城下町を離れ、モンスターと白羅達一行は(水戸黄門じゃないですからね。)足取り軽く、賑やかにユクモ村へと向かっていた。
どこまでも晴れ渡る空は白羅達の心も軽やかにさせるのだった……。
「ね、白羅さんのあの姿って……、しかも王子様の先生だったなんて雅盛様は知ってたの?」
「ニャァ、申し訳ニャいニャが知らないニャ。」
「あたし達ですら知らなかったニャ。」
確かに姫沙羅達もチームを組んでいた時はニャンターだったので知りうるはずもなく……。ラミアにすればもっと付き合いが浅いので、全くと言っていいほど知り得なく。
(僕も分からなかったよ。その時に出会ってたら、どうなっていただろうね。)
ラルクも興味深々である。雅盛と一緒に狩りをしている時に出会っているので、姫沙羅達よりは以前を知っている。一緒に歩きながら白羅達の会話を聞き入っていた。
「大丈夫ニャ。やっぱりあの時と同じように助けてたニャ。手当たり次第にモンスターを倒せばいいというニャは、おいらの性に合わなかったニャ。」
「ラルク達も興味があるみたいね。」
ラミアもラルクが話し掛けてきたので、ニュアンス的に分かったようだ。
「ニャハハ、その当時に出会ってたらどうしてたかを聞かれたニャ。」
「なるほど、それで……?」
「そうニャ。ニャから軍に入るのは嫌だったニャ。それで、ニャンターになったニャ。」
「フフ……そうなんだ、良かった♪」
「ニャンで!?」
「だって、こうして白羅さんと出会えたんだもん。師匠と繋がりがあったのだって、意味があったんだろうし。」
「そうニャァ……意味があったんだよニャ。こうして、皆と一緒に居られる今がおいらには一番大事ニャ!」
「びゃ、白羅さん……。」
「あたい達もニャよ。」
(そうだよ、僕らもだよ。)
「み、皆ニャ……。」
みんなで目に涙をウルウルさせている。今まで一緒に乗り越えて来たからこそ、思いが込み上げるのだった……。
そうこうしているうちに、ユクモ村に到着する。入り口には村人や研究員達、村長や受付嬢等々、大勢集まって出迎えてくれていた。
「た、只今戻りましたニャ!!ニャわっ!!」
1人の女性が白羅を思い切り抱きしめる……。ユクモ村の代表である、村長さん………。
「そ、村長さんニャ……。」
抱きしめながら肩を震わせている村長さんの肩を白羅は優しく抱きとめるのだった……。
が!!突然白羅の両肩を掴まれ村長と顔を見合わせる!静かに、だがかなり強めの口調で、
「白羅さん!」
「ニャいっ!」
「無事に帰って来てくれて良かったですわ……。しかし!」
ビクゥッ!!白羅は毛が逆立つと共に音が聞こえるほどに唾を飲み込んだ。冷や汗がとめどなく流れている……。
「私達に内緒で危険な所へ出発した事は、どれだけ残された私達が心配した事か……。」
「ご、ごめんなさいニャ。ああするしかなかったニャ。ゆ、許してくださいニャ。」
「いいえ、今回は許すことが出来ません!公開処刑に処します!」
「ニャ!ニャ!ご、ごめんなさいニャ!許してくださいニャ!助けてニャ~~~!!」
あっという間に村長の権限で白羅は縛られ、麻袋を被せられて2人のハンターに担がれていったのだった……。
「ちょ、ちょっと村長さん!」
「ニャ!白羅をどうする気ニャ!」
突然の事に慌てて村長に詰め寄る。しかし、村長はニッコリ微笑んでウィンクをしてきたのだ。2人はどゆこと?の不思議ちゃんな顔で訳が分からなくなっている。
「さあ!みなさん!準備を始めますわよ!!」
「「「「「「「おおおっ!!!」」」」」」」
村にいる全員がわらわらと散らばっていく……。ラミアや姫沙羅達は余計に訳が分からない顔をしている。モンスター達も同様だった…………。
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「おい!これをそっちに持って行ってくれ!」
「これを運ぶのを手伝ってくれないか!」
「お~い!こっちも手伝って欲しいんだが誰かいないか?」
村中、てんやわんやの大騒ぎ!村中全体が入り乱れている。お店をにぎにぎしく飾っている者、木材を運んでくる者、テーブルや椅子を並べていく者、猫飯屋では各村のアイルー料理人と白羅宅の専属アイルーも参加して腕を振るい、沢山の料理がテーブルに並べられていく……。美味しそうな料理の匂いが村の外まで届くほどに広がっていた。その白羅達の広場の家の傍に3m程の高さに作られた椅子に白羅は縛られ、頭に麻袋を被せられていた。ラミア達もやっと主旨が分かって、手伝うと言い出しみんなと一緒に準備しているのだった。
勿論、モンスター達の料理も作られ、大きく作られた木皿に盛り付けられ、モンスター達がみんなで一斉に生唾を飲み込んでいたのは有名なお話……。でも、始まるまではお預け♪になっていたのでちょっと可哀そう。
なので、少しずつ味見をさせたら大喜び!後は待っててねと諭すと、うんうん頷いて行儀よく待っているのだった……。
当の白羅は全く訳が分からず、しかも公開処刑などと釘をさされた日には何をされるのかとハラハラするばかり。と言って、近くではいい匂いがあちこちで漂っている。しかも、人々が忙しそうに行き来している足音がずっと聞こえてくる。
余計にパニックになっていた。普通ここまで来たら何となくでも分かりそうなものだが、あそこまで村長に強く言われたその事に意識がいってしまい、気が回らない状態でもあった。で、急に周りが静かになる…………。
静かになったらなったで、余計に不安が募ってくる……。
「さあ白羅さん!始めますわよ……。彼の麻袋を……。」
2人のハンターが麻袋を外す。急に周りが眩しくなり、ビクビクしながらも白羅はゆっくりと目を開ける……。
「ニャ…………、ニャンと…………。」
そう、目の前に現れたは無数のテーブルに並べられた、豪華な料理の数々……。そのテーブルに沿うように椅子に並ぶ大勢の人達……。みなジョッキを片手にして、白羅を見つめている。その顔はとても嬉しそうに……。
「お帰りなさい、白羅さん。お疲れさまでした……。白馬の王子様でなかったのだけは残念で……。」
村長さんがハンカチを片手にウルウルしている。
「ゴ、ゴホン!!」
咳払いでツッコミを入れたのはラミア。全員の注目を浴び、ハッ!と気づいて慌てて姿勢を戻す村長さん……。相変わらずの天然と言うか、お茶目と言うか……。
「で、では!乾杯っ!!」
「「「「「「乾杯っ!!」」」」」
一気にジョッキを煽って一斉にテーブルに置く。その後大拍手の渦が……。白羅に対しての拍手喝采であった。
「み……みんニャ……。」
白羅も目を丸くしてウルウルしている……。こんなに大勢の人達から拍手が送られる……。
(おいら、一人じゃないんニャね……。こんニャに認めてくれる人達がいるニャンて……。嬉しいニャ!!)
縄を解かれ、椅子から降ろされた白羅の元に皆が集まってきた。ウルウルしながらぐるっと回って皆の顔を見ていく……。目に涙を浮かべている者……ウィンクしてくる者……親指を立ててグッドポーズする者……ハイタッチをしてくる者……。皆白羅の事を慕って集まってくれている者達……。
「こんニャおいらに付き合ってくれてありがとうニャ。」
白羅は深々とお辞儀をした。逆に、周りの方が驚いた。
「い、嫌だなぁ!なに言ってるの白羅さん!」
「そ、そうニャ!こんニャいい男離す訳がないニャ!」
「そうですわ。人の時も、いい男だったと聞いては益々離しませんわ!」
「そうね、式の日取りも決めなきゃならないし。」
「「「「「おい!!」」」」」
「ニャ、ニャハハハ……。かなわないニャ。」
苦笑いをしながらもみんなの気持ちが凄く嬉しい白羅であった……。
「さあ!飲んで食べて踊って盛り上がりますわよ!」
「「「「「「「おおっ!!」」」」」」
白羅を囲んでテーブルに向かう。バイキング形式で料理が並べられ、飲み放題!食べ放題!モンスター達も同じく。演奏する人達が現れ、その曲に合わせて踊りを踊る人達……。その輪に巻き込まれ、白羅達も楽しく踊り出す……。階級等々などは関係なく、入り乱れてみんな楽しく良い笑顔で踊りあかすのだった……。
「ニャぁ~酔っぱらったニャぁ。」
白羅が近くの椅子に腰かけると、ギルドナイトのアルザートがやって来て隣に座った。
「アルザート様ニャ。」
「お疲れ様だったね。よくあの男の悪事を暴いてくれた。なかなか尻尾を出さなくて、私達も手を焼いていたんだ。礼を言うよ。」
「ニャ、たまたま偶然が重なっただけですニャ。雅盛様が捕まっていると聞いて、いてもたってもいられなかったですニャ。」
「そうか……でも、私でも見つけられなかった雅盛さんをどうやって見つけたんだい?」
「おいらの所の焔羅とアオアシラの子熊が拉致されましたニャ。探そうとしていた時に子熊が脱出してきたんですニャ。その時に雅盛様も捕まってると教えてくれましたニャ。」
「ほう!そんな事が……。」
「はいニャ。それでみんニャで話し合って、少数精鋭で乗り込む事にしましたニャ。家族を、大事な人を、助けに行かなきゃ、ニャンターの名折れですからニャ。」
少しの間、お互いに真剣の眼差しで見つめあう……。 先に口を開いたのはアルザートの方だった。
「やはり、君しか居ないようだ。君にお願いがある。明日、私と一緒に王城に行って欲しいのだが、だめだろうか?このとおりだ!」
アルザートが深々と白羅にお辞儀をしてきた。白羅の方こそ驚いた。こんな偉い人に頭を下げられるなど、あり得ない事……。何があったと驚いた周りが二人を注目する。
「ニャ!ニャ!ア、アルザート様!頭を上げて下さいニャ!分かりましたニャ!分かりましたニャから!」
想定外の事に慌てて返事をしてしまう白羅君。
「え!?何処に行くって?白羅さん?あ、アルザート様もいらしてたんですね♪」
傍に寄ってきたラミアが何の事か気になって、問いかけてきた。それにつられて女性陣が集まってくる。
「ニャ、ニャァ、明日王城に行く事になったニャ……。」
と爪でポリポリと頬っぺたをかきながらラミアに応えていた。
「「「「「「な!なんですって~~~!!」」」」」」
全ての人々が 振り向く程に女性達の叫びが響き渡る。そう滅多な事でないと入る事がない場所へのアルザートの誘い……。果たして…………………。
読了ありがとうございます。とんでもない人からとんでもない事を頼まれた白羅達の運命やいかに!
では、次話にてお会いできる事を切に願って……♪ 紅龍騎神でした…………♪♪