飛竜とアイルーと。   作:麗紫 水晶

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皆さま、50話までお付き合い頂き、ありがとうございます。更新させて、頂きます。い、いえ、まだ終わりません。ここまで来れると思ってなかったものですから。感慨深いものがありまして。
ま、まずは本編を。後程後書きにて。
では、物語の始まり始まり……♪



♪♪♪焔羅と雅盛の奪還作戦③……♪♪♪

 ゆらゆらと揺らめく蝋燭が灯る地下牢の中、トップ同士の戦いが火ぶたを切った……。

 

 軽々と振り回すバルドの大剣と白羅の振るうコテツと沙夜の振るうジールレギオンと……。それぞれが気を抜けない剣と剣のぶつかり合いが続いていた。

 コテツとジールレギオンを大剣でブロックし、すぐに反撃に出るバルド……。それを躱してカウンター越しに斜め上に切り上げる白羅と沙夜……。すぐさま振り向き、大剣を背中に回し攻撃を受け止めるバルド……。大剣を横に回し、まとめて薙ぎ払おうと身体も反転させて勢いをつけるバルド!それを躱して一度間合いを取る白羅と沙夜……。

 

「ニャ、ニャンて奴ニャ……。」

 

「うむ。ここまで大剣を容易く振り回すとはの。」

 

「ククク。俺とてハンターを引退したからと言って怠けていた訳ではない。鍛錬はしていたのだ、世の中物騒だからな。」

 

 お互いに睨み合ったまま、隙を伺って意識を集中する。

 

「もう一度聞くニャ。ニャンでこんニャ事をするニャ!」

 

「ふん、全てはあの時から始まったのだ。白龍と対峙した時からな。」

 

「ニャ!?あの時ニャか?」

 

「そうだ!あのクエストの後から俺の名声は崩れ去ったのだ!」

 

 更に凄みを利かせた顔つきで白羅を睨みつけた……。

 

「あの後、白龍を倒した英雄の一人として名を馳せる予定だった……。だが、お前の想定外の行動が元でクリアにはなったものの、倒した事にはならず名誉もなかった……。おかげで陰では倒さずの英雄とバカにされる事となった。周りのハンター達からもからかわれ、良くは見られず蔑まされる日々が続いた……。お前によってな!」

 

「ニャがどうして雅盛様まで巻き込んだニャ。」

 

「当然の事だ。あの時お前を選んで連れて来たのは雅盛だからな。だから雅盛も同罪なのだ……。」

 

「酷いニャ……。」

 

「酷いだと?人を屈辱まみれにしたお前が言えた事か?俺だけではなく、カミラやこの雅盛すら馬鹿にされ蔑まされていたのだ。だから、雅盛もお前を離した。」

 

「ニャ……、そんニャ……。」

 

「あ、兄上……。」

 

「すまぬ!私もバカであったのだ。白羅のあの優しさを忘れ、カミラまで蔑まされる日々……。耐える事が出来なかった。だが、牢屋で過ごすうちに白羅との日々ばかりが思い出され、ようやく離れてしまった事を悔やんでいた。すまぬ!再会できた時は土下座してでも謝らなければと思っていた。よもやこんな形で再会しようとは……。」

 

 雅盛も鎖に繋がれたまま、肩を落としうな垂れていた。後悔と申し訳なさが入り混じっていてそれ以上言葉にならなかった……。

 

「ふん!こんな馬鹿猫にいくら謝ったところで何も変わりはせん!今度は俺がお前の名声を叩き落とす番だ。覚悟するといい。」

 

 改めて、大剣を構えなおすバルド。だが、沙夜が一足早くバルドに切りかかっていた!

 バルドも反応して大剣で防御する!鈍い音が響き、押し合いになった!

 

「白羅殿!ここはわちが相手をする!そなたは兄上と焔羅ちゃんを!!」

 

「ぬうふふ、お前だけで私が倒せるとでも言うつもりか。」

 

「やるだけやってみるのがわちの心情での。」

 

「なら、俺を倒して見ろ!ぬうん!!」

 

「おおお……!!」

 

 お互いの力と技がぶつかり合っていく……。何度も剣がぶつかり合いその度に火花が散っていく。

 白羅も急ぎ格子の傍により、扉の鍵を壊そうと手を掛ける!

 

 ”バリッ!!”

 

「ガッ……!!」

 

 慌てて手を離した。鋭い痛みが走ったのだ。

 

「ククク、格子には電流が流れている。余程でないと開ける事は出来んぞ。」

 

「ニャ、ニャンだって!?」

 

 白羅はここまで来て……、と悔しかった。

目の前に焔羅と雅盛が居ると言うのに解放出来ないとは………。

 

「ぬぅりゃあ!!」

 

「グフッ!!」

 

「さ、沙夜~~!!!」

 

「沙夜様ニャ~~!!!」

 

沙夜の脇腹に痛みが走る!ジールレギオンでガードした分、致命的ではなかったが深手を負ってしまった。その場に両膝を着いて崩れ落ちる。

 

「まずは一人目だ。」

 

バルドが振り上げた大剣を垂直に降り下ろす!

 

「ニャ~~!!!」

 

コテツを構えて、バルドの大剣を受け止める!

 

「バカが!黙ってみておれば良かったものを!」

 

「そんニャ訳ないニャ!!大事な仲間を見捨てる訳ないニャ!!」

 

「ふん!そう言う綺麗事は、違う世界でほざくんだな!ぬりゃ!」

 

「ギャガッ!」

 

コテツをはじき返し、大剣を横に凪ぎ払う!白羅が壁まで吹き飛ばされた!激突して崩れ落ちる!

 

「びゃ、白羅!!」

 

雅盛も叫んでいた。何も出来ない自分が情けなく苛立たしいとさえ思った。

 

「く、くそっ!バルド!やめろ!やめてくれ!」

 

「聞く耳もてんな。貴様はそこで黙って、見ていろ。そして後悔するといい。積年の怨み、晴らしてくれよう。」

 

「やめろ~~~!!!」

 

バルドが沙夜を狙い、大剣を振り上げたその時だった!

 

「ニ゛ャ~~~~!!!!!!!」

 

「な、なに!!」

 

 けたたましい鳴き声と共に、白羅の周りから煙が立ち込め白羅を包み込んで天井へと上昇していく。

 

「びゃ、白羅……殿……。」

 

 座り込んで、その場で動けない沙夜も白羅の方を見つめていた。何が起こったのか……。

 やがてその煙は上から徐々に消えていき、一人の男性ハンターの姿が……。

 

 白金の武者鎧に身を包み、コテツではなく握りが白い鉄刀に似た太刀を背中ではなく腰に着け、ショートヘアで端正な顔立ちの2枚目とでも言おうか。兜のマークは肉球マークは変わっていないがハンターから放たれるオーラは半端なく………。

 

「なんだ、お前は!邪魔をするなら容赦はせんぞ。」

 

 バルド以外の雅盛と沙夜、焔羅は驚いていた。ここで、こんな事が起きるとは。そのハンターは太刀を抜いて構えをとった。

 

「私に直接刃を向けて来るなら分かるが、他の人達を巻き込むのは許せん!」

 

「なら、どうだと言うのだ。この俺を止められるか?」

 

「言われずとも止める!」

 

「ほざくなぁ!!」

 

 大剣をそのハンターに向けて突進し振り下ろしていく!だが、その時、ハンターが同時に動く!バルドの大剣を分身したかの様に左右に分かれて躱す!大剣が空を切って地面に打ち付けられる!

 

「なんだと!?」

 

 ハンターがその両脇をすり抜け様に太刀を繰り出していた。無数の切り傷と打撃が撃ち込まれていく……。

 

「が、がはぁ!!バカな!動きが見えん!!」

 

 一つとなったハンターが振り向き、腰の鞘に納める。片手に握りを掴んだままで……。バルドも何とか身体を起こし立ち上がって振り返る。大剣を持ち直し、再度ハンターに襲い掛からんと握りしめる。

 

「俺がやられるなどあり得んのだぁ!!」

 

 バルドが一気に大剣を振り上げた時、腰をかがめたハンターが太刀を抜刀して一閃する!!

 その動きにバルドも大剣を振り上げたまま固まってしまった。するとズズッと音がして大剣が上下に真っ二つに……。刃先の方が地面に落ちて突き刺さったのだった……。

 

「ば、ば、バカな……。黒龍の素材より作りし大剣だぞ……。真っ二つなぞあり得ん!」

 

「現に切れている。得物なくばこれまでだな。」

 

 太刀を納刀しながら、バルドの方を振り返った。

 

「何という……、強さじゃ……、わちでも……太刀筋が……見えんかったぞよ……。」

 

「びゃ、白羅なのか!?」

 

 雅盛がそう問いかけるとハンターがニッコリと頷いて返事を返してきた。確信はしたものの、雅盛もハンターの白羅にお目にかかるのは初めての事だった……。

 

「ぐ、く、くそっ!これまでか……。ならば!」

 

 バルドが身を翻して、牢屋から逃げ出していた。取り合えずピンチは去ったと言おうか。

 

白羅はすぐに沙夜の傍に寄り、抱き起こして薬を出す。

 

「すまない。今はこれを飲んで下さい。」

 

「おぉ、秘薬か、悪いのう。助かるぞよ。」

 

「さぁ、これを……。」

 

沙夜は秘薬を口にする。完全ではないにしろ、痛みやキズが和らいだ。

 

「ここで待っててください。」

 

 白羅は雅盛と焔羅の間の格子あたりに立ち静かに目を瞑る……。そしてゆっくりと握りに手を掛ける。一気に目を見開き、抜刀して横一閃に払う!

 太刀を納めると、バラバラと崩れ落ちていく格子……。雅盛と焔羅の鎖も断ち切れていた……。

 

「おお!動ける、動けるぞ!!」

 

(白羅~~!!)

 

 真っ先に白羅の胸に飛び込む焔羅……。

 

「すまない、遅くなった。偉かったな。」

 

 焔羅を強く抱きしめる。焔羅もしがみついて喜んでいた。

 

「さ、沙夜!」

 

 雅盛も沙夜の傍に……。

 

「兄上……、無事で何よりじゃ。」

 

「すまぬ、お主にまで心配をかけた……。」

 

 沙夜の手を取って、手の甲に額をつけて謝る雅盛…。申し訳なさで一杯の様だった。

 

「いや、兄上が生きていてくれただけで、嬉しいぞよ。逢えて良かった。」

 

「さ、沙夜……。」

 

 雅盛の目に涙が浮かぶ。数年ぶりの再会であった……。

 

「さ、まずはバルドを追いましょう。奴を止めないと大変な事になる。沙夜様は私が抱きかかえます。」

 

「うむ。私も同感だ。かつての仲間として、これ以上の悪事は止めねばならぬ。」

 

 3人と一匹、頷き合って白羅はお嫁さん抱っこで沙夜を抱え、牢屋を急ぎ出るのだった……。

 階段を上がり、衛兵隊が倒れている廊下を通り抜け、さらに進むと中庭に出た。そこでは激しくぶつかり合うモンスターとニャンターが居た。

 

「姫沙羅!!ラルク!!」

 

 横から大声で叫ぶ者が……。驚いて、振り向く。その声にミリザと白疾風のリネルも振り向く。そこには雅盛と焔羅、沙夜に一人の男性ハンターが居た……。

 

「ニャ!?白羅ニャは?あんたは誰ニャ?」

 

(ま、まさか……。白羅なの!?)

 

 ラルクが目を丸くして驚いている。焔羅がそうだと返事をしていた。

 

「姫沙羅、よく踏ん張ってくれたね。私に任せてくれ。」

 

 白羅は沙夜を雅盛に託し、ミリザとリネルの前に立つ。

 

「なんニャお前。あたしらに勝てるつもりニャか?」

 

「すまないが、そのつもりだ。」

 

「舐められたもんニャね。リネル見せつけてやろうニャ。後悔させてやるニャ。」

 

 リネルも返事を返す。ラルク達から白羅に向き直る。殺意剥き出しで……。しかし、白羅は冷静だった。

 仁王立ちで静かに目を閉じる。そして、ゆっくりと太刀の握りに手を掛けていく……。

 

「八つ裂きにしてやるニャ~~!!」

 

「ガァァァァァ!!」

 

 白疾風が前足の鋭い刃を振り上げジャンプして勢いをつけて飛び掛かる!白羅も目を見開き抜刀して下から斜め上に一閃する!!

 

 リネルとミリザの後ろに立ち、太刀を納刀する。

 

「ば、バカニャ……。」

 

「ガッ…アッ……。」

 

 攻撃しきれないままにその場に崩れ落ちていた。ラルクと姫沙羅は目を大きくして固まっていた。

 

「白羅よ、先を急ごうぞ。」

 

 雅盛がそう話しかけると、姫沙羅が驚いた。やっとわかったようで。

 

「ニャ!白羅ニャか!?」

 

「姫沙羅が無事で良かったよ。」

 

「ニャ~~!!いい男ニャ~~~!!」(食いついたのはそこですか~~!!)

 

 ジャンピングで白羅に飛びついていた。目が完全にハートマーク……。姫沙羅の顔の周りにもハートマークが無数に浮いている。

 

「はは、話は後で。それよりバルドを見なかったかい?」

 

「ニャ!?い、いや、見てないニャ。逃げ出したニャか?」

 

「そうなんだ。奴を止めないと。」

 

「わ、分かったニャ。でも、こいつらはどうするニャ?」

 

 ミリザとリネルを指差して、対処をどうするか迷っていた。

 

「いや、みね打ちで気絶させてある。しばらくは起きれないだろう。後で、捕まえに来ればいい。今は先を急ごう。沙夜様も早めに治療しなくては。」

 

 雅盛が沙夜を抱えているものの、それ以上の速さは移動が難しい。

 

(僕が乗せて行く!)

 

「ラルク!分かった、お願い出来るか?」

 

(勿論だよ!ただ、姫沙羅に沙夜様を支えて欲しいんだ!)

 

「なるほど分かった!姫沙羅に頼みがある!」

 

「な、なんニャ?」

 

「これから、ラルクが沙夜様を乗せて行く。沙夜様を支えてあげてほしい。これはラルクの提案でもある。お願い出来るかい?」

 

「ニャ!?ラルクがニャか?」

 

振り向くとラルクが頷いていた。一時的に組んだタッグだが、相性は良かったようだ。姫沙羅もそれを理解出来たようで頷き返していた。

 

「分かったニャ!ラルクに乗って、沙夜様を運ぶニャ!」

 

「ありがとう、姫沙羅。」

 

珍しく、顔を赤くして照れている(ほっといてニャ)

まずは、沙夜をラルク達に任せる事に。

 

「兄上!これを!」

 

「おぉ!これはそなたの太刀!」

 

「奴の事、どこで待ち伏せているか分からぬゆえ、持っていてほしいのじゃ。」

 

雅盛もしっかりとその太刀を握る。

 

「しかと借り受けた!必ず奴を止める!」

 

「一足先に行っているのじゃ。」

 

「あい分かった。」

 

「白羅殿、兄上を頼むのじゃ。」

 

「分かっております。お任せを。」

 

「うむ。」

 

そしてラルク達に頷いて、その場をホバリングで上昇し、屋敷の外に飛翔して行くのだった。

白羅と雅盛、焔羅は頷きあって、先へと急ぐのだった。

 

 

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

 

 

「な、なんてことだ。この俺が負ける事などあり得ん。」

 

急ぎ足で移動しつつ、領主バルドは自問自答していた。なぜこうなったのか?しかし、考えれば考えるほどバルドにとって苛立たしい事だらけであった。まずは、ここから離れ体制を立て直すつもりでいた。屋敷の外に飛び出す。そこでもやはり戦いが繰り広げられていた。

「お前達!撤収だ!!」

 

戦いを繰り広げているハンター四人に大声で指令を出す。すると全員が振り返った。

 

「「「「今、忙しいから後で!!」」」」

 

「う………うむ。ってそれどころでないわ~~~!!」(ツッコミしてくれる人がいないもんだからぁ、イケズ。)

 

「ちっ、あれはダメだな。俺だけでも離れなければ。」

 

「待て!バルド卿何処へ行かれる!」

 

驚いて、声の方を向くと、30人程の同じ装備に同じチャージアックスで盾を前に出して構える団体様が……。

 

「なっ、お、王国騎士団………。」

 

「貴殿は何処に行かれるおつもりか?」

 

騎士団の隊長格の男性騎士が、バルドに質問をしていた。

 

「は、はは!滅相もありません。不逞の輩を討伐せんと、出て参ったところ。しかし、私の愛用の大剣が折られ、命からがら飛び出して来た所にございます。」

 

「して、その不逞の輩は何処に?」

 

「待て!バルド!」

 

そう叫んで、屋敷を飛び出して来た二人と1匹。

 

「な、王国騎士団……なんでここに?」

 

 ズラリと並んだ騎士様の方々……。威圧感が半端ない。その少し離れた所に、ラルク達が舞い降りた。姫沙羅に支えられて、沙夜がラルクの背から降りる。

 

「なっ!そこに居るのは沙夜殿ではないですか!」

 

 その騎士団の後ろから大声で叫ぶ者が……。それに合わせて騎士団が中央を二つに分かれ、道を作る。

 そこを歩いて来る者が……。後ろに2人連れ立ち、ひときわ目立つ鎧に身を包み青年が姿を現した。

 

「おお……。殿下、殿下ではありませんか!」

 

「「「「「「殿下!?!?!?」」」」」

 

 王国の第一王子が、そこに居た。後ろについている2人も直属の護衛か雰囲気でかなりの手練れと分かる。

 ただ、殿下と騎士団が登場したことでモンスター含め、全員戦いをストップした。それもそのはずで、全員逮捕だ!!となったら焦るどころでは済まない。どうなってしまうのかと白羅達や殿下の方を注目するしかなく……。

 

「どうされました?ま、まさか怪我をされているのか?誰にやられました?」

 

 ギクッ!ま、まずい……という顔の冷や汗を流しているバルドの姿が……。

 

「そこの、領主に殺されかけました。わちは領主の地下牢から兄上と仲間を助けに乗り込みましたのじゃ。それを助けてくれたのがそこの白羅殿と仲間たち……。わちの命の恩人じゃ。」

 

「おお!兄上とは雅盛殿か!?」

 

「お久しぶりですな、殿下。」

 

「おおお……。ようやく沙夜殿の念願が叶いましたな。私も嬉しい限りです。」

 

「沙夜様をお預けしてよろしいですか殿下。」

 

 その男性ハンターが殿下に声を掛ける。殿下もその顔を見、しばらく沈黙した後ポロポロと涙が頬を伝っていく。後ろに居た2人の護衛と騎士団たちが動揺して、どうしたものかと心配していた。

 

「ど、どうなされたのじゃ殿下!?」

 

「ずっと……ずっと……行方を捜し続けておりました……。お師匠様……。」

 

「な、なんと!この白羅殿がお師匠じゃと!?」

 

「「「「「師匠!?!?!?」」」」」

 

周り全員がすっとんきょうな声を上げる。

それも当然である。人になっている白羅にもビックリであると言うのに、師匠と殿下に呼ばれれば驚かない方がどうかしている。

 

「な、なに?どういう事?あ、あれ、白羅さんなの?」

 

急に現れた男性ハンターに、驚いて動揺が隠せない。しかも、アイルーではなく、ハンターなのだ。男らしくハンサムとくれば、緊張と恥ずかしさで顔を赤くしてうつ向いてしまう。

 

「そうニャのよねぇ。いい男ニャのよねぇ。」

 

あいかわらず姫沙羅もウットリしている。ラミアもまともに直視出来ないでいた。

 

「ば、バカな!あのバカ猫が殿下の師匠だと!」

 

「ん!?お主、私の大事な師を愚弄すると言うのか?それに沙夜殿は私の大事な許嫁だ。それを知っての狼藉か!どうなのだ!答えよ!!」

 

「お、お、お、お待ち下さい!バカ猫と申したことはお詫びします!しかし、恐れながら沙夜殿がお許嫁であられる事や、白羅殿が殿下の師匠であられたなど知る由もなく、平にご容赦を!」

 

土下座して、頭を地面に擦り付けるバルドであったが、許されるはずもなく。

 

「殿下、その男罪状だらけで御座います。」

 

横から男女のハンターが。その声に驚いて顔を上げるバルドが。

 

「お前達!なんでここに!?」

 

「アルザート様!、それにママさんも!」

 

白羅も、驚いていた。まさか来てくれるとは。

 

「罪状だらけとな?」

 

「はい。モンスター素材の密輸や密売、他に関わっている領主もおります。そして目の前に居られる雅盛様の監禁、白羅君のところにいるモンスターの拉致、更には沙夜殿の殺害未遂。どれも、免れない罪と存じます。」

 

「ふむ、確かにそれは捨て置けんな。バルドを引っ立てよ!其奴に加担したもの達も同罪だ!牢屋で洗いざらい喋ってもらうぞ。引っ立てぃ!」

 

「「「「「「はっ!!」」」」」

 

騎士団が数人ずつで、バルドに加担したハンター達を捕まえていく。暴れるものもいたが、騎士団も伊達ではない。即座に押さえつけて捕縛していた。

 

「ぬうっ!かくなるうえは!」

 

いきなり立ち上がって、バルドが短剣を取りだし、殿下に襲いかかる!

 

「ぐあっ!」

 

「いい加減にしたら、バルド!」

 

「ぐっ、カミラ!何故だ!お前もあのバカ猫を恨んでいたのではないのか?」

 

鉄扇で押さえつけられて、驚いてバルドが叫んでいた。

 

「えぇ。最初は恨んでいたわ。1匹になっていい気味とも思っていた。でも、どうしても一緒に飲みたいとすがりついて来るものだから、飲む事にしたのよ。その時に白羅君のハンター時代を聞かされて、納得しちゃったの。この人には敵わないってね。」

 

「カミラさん……。」

 

「ふん!こんな奴の何がどうだと言うのだ!」

 

「貴方も対峙したなら分かるでしょう?この世界、一概には言えないけど、私や貴方のHRは300を越えているけど、彼はニャンターならともかく、ハンターとしてはHR は800を越えている……。しかも、ソロで白龍を倒している強者よ。それを聞いて、吹っ切れたの。」

 

「な、何だと!800越えだと!しかもソロで白龍を倒しただと!」

 

「うむ。それは確かに私も聞いておるし、記録として残っている。私がまだ少年の頃に師匠から剣を教えて頂いた頃の事で、確かに覚えている。しかし、その後しばらく剣を習ったが、急に辞められ、行方が分からなくなっていた。それから私は、ずっと探していたのだ。」

 

「殿下……。」

 

白羅も寂しげな切なげな顔を向ける。

 

「だが、こうして逢うことが出来た。今一度、戻ってはもらえませぬか?」

 

真剣に白羅を城に連れて行きたいと願う殿下であった……。

 

「お申し出、痛み入ります。ですが、私はあの時最愛のオトモを亡くしてしまいました。私の慢心が起こしたこと。悔やみきれるものではございません。なので、オトモとして、ニャンターとして、体験すべくこの身を変えて生活する事を望みました。今は、お陰で沢山の仲間がおります。こんな私の事を慕ってくれる人やモンスター達が……。」

 

「白羅さん……。」

 

「白羅ニャ……。」

 

(白羅……。)

 

「……わかりました。貴方を連れ戻すのは諦めます。しかし、会いに行くのは構いませんよね?」

 

「え!?は、はい。構いませんよ。いつでもいらして下さい。御二人のお子様もご一緒にお待ちしております。」

 

「な、なんと!」

 

沙夜と殿下が顔を見合わせてお互いに赤らめて照れていた。相性が良さそうで、安心する白羅であった……。

 

「で、でも、白羅さん、アイルーには?」

 

「うん、そうなんだ。どうやって人に戻ったのかも分からないんだけど、まさかこのままって……うわっ!」

 

プシューーー!

 

いきなり蒸気のような煙が出て、いつものニャンター白羅に戻っていた。

 

「あ、戻った。」

 

「人騒がせな奴ニャ。」

 

「あたいはハンター姿の白羅も捨てがたいニャ~~。」

 

「あたしは、どっちの白羅さんも素敵だけど。」

 

「ニャはは、照れるニャ……。」

 

元に戻った白羅の周りに寄り添って来る仲間やモンスター達……。

その楽しげな顔を見て、納得する殿下であった。バルドと加担したハンター達は連行され、ママさんは酒場に、アルザートはバルドの取り調べに戻って行った。また後で、と言い残して。

 

「では、沙夜殿、雅盛殿、参りましょうか。誰か、雅盛殿に衣服を持て!」

 

すぐさま着るものが届けられる。

 

「おお、かたじけない。心使い痛み入る。」

 

「では、参りましょう兄上殿、沙夜殿。」

 

「そうじゃな。白羅殿大変世話になったの。恩は忘れぬぞよ。」

 

「ニャ、何も出来ませんでしたニャ。」

 

「そんな事はないぞよ。そなたは立派じゃ。」

 

「そうです、どんな姿であれ私にとっては大事な師、いつでも何かあれば相談に乗りますよ。」

 

「ありがとうニャ。殿下も立派になられたニャ。」

 

「いえ、まだまだですよ。では。」

 

手を振りながら、殿下達が帰って行く。白羅達はそれを見送くるのだった……。

 

「ニャて、みんな無事ニャか?」

 

「勿論!」

 

「当然ニャ!」

 

「どこかの変身猫とは違うニャ。」

 

(白羅も無事で良かった。)

 

「ニャ、おいらも大丈夫ニャ。」

 

と、ここで突然わっと歓声が上がる!遠くから、見守っていた人々から、白羅達を称えるように拍手の渦が沸き起こっていた。モンスター恐くないのかな?と思いつつ、

 

「ニャ~~て、凱旋ニャ~~~!」

 

「「「「お~~~~!!」」」」

 

人々に大拍手で見送られながら、ユクモ村へと歩いて向かう。それぞれの状況を話し合いながら、楽しげに戻って行く白羅達なのであった……………。

 

 

 

 




読了ありがとうございます。途中、あれぇ人化??がありましたが、スルーしていただければと。なりゆきでございます。次回はゆったりまったりとしたお話しになるかと。
ではまた次話にてお会いできる事を切に願って………♪紅龍騎神でした……♪♪

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