女子小学生に大人気の官能小説家!?   作:暮影司

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体で払ってもらおうか

 おっ?

 

「どうした、俺が声を聞きたいと思ってかけてくれたの?」

 

 そろそろ寝ようかと思っていたときにかかってきたスマホの着信は、小江野さんだった。

 

「えっ? 自分の声が聞きたいと思ってたの?」

 

 いつものように適当なことを言っただけだが、明らかに嬉しそうだ。

 

「そりゃあ、やっぱり小江野さんは声がいいからね。人気声優間違い無しだからね」

「え? そ、そう? うへへ……」

 

 嘘です。

 小江野さんは声とか芝居には向いてないのよ。はっきりいって顔とスタイルなのよ。グラビアアイドルになるべき存在。

 

「でも顔も見たいんだよね」

「あ、そう? じゃあビデオ通話にしよっか」

 

 よし!

 まずは1ステージクリア。

 肩より上がスマホに映った。

 

「ど、どうかな」

「かわいい! かわいすぎ! え? まだ化粧してんの?」

「してないしてない! お風呂上がりだよ~」

「マジか……信じられないな……どんだけ美少女なんだ」

「え~、褒めすぎだよ~」

 

 そうです。褒めすぎています。

 さすがにすっぴんに見えます。お風呂上がりだってわかります。でも、お風呂上がりって可愛いよね。妹ですらそうだもん。

 

「それ、パジャマ?」

「あ、うん。そう」

「パジャマも可愛いなー、え、ちょっと下の方も見せてよ」

「ええ? 恥ずかしいなあ」

 

 よし! よし!

 2ステージクリア。

 くるっとターンしてくれたりして、ノリノリだ。

 ヘソより上が見える状態で、座り直した。

 

「でか! いや、でっか……! なんて魅力的なおっぱいなんだ」

「え?」

「すご! え? パッド?」

「入れてないけど」

「マジか……なんて巨乳……しかも形も完璧だ……」

「ええ……」

「ちょっと見せてくんない? おっぱい。生で」

「駄目だよ!?」

「え~!?」

 

 なんだよ!

 3ステージ難しすぎだろ!

 1ステ、2ステと同じ感じで攻めてるのになんでだよ!

 畜生! せっかく褒めまくったのに! おっぱい見たいから褒めまくったのに!

 チョロいから褒めとけばおっぱいくらい見せてくれると思ったのに!

 こんなんじゃ6ステージクリアは夢のまた夢だよ!

 

「は~。じゃあいいよぱんつで」

「え!? どゆこと!?」

「おっぱいは我慢するから、ぱんつ見せてよ。そっちはいいでしょ」

「よくないよ!?」

「ええ~!?」

 

 馬鹿な!?

 2.5ステージも駄目だと!?

 いや、待て。これはちょっと下手っぴだったな。

 妥協で見せてくれるタイプじゃない。

 前回シマウマ模様のぱんつを見たのは、250円引きのサービスでうっかり見えただけで見せてくれたわけじゃないのを失念していたぜ。

 

「小江野さん、小江野さんってすごく魅力的だよね」

「え!? そ、そう?」

「すっごく魅力的で、特におっぱいが最高」

「う、うーん。ありがと」

「でも、小江野さんってそれだけじゃないよね」

「そ、そう?」

「やっぱり、お尻も最高だと思うんだ」

「ん、んー。そう?」

「そうなんだよ……見たいんだ、お尻が……本当に……」

「う、うーん。しょうがないなぁ」

 

 Yes!

 やったぜ!

 うひょー!

 小江野さんはパジャマの下をするーっと下げると、お尻をぷりんとスマホの方に向けてくれた。ベージュか……ぱんつは萎えるが、尻は最高だ。

 夏目漱石ならこう言うだろう、尻がきれいですね(I Love You)

 

「いいものを見せてもらった……ありがたやありがたや」

「ちょっと、お尻を拝まないで!?」

 

 いや、もうここまで来たら信仰の対象ですよ。

 日本には男根崇拝があるくらいですから、尻を崇拝するくらい余裕余裕。

 俺が征夷大将軍だったら、小江野神宮を作って乳と尻の神として祀るね。

 

「それで、乳と尻の女神様がなんの御用で?」

「いつのまにか女神になってる!?」

「いくら女神様でも、俺に尻を見せるために夜中に連絡してきたわけじゃないんだよね」

 

 二礼二拍手一礼を終え、人間としての小江野さんに向き合います。

 

「んー。まぁいいや。そう、用事があります」

「ついにエロゲーか! 買います!」

「買ってくれるんだ……でも違います」

「じゃあエロビデオか! 買います!」

「買ってくれるんだ……でも全然違います」

「じゃあなんなんですか。マイクロビキニ写真集? 買うよ?」

「買ってくれるんだ……」

 

 嬉しそうなんだよなー。もういっそ俺と同人でやる?

 楽しいセクハラタイムをもっと続けたいとは思うが、そろそろ本題に入ってあげないと夜も深いからな。 

 

「ごめんごめん、ほんとは何?」

「実は、その、ラジオなんだけど」

「ああ、はいはい」

 

 俺が初回ゲストで参加した、小江野さんがパーソナリティを務めるラジオ「HEY! MEN! ガールズ!」のことだな。

 基本的にエロゲーの紹介をするラジオだ。うっかりエロゲーに詳しいとか言っちゃった小江野さんをサポートしたんですよ。

 あのラジオがどうしたというのか。

 

「動画配信をすることになりました」

「ほう」

 

 今はなんでも動画よね。ただ小江野さんのボディがあまりにけしからんという理由で配信停止にならないか心配ですよ。

 

「チャンネルも開設します」

「エロ動画サイトに?」

「全年齢向けサイトに!」

 

 全年齢か……大丈夫なのかな。

 世の中、思ったより厳しいよ?

 どう考えても全年齢だろと思ってても、これは一八禁ですねっていきなり公開停止されたりするよ?

 

「ってことは一回だけじゃないの?」

「うん、レギュラーだって」

 

 おお~。

 レギュラーの出演を手に入れるのはありがたいことだと聞いてるからな。

 例えそれがエロゲーの紹介だとしても。

 俺は画面に向かってぱちぱちと手を叩くふりをする。

 

「それに出演して欲しいって」

「よかったね~、ぱちぱち~」

「賢者くんにも」

「へー。……え? 俺も!?」

 

 それはマズいのでは?

 女児向け小説家が、エロゲーの話をするのはデンジャラスですよ?

 この前はあくまでも深夜ラジオだったわけで、読者が聞いてるわけがないという理由でまだよかったわけだが。

 今回はインターネットですよね。

 つまりは俺の名前で検索したらエロゲー紹介動画がヒットするってことでしょ? ヤバいですね。

 ましてやウィキペディアなんて見た日には……「四十八手足は主に女児向けの作家、一八禁美少女ゲーム紹介動画のパーソナリティ」なんて紹介されちゃうわけよ。なんだこいつ。

 さすがにこんなの出版社が許さないだろ。

 

「あ、高願社(こうがんしゃ)のオッケーはもらってるって」

「もらってるんかい!」

 

 両手で○を作ってる小江野さんに、思わずツッコミ入れちゃうわね。なんでいいんすかね。

 

「本人の意思を尊重するし、出版社としては本の宣伝になるならありがたいって」

 

 作品ならともかく、作者がメディアに出てどうこうって話は出版社が止めるものじゃないのかもな。勝手にやれと。

 

「ただ、ギャラの交渉はしないから制作側でやってくださいって」

「あー」

 

 ギャラ。なるほど。

 小江野さんは声優だから所属事務所があるわけで。当然仕事だからギャラが発生するわけだな。

 俺は前回はノーギャラでのゲスト出演で、新刊の宣伝だけさせてもらったってわけだ。

 レギュラー出演となると話が違うしな……。

 それで小江野さんから連絡が来たわけか。ふんふん。つまりこういうことだな。

 

「そこで小江野さんの体で払うってことか」

「違うよ!?」

「あれっ、違うの?」

 

 てっきりそういうことかと思ったぜ……。

 

「じゃあなんで?」

「じ、実は……この企画って賢者くんが参加するのは前提条件だから……NGだったらナシになっちゃう」

 

 えっ、俺次第なの?

 いつの間にそんなことに!?

 確かに初回のラジオではほとんど俺がしゃべってたけど!

 

「これってチャンスだから、絶対やりたいなって思って……だから、その」

「体で誘惑するってことか」

「だから違うんだけど!?」

 

 え?

 わかんねーの俺だけ?

 なんで違うの?

 そもそも俺に何かをお願いするということはそういうことでは!?

 俺のような、人間の三大欲求のバランスが悪い男。酒もタバコもギャンブルも興味なく、ただひたすらエロが好きな男。

 自分で言うのもなんだが、エロいこと以外の理由では動きませんよ!?

 

「楽しかったから」

「えっ」

「一緒にラジオしたの、すっごく楽しかったから」

「……」

「だからまた一緒にしたいなって」

「……さすが声優だな、今のは完璧だったわ……」

「いや、今のはお芝居じゃなくって」

「わかった、わかったから」

 

 ふー。

 あぶねー。

 まさか小江野さんがこう来るとは……エロくもないのに心臓がバクバクしてるぜ……。

 小さな画面越しにちらちらと、上目遣いでおねだりされているだけだというのに。

 

「あと、収録は温泉旅館なんだって」

「なにっ、そこで小江野さんと混浴か! よし、じゃあオッケー!」

「それは」

「楽しみだな―! あー楽しみだ。じゃ、そういうことで」

「あっ」

 

 切った。

 ふー……落ち着け……。

 

「なに今の、あっ、ん、やばっ、さいこうっ、ひうっ」

 

 俺よりよっぽど興奮しているやつの声が聞こえるが、落ち着け……妹がおかしいのはいつものことだ、気にしてはいけない。

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