女子小学生に大人気の官能小説家!?   作:暮影司

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ママに嘘をついて男の家にお泊り

「昨日は手が汚れるお菓子だった」

「あ、うん。そうだったね」

 

 コーンポタージュ味のコーンスナックを出したんだよな。あれ、甘さが絶妙で食い始めると止まんないんだよね。

 

「今日はなに」

「うん、あまじょっぱいパウダーがついてるおせんべいだよ」

「せんべいなのに甘いの」

「そうだよー」

「手が汚れそう」

「そうだね、パウダーがついてるから」

「じゃ、食べさせて」

「うん」

 

 このところ毎日、網走沙織ちゃんは我が家に来る。エロゲーをやるために。

 いや、間違えた。エロゲーだと思っているだけのただの格闘ゲームをやるために。勝ったときに胸が揺れるとか、負けたら服が破けるっていうだけです。全年齢です。

 で、ゲームをやるためにはコントローラーを持たねばならない。そこで手を汚してはゲームが出来なくなる。

 よって俺が食べさせなければならないという理屈なんだが、手が汚れないお菓子を用意するとメチャクチャ怒り出すので意味がわからない。で、結局俺が口に放り込む。

 柿ピーのときだってそうだったし、手が汚れようが汚れなかろうが俺に食べさせるのだから、どうでもいいだろうと思うんだけど、どうやら決して食べさせて欲しいのではなく、手が汚れるから仕方がないという理由が欲しいみたいです。

 いつもどおり、俺を背もたれにして座りながらゲームをする。対戦プレイしている俺の方は手が汚れるんですけどね。だから汚れないお菓子の方がいいんですけどね。

 プレイしながら俺がちょいちょいお菓子を食べさせることによって、ちょうどハンデになっていた。だって食わせてる間に攻撃されるからね。なんだこの遊び。

 

「やった、必殺技出た」

 

 しかし、このようなガッツポーズを見せられては、怒りなど湧くはずもない。微笑ましすぎて満面の笑みに到達しちゃう。

 ゲームが楽しいんだなあ……。

 沙織ちゃんは両親が厳しいというかお固いご家庭なので、アニメやバラエティ番組は見せてもらえず、漫画は学習まんがだけ。そしてゲームは一切駄目と禁じられてきた。

 お菓子もデパートで売ってる上品なものしか食べたことがなく、いわゆる駄菓子は食べたことがない。

 そんな沙織ちゃんに駄菓子を食べさせたり、ゲームをさせてあげるのは楽しくもあるが、本当にいいのかという不安もある。

 そもそも同級生の家に遊びに行くことすらNGの家なのに、俺の家には毎日来ていいというのも納得できていない。

 

「変態」

「なに?」

 

 変態というのは沙織ちゃんにとっての俺のあだ名であり、決してそのものの意味ではない。ないよね? 出会ったときにたまたま胸をガン見していただけだよね。たまたま。ちなみに沙織ちゃんのおっぱいは最近少し大きくなってきたよ!

 

「今日、泊めて」

「あ、うん」

 

 食べさせる。

 俺も食う。

 攻撃する。

 避ける。

 

「ええー!? うちに泊まる~?」

「うるさい」

 

 げしっと裏拳を食らう。ゲームじゃなくてリアルで。

 いやいや、うちに泊まるなんて駄目でしょ~。右の頬をさすりながらなんと言ったらいいものか考える。

 

「沙織ちゃん、それはちょっと」

「さっきうんって言った」

「まぁそうだけど、ちょっとさ。やっぱり問題じゃない?」

「真奈子と二人で別荘に泊まる方が問題」

 

 それを言っちゃあ……。

 

「あのおっぱい声優とも朝までゲームしてたし、ぼくともするべき」

 

 いや、だってあれはほら、相手は女子小学生じゃなくて、18歳のうら若き乙女だから……。あれ? そっちのほうが普通問題なのでは? そう考えると、女子小学生のお友達が家に泊まることくらい問題ないな。

 親も今日はいないから、親の部屋で寝かせればいいだろ。

 

「まぁ、いいけど、よくご両親が許可したね」

「いえで」

「え? いえで?」

 

 家で許可したのか。そりゃそうでしょう。なんで外で許可するの。

 

「家出した」

「ああ、そういうことか。家出ね。ってええーッ!? 家出!? マズイよそれは」

「うるさい」

 

 裏拳パート2を食らう。痛い。しかしそれどころではない。

 

「なんで、なんでそんなことを?」

「ラジオ聞かれた」

 

 一発で理解。

 

「つまり、頻繁に遊びに行っている小説家というのがエロゲー大好きだということがバレたんだね!?」

「そう」

 

 なんということでしょう。俺は公序良俗に違反する相手扱いになってしまったのだ。小学生向けノベル作家というメッキが剥がれてエロゲー大好きエロエロ野郎だと言うことがバレてしまったのか……。

 いっそ沙織ちゃんのママも吸ったり揉んだりしてしまうという手も……。

 

「突然、四十八先生に会うのはもうやめなさいとか言い始めた」

 

 まぁ、そうだよね。だってラジオでエロゲーの話ばっかりしているやつのところに女子小学生の娘が頻繁に遊びに行くなんて普通のご家庭でも心配だよね。お固いご家庭だったら当然そうなるよね。

 やはり俺のテクニックで固い考えなんて無くさせるしかないのか……。

 

「だから家出した」

「ええ……」

 

 家出するくらいなら誰かの家で勉強をするとか適当な嘘をついて、うちに遊びに来ればいいと思うけど、そういう発想がないところが沙織ちゃんらしいんだよなあ。

 

「そんな事言うなら、四十八先生の家で一晩中エロゲーやるって言って出てきちゃった」

「なんということを」

 

 それはヤバい。沙織ちゃんじゃなくて俺がヤバい。通報される可能性すらある。

 

「沙織ちゃん、親御さんに電話しないと……」

「駄目。いや」

 

 困るよ~。

 

「警察呼ばれるかもしれないんだって~」

「連絡したら、絶対連れ返される。今日は泊まる」

 

 困るよ~。

 スキャンダルだよぉ~。

 

「ただいま~。あ、沙織ちゃん、こんにちは~」

「ん」

 

 詩歌が帰ってきた。あー、そうだ。

 

「俺の家じゃなくて、詩歌の家に泊まることにすればいいんじゃないか」

「ん?」

「へ?」

 

 制服姿の妹はポニーテールを振ってこちらを向き、沙織ちゃんは俺の脚に手をついて首をひねってこちらを向いた。

 

「詩歌、実はな。沙織ちゃんは家出してきたんだ」

「ええー!? なんで家出なんで!?」

「俺に会うのを禁止されたからだって」

「え、お兄ちゃんを会うのを禁止されてうちに家出しにきた!? おっふ、これは、おっふ」

 

 妹の様子がおかしい。おかしいのはいつものことなので、気にしない。

 

「で、電話しないとマズイと思うんだけど俺の家に泊まるなんて言うとマズイから、お前から連絡して欲しいんだ。俺の家じゃなくて私の家に来ていますって」

「でも、私が妹だってバレちゃうんじゃないの」

「大丈夫。詩歌のことなんて一言も話したことないから」

「そ、そうなんだ……」

 

 ショックを受けるならわかるんだけど、なんでそこで嬉しそうなの? なんかちょっと快感っぽい顔だよね? まぁ、詩歌だからな。理解しようとしてはいけない。

 

「女子中学生のお友達ってことなら問題ないだろ」

「友達じゃないけど」

「ええっ!?」

 

 ほんと嘘がつけないんですね。

 

「まぁ、ほら、先輩ってことでいいだろ」

「中学の先輩とエロゲーをやるって言うの?」

「えっ!? エロゲー!?」

 

 ほんと嘘がつけないんですね!?

 詩歌はエロゲーのことをまなちゃんそっくり美少女にハァハァするゲームだと思ってるからややこしいぞ!

 もちろんエロゲーをやるなんてことはないので、さおママが納得する理由を考える必要がある。

 

「いや、さおママ……じゃない、親御さんがそれならいいよって言ってくれるような……そうだ、勉強会をするとかどうかな」

「えー。詩歌とー?」

「不満だろうけど、そこは我慢してよ」

「むー。はあ、しょうがないか」

「くーっ!?」

 

 ぺたんと床にお尻をつく詩歌。さすがに申し訳ない気持ちはある。

 

「詩歌、悪いけど沙織ちゃんの家に電話して、うちで勉強会するからお泊りって説明してやってくれ。頼む」

 

 きっちり頭を下げる。こんなに真摯に頼みごとを妹にするのは久しぶりだ。これなら納得してくれるだろうか。

 

「う~ん」

 

 悩む妹。なんでだよ。

 

「詩歌、どうしても変態とずっとエロゲーしたいの。お願い」

 

 沙織ちゃん、真剣な顔で何を言っているの? そんな理由でオッケーする人いないよね?

 

「了解!」

 

 快諾かよ。なんでだよ。

 詩歌は沙織ちゃんに電話番号を聞いて、リビングを出ていった。 

 

「お願い……」

 

 神様に祈るように、出ていった詩歌の方を向いて両手を合わせる沙織ちゃん。そこまで俺と格闘ゲームしたいんですかねえ。こんなに真剣な顔を見せられたら本当にエロいゲームをやってもいいかと思ってしまいますね。

 しばらくすると、どたどたっと軽く廊下を駆ける音がして戻ってきた。

 

「許可、とったどー!」

 

 ぱぱーんとスマホを掲げる詩歌。

 沙織ちゃんの組まれていた手は、ぱちぱちと称賛する拍手に変わった。

 

「良かったぁ」

 

 涙ぐむ沙織ちゃん。

 それを見て涙ぐむ俺。やろっか、美少女ゲーム……。

 

「それじゃあ、みんなでお風呂入ろうか」

「うん」

「うん……うん!?」

 

 流れで言ってしまったが、この妹は何を言っているのだ!?

 

「いや、入らないだろお風呂」

 

 当たり前のことを言ったつもりだが、沙織ちゃんは眉根を寄せる。

 

「ん? お風呂は毎日入りなさいって言われてる」

「そうじゃなくて! 沙織ちゃんは一人でお風呂に入れる歳でしょっ!? 俺と沙織ちゃんが一緒に入るのはおかしいでしょっ!?」

「真奈子とも入ってた」

 

 睨まれる。

 スッと目をそらす。ムチ怖い。

 詩歌はスマホを振りながら「あのねー」と俺たちの注意を引いてから説明を始める。

 

「沙織ちゃんのママから、いくつか写真を送るように言われたんだよ。それで必要ってわけ。私と沙織ちゃんの写真を撮らないといけないから、カメラマンしてもらわないと」

 

 証拠が必要というわけか。厳しいご家庭というか、心配性というか。それでも聞いたこともない友達の家に突然泊まることを許可する条件としては妥当なのかもしれない。

 それにしても……

 

「俺が一緒に入る必要はないのでは?」

「一緒に入るならいいけど、そうじゃないなら写真を撮られるの恥ずかしいよ」

 

 そういうものか?

 まぁ、妹と女子小学生の入浴姿を俺が服を着て撮影していたら明らかに絵面がヤバいのは確かだが。裸ならいいかというとそんなわけなくないか。

 

「沙織ちゃんは? それでいいの?」

「三人で入るなら問題ない」

 

 沙織ちゃんはムチを振るってるときも二人なら問題だが三人ならいいと言っていた。理屈はよくわかりませんが。

 

「じゃ、お風呂沸かしてくるねー」

 

 妹はノリノリで風呂場に向かったが、兄と風呂に入ることに抵抗はないのか。まぁついこの前まで一緒に入っていたしね。夜ご飯にお赤飯が出てくるまでね。

 少し前のことを思い出していると、沙織ちゃんがすっくと立ち上がった。

 そして、いそいそと服を脱ぎ始める。

 

「沙織ちゃん!? まだです! まだお風呂沸いてないよ!?」

 

 スカートの中に手を突っ込んでいきなりぱんつを下ろしていました。

 あまりの状況に俺の頭が沸いてしまいますよ。ふええ、フット―しそうだよお。

 

「え、と。変態と一緒に入る前にシャワーを浴びようと思って」

「どういうこと!?」

 

 恥ずかしそうに何を言っているのですか?

 本末転倒という言葉をキミに捧げよう。

 お風呂に入る準備でシャワー浴びるなんてないよ!

 

「いいから履いて、詩歌戻ってくる前に」

「ん」

 

 沙織ちゃんはぱんつを履き直した。

 これからお風呂、そしてお泊りか。不安しかない……。

 

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