女子小学生に大人気の官能小説家!?   作:暮影司

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聖☆四十八さん

南無四十八手足~(なむよそやてあし)

『南無四十八手足~』

 

 手を合わせて、拝む白い服の人たち。

 やばくね?

 俺は神でも仏でもないっつーのー!

 

「先生、これが礼拝です」

「礼拝」

 

 自分の写真を拝んでいる人たちを見たことある人いる?

 俺は今見ている。怖い。全然嬉しくない。

 

「礼拝が終わると、次は音読です」

「音読って、まさか、俺の?」

「もちろんです。先生の小説を順番に音読します」

 

 こわっ。

 読んでもらえるのは嬉しいが、集団で音読こわっ。あと普通に自分が書いた文章を人に読まれるのは恥ずかしい。黙って読んでくれ。

 

「その後、筆写です」

「ひっしゃ?」

「先生の小説を書き写す作業です」

「ええ……」

 

 そんなんしなくていいよー。

 別に嬉しくもないし、得るものもないと思います。書くより、カイて欲しいよね。

 

「平日はこの程度です。日曜日は一日かけて活動します」

「なにするんだよ~」

 

 自分の人生を生きてください。お願いですから。

 うん、よくわかった。

 やはり、俺のファンクラブを名乗る団体は間違っている。

 

 先日、真奈子ちゃんに確認したんだよ。ファンレターの中にあった、真奈子ちゃんの同士からのものについて。

 なんかおかしいことしてないかと。同士ってなんだと。

 それで連れてこられたのがここ。のどかな住宅街にぽつんとある、小さなオフィスビルの2階。10人ほどの女の子たちが、全員同じ地味な白い制服を着て活動していた。

 そうです、完全に怪しい宗教です。

 

「先生は、この四十八ファンクラブが嬉しくないんですか?」

「うーん」

 

 本来なら嬉しいに違いない。女の子がファンクラブを作ってくれたのならば。だが嬉しくない。

 だって、ファンクラブって感じじゃないんだもん。新興宗教四十八教だもん、これ。

 真奈子ちゃんから、俺のファンたちが集まって活動しているという説明を受けたときは嬉しかったけど、どう見ても健全な活動とは思えない。

 やっぱりこんなことはやめるように言おう。

 

「真奈子ちゃん、この人たちだけど……」

「あっ、せっかく先生に来ていただいたわけですから、みんなに会っていただけますか?」

「あ、うん」

 

 真奈子ちゃんに両手を組んでうるうるした目でお願いされては断れるはずもない。ちょうどいい、みんなに直接言おう。こんなことしてないで、もっと有意義なことをしなさいと。目を覚ましてくださいと。俺のファンなんて頭おかしいよって。

 

「みなさーん! なんと四十八先生がいらっしゃいましたー!」

『きゃあー!』

「ちょ、ちょっと」

 

 みんな大スターが来たかのように歓迎している。あれよあれよという間に取り囲まれて、椅子に座らされる。

 そして始まる大歓待。

 

「力加減どーですか」

「う、うん。気持ちいいよ」

「わぁい」

 

 肩を揉んでくれているのはまだ小学生だろう。手が小さくて、なんとも言えない気持ちよさ。

 

「先生、これは気持ちいいですか」

「これはどうですか」

 

 腕を揉む人や、脚も揉まれて。過度なボディタッチで頭の中がぽわぽわしてくる……。

 そして、いい香りのお茶が登場。

 

「ふーふー」

 

 一番おっぱいが大き……一番年上と思われる女の子がお茶を冷まして飲ませてくれる。おいしー。あと眼の前のおっぱいがしゅごいよう。

 

「はい、ゆっくり飲んでね」

「うん、ずずー」

 

 あまりのバブみに幼児退行してしまう。

 お茶は、甘くて、独特の香りが口に広がり、脳がくらくらしてきた。

 

「先生の作品は全部最高です」

「天才です」

「ああ、先生、会えて幸せです」

「先生、ステキです」

「先生、かっこいい」

「先生、好きです……」

 

 四方八方から甘い声が飛び交う。言って欲しかった言葉を上回る美辞麗句。夢の中より夢のよう。気持ち良すぎでは? 明日死ぬのかなと思うレベル。

 

「先生はわたしの生きる意味」

「先生こそ、この世の希望」

「先生は、神様のような人です」

「先生は、神です」

 

 うん、わかりました。俺は新世界の神になる。

 君たちのためにね……。

 

「みんなありがとう。みんな可愛いよね……」

 

 そう。なぜかみんな可愛い。10歳から17歳くらいの可愛い女の子が10人いて、揃いも揃って俺のことを好いてくれている……これはハーレムというやつでは?

 男なら誰もが一度は夢見るやつじゃないですか。史上最強の称号より欲しいことでおなじみの。

 

『か、かわいいだなんて……』

 

 みんな顔を赤らめて恥じらった。かわいすぎる。

 

「本当にかわいいと思ってますか? わたしも?」

 

 そう聞いてきた一人の少女。中学生くらいだろう。ちょっとボーイッシュかも。

 

「もちろんだよ。すっごく可愛いと思うな」

「じゃあ、いいですよね」

 

 そういうとボーイッシュガールは、俺の頬にキス。

 

「ああっ!?」

「ずるいです」

 

 それをきっかけに、みんなが俺に口づけを始める。ふむ……もう死んでもいいか……。

 頬に、顎に、額に。キスの嵐ですね。生きていてよかった。

 真奈子ちゃんがただじっと微笑んでるのが気になるが。

 

「四十八様……好きです」

「四十八様……愛してます」

「四十八様……どうかわたしを見てください」

「四十八様……!」

「ああっ、四十八様っ!」

 

 いつまでも、君に一緒にいて欲しい。そういうお願いなんですね?

 俺は時を司る女神……じゃなくて新世界の神として、その願いを叶えるんですね?

 

「願いを言いなさい」

 

 クリエイターとは創造主。すなわち神である。

 ファンの願いを叶えることこそ、神のなすべきことである。

 さあ、サインでも、握手でも、リクエストでもなんでも言いなさい。

 

「ここを触ってください」

「いいだろう」

 

 ふむ……手じゃなくて脚とは……すべすべ。

 

「わたしはここを」

「いいだろう」

 

 ふむ……尻を触って欲しいとは……。

 

「あの、ここに口づけをお願いできますか」

「いいだろう」

 

 ふむ……へそにキスして欲しいとは……人間の考えることはわからないな。

 

「四十八様……ここを……」

「四十八様……ここにも……」

「いいだろう、いいだろう。なんでも言いなさい」

 

 迷える子羊たちよ。

 我は君たちのためにある。

 真奈子ちゃんの目が、そう教えてくれている。

 

「四十八様……どうか神聖な神棒ををお見せください」

「四十八様……!」

「いいだろう」

「四十八様……!」

「触っても」

「いいだろう」

「お舐めしても」

「いいだろう」

「ここをこうしても」

「いいだろう」

「いいだろう……」

「いいだろう…………」

 

 ……。

 …………。

 

「はっ!?」

 

 なんだ!?

 ここは……家の風呂か。

 どうやら、寝てしまったようだ。

 そうだ、俺は疲れてるんだ。きっと、変な夢を見ていたに違いない。

 神になる夢とか、どうかしている。

 湯船から上がって、鏡を見る。

 俺の体はキスマークだらけだった。




ノベルアッププラスでも投稿してるのですが、HJ大賞の一次通過したみたいです。よくまあこのタイトルで「恋愛・ラブコメ」で通過できたものです。
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