「真奈子ちゃん、次はどこへ行こうか」
「そうですね……先生は、恋人が相手だったらどこに行きたいですか?」
「えっ!? 恋人と行きたいところ……?」
「はい。そこに行ってみたいです」
恋人と行きたいところ。そこに女子小学生の真奈子ちゃんと二人で行く。
まぁ、行くだけならいいのか?
「そこに行って、恋人同士でしたいことができたらいいなって」
そこで俺がしたいことを?
駄目に決まってる!
「そ、それはちょっと駄目かな」
「な、なんでですか」
くっ……そんなカワイそうな顔をされるとツライが、じゃあ行こうかとはならない。
行ってもいいが、その場合は
「だって真奈子ちゃんは……まだ子どもっていうか……」
「子どもじゃないですよ、見てください」
「いや、たしかにおっぱいは大きいけど。っていうかすっご……でっか……たゆんたゆんしてる……」
「ほら、よく見てください……子どもじゃない、子どもじゃないですよ~」
「確かに……こんな立派なおっぱいの子どもがいるわけない……」
「そうですよ~、子どもじゃないですよ~、立派な女の子ですよ~」
「立派だ……立派なおっぱいだ」
「恋人ですよ~」
「そうだった、真奈子ちゃんは恋人だった」
「じゃあ、今一番行きたいところへ行きましょう~」
「そうだねー」
そんなわけでやってきたのが、漫画喫茶。
漫画喫茶というと、ただ漫画を読み漁る場所と思っている人もいるかもしれない。
逆に、終電を逃したときに、ぼーっとネットサーフィンや動画を見て寝るところという認識の人もいるだろう。
郊外型の大きな店舗は、家族連れが休日をゆったり過ごすこともあるようだ。
しかし俺がしたかったのは、そういうことではない。
ショッピングモールの近くに、この漫画喫茶があることを俺はチェックしていた。
「カップルシートで」
「はーい」
店員に言ってみたかったセリフの一つを言えた。
「か、かっぷる……」
カップルシートという言葉に反応する真奈子ちゃん。なんか不思議なことある? アベックの方がしっくりくるくらい大人だったっけ?
お嬢様の真奈子ちゃんは、当然こんな施設のことは知らない。
「こ、ここが恋人と来たかった場所なんですね~」
「カップルシートは恋人としか使いたくないな」
「しーちゃん先輩とは来れないんですか」
「妹となんか来るわけないだろ」
「そうですか、うふふふふ」
「さ、入って」
個室に入る。
とはいっても、壁は非常に薄い。
「へ~、小さなお部屋」
足を伸ばせるソファーとパソコンが置いてある。
かろうじて二人が寝れるかどうか。
ここに漫画とドリンクを持ち込んでダラダラ過ごす……わけがない。それは普通の使い方だ。
「ここに二人で並んで座るよね」
「はい……」
パソコンのモニターを二人で見るような形。
漫画喫茶のポータルサイトで、Vシネマのバナーが動いている。これを見る……わけがない。
「本当にいいのかな」
俺が恋人同士でしたいことは、恋人同士ならしていいものじゃない。
あまり人には勧められたものではないのだ。
「はい、ここで先生が本当に恋人同士でしたいことをお願いします。私は子どもじゃないし~、恋人です」
そうだ、真奈子ちゃんは子どもじゃないし、めちゃめちゃ俺の恋人だ。だから、俺が恋人同士でしたいことをしても、嫌がったり、嫌いになってしまうことはないんだ……。
「わかった。ここは、あまり大きな声を出してはいけない。わかるよね」
「そうですね、図書館ほどではないにしろ、こそこそお話した方が良さそうです。ふふっ、なんかくっつけていいですね」
「そう、カップルシートだからね……くっつくしかないんだよ」
肩を寄せ合い、口を近づけ……
「ちゅっ」
「ん……」
休日に、家族連れがのんびりソフトクリームを食べながら、少年漫画を読んでいるすぐそばで。
薄い壁を隔てただけの、この場所で。
俺たちはキスをしている。
そのことに興奮する……!
「んっ」
「あまり声を出すと聞こえちゃうからね……」
「あっ……はい……」
俺は彼女を抱きしめると、そっと胸に手を当て、ゆっくりと揉み始めた。
左手は背中に、右手は胸に。
顔は見つめ合って。
右手を動かすと、真奈子ちゃんは目を閉じる。
恥ずかしそうに、気持ちよさそうに。嬉しそうに、せつなそうに。
その様子を観察しながら、ゆっくりと揉む。
ときおり、唇をちゅっちゅっと合わせてみたり。
頬や首すじを軽くついばんでみたり。
そう、つまり、俺がしたいのは。
イチャイチャして、ちちくりあう。これしかない。
「ん……あ……」
小さく声を漏らす。
大きな声を出してはいけない、そういう状態だと、この小さな声がたまらなくスリリングだ。
ホテルなら大きな声を出すというわけでもないのだが、本当ならこんなに我慢しないだろうという気持ちになるからか。
「うん……ふうっ……」
この吐息のような小さな声が……すごく興奮する……。
ただキスをしているだけなのに、この背徳感。
かといって、映画館でするよりは壁があるだけ安心。
俺と真奈子ちゃんは、とっくにそうだからいいけど。
「あっ……?」
俺が彼女の服のボタンに手をかけたことに、若干驚いた様子。
じっと見つめると、黙って頷いた。
俺は最初から全部脱ぐより、こうして少しずつ脱がしていくのが好きだ。
服の上から揉む。その後、下着の上から揉む。そして下着の中に手を入れて揉む。最後に直接揉む。
こうやって段々とクライマックスを迎えるのがいい。
「かわいいブラジャー」
「……あり、がとう、ございます」
そこまで小さい声になる必要はないのだが、こうして二人にしか聞こえないように喋るのが醍醐味といえる。やはり盛り上がるためには背徳感が必要。
視覚的にブラジャーを堪能するのも悪くないが、触りたいという欲望に勝てない。
この自分の欲望に勝てない自分を自覚すると、更に興奮してくる。
俺は真奈子ちゃんを後ろから抱きしめるように体勢を変えて、ブラジャーの中に指を滑り込ませる。
「あん……」
突起に触れると、声が漏れる。
この反応、たまらないな。
左手は、太ももを触る。すべすべして、むちむちして。最高だ。
ブラジャーを外し、ダイレクトに触れるようにする。
あくまで直接触るためだけで、脱がしてしまうわけじゃないのがポイント。
確かにここは一応個室なのだが、全裸になっていい場所ではない。
そもそもこの時点で完全にルール違反のはずなんだが、そういうところを気にしてプレイするのが大事なんだよ。
「どう?」
「どきどきします……」
そう。ドキドキすることが目的と言ってもいい。
なんでわざわざこんなところでイチャイチャするのか。
「くんくん」
「へっ?」
髪の匂いを吸い込む。
こういうことも、カップルシートだとそれっぽい感じがしてくる。
手を絡ませてみたり、耳を甘噛みしてみたり。
「ふえっ? ふええっ?」
真奈子ちゃんは、何が起きているのかわかっていないような感じ。そんなわけないが。俺と恋人同士で何度も何度もしていることだ。
大きな音さえ出さなきゃ大丈夫、という意味で頭を撫でる。
「はう……」
ついでにお尻も撫でる。
たわむれに、くるぶしなんかも撫でてみたりする。
子猫とじゃれあっているような感覚だ。
いろいろなところを、触ったり、舐めたり、嗅いでみたり、抱きしめてみたり。
すると真奈子ちゃんも、触ってきたり、頬ずりしてきたり。
最高だ……時間を無為に過ごす方法として最高峰に位置するだろ……。漫画喫茶に来て、漫画を読まず、動画も見ないでネットもしないで。ただ恋人とちちくりあう。
これが幸せじゃなくて、なにが幸せだっていうのか?
官能小説ばかり読んでいた俺は、本当に恋人ができたら逆にこうした健全なイチャイチャを夢見ていた。
「真奈子ちゃん……」
「ん……」
抱きしめて。
キスをして。
口を離して、見つめ合って。
少し胸を揉んでみたりして。
また抱きしめて、キスをして。
今度は深く、長く、舌を入れたり、吸ったり。
「ぷは……」
「ふう……」
抱きしめる力を弱め、舌を離す。
これで終わったとわかるのか、安心したように脱力する真奈子ちゃん。
ありがとうやら、好きだよやら、いろいろな気持ちを込めて頭を撫でると、くすぐったそうに笑った。
ああ、なんて可愛いんだ俺の彼女は……?
「ん?」
真奈子ちゃんが、俺の彼女?
は? え?
ん、ん~!?
いや、とりあえず落ち着こう。
そうしている間に、漫画喫茶の個室で、女子小学生と、やってしまったということがわかる……。
駄目だ、ここはむしろ冷静になっては駄目。
いつの間にか催眠にかかっていたが、ここは……かかりに行く!
「真奈子ちゃん、俺たちってどんな関係だっけ」
「恋人同士ですよー、二人はラブラブな恋人同士です。ずっとお付き合いしてますよ~」
「だよね」