女子小学生に大人気の官能小説家!?   作:暮影司

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カラオケで寝取られ

 

 ピシーン!

 バシーン!

 

「ぎゃあー!」

 

 ここはカラオケルームだ。

 間違いなく、学校の近くにあるカラオケルームだ。

 そこでなんで俺はムチで打たれているんだ!?

 いつものように俺は四つん這いで、馬乗りにされて尻を打たれている。場所がカラオケのステージなのが新鮮だね。スポットライトが当たってるからね。

 なんか普段どおりみたいな言い方だけど、明らかにおかしいよね。

 

「さ、沙織ちゃん。なんでムチを持ってきているの?」

 

 そうなんですよ。

 うちの学園祭に来るのに、ムチはいらないでしょ。

 我が家ならともかく……。

 

「うるさい」

 

 ピシーッ!

 

「ぎゃぼーっ!?」

 

 痛えーっ!?

 ムチを持ってきた理由は聞いてはいけないのか!?

 

「さ、沙織ちゃん。そ、そもそも、なんでうちの学校に?」

 

 そうなんですよ。

 そもそも、なんでうちの学園祭に来たのか。

 

「うるさい」

 

 ピシーッ!

 

「んほーっ!?」

 

 答えが帰ってこねえーっ!?

 大人は質問に答えない。

 それは聞いたことがあるが、女児も質問に答えないんですね?

 ん? 質問に答えずにムチで叩くって、よく考えたら普通じゃないな?

 いくら沙織ちゃんでも、これはおかしい。

 

「ひょっとして怒ってるんですか?」

「怒ってる」

 

 ピシーッ!

 

「怒ってたーっ!?」

 

 尻がもう限界なので、早く怒りを沈めねば。

 今、彼女が怒る理由……ひとつしかあるまい。

 

「ごめん、パンチラパラダイスしてごめん」

「何言ってんだ」

 

 ビシィーッ!

 

「超痛エーッ!?」

 

 なんか間違えたらしい!

 店番してたのに強制的に連れてこられたのは、水ヨーヨー釣りで俺がスカートの中を見まくってたのがバレたせいだと思うのですが。

 他に怒られる理由があるのかい!?

 

「さかぴったら~」

「ももきゅーちゃん……」

 

 ドリンクバーのメロンソーダを飲みながら、足を組んでこちらを見守っていた俺のカノジョ。助けてくれてもいいんですよ?

 

「そーじゃないっしょ。もっと乙女心を考えてあげて」

 

 ヒントをくれたらしい。

 直接助けてくれないんですね……。

 カレシがムチでバシバシ尻を叩かれているというのに……。

 逆の立場だったら俺は……どうしようもないな。だって沙織ちゃんだし。しょうがないか。

 ヒントは乙女心。

 あー、わかった。

 女児向け小説家だからね、乙女心を理解してますよ当然。

 

「沙織ちゃんだけぱんつを見られてないから怒ってるんだね。ズボンを脱いでぱんつ見せて。じっくり見て感想も言うから」

「死ね」

 

 バッシーン!

 

「ンギャーッ!?」

 

 バシーンバシーンパシーンパシーン!

 

「止まらねえーっ!?」

 

 どうやら外したらしい!

 自信があったのに!

 

「あはははは」

 

 ももきゅーちゃんは足をばたばたさせて笑い転げている。助けてよ!?

 笑い事じゃないくらいムチがしなってるんですよ!

 そんな足をばたばたさせてないで!

 

「ちなみに、あたしのぱんつは?」

「めちゃくちゃカワイイ。さっきからチラチラ見えてるけど、目が離せないもん。さすが俺のカノジョだ、ぱんつのセンスが」

「死ねっ」

 

 ぺしょっ!

 

「クソ痛エエーッ!?」

「あはははは」

 

 尻じゃなくて太ももに当たってるから!

 痛すぎて死ぬ!

 ももきゅーちゃん、マジで笑ってる場合じゃないんですよ! 太ももは駄目だって!

 ったく、これはもうびしっと叱るしかないな。

 

「沙織ちゃん、自分のぱんつは見られたくない、他人のぱんつも見てほしくない。そんなワガママばっかり言っちゃ駄目だよ」

「それが普通。死ね」

 

 ピシーッ! バシーッ!

 

「アーッ!? ごめんなさい、もう謝るから許してください!」

 

 俺は正しいことしか言ってないと思うが、暴力の前には正義も屈するしかないのか……。力こそジャスティスなのか……。

 

「ふー。疲れた」

 

 疲れるまでムチを振らないでほしい。

 

「あはは。終わったみたいだね~。さかぴ、叫んで喉乾いたっしょ?」

「うん、カラカラだよ」

「口移しで飲ましてあげよっか」

「お、それはいいねって、痛えぇーッ!? 終わったんじゃなかったの!?」

「今のは渋谷が悪い」

「あはは、メンゴメンゴ」

 

 ももきゅーちゃんが悪いのになんで俺が!?

 いや、ももきゅーちゃんにムチ打たれても困りますが。

 

「喉乾いた」

 

 沙織ちゃんは俺の上からようやくどいて、炭酸のオレンジジュースを飲んだ。

 そしてももきゅーちゃんが座っていない方の座席に座る。

 俺はももきゅーちゃんの隣に腰を下ろし、コーラで一息ついた。ふー、氷がいっぱい入ってて冷たいぜ。

 

「……」

 

 沙織ちゃんはつめた~い目で俺を見ていた。氷どころかドライアイスですね、これは。

 

「ももきゅーちゃん」

 

 顔を近づけて、ひそひそ話だ。

 

「なーに、さかぴ」

「なんであんなに怒ってんの?」

「あはは。こういうことしてるからじゃん」

「こういうこととは……」

 

 ちゅっ

 

「こういうこと」

 

 頬にキスされた途端、足にムチが飛ぶ。

 

「痛エーッ!?」

「ハグしてみよ」

「痛エーッ!?」

「膝枕してみたりして」

「痛エーッ!?」

「わかった?」

「ええ……」

 

 ちょっと待って?

 ももきゅーちゃん、だとすると俺が攻撃されることをわかっててやってましたよね?

 実戦形式で教えてくれるんじゃなくて、言葉で教えてくれてもいいのよ?

 

「うーん」

 

 俺とももきゅーちゃんが、イチャイチャすると怒るってことか?

 仮説は実践して立証しないと真実にならない、実に面白いってガリレオが言ってた気がするな。

 

「ももきゅーちゃん、ちゅっ」

「あ、やん」

 

 ピシーッ!

 

「ぎゃ、ぎゃあー! やっぱり!?」

 

 どうやら合ってるみたいです!

 検証のためにダメージを受けたよ!

 実に面白くない!

 

「と、いうことは……沙織ちゃんが怒っているのは……俺とももきゅーちゃんが付き合ってることなのかな」

「……」

 

 どうやら合ってるっぽいぞ……どういうことなのだ。

 それが嫌だということは……?

 

「ま、まさか……」

「……」

「わかっちゃった?」

 

 俺は沙織ちゃんとももきゅーちゃんの顔を交互に見ながら、顎に手をやる。

 

「自信はないんだけど、ひょっとしたら……」

「……」

「うんうん、言ってみ」

 

 沙織ちゃんは、睨んでいるものの顔は赤い。やはり……?

 

「沙織ちゃん、ひょっとして……」

「……」

「……」

「好きなんじゃないのかな……」

「……ああ……」

「……おお……」

「ももきゅーちゃんのことを」

「……ん?」

「……ほ?」

 

 沙織ちゃんはももきゅーちゃんが好き。もちろん恋愛的な意味で。

 だから俺を攻撃した。これなら納得だ。

 沙織ちゃんは「お稲荷様が見てる」っていう百合小説のファンだし、そういうこともあるでしょう。うん、なるほどね。

 

「ももきゅーちゃんを奪った俺が憎いってことか……」

「や、さかぴ、それは」

「そう」

「えっ?」

「そう。そういうこと」

「やっぱりそうだったか……」

「えー」

「だから二人を別れさせる」

 

 きっぱりと言い切られてしまった。

 でも、なんだか冷たい怒りの空気は消えて、なんか沙織ちゃんの目がキラキラし始めた。沙織ちゃんが怒ってるのはツライので、とりあえずよかった。

 やっぱりムチはもっと優しく叩いてくれないと。怒り任せじゃ気持ちよくないですからね。

 

「どうせ変態がえっちな誘惑に負けて流されて恋人になっただけに決まってる」

「な、なん……」

 

 なんでわかったんだ……という言葉を飲み込む。

 さすが沙織ちゃん、恐るべし……。

 

「ふーん。そっか、そうくるんだ」

「容赦しないから」

 

 バチバチと視線を交差させる二人……沙織ちゃんは好きな人相手にこれだけ攻撃的な顔をするとか、ほんと生粋のドSなんですね……。

 これはももきゅーちゃんがムチで叩かれるプレイの餌食にならないように、守らなければならないかもしれない……。

 それはそれとして。

 

「ももきゅーちゃん、ちょっと沙織ちゃんにちゅーしてあげて」

「えっ!?」

「はっ!?」

 

 さすがに罪悪感もあるからね。

 まさか沙織ちゃんの好きな人を奪ってしまったとは。

 俺にとって沙織ちゃんは、とても大切な存在。そうと知っていたら付き合うこともなかっただろう。

 

「俺とももきゅーちゃんが別れるわけにはいかないけど、沙織ちゃんが好きだっていうなら独占できないからね」

「……」

「ぷっ……さすがあたしのカレシ」

 

 ぽかんとする沙織ちゃんと、思わず吹き出したももきゅーちゃん。

 沙織ちゃんも驚いたようです。俺は沙織ちゃんのためなら自分のカノジョのキスくらいは差し上げちゃうよ!

 

「ももきゅーちゃんのちゅーはめっちゃ気持ちいいからね」

「そうそう。きもちーよ?」

「なっ……くっ……」

 

 どうやら沙織ちゃんは、俺の度量の大きさに驚いているようですね。

 

「ももきゅーちゃん、やっちゃって」

「はいはーい」

「え、え……ん」

 

 ももきゅーちゃんは、カラオケのソファー座席をする~っと移動して沙織ちゃんに近づくと、濃厚なキスを始めた。

 

「ん……あ、んん……舌が……はっ、んっ、ふっ」

「ん……さかぴと、全然違う……んっ」

「くっ……はあ、ふう」

「れる……んっ」

「あっ、はっ……」

 

 ……おいおい!

 スゴイことになってますよ!

 写真撮っておこう!

 

「ああ……あ……」

 

 沙織ちゃんは、目をとろーんとさせて、体がくてりとなった。

 うん、好きな人とキスできてよかったね!

 あとこの写真はなんかスゴく捗りそうです!

 




鈍感系主人公はあまり好きじゃないので、よくわからない状態で放置しないというこだわりがあります。
勘違い系主人公は別に嫌いじゃないのです。
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