さてこの部活の顧問になったわけだが・・・えらく気まずいなぁ。
なぜかって?なんかいきなりがるるるるーって威嚇している比企谷君がいるからだ。あっ雪ノ下さんに射殺された。
「・・・そんなところで気持ち悪い唸り声をあげてないで座ったら?」
「え、あ、はい。すいません」
ちなみに私はすでにそこらへんにあった椅子に座ってケータイをいじっている。先生が遠慮する必要ないよね。
「何か?」
おっと動きがあったようだ。
「ああ、悪いどうしたものかと思ってな」
「何が?」
「いや、だってわけわからん説明しかなくてここへ連れてこられたもんだから」
確認するようにこちらを向いてきたので首肯する。
すると、彼女は不機嫌さを露わにしながらため息を一つつき言葉を発した。
「・・・そうね、ではゲームをしましょう」
「ゲーム?」
「そう。ここが何部か当てるゲーム。さて、ここは何部でしょう?」
さて何故か剣呑な雰囲気を放出して問題を出した雪ノ下さん。しかし、ヒントが少なすぎるな。教室には部活に使うようなものは何もないし。それこそ先ほども比企谷君が言ったように平塚先生からは何も聞いていない。
「他に部員っていないのか?」
「いないわ」
それは果たして部活と言えるのだろうか?しかし、ヒントにはなるのか。
一人で問題なく、かつ特別使う道具はない。そんな部活・・・
そう考えているうちに比企谷君は答えを出したようで
「文芸部か」
「へぇ・・・。その心は?」
「特殊な環境、特別な機器を必要とせず、人数がいなくても廃部にはならない。つまり、部費なんて必要としない部活だ。加えて、あんたは本を読んでいた。答えは最初から示されていたのさ」
彼は少ししたり顔で言った。雪ノ下さんは感心したようでふむと小さく息をちき
「はずれ」
とフッとすっごい馬鹿にしたような感じで笑った。そして続けざまに
「月城先生はわかりますか?」
と聞いてきた。
さて、本当になんだろうか。こういうのは知っている人の発言を振り返るのがセオリーだか・・・雪ノ下さんはヒントになりそうなことは言っていない。
後は平塚先生だが・・・
ん?そういえば平塚先生はこう言っていたな。
『君には奉仕活動を命じる』
つまりはこの部活の活動をする事で奉仕活動となるような事だ。
・・・うん、わからん。もう安直でいいや。
「奉仕部・・・ですかね」
「ほう・・・。何故ですか?」
「いや、ぶっちゃけわからなかったので平塚先生が言っていた奉仕活動をさせるというところからとりました」
そういうと、彼女は少し面食らったように
「過程が酷いですけど正解です」
と言った。まじ?正解したの?いや、だとしてもどんな活動をするんだ?
そんな疑問が伝わったのか彼女は高らかに宣言した。
「持つ者が持たざる者に慈悲の心を持ってこれを与える。人はそれをボランティアと呼ぶの。途上国にはOADを、ホームレスには炊き出しを、持たない男子には女子との会話を。困っている人に救いの手を差し伸べる。それがこの部の活動よ」
いつのまにか彼女は立ち上がり、比企谷君を見下ろすような形で、
「ようこそ、奉仕部へ。歓迎するわ」
「平塚先生曰く、すぐれた人間は憐れな者を救う義務がある、のだそうよ。頼まれた以上、責任は果たすわ。あなたの問題を矯正してあげる。感謝なさい」
「ノブレス・オブリージュというやつですか。ノブレス・オブリージュは1808年フランソワ=ガストン・ド・レビの記述をオノレ・ド・バルザックが谷間の百合で引用して広がった言葉ですね。元は貴族に無私の行動を促すための不文律のようですが」
雪ノ下さんの言葉を聞くと少しむっとしたように
「俺はな、自分で言うのもなんだが、そこそこ優秀なんだぞ?実力テスト文系コース国語学年3位!顔だっていいほうだ!友達がいないことと彼女がいないことを除けば基本高スペックなんだ!」
「最後に致命的な欠点が聞こえたのだけれど・・・。そんなことを自信満々に言えるなんてある意味すごいわね・・・。変な人。気持ち悪いわ」
「うるせ、お前に言われたくねぇよ。変な女」
なんだろう・・・この言い争い・・・てか、自分の顔がいいって鏡で見ているんだろうか?
二人がやんややんや言い合っていると、ドアから殺人鬼でも入ってきたんじゃなかろうかとゆうほどの荒々しくドアを開ける音がした。
「雪ノ下。邪魔するぞ」
「ノックを・・・」
「悪い悪い。まぁ気にせず続けてくれ。様子を見にきただけなのでな」
そう言うと平塚先生は壁に寄りかかった。
「仲がよさそうで結構なことだ。なぁ、そう思いませんか?月城先生」
「そうですね。セトモノとセトモノがぶつかっている状態ですがね。柔らかい緩衝材があればなおいいのですが」
「相田みつをですね。むしろ彼は腐っているので柔らかいのでは?」
「おいおい、知らないのかよ。なんでも腐りかけが一番うまいんだぜ?」
「あなたはもう腐り切って捨てる部分しかないでしょう?心の腐りが見た目にも現れているもの」
「おい、それは目だけのことを言っているのか?」
思わず苦笑が出てしまう。・・・ニヤニヤで固定されてさほどかわらんがな。
そのやり取りを楽しんで見ていると平塚先生に比企谷君が果敢にも向かっていって見事に制圧されていた。平塚先生戦闘力高スギィ!しかし、なぜこの二人はこうも次から次へと反論罵声が出てくるのだろうか?
・・・はっ!もしかしたら教師たちの話を聞いている時に反論の練習をしているのか!
そんなくだらないことを考えているとなんかまた二人のじゃれ合いが加速している。
「逃げるのはどっちだよ。本当に逃げてないなら変わらないでそこで踏ん張るんだよ。どうして今の自分や過去の自分を肯定してやれないんだよ」
「・・・それじゃあ悩みは解決しないし、誰も救われないじゃない」
おっと流石にこれ以上はいけない。
「二人ともそこまでにしておいてください。自分の考え方を言い合うのは大いに結構です。しかし、相手の意見を否定するのはいただけませんね。『冷静を保て。怒りは議論ではない』ダニエル・ウェブスターの言葉です。まず、お二人は今日会ったばかりなのでしょう?比企谷君は雪ノ下さんの、雪ノ下さんは比企谷君の過去を知らない。知らないのに変わるだの逃げるだのと言うのはいけません」
人には人の触れられたくない過去というものがある、とは言わなくても二人にはわかるだろう。どちらも思い当たる節があるのだろう。思いつめた表情をしている。くらい雰囲気に似合わず平塚先生の顔は私と同じようにニヤニヤとしていた。
「二人とも落ち着きたまえ。面白いことになってきたな。私はこういう展開が大好きなんだ。ジャンプっぽくていいじゃないか」
平塚先生、テンション上がってるなあ。
「それではこうしよう。これから君たちの下に悩める子羊たちを導く。彼らを君たちなりに救ってみたまえ。そしてお互いの正しさを証明するがいい。どちらが人に奉仕できるか!?ガ「ガンダムファイト・レディ・ゴーなんて言わないでくださいね」
そういうと平塚先生はうっ、と詰まったのような声を出した。
「先生。年甲斐も無くはしゃぐのはやめてください。ひどくみっともないです」
先生はトドメを刺され羞恥に顔を染めてから取り繕うように咳払いをした。
「と、とにかくっ!自らの正義を証明するのは己の行動のみ!勝負しろと言ったら勝負しろ。君たちに拒否権はない」
「横暴すぎる・・・」
比企谷君のつぶやきが響いた。
ガハマさんだせませんでした。すいません!
次は出せるように頑張ります。
・・・出せるといいな・・・