する。
「お尻を開発されたかったですか」
「違うよ。それは絶対に違うよ」
して欲しかったよぉ……っていう顔してた?
「普通に考えて、四十八先生がママとえっちしてるところ見たいじゃないですか」
「そ、そう?」
見たいのか……あげはちゃんが見たいならしょうがないな……。
「パパも見たいよね」
「え!? そ、そりゃもちろんだよ」
「うん。指を咥えて見てて」
「任せろ! ちゅぱちゅぱ」
あげパパ……。いや、もはや尊敬しはじめてきた。
「ちなみに詩歌さんも見たいということなので、ビデオ通話にします」
「なんで!?」
「やっぱり見たいんですよ。ほら、もっとおっぱいを揉んでください」
そうじゃなくて、なぜそんな連絡をしたのかっていうことなんですけど。
スマホに詩歌の顔が映る。もみもみ。
「うっわー、お兄ちゃんがー! 人妻の、お、お、おっぱいをー」
なんということだ。
おっぱいを揉んでいるところを、中学一年生の実の妹に見られるとは。
さらにその女性の実の娘も見ているし、夫も見ている。
しかしあげはちゃんがもっと揉めというから揉むしか無い。なんということだ……。気持ちいい……。
「えっちですね~、はぁはぁ。もっとやってください」
あげはちゃんがそういうなら仕方がないんだ……揉んだり吸ったり舐めたりちゅーしたりするしかない……。
「せんせ、気持ちいいわ」
「もみもみ」
「はぁはぁ」
「ちゅぱちゅぱ」
「くちゅくちゅ」
なにこれ……。
「ぺろぺろ」
「もみもみ」
「ぺろぺろ」
「はぁはぁ」
「ちゅぱちゅぱ」
「くちゅくちゅ」
なんなの、これは……。
でも弟子の小説のためだから、しょうがない。しょうがないんだよなあ……。あげはちゃんが言うことは何でも聞いてあげないと……。
「いまだ! パパ! お尻を開発して!」
「よし! 指はちゃんと濡らしてある!」
チキショウ! 謀ったな!?
あげママが、がっつり俺をホールドしてるから逃げられないぞ! くっそー! もみもみ!
「アーッ」
その後のことはよく覚えていないが、詩歌は忘れられないと言っていた。誰か妹の記憶を無くす方法を教えて下さい。
続き書くとは思いませんでした。
賢者くんは逃げられるはずだったのに。
作者に感想が与える影響は大きいです!