では、物語りの始まり始まり………♪♪
1匹と1頭は、横たわっていた。雷を纏った球体に飲まれ、凄まじいほどの白光と共に気を失ってしまった1頭は、ひやりとした固い地面に横たわっていた……。傍に1匹を抱えたままで……。
セルレギオスことラルクが目を覚ます。自身の左翼の中にアイルーこと白羅が居ることに安堵する。
ふと、周りを見渡すと、ゴツゴツした岩山を横に輪切りにしたようなだだっ広い、半径80m程あろうか。その平な岩の上には草木の生えている感はない。この場所より外側には地面はなく2、3m下側を雲が覆っていて、その下を垣間見る事が出来ない。相当の分厚い雲だ。
逆にその上側にいる状態で空は全く雲のない晴天で、太陽が赤く丸く輝いているために、乾いた風がさほど強風ではないものの、ラルク達を撫でるように通り過ぎていた。
ラルクは周りを再度見渡すが、全くもって何もない………。ゴツゴツと固い平らな岩の地面があるばかり……。草すらもない光景に驚くばかりだった……。
と、その時、突然大きな羽音と共に日の光を遮る物が……。
慌てて眩しいながらも、その方向を見上げると巨大な生物がゆっくりと飛翔しながら降下してくるのだった……。
その圧倒的な威圧感に気おされつつ、日の光ではっきりと視界に捉えることが出来ず、しかし、白羅を守りたい一心で右翼の痛みを堪えながら必死に身体を起こして白羅を抱え込み、左翼を前に出して刃麟を出せるように身構える。だが、その生物は優雅にホバリングしながら地面に足をつけた。
全体が白い体躯で角と髭があり、頭から尻尾の先まで、体毛を生やしている。4本足で若干両前足は小さめ。翼爪はないが、スッキリとした形の整った翼があった。その翼をゆっくりと折りたたむ。
”祖龍ミラルーツ”である。あまりに綺麗な白い体躯に”白龍”と呼ばれる事も。ラルクにとってはお初である。龍達の間でも早々会えるものでもない。
その白龍の威圧感にラルクは緊張を隠せなかった。攻撃するという気にはなれず、出していた左翼も白羅を庇うように丸める。顔だけは白龍を注視したままで……。
『お主、翼を傷めておるのか!?』
白龍の突然の問いかけに、ラルクが更に驚いてしまう。目を丸くして白龍を見つめていると、白龍がクスッと笑った気がした。
『お前たちをここに引き寄せたのは我だ。』
(えっ!?)
更に更にラルクは驚く。疑問と不安が同時に襲い掛かってくる。何故白龍が……。
すると白龍が左前足を上げて一本の爪を出し、その先より透明な球体を作り出す。しかも細い雷を纏っている。
ラルク達を包み込んだ球体と同じであった……。それをラルクに向けて放たれる。ラルクは白羅を庇おうとするが右翼を包み込まれてしまう。ラルクは焦ったが、全身を包まれていないことに気が付いた。しかも、痛みを伴うどころか右翼の痛みが和らぎ、翼が動かせるように回復してしまう。
(こ、これは……!?)
翼を治してくれたことに、何故と言わんばかりに白龍を見つめる。
『構わぬ。我はお主の連れに用があるのだ。』
ラルクは混乱してしまった。何故白羅を知っているのか……。聞いた話だと、白羅と会った時の白龍は白羅に力を託して死んでしまったと聞いていた。復活していることはファギルや銀レウスからそれとなくは聞いていた。
だが、別物であると思っていたからだ。
それを問いただそうとした時、ラルクが必死に守ろうとしていた物!?が目を覚ます。
「ニャァ……フッ……。」
両前足と両後ろ足を真っ直ぐ伸ばして、背伸び~~~~~~~♪♪ 前足で顔を洗い出す。
(白羅!?良かった気が付いて!!)
白羅に顔を近づけて匂いを嗅いで確認する。
「ニャ♪何ニャ、くすぐったいニャ♪♪」
体中の匂いを確認するので、白羅が笑ってしまった。ラルクは白羅が目が覚めたことに喜びを隠せない。
『会いたかったぞ。確か白羅と申したな。』
「ニャ!?!?」
その声掛けに驚いて前を見上げると、綺麗な白い体躯の龍がそこにいた……。
「は……、白……龍……ニャ……か……。」
正にあの時、友達になりたいと泣いて叫んで頼んだ白龍が目の前に……。白羅はあの時の思いが込みあがり、白龍を見つめたまま涙を流すのだった……。
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暖かい日の光を横目に浴びながら、別の1匹と1頭は地面を見る事の出来る高さで飛んでいた……。ゆっくり飛翔しながら、お互いに目を凝らし目的の物を見つける事に真剣である。銀レウスと灯羅である。
金レイアの奥さんに許しをもらい、銀レウスとタッグを組んで、白羅達を空から探していた。いい景色を眺めながら……、と言いたいが1匹と1頭はそれどころではなかった。必死に動く物を追う……。
地上は正に大自然、泉に水を飲みに来ている草食系の小動物や、虫達、時々大型モンスターの姿も見た。だが、お目当ての白羅達は見つからないままで、飛翔しながらも不安になりつつ探し続けるのだった。
「渓流の方にゃ居ない様ニャ。森丘の方に行ってみるニャ!」
「グァ!!」
返事を返して進路を変更していく。上空からなので、意外と目的地には近い。それこそひとっ飛び!?直線コース!なので、森丘地帯に差し掛かった。龍暦院の観測船が見えて近くを通りかかる。灯羅も手を振るが、観測員のおじいちゃんが斜め下を指さし、何か叫んでいた。しかし、風音に遮られ聞き取ることが出来ない。だが、指さす方向を見下ろしてみた。それは、森丘のエリア4の場所の方だった……。
いきなり火球のブレスが銀レウスのすぐ脇を通過する!!
「ガッ!!!」
「ニャ!!レウスニャ!!」
いきなりの不意打ちに対応が遅れて銀レウスがバランスを崩し、急速に落下していく!!灯羅も背中に必死にしがみつくのが手いっぱいだった。
エリア4である、森丘のその場所は地面が隆起しているところがあり、草木も生えている。端の方は地面の隆起により岸壁のようになっており、その上の奥には巣のある洞窟になっている。レウスはかろうじてバランスを取り戻し、エリア中央付近に降り立った。
「レウス!大丈夫ニャか!?」
「ガルッ!」
怪我をしているわけではなかったようだが、少しスタミナが削られていた。前を見上げると、岸壁の上に大型モンスターの姿が……。
全体に濃い紫色の体躯で、羽があり、無駄な肉のない細マッチョな身体で、尻尾の先には大きな棘がある。嘴が大きく、甲殻で、身体のあちこちに傷跡がある。右目と右耳が抉られていて、左目はその影響か赤く妖艶に光っていた………。
その生物が、岩壁の上から灯羅達を見下ろしている。
「ニャ!?ま、まさか、隻眼ニャか!?」
灯羅も二つ名を冠するモンスター達の名前と姿は聞いて知っているものの、このモンスターに遭遇するのは初めてだった。
“隻眼イァンガルルガ”
その闘争心と姿に、畏怖する者が多い。
「クァァァァ!!」
いきなり咆哮を上げて、飛び掛かってくる!銀レウスも羽ばたいて横に逸れ、隻眼の攻撃をかわす!地面に隻眼の嘴が深々と突き刺さる!隻眼が力任せに地面から嘴を引っこ抜く!顔を振って体制を直し、改めてレウス達を睨み付ける!
灯羅も剣を抜いて構え、銀レウスも反撃するべく体制を整えた。
再度、嘴を上下に振り突き刺す動作を繰り返してくる!
灯羅とレウスが二手に分かれ、一旦間合いを取る。すると足を軸に身体を捻って回転させ尻尾を鞭のようにしならせて横に払ってくる! 灯羅はしゃがんで躱し、レウスは飛翔する。そのまま上空から火炎弾のブレスを放つ!
隻眼も飛び上がって咆哮を上げながら後方にホバリングする。
レウスも着地し直すと、地面を力強く蹴って隻眼に突進していく!隻眼も対抗心旺盛にレウスに向かって同じく突進して行く!お互いが中央で激突し、顔が仰け反る!それでも負けじと双方が反対回りに身体を捻らせ尻尾を繰り出してくる!
尻尾が中央でクロスしてぶつかりあった!
体制を直したレウスが噛みつこうとするが、隻眼はまたも後方へホバリングする。
「レウス!加勢するニャ!!」
獰灼炎のブレイニャーを構え、灯羅はレウスの前に出る。レウスのスタミナの事を思ったからだ。持久戦は持たないと思っていた。しかも、クエストとして、遭遇したモンスターには手を出してはいけない、極力回避する事とされている。なので、威嚇して追い払うべきか、もしくは怯ませた所を狙ってそのエリアから離脱するか………。
だが、その迷いが隙を作ってしまう………。
「ガァァ!!」
レウスに声を掛けられ、気付いて前に向き直すが隻眼が目の前に迫っていた!低空飛行で突っ込んできた隻眼が、灯羅の目の前で顔を上に仰け反らせ、体躯を垂直に回転させ、下から真上に尻尾をしならせて灯羅を突き飛ばしたのだ!
「ニ゛ャガッ!!」
岩壁に叩きつけられ、下に崩れ落ちる。レウスも驚いてその方向を見ると、灯羅の顔が青ざめ、苦しんでいた。
レウスは直ぐに理解した。尻尾の棘から毒を盛られたのだと。灯羅は吐血をしてそこにうずくまり、動く事が出来ない。
レウスも歯噛みしていた。同じ炎と毒の属性を持った生物なのだと分かったからだ。いくら灯羅の防具が毒耐性があるとは言えど、相手はあの二つ名……完全に耐えられる訳でもなく………。
だが、隻眼に向き直ると信じられない光景がレウスの目に飛び込んできた!
先の龍暦院の調査船に向けて火炎弾ブレスを放っていたのだ!数弾調査船の脇を通り過ぎ、その内の1つが調査船の下方の一部を抉るように被弾した!バランスを崩して、左右上下に煽られながら、辛うじて体制を直し安定させる。
隻眼は当たったとばかりにどや顔でその場でジャンプして嬉々としていた……。
レウスは呆然と見つめていた。灯羅の方を見ると満身創痍で苦しんでいる。上空を見れば、調査船がダメージを負わされて、中でクルーや調査員達が大騒ぎで右往左往している。正面を見れば、それを見て喜んでいる隻眼………。さすがの傍若無人にレウスの怒りが、許容オーバーに達する!!!
レウスは静かに目を閉じた………。すると、半径10mにわたり、凄まじい程の怒りの龍気が放出する!!隻眼もその龍気に驚いてレウスに向き直る!そこには目を瞑った龍気を放つレウスがいて、バチバチとスパークしている。その異常さに警戒して、咆哮をあげながら後方へホバリングしてさがる。
そしてレウスの身体に異変が出始めた。
白銀の綺麗な体躯から身体の色が徐々に赤黒く変わっていき、翼爪が1回り大きくなる。更に翼膜には金色の紋様が浮かび上がった。尻尾の先の棘も1回り大きくなり、少し緑がかっていた。
その姿に怯むことをせず、むしろ戦える事に喜びの雄叫びをあげ、隻眼はその筋肉質な後ろ足で地面を踏みしめ、その反動を利用し更にスピードとパワーを乗せて突進してくる!
レウスがゆっくりと目を開くと前方に直径10m程の赤い気が立ち込めた。その中を隻眼が通り抜けようとした時、
「ギャグァァァァ!!!」
凄まじい爆炎と共に、隻眼が後方へ吹き飛ばされていた!更に1回り大きい火炎弾ブレスが撃ち込まれる!!堪らず隻眼もその場にのたうちまわっていた。
それを静かに怒りを宿し、隻眼を見据えるのだった………。
「ニャ……、こ、黒炎王ニャ………コフッ………。」
灯羅も苦しいながらも、レウスの進化に驚いているのだった…………。
読了していただきありがとうございます♪
白羅達の救出劇がまだ続きますが、お付きあい頂ければと思っとります。では、次話にてお会いできることを切に願って………♪ 紅龍騎神でした♪♪