女子小学生に大人気の官能小説家!?   作:暮影司

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下着の中に札束を

 最高のエンタメ……?

 普通に考えれば、映画とか……さすがに映画はないだろう。

 お笑い……? それもないだろ。

 となると、歌とダンスかな? アイドル的な? 

 そう思って俺はアイドル真奈子ちゃんを想像していたのだが。

 

「まず最初にこちらを配りますね~」

 

 そう言って真奈子ちゃんがみんなに渡したもの……それはお金だった。

 

「な、なんでお金」

「やば! しかもドル!」

「10ドル札……?」

 

 妙によれよれの10ドル札を輪ゴムで縛ったものが配られた。まったく意味がわからない……。

 

「では、準備してきます」

「いってらっしゃ~い」

 

 会場から出ていく真奈子ちゃん。残された俺達は顔を見合わせる。

 

「どういうことですかね」

「人生ゲームでもするのかな」

「人生ゲーム!? やってみたい」

「沙織ちゃん、絶対違うと思うよ。今度一緒にやろうね~」

 

 小江野さんの発言を全否定してしまったが、他に思い当たるものも無い。

 

「ギャンブルでは」

「あ~」

 

 さすが柑樹。なるほど、ここが希望の船(エスポワール)というわけですか。そしては俺はボロ負けして地下強制労働施設に……どんな誕生日やねん。

 

「ま、まさか……」

「どうした、あげはちゃん」

「いや、まさかそんなわけない……」

 

 あげはちゃんの様子がおかしい。なにか思いついたのかな。しかし、あげはちゃんが想像しつつ、まさかそんなわけがないものとは一体……?

 

「ん?」

 

 なにやら音楽が流れ始めた。

 やはり歌とダンスなのでは……つまりこのドル札はおひねりってことかな?

 

「や、やっぱり、やっぱり……?」

「あげはちゃん、この曲で確信を?」

 

 この曲に秘密が……うーん……なんだろ洋楽だけどロックとかじゃないというか……これで何がわかるのか……。

 

「家族旅行で海外に行ったときに、あげはも行ったんです……」

「どこに……?」

 

 あげはちゃんが答える前に、ドアが開いた。

 やってきたのはステージ。二本のポールが立っている。そしてそこにいるのは真奈子ちゃん……

 

「ま、真奈子ちゃん!?」

 

 なんと真奈子ちゃんは、ぱんつ一丁だった。しかも、やたら布面積が小さいTバックだ。お、お、おっぱいが丸見えですよ!?

 

「師匠……これは、間違いなく……ストリップです!」

「す、ストリップー!?」

 

 その発想はなかったよ!

 官能小説家にすら無い発想だよ!?

 あの純真無垢な清井真奈子ちゃんが、誕生日プレゼントでストリップをプレゼントとは……。

 そして家族旅行でストリップに行くあげはちゃんのパパとママ、やっぱやべーな!

 

「すとりっぷ? なにそれ!」

 

 ストレートに質問したのはギャルギャルした女の子、ももきゅーちゃんだ。ストリップなんて知らない。それがギャルの常識! っていうか女子小学生が知っている方がおかしいからね。

 

「まあ、まずは見ましょう」

 

 あげはちゃんの指示に従う我々。基本的にエロいものに詳しい俺だが、ストリップは未経験だ。みんなでステージの近くへ。

 初めてのストリップが、女子小学生がストリッパーで、女子小学生の説明を受けながらということになるとは夢にも思いませんでしたね。

 ぱんつしか履いていない真奈子ちゃんは、ステージの上でくねくねと踊っている。ぽよんぽよんと弾む胸……ごくり……なんて綺麗な乳首なんだ……おっと、いかんいかん、ストリップでそんなところを見るなんて……ん? いや、これでいいのか?

 

「かわいいー!」

「きれいだよー!」

 

 みんなから掛け声が飛ぶ。ストリップというものにめちゃめちゃ順応しているな……。

 真奈子ちゃんはしゃがんでから、脚をぱかぱかさせるという大胆な動きを見せる。少しも恥ずかしそうにしていないのは、慣れているから……ではなく、これがエロいことだと少しも思っていないからだろう。おそらく真奈子ちゃんだけは今日やっていたことすべてがエロいことだと思っていない。

 続いて、後ろを向くとポールにつかまって、振り返りながら、お尻を振った。

 

「そろそろいいでしょう」

 

 ステージにかぶりつくようにしゃがんで見ていたあげはちゃんが、立ち上がった。よくわからないが、踊り子さんに触るのはNGなのでは?

 

「これを、こうするんです」

 

 あげはちゃんは、10ドル札一枚を指でつまむと、真奈子ちゃんのぱんつの紐に差し込んだ。

 

「ありがとう、ございま~す!」

 

 真奈子ちゃんは、あげはちゃんに顔をおっぱいで挟んでぷるぷるぷるーんとさせた。ははーん、そういうことね!

 

「ちょー楽しそうなんだけど!」

 

 ももきゅーちゃんもノリノリだ。ドル札を振り回している。

 くねくねさせながら近寄る真奈子ちゃん。

 

「ありがとう、ございま~す!」

「わー! 柔らかくて気持ちいいんだけど! すご!」

 

 おそらく何かで勉強したとおりにやっているのだろう。真奈子ちゃんは10ドルを貰ったら「ありがとう、ございま~す!」と言っておっぱいで顔を挟んでぷるぷるさせる。そういうものだと認識しているようだ。

 沙織ちゃんと柑樹はおとなしくしている。小江野さんはどうしようか悩んでいるようだ。小江野さんもステージに上ったらいいと思うよ。

 周りの状況を観察していた俺を、真奈子ちゃんはじっと見つめてきた。ですよね。俺がやらないと意味がないからね。ったくしょうがねえなあ……。

 

「真奈子ちゃん! 俺にもお願いします!」

 

 お尻に10ドル札を差し込む。なにこれ、この時点で楽しいんですが。

 

「ありがとう、ございま~す、先生!」

 

 んほお~。

 ぽわぽわふわふわ……気持ちいい。

 しかし、これはなんというか、エロい感じがしない。そう、エロくないんだよ。楽しいだけ。

 プレゼントはエンターテイメントだと言っていた意味がよくわかる。

 実際、俺がストリップについてまったく知らないのも、エロい題材になっていないからと言えるだろう。ストリップもののエロ漫画とかアダルトビデオなんて見たことないもの。

 こんな健全なイベントなら、もっとあけっぴろげにやっていいのでは? 中学校の文化祭とか、町内会の夏祭りとかでやったらいいと思います!

 

「もう10ドル!」

「ありがとう、ございま~す!」

 

 更にお金をつぎ込むと、今度はお尻を顔に押し当てて、ぷりぷりっと振った。面白いなあ。気分は高揚するが、息子はおとなしいままなんだよね。そりゃそうだよ、お尻で顔をぷりぷりさせてるだけだし。

 冷静に考えたらバカバカしすぎる。10ドルというと、1200円くらいになるのか? 1時間アルバイトしてもらえるかどうかという金額だろ。全然見合ってない。

 見合ってないけど、それがこの楽しさなんだろうな……。このバカバカしい狂気じみた散財をするというのが。

 1000円札じゃなくて10ドル札っていうのも、現実からちょっと離れている感じがしていいのだろう。海外旅行のテンションで行くとちょうどいいのも理解できる。いまや、あげはちゃんを連れて行ってしまう親の気持ちすらわかる。健全だもの。

 

「20ドル、一度に渡してみてください」

「うん」

 

 あげはちゃんが助言してくれた。頼れる作戦参謀である。

 もはや手慣れた手つきで、ドルをぱんつに。何度やっても楽しいなこれ。

 

「だ~いすき~」

 

 セリフが変わった。

 そして行動も変わった。

 俺の後頭部を足で引っ張り込むと、顔を自分の股間に押し付ける。

 

「ふがふが」

 

 目の前にありすぎて見えないTバックをふがふがさせる俺。

 数秒もしたら、足は解除され、真奈子ちゃんはまたダンスを再開。

 え、それだけ?

 おっぱいでぱふぱふされてる方がまだ嬉しいのでは?

 今の行動に本当に20ドルの価値があるのか?

 冷静に考えるとそういう結論になるが、それこそ莫迦だろう。

 これはつまり踊る阿呆に見る阿呆、同じ阿呆なら踊らにゃ損々というやつですよ。乱痴気(らんちき)状態を楽しむエンタメだと、そう考えるべき。

 つまり、つまりですよ。全くエロくない健全なエンタメなので、女児向け小説家である俺にとっては参考にするべき題材ってことですよ。よっしゃ、次回作はストリップを中心に話を展開しよう!

 

「ほらほら、沙織ちゃんもやってごらん」

「変態」

「いや、全然変態じゃないよ。すっごく健全だよ」

「……本気で言ってる目だ……」

 

 沙織ちゃんは俺の本気をわかってくれたようだが、テレているのか10ドル札を触る気配がない。楽しいのに……。

 ももきゅーちゃんに続いて、小江野さんもぱんつにお札を差していた。おっぱいをリクエストしている。自分のほうが大きいのだが、自分で自分にぱふぱふ出来ないしな。正しい。

 

「ありがとう、ございま~す!」

 

 真奈子ちゃんは笑顔でサービスをしまくっている。本当に健全なエンターテイナーとしての顔だ……ストリップがこれほど明るく楽しいものだったとは。

 

「だいだい、だ~いすき~」

 

 すっかりテンションの上がった小江野さんが30ドルつぎこんだ。

 みんな楽しそうで何よりだ。笑顔に溢れている。

 これがもし俺だけに向けられたものなら、そこまで楽しめなかっただろう。

 こんな世界があったとはね……。

 女子小学生からストリップというものを教わったよ。女子小学生たちと一緒にストリップが楽しめる誕生日なんて、俺は最高の幸せ者だ。

 

「お、お兄ちゃん、これ全部ツッコんでいいよ」

「そうか? やらなくていいの?」

「見てるほうが捗るから」

 

 妹がくれたお金を一気にぶち込む。本当に自分で稼いだ金でこれをやったらと思うとクラクラするね。

 そんなこんなで、みんながあらかたお金を使い終わったところで終了。

 みんながまた席について、飲み物を飲んでいたところに、真奈子ちゃんが戻ってきた。もちろん、服を着ている。

 

「楽しかったよ、真奈子ちゃん。ありがとう」

「喜んでいただいてよかったです」

「でもなんでストリップ?」

 

 真奈子ちゃんにしては発想がぶっ飛びすぎている。

 

「最高のエンターテイメントなんじゃないかという話をテレビで見たんです。そこから調べていたので助かりました。まさか今日自分がするとは思っていませんでしたが……はっ」

「するとは思っていなかった……?」

「ばかっ」

 

 やってしまったとばかりに手に口を当てて目をつぶる真奈子ちゃんを、沙織ちゃんが何をやっているんだとばかりに睨んでいる。

 どういうことかと見回すが、ももきゅーちゃんだけがきょとんとしており、他は全員あちゃーという顔をしていた。ふーむ?

 ここで俺がミステリ作家だったら名推理で解決できそうなんだが、あいにくとそういう小説は書くどころか、とんと読んだこともない。

 

「そ、そうだ。これもプレゼントです」

 

 真奈子ちゃんも普通のプレゼントがあるようだ。中身は万年筆。作家だけど万年筆なんて持ってなかったので、ありがたい。おそらく高級なブランド物っぽい。

 

「ありがとう……それにしても……」

 

 ストリップや合法痴漢などの予定はなかった……?

 それについてトップバッターのももきゅーちゃんだけがピンと来ていない。

 そして、ももきゅーちゃん以外は普通のプレゼントも用意していた。

 それらを考慮すると……。

 

「うーん?」

 

 わからなかった。

 

「さて! 最後にケーキを食べましょう!」

「そうだね! ごはん食べてから結構時間も経ったし、ちょうど何か食べたいと思ってた!」

「誕生日はケーキだよね!」

 

 ケーキで盛り上がる女子たち。

 まあ誕生日のお祝いとしては欠かせないか。

 

「先生はコーヒーと紅茶のどちらにしますか?」

「あー、紅茶かな」

「どっちもありますからねー」

「うん、ありがとう真奈子ちゃん」

 

 こうして人生最高の誕生日パーティーが終了した。

 女子小学生四人を含めた女子たちから、お祝いしてもらったんだ。これは間違いなく、女児向け小説のヒントになるだろう。




最後の最後で健全すぎてごめんなさい!
まさかここまで健全な内容になるとは……。
このくらい健全じゃないと公開停止になっちゃうかもしれないからちょうどいいか。
ちなみにストリップが最高のエンタメかもしれないっていうのは酒の肴になる話で松本人志さんが言っていたことなので間違いない。
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