女子小学生に大人気の官能小説家!?   作:暮影司

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天職と思ったら殉職

 

 東京郊外の大きなキャンパス。

 俺の通う専門学校は、大学も併設されており、プールやゴルフ練習場、野球場やボウリング場まで完備。設備は結構充実している。

 ドラマの撮影もよくされていて、たまに戦隊ヒーローが戦っていると「あ、うちの学校じゃん」なんてこともしばしば。

 東京都ではあるが、最寄り駅から専用のバスで通うそこはなかなかの山奥で、野生のたぬきが出没することもある。

 もともと学生数はそれなりに多いが、今日はいつになく賑わっていた。

 

「こちらで予約になりまーす!」

 

 若手人気声優のトークライブの呼び込み。

 

「顔だけでも覚えていってくださいねー」

 

 テレビに出始めたくらいのお笑い芸人の声。

 

「出た―ッ! フライングボディープレス!」

 

 学生プロレスの実況。

 そんな声や音が聞こえてくる。

 今日は、学生気分の最高潮ともいえるイベント。

 学祭だ。

 そこで俺はもちろんカノジョと校内をのんびりとデート……するなんてとんでもない。

 ここで小学生ギャルと付き合ってるなんてバレたら社会的に死ぬよ!

 絶対にバレちゃいけない。

 そして、この俺の現状もバレちゃいけない。

 

「へぇ~、スカート割引だって~」

「300円が50円ってやば! やってこうよ!」

「いらっしゃいませ~」

 

 俺は一人で店番をしている。

 焼きそば屋とか、フランクフルト屋とかが並ぶ出店の一番端。

 この学園祭で担当している出し物は、水ヨーヨー釣りだ。

 お客さんは主に学生。来年受験しようと思っている高校生もいる。

 つまり17歳から22歳くらいの女性ばかりが、俺の目の前でスカートのまま座り込んで水ヨーヨー釣りに夢中。

 その状態がずっと続いている。

 どうしてそんな夢のようなことが可能なのか。

 これは俺の策略によるもの。つまり価格設定が300円、ただしスカートを履いている人は50円に割引する、という値段設定にした。

 もともと男がやるものでもないが、300円払ってまで水風船なんか欲しくもないだろう。そしてスカートの女の子はそのオトク感から、結構遊んでいってくれる。

 結果、目の前には色とりどりのカラフルな光景が広がっている。

 黄色、赤、黒に、白。

 無地に、縞々に、水玉に、レースにリボン。

 まさに絶景だ。

 ヨーヨーのことかって?

 そんなものを見ている暇はないね。

 そう……つまり今、俺はスーパーぱんちら祭真っ最中というわけだ!

 最高だ~!

 学園祭とはいえ仕事がこれほど楽しいものとは知らなかった。

 ひょっとしたら天職かもしれない。一生これで食っていこうかな。

 

東方(とーほー)、店番変わろうか~?」

 

 俺の本名は東方賢者(ひがしかたさかひさ)だが、あだ名でとーほーとか、けんじゃとか呼ばれている。

 彼はクラスメイトで、あまり話したことはない。

 

「いや、いい。大丈夫」

「そうか? それならいいが」

「うん、こっちには来なくて大丈夫だから」

「おー、じゃあ俺はサークルの方いくわー」

「あいあいー」

 

 手を振って見送る。

 

「……あぶねー」

 

 店番を変わったら、ここがパラダイスであることがバレてしまう。

 誰か信用のおける人物でないと、ここは交代できませんな。

 

「よっ、あっ、釣れた~」

「すごーい、わたしも~」

 

 受験生二人組かな?

 仲良くヨーヨー釣りを楽しむ、清楚な紺色の制服姿のお友達……いいですね。スカートの中まで仲がいいんですね、どっちも穢れなき白ですね。

 ……しかしそろそろトイレに行きたい。

 いや、あれだよ?

 おしっこがしたいってことだよ?

 それ以外の理由じゃないですよ。ええ。

 

「おっ、賢者(さかひさ)くん。繁盛してるねえ~」

「小江野さん」

 

 同じ学校に通う、声優科の小江野忍琴(こえのおしごと)さんだ。学園祭に参加しているのは当然といえる。

 うん、小江野さんなら店番を交代しても大丈夫じゃないだろうか。

 

「小江野さん、よければなんだけど」

「うん、もちろんやらせてもらうよ。50円だしね」

 

 俺に50円玉をぽいっと渡して、すぐに遊び始めてしまった。

 うう……トイレ……。

 

「よっ、とっ……逃げるぅ~」

 

 よっ、とっ……ぱかーん。

 膝上丈のスカートがご開帳。

 むっちむちの太ももの奥にサバンナを見た。

 ゼブラ~! そんなの見せられたら困ってしまうま~!

 白と黒の縦縞はいいんだけど、限界が……股間が限界だよ~。

 この状況だと、見ないほうがいいんだろうけど、見ちゃう。だって、男の子だもん。

 

「あ、変態」

「ああ、沙織ちゃん」

 

 続いてやってきたのは網走沙織ちゃん。

 小学六年の女の子である。格好はジーンズ。スカートじゃない。

 これならやらないだろう。

 交代してもらおう……。

 

「沙織ちゃん、もしよかったら」

「やる。楽しそう」

「えっ」

 

 五百円玉を貰って、二百円返した。

 

「そーっと、そーっと……」

 

 沙織ちゃんはヨーヨーを釣るのに夢中だ。こういう娯楽が好きなんだね……。

 店番は交代できない……いや、交代して真実がバレた時、俺は無事でいられるのだろうか。

 わからない……わからないが、あとで尻をムチでどれだけ叩かれてもいいから、今はトイレに行きたい……。

 もうさっきのクラスメイトでいいから、戻ってきてくれないか……。

 

「……」

 

 無言で俺を見つめるものあり。

 

「た、助かった」

 

 彼女は瀬久原柑樹(せくはらかんじゅ)。痴漢されたりセクハラされたりするのが上手などこにでもいるごく普通の女子高生だ。

 柑樹なら、ぱんちらパラダイスの店番をしてもなんとも思わないに違いない。

 

「あの、店番を……」

 

 交代しようと思ったが、看板やら俺やら、客を観察。

 なるほど、というようにピンと人差し指を立てた。

 そして柑樹は、お客さんたちと少し離れた場所で座り、俺に見えるように股を開いた。

 うん、白い肌にピンクのぱんつが眩しいね。

 

「って、ちがーう!」

 

 柑樹はわかっていない!

 いや、わかりすぎている!

 俺の想像や期待を超えるくらい、わかりすぎている!

 違うの、違うのよ。

 普段だったら完璧なんだけど、今は違うの!

 

「……?」

 

 首をかしげる柑樹。おかしい、完璧なはずなのに……という顔をしている。

 確かにここで理解した上で、周りにバレることなく、俺にはサービスしてくれてるし、ぱんつもカワイイ。完璧といえる。

 問題はね、俺と交代してくれのジェスチャーをわかってくれないことなのよ。恋ダンスじゃないのよ。

 

「……!」

 

 もう一度指をピンとさせる柑樹。

 わかってくれたのか。

 柑樹はとことこと俺に近寄る。いいぞいいぞ~。

 

「はい」

 

 そして、ストローを俺の口に。

 

「ありがとう」

 

 ごくごく。

 あー、冷たいコーラだな。おいしい~。

 

「って違ーう!」

 

 おしっこしたいんだって!

 なんで冷たいドリンクくれちゃうの。

 ますますピンチじゃないですか!

 

「そうじゃないでしょ」

「……あ、そうか」

 

 柑樹は自分でちゅーちゅーと吸ってから、もう一度差し出した。

 

「そうそう、ちゃんと間接キスしないとね」

 

 ごくごく。

 

「あー、おいしい~。さっきの百倍おいしい~。って違うわ!」

 

 違うの? と首をひねる柑樹。

 いや、すごく正しい。すごく正しいんだけどね。

 で、俺もさっさと店番代わってくれって言えばいいのにね。こんなノリツッコミなんかしてる暇があったらやれよって思うよね。

 でも、間接キスできて嬉しかったです!

 

「やっほー! き、た、よ!」

「おお! ももきゅーちゃん」

「トイレ行きたいんでしょ、代わったげんよ」

「うわ―! さすが! 頼む!」

「はいはーい」

 

 すげー!

 ももきゅーちゃんのコミュ力半端ないね。

 何も言わずに伝わるとは。さすがギャル!

 もう限界に近い膀胱を刺激しないように、そーっと急いでおトイレに。

 ちゃっちゃとコトを済ませて、舞い戻った。

 小学生を店番にするのは心配だが、さすがにこの早さなら問題ないだろう。

 

「ももきゅーちゃん、おまた……」

 

 あれっ?

 なんか周囲の人がみんな俺を見ているのですが?

 

「あー! さかぴ~。待ってたよ~! みんながあたしみたいな女子小学生と付き合ってるなんて信じられないとか言ってんだけどー! 証明するために、ここでちゅーしよ? ね?」

 

 投げキッスをしてくるももきゅーちゃん。

 そして、その様子と俺を見て完全に白目になっているオーディエンス。

 あはははは。

 俺がトイレに行ってる間の短い時間で、周囲に俺たちの関係をばっちり伝えたんだね。

 ももきゅーちゃんのコミュ力半端ないね。

 俺はおしっこより多くの水分が、だくだくと体から出ていた。

 

「ところで、さかぴ! このお店、すっごいぱんつ見えるんだけどー! もう! スケベなんだから! 言ってくれれば、あたしが見せてあげるのに!」

 

 周囲の空気が凍てついてゆく……!

 さ、寒い!

 吹き出した汗が、一瞬で蒸発していく! 凍えて死ぬ!

 生まれたての子鹿のように足をがくがくさせて、崩れ落ちた。

 

「あっ……あ、あ……」

 

 サイヤ人と対峙したときの孫悟飯みたいな声しか出ない。助けてピッコロさん……!

 そして俺はピッコロさん……ではなく、沙織ちゃんに引きずられながら、その場を退散した。

 





わー、普通のラブコメみたーい。
って、もともとそうだったー。
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