マイネリーベのマリーンに転生したけども詰んだかもしんない   作:むぎすけどん

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魔王、襲来

「どういう事だ、マリーン!」

怒髪天(どはつてん)()く勢いのルードヴィッヒが昼下がりの教室に怒鳴りこんできたのは翌日のことだった。

 

「...どうされたんですか、ルードヴィッヒ?」

ルードヴィッヒと私は二人とも、王族と繋がる公爵家の人間で、当然、旧知の仲である。

 

「どうもこうもない、マリーン!

貴様、『東洋から来た、私のお気に入りの小鳥』に何をしたっ!」

 

ぶふっ!何その表現。

 

「マリーン!貴様、今、笑ったな?笑っただろ!

我が愛すべき《東洋の小鳥》ナオジは、今日限りをもって、ローゼンシュトルツ高等学園を中退。

一身上の都合でシュトラール候補まで辞退してきたんだぞっ!」

 

おおっ!

兵は神速(しんそく)(たっと)ぶ。

日本のこれからのために、ぜひ頑張ってほしいものだ。

 

「私が、理由を聞いても、故郷が危機に(ひん)してるから、とか、

自分は同胞たちのために、母国に帰って、戦わなければいけないんです、とか言って、

(はかな)げに微笑(ほほえ)み返されるし、それに、あいつはっ!

あいつは...まるでお前のことをっ…」

 

ルードヴィッヒは、顔を真っ赤にして、わなわなと震えながら、こちらを睨んでくる。

 

「と、とにかく、お前だけは、許さないからな。

覚悟しておけよ。」

 

そう言ったルードヴィッヒは、マントを(ひるがえ)し、立ち去っていった。

 

嵐が去った後の教室は、シン、と静まりかえっていた。

 

...ふーっ、やれやれ、いずれは、彼と激しくぶつかることになるとは、思っていたけど、こんなに早く来るとは。

それほどまで、直司の存在はルードヴィッヒにとって、大きかった、ということなのだろうか。

 

背中に、ジトリと、冷や汗が流れていた。

 

私は相当、危ない橋を渡っているのだろうか?

 

この国においてシュトラールの意見は絶対的な力を持つ。

彼に、カーレンベルク家を(おとしい)れる口実を作らせてしまったのだろうか。

 

大丈夫、大丈夫だ。まだ、導火線に火がついた程度だ。

爆破にはまだ至っていないはずだ。

 

シュトラールに近づくことは、危ない橋を渡っていることと同じことであることは最初から分かっていたではないか。

 

それにこれは、没落フラグを根本から崩すために、必要な一手であったはずだ。

 

こんなことで、ゲームオーバーになるとしたら、ハナっからマリーンの没落を防ぐのは不可能だということになる。

 

これは、もう、ミッションインポッシブルだ。

これからも、私は(きわ)どい道を模索(もさく)していくことになるだろう。

 

しかし、それをやり遂げなければ、私や、ミンナ、オーガスタの家族や大切な人たちが、全員、不幸になってしまう。

そして、この国は戦乱に巻き込まれ、幾人もの尊い命が失われることになる。

 

それだけは、この身をもって、防がなければならない。

 

こんなことで動揺してはいけないんだ。

冷静に、対処しろ。

これは爆弾だ。

爆破すれば、確かに一発だが、

手順を踏めば、必ず解除できる。

 

私は震える手を押さえながら、

改めて、今後のことに、思いを()せるのだった。

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