女子小学生に大人気の官能小説家!?   作:暮影司

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眼鏡を汚す液体

 

 そうだね、大人のテーマパークだね。

 イメージクラブだったお店を改造して、部屋とコスチュームを提供しているお店だね。

 例えば体育倉庫や、保健室。電車に、オフィス。マニアックなところでは、忍者屋敷とか教会なんてのもある。

 ここで男女が好きな格好をして、好きなシチュエーションでえっちなことをする。

 グッズも貸し出していて、椅子に縛り付けることもできるし、不自由な患者になってご奉仕してもらうことも可能だ。

 真奈子ちゃんには囚われた姫を演じてもらおう。俺は勇者をやるので、オプションでオークを雇おうか。

 オークにひん剥かれて泣き叫ぶ真奈子ちゃんを救出し、俺はそのとき彼女のお礼をいただくという形で……いいですね。

 

「先生? またお仕事ですか?」

「あー、ごめん。すぐ小説のこと考えちゃって」

「ふふ、大丈夫です。そういうところが好きなので」

 

 真奈子ちゃんは俺の小説家としてのファンなので、エスコートしなきゃいけない場面でも小説を優先することに寛容だ。

 それにしてもなぜこの店がないのか不思議だ。オークは難しいが、他は用意できるだろう。歌舞伎町にオープンしたらいいのに。

 どちらにしても今来ているこのショッピングモールに、この夢のような店はない。

 まぁ、仮にあったとしても女子小学生(JS)と一緒に入ってはいけない。

 そして俺の小説にも活かせない。くそっ、なんて俺は不自由な小説を書いているんだ。夢のプレイルームを借りて、ご主人さまとメイドがいつもと立場を逆転させるプレイをするストーリーなんて、秒で一冊書き上げられるというのに。児童向けのレーベルであるがゆえにそれは不可能なのです。

 日本の少子化を解決するためには、子供のうちから性行為の素晴らしさを伝えていくべきだと思うのだが。

 

「先生、ここで立ったままだと……」

「あ、ごめん」

 

 休日のショッピングモールの、ランチタイムのフードコートの入り口だ。完全に邪魔者になっていた。ぼーっと勃ってる場合じゃねーよ!

 今の日本を憂いてないで、さっさと次の場所に移動しよう。

 

「こっちこっち。ここに入りたかったんだ」

「ここは……」

 

 そう、ここは眼鏡屋だ。アイウェアショップなどとぬかしてるが、眼鏡屋だ。

 頻繁に訪れる人もいれば、一生入らない人もいるだろう。

 

「めがね……目が悪くなっちゃったんですか?」

 

 真奈子ちゃんはちょっと心配そうにした。

 確かに専門学校に通い始めてから、パソコンを使う頻度が増えて、若干視力が落ちている。

 しかし、もともと目はよかったので、まだまだ眼鏡のお世話になることはない。

 

「そうじゃないんだよね」

「……あっ。ひょっとして、ご主人さまの目が悪くなったというお話を書こうとして参考に?」

「なるほど。それもいいな」

「えっ!?」

 

 真奈子ちゃんのアイデアは悪くない。

 というのもメガネ男子って人気出そうだから。男に興味のない俺には無い発想。

 それは別途考えるとして。

 

「俺が考えていたのは、単純に眼鏡をかけたメイを見たいと思ったんだよ」

「なるほど、挿絵ですね!」

 

 メイもマイもメガネっ娘ではない。俺はそこまでのメガネ属性ではないので、主要キャラをメガネっ娘にはしないのよね。

 ただし、眼鏡をかけた女の子も大好き。特に、たまーにかけるくらいがいいのだ。

 舞台を見に行った時とか、車を運転するときとか。

 普段かけていない女性が眼鏡をしていると、ドキッとしますね。

 ただし逆は許されない。メガネっ娘が肝心なときに眼鏡を取るとかね。それはやってはいけないことですよ。

 眼鏡屋の女性店員を見ながら、デートのときにコンタクトで来るんじゃないぞ……と睨みつけた。

 店員さんは他の客の接客をしており、俺の視線には気づいていない。真奈子ちゃんが俺の服の袖をくいくいっと引く。なにかしら。

 

「そういえば、眼鏡をかけたメイドさんもいましたね」

「あ、うん」

 

 我慢できないメイドのメイちゃん、略してメイメイに登場するメイドはメイやマイだけではない。巨乳のメイドやら眼鏡のメイドやらいるのだ。

 

「あのときのご主人さま、かわいかったな」

「ん?」

 

 眼鏡のメイドとの絡みで、ご主人さまがかわいいなんてことあるだろうか。

 そもそも作者の俺からして、ご主人さまを一度足りともかわいいと思ったことはない。

 全く理解できないという俺の顔を見て、真奈子ちゃんは文章を思い出しているようだ。

 

「確か、くっ、うっ、もうダメだ、出る、出るぞっ……って言って、顔にぶっかけちゃうんですよ」

「うん……そうだね」

 

 そのシーンは気に入っています。一巻なので、完全に官能小説だと思って書いてますし。

 

「で、眼鏡にかかっちゃうんですよね。眼鏡を汚してしまってすまない、って謝るというシーン」

「そうだね……」

 

 どこがかわいいんだよ!?

 確かに「全部口で受け止めろ、そして飲み込め」とか言わないという意味ではちょっと優しいけど。ご主人さまがドエスになるのはメイにだけだからね。

 それにしたって……ここがかわいいって、真奈子ちゃん……いや、まてよ。

 あげはちゃんじゃないんだ。これは真実を理解してないぞ。

 

「ごめん、かかっちゃうのってなんだっけ」

「あはは、我慢できなくなってついつい顔にかけちゃう、眼鏡が汚れるもの、なんて一つしかないじゃないですか」

 

 そうだね……俺の中では一つしかないんだよな……。

 でもきっと勘違いなんだろうな。肉欲は肉を食べたい欲だしな。

 食い物と間違えるパターンがよくあるが、このシーンはベッドだからね。カレーうどんをすすってたら、うっかり汁が飛んだ……とかそういう勘違いはありえない。

 ……わからん!

 

「くしゃみが出ちゃって、つばがかかったんですよね」

「……」

 

 は~、なるほど。

 その発想はなかったな……。

 で、くしゃみしたからかわいいっていうことなのか……確かにうっかりくしゃみをしただけなのに、ご主人さまは頭を下げて新しい眼鏡を買ってあげるわけだから……そうなるか……。

 

「ご主人さまは、カッコよくて、かわいいですよ」

「そういうものですか」

 

 小学生から届くファンレターにもそう書いてあるが。よくわからんぜ。

 腕を組んで突っ立っていたら、店の会話が耳に入った。

 

「お客様、大変よくお似合いです~。知的に見えますよ」

「そ、そうかな~」

 

 先程の女性店員さんが、おじさんを褒め称えていた。

 店員さんは家庭教師モノの女優ができそうなルックスだが、おじさんはオタクにしか見えない。

 これがプロの接客サービスなのだろう。

 真奈子ちゃんも同じ方向を見て、ふんふんと頷く。

 

「先生も、眼鏡が似合いそうですね」

「ん? そう? 俺は真奈子ちゃんが眼鏡が似合いそうだと思ってきたんだけど」

「ふぇっ!? あ、へ!? そうなんですか?」

 

 そりゃそうだ。

 確かに小説のネタにしたい気持ちはあるが、これはあくまで真奈子ちゃんへのお礼であるからして。

 

「目が悪くなくても単におしゃれとして眼鏡をつけることもあるみたいだし、紫外線カットみたいな目を守るタイプもあるしね」

「……嬉しいです」

「いろいろかけてみよう」

 

 アニメだと服や水着の試着もバンバンされてウキウキワクワクだが、現実には着替えるのに時間がかなりかかる。

 その点、眼鏡は簡単に着脱できる。いろいろ試して似合うとか似合わないとかやるのに向いているアイテムだ。

 

「ほら、これなんかどう」

「これですかー?」

 

 でかくて丸いサングラス。

 セレブがかけてそうな。

 真奈子ちゃんはお嬢様なので、かけていてもおかしくはない。

 

「どうですか」

「ぷふっ」

 

 真奈子ちゃんはお嬢様だが、女子小学生(JS)なのでかけていたらおかしかった。

 

「あーっ! もう」

「ごめんごめん、今度は似合うやつにするから。ほら、これとか」

「これですか?」

「あー、似合う。すっごくかわいいよ」

「え、え、そ、そうですか」

「これも似合うと思う」

「そうですかね」

「あー、これもいい。ベリーキュートだよ真奈子ちゃん」

「へへへ」

 

 フチが細くても太くても可愛らしい。

 やっぱり清楚な黒髪ロングストレート正統派美少女が眼鏡をすると、グッと来ますね。

 

「な、なんか眼鏡をかけるだけで褒めてもらえるなんて嬉しいですね」

「そう、そうなんだよ~。普段から可愛いと思っててもなかなか言うタイミングがね」

「ふ、普段から……はう」

 

 明らかに顔を赤らめた。眼鏡をかけて恥ずかしがる真奈子ちゃんは、非常に愛らしい。眼鏡屋、最高。

 これはご主人さまとメイにも行かせるしかないな。桜上水みつご先生のイラストに期待大。

 

「ご主人さまも、普段はメイを褒めるとかないからな。眼鏡をするとか、普段とまったく違う見た目なら、こういうセリフも言えるかもしれないなー」

「ふふっ。男性ってかわいいですね」

「へっ!?」

 

 俺は割と真面目にふつうのことを言ったつもりなので、女子小学生(JS)からそんなレディの意見を聞いて面食らってしまった。

 

「普段からもっと思ったとおりに褒めたらいいのに。恥ずかしがり屋さんなんですね、ご主人さまも」

「ん。んー。まぁご主人さまがメイドに対して褒めまくるってのも立場的にな」

「そうですか? むしろ上司だったら部下にもっと優しくするべきなのでは」

「た、たしかに!」

 

 上司が偉そうにしてるとかダサすぎる。上司は部下に優しくするべきだし、編集者は作家に優しくするべき。

 そのとおりだが、もともとご主人さまはドエスで、メイがドエムという官能小説からスタートしている物語。その設定を踏襲しすぎていたか。

 読者は真奈子ちゃんのように、ただ単に素直になれないだけだと思っている。

 

「よし、じゃあ今日は真奈子ちゃんを褒めまくっちゃおうかな」

「ふふっ、じゃあ私は先生を褒めまくっちゃいますね」

 

 事前にこういう約束をしておく。それも恥ずかしさを薄めてくれそうだ。ご主人さまは特に照れくさいだろうし、メイもご主人さまを褒めるというのは立場上難しいだろうし。

 

「これなんてどうかな」

「かっこいい! 先生、かっこよすぎです。クールです」

「真奈子ちゃんこそ、やばいよ。それ、めちゃくちゃ可愛い」

「先生こそ、それはやばいです! 胸がきゅんきゅんします」

「いやいや、俺はもうとっくに心臓バクバクだから」

「私のほうがドッキドキです!」

 

 バカップル爆誕です。

 お互いに眼鏡をかけて褒め合うだけという、この時間。めちゃくちゃ楽しいです……永遠にやっていたい……。

 

「お客様~、どういったものをお探しで」

 

 邪魔が入った!

 超邪魔。知的な印象を与えるナイスバディなお姉さんなのに邪魔です。

 

「えっと、あの、また今度にします……」

「す、すみません……」

 

 俺と真奈子ちゃん、脱出。

 別に買ってもいいんだが、もはや恥ずかしくて無理だった。

 とりあえずちょっと歩いて、店員の目の届かないところに。

 

「真奈子ちゃん」

「はい」

 

 真奈子ちゃんも恥ずかしそうにしていたが、きっと俺と同じ思いであるようだ。

 

「次は、靴屋にしよう」

「いいですね!」

 

 眼鏡屋とほぼ同じことを靴屋でやった。

 





眼鏡屋でイチャイチャするだけのデートしたいですね……。
友人がデートが好きじゃないって言っててびっくりしましたね。デートより楽しいことなんてないと思いますけどね。
レンタル彼女にJS6がいたらいいのに。

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