女子小学生に大人気の官能小説家!?   作:暮影司

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湯気がない!

 温泉といえば、覗き。

 そう思っていた時期もありましたが、昨今はコンプライアンス的によくないのかそういうイベントは減りましたね。

 いまや温泉といえば、男湯女湯の暖簾変わってて混浴トラブル。これですよ。

 結果的にはこちらの方がエロいわけで。災い転じて福となすってやつですね。

 つまり! 今から起きるべきは小江野さんの入浴シーン! 見ないわけにはいかないッッ!

 さて、俺は官能小説専門なので、推理小説は書いたことがないのだが、ひとつトリックを考える必要がある。

 なぜなら、男湯と女湯の暖簾をかけ間違えるなんて、現実にはめったに起こらないからだ。

 チャンスは待っていてもやってこない。チャンスは自ら生み出すものなんだよ!

 動き出すぜ、この俺の桃色の脳細胞が……!

 ――こういうのはどうだろう。暖簾を俺が変える。これは斬新だな。

 少年漫画に出てくる主人公にはとてもできない芸当だろう。女子のアンケートで嫌いなキャラクター一位にまっしぐらだね。だが、俺ならできるぜ!

 しかし、俺が自分で暖簾を変えると、証拠が残っちゃうかもしれない。指紋は拭き取ったとしてもだ……。目撃者に気をつけても、隠しカメラなどがあるかもしれないし。警察のご厄介になるのは二度とごめんだ。

 女将を買収して、小江野さんが入った直後に暖簾を変えてもらうというのはどうだろう。いや、これは買収を持ちかけた時点で通報の可能性がある。ダメだ……。

 ここは逆転の発想が必要だろう。

 すなわち、暖簾を変えない。す、すげー。その発想は無かったぜ……。さすが俺、さす俺。

 いっそ普通に女湯へ入っちゃうというのはどうだろうか。結局「からだが勝手に……」には勝てないということだ。うん、これってトリックでもなんでもないよね。それがまかり通るなら、苦労しないよね。

 うーん。俺が酔っ払いすぎて正常な判断ができなかったというのはどうだろうか。容疑者は正常な判断ができる状況になかったため、情状酌量の余地があるわけだ。うん、容疑者になる時点でアウトなんよ。裁判でどうこうじゃなくて、裁判まで行きたくないんです。

 酒じゃなくてクスリだったらいいんじゃないだろうか。うん、手に入れた時点でアウトだわ。覗きのためにクスリって、シャレになんね―わ。

 ここは逆転の発想が必要だろう。二回逆転したら元に戻っちゃう気がしますが、気にしない。

 すなわち、小江野さんが男湯に来る。す、すげー。その発想は無かったぜ……。さすが俺、さす俺。

 要するに小江野さんにクスリを使って、男湯に来させるわけ。これを生娘シャブ漬け作戦と呼称する……!

 それは官能小説のネタとしてメモしておくとして、当然却下だ。

 酒やクスリなんて使わなくても、洗脳させる方法はあるじゃない。

 そう、催眠術だね。

 真奈子ちゃんの催眠術によって、小江野さんは自分を男だと思い込み、男湯に入ってくる。これだ! さす俺!

 

「よし」

 

 今電話すれば、真奈子ちゃんはすぐに来るだろう。

 っていうか、独り言で「真奈子ちゃんに会いたいな」とか言うだけですぐに来るし。催眠術だけじゃなくてエスパーの可能性ある。

 

「あ、ここにいたんですか、四十八せんせい」

「へ?」

 

 声の主は美人ディレクターだった。

 

「こっちこっち」

「え? え?」

 

 なんと、俺の手を引っ張って女湯の暖簾をくぐった。なんてこった、いともたやすく行われるえげつない行為とはまさにこのこと。催眠術もなしに、あっさりと!

 

「わわわわ」

 

 いざ合法的に女湯に入ってみると、あまりのアウェー感にビビる。

 

「さあさあ」

「あーれー」

 

 ディレクターに浴衣の帯を引っ張られ、くるくると脱がされる俺。なんで女中側なんだよ! くるくる脱がす側をしたかった! へたり。

 

「ほらほら、パンツも脱いで脱いで」

「いやん、えっち!」

 

 だからなんでパンツ脱がされる側なんだよ~。脱がされるより脱がしたい、マジで。

 

「はいはい、カメラ撮って撮って」

「ちょっ、やだ、ヘンタイ!」

「別にチンコは撮りませんよ」

「やだ! チンコとか言わないでよ、えっち!」

 

 ひどいわひどいわ、セクハラで訴えてやる!

 ってなんで俺が訴える側なんだよ! おかしいだろ! 俺は訴えられる側だろ、どう考えても! どんな世界線だよ!

 そんなことを思いながらも、ディレクターさんに背中を押されて露天風呂へ。

 

「きゃあ!」

「きゃあ!」

 

 最初の悲鳴は小江野さんであり、後の声は俺である。だって俺は一糸まとわぬ状態なんだもの。いや~ん。小江野さんは露天風呂の中。裸なんですか!?

 

「小江野さんまでどうしたんです。あなたは水着を着てるじゃないですか」

「そ、そうですけど」

 

 恥じらう小江野さん。なんだよ、水着かよ!

 俺はディレクターに抗議。

 

「なんだよ! じゃあ俺も水着でいいだろ!」

「男の水着なんて誰も見たくないですよ」

「裸も見たくないだろ!」

「私は見たいです」

「えっ……やだ、もう……」

 

 いきなりなんなの、美人にこんなこと言われたら恥ずかしいよぉ……。ふえぇ。

 

「まぁ、入浴してくださいよ」

「はい……」

 

 股間と胸を隠しながら、かけ湯をして温泉の中に。どきどき。

 

「な、なんで胸を隠してるの?」

「え? 小江野さんも俺の胸を見たいの?」

「そういうわけじゃなくて!」

「もー、みんなえっちなんだから」

「どうしたの、賢者くん、なんか変だよ?」

 

 誰のせいだと思ってんのよ~!

 ディレクターのせいだった。別に小江野さんは悪くないね。しいていえば、水着なんてつけてるのが悪いくらいのものです。

 ん?

 

「え? 小江野さん、ほんとに水着つけてる?」

 

 近寄ってみると、肩に紐も無いし、なにかつけてるように見えなかった。というか、おっぱいが見えてる。見えてますけど?

 

「つけてるよ。カメラではつけてないように見えるように、下半分だけ隠れる水着なの」

「あー、なるほど」

 

 だから上乳については丸見えなんですね。そうだとわかっていても、温泉に入ってて隣にスタイル抜群の女の子が一糸まとわぬ姿に見えるという時点で! 時点でーっ!

 

「さて、じゃあカメラ回しますので、ふたりともよろしくお願いしますね~」

 

 ええ!?

 ちなみに俺はなんの説明も受けていない。

 

「はい、始まりました。DVD&Blu-ray購入特典の特別座談会、特別に露天風呂を貸し切りにして、撮影の許可をいただいてお送りします」

 

 そうなんですね!?

 あるよね、そういうやつ!

 なぜそれを先に言わない?

 ドッキリ仕掛けるなら、小江野さんの方にするだろ普通。俺にやってどうすんだ?

 

「さて、ここでは温泉に浸かりながらゆったりとトークさせていただくわけですが」

 

 配信ではスポンサーのプロモーション扱いだから内容が限られるが、こっちは購入特典だから単純に喜ばれるものをやるのだろう。

 でも正直、小江野さんの上乳が見えてればコンテンツとしてはオッケーなんじゃね?

 小江野さんの上乳をお楽しみ頂くため、邪魔にならない程度の差し障りのない会話をお楽しみ頂く番組にしとけばいいんじゃね?

 

「四十八先生は、お風呂に入るときどこから洗いますか?」

「ん?」

 

 マジで差し障りのないない会話。

 しかしガチで答えると差し障りあるな。だが俺は裏表のない真っ直ぐで正直な男。ここで嘘をつくことはできません。

 

「ちんこです」

「ち、ち!?」

 

 よほど想定外だったのか、慌てふためく小江野さん。確かにな。無難すぎるトークテーマだと思ったのでしょう。事前に打ち合わせしてないことが裏目に出ましたね。

 

「やっぱりまずちんこ洗いますよ。あ、正確に言うと先にタマキンを洗ってから竿を洗います」

「……」

 

 おや?

 小江野さんは早くものぼせたのかな? 返事がありませんが?

 

「あ、でも勃ってるときは先に竿を洗うかな」

「……」

 

 おいおい、何も言わないぞ。

 俺は何も聞かされていないのだから、司会進行やってもらわないと困りますよ?

 

「小江野さんはどうですか?」

「え、ああ、自分ですね」

 

 俺が司会やらないとダメっぽい。しょうがないね。

 みんな俺のことより小江野さんのことが知りたいんだから。よーし、円盤買ってくれた人のためにも頑張っちゃうぞー。

 

「乳房を洗ってから、乳首ですか? それとも先に乳首?」

「えっ、えーっ!?」

「俺には聞いておいて、自分は答えないのは無しですよ?」

「そういう質問したつもりはないんですけど~!?」

「俺みたいに乳首が立ってるときは先に乳首とか?」

「乳首なんて立ちません!」

「じゃあ乳房からですか?」

「と、特に意識してません。お腹を洗うときのおへそと同じです」

「へー、そうなんですね~」

 

 これでよかろう。

 こんな調子で会話を続ければ、問題なしだ。

 それにしても乳首は立たないのか……となんとなく、彼女の乳首の方を見ると。

 

「!?」

 

 立ってる!?

 っていうか、見えてる!?

 こ、小江野さんの乳首が……見えちゃってる。どうやら水着がずれてしまったようだ。

 ディレクターの方を見るが。

 

「?」

 

 そのまま続けて、という指示だった。どうやら至近距離だから見えてるだけで、向こうからは見えないようだ。

 それにしてもキレイな乳首だ。色も薄く、乳輪は小さく。形も好みだ。うっ……。

 

「どうしました、四十八先生?」

「いや!? えっと、あれですよね。おへそも乳首くらい感じやすいって話ですよね」

「全然違います!?」

 

 あぶねー、ごまかせたか。

 

「もう体をどこから洗うかの話はいいです。次にいきますね」

「あ、はい」

 

 ちゃんとトークテーマが設定されているらしい。

 

「自信がある身体のパーツはどこですか」

「なるほど。小江野さんは乳首ですよね」

「なんでですか!? あの、自分のじゃなくて先生ご自身のを答えて欲しいんですけど?」

「俺はそんなに乳首は自信ないですね」

「乳首から一旦離れてください!」

「それって、一旦口に含んでから離れろってことですかね」

「どうしてそうなるんですか!?」

 

 いや、だって。見てると舐めたくなるというか……ごくり。

 

「身体のパーツ……四十八先生は、意外とたくましいときがありますよね」

「ああ、そうですね。普段はへにょへにょですが、今は結構たくましいことになってますね」

「……? ああ、そうですよね、裸ですもんね」

「そうですね、裸っていいですよね」

「だから腕とかじゃないかなと思うんですけど」

「え? 俺の腕?」

「はい。ちょっとムキってしてみてくださいよ」

「こう?」

「わー、かたーい! 結構太いんですね」

「そう?」

「ほら、カチカチ! すごーい、おっきーい、かっこいー」

 

 なんだろう、違う箇所がもっと固く大きくなるんですけど。腕を触るために近づいた小江野さんはますます乳首が見え見えで、太もも同士が触れ合っている。

 

「自分はあまり自信のあるパーツはないけど、しいていえばやっぱり声ですかね」

「あっはっは、なんでやねーん」

「え? ボケてないんですけど!?」

「いやいや、ないない。ウケる」

「なんでー!?」

 

 そんな感じで収録は順調に行われ、小江野さんは途中で水着も直し、無事に終了した。

 

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