マイネリーベのマリーンに転生したけども詰んだかもしんない   作:むぎすけどん

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保健室のお姉さん

「あっ、痛っ!」

ローファーから、上履きに履き替えようとした時、足の裏に鋭い痛みを感じた。

上履きを見ると、大きな画鋲(がびょう)が貼り付けてあった。

古典的な嫌がらせだが、思いっきり踏んでしまったようで、傷口から、どばどばと流血している。

 

「マリーンさん、どうしたんですかっ!」

私の不審な様子に気がついた、門番が駆けつけてきた。

 

「これは、(ひど)い。

すぐに、止血をしなければ!

ちょうど良かった。あなたに引き合わせたい人がいるんです。」

 

あっ、と声を出す暇もなく、私の体は軽々と門番に持ち上げられた。

いわゆる、お姫様抱っこというやつだ。

 

女子生徒の羨望(せんぼう)嫉妬(しっと)の視線が降り注ぐ中、私たちは学園を走り抜ける。

 

うぅぅ、お嬢様抱っこなんて、前世通しても、初めてだよぅ。

...何だか、恥ずかしい。

 

「あらぁ。男前の門番さん、今日は私に何の用かしらぁ。」

入った先は学園の保健室だった。

ナイスバディの白衣のお姉さんが、上目(づか)いに、門番を見つめる。

うわぁ、セクシーダイナマイツ!

こんな先生、中学の時にいたら、毎日でも通うわー。

 

「...あいかわらずですね、フランツィスカ。

それよりも、早くこの子に応急処置を。」

 

「あらっ、この子、ひどい怪我。

この傷は突起物かしら。

すぐ、消毒して、止血しなければ。

ちょっと染みるわよ」

 

うっひゃあ。確かに染みる。

しかし、先生は、こんな傷には、慣れているのか、応急処置はスムーズに進んだ。

結局、最後には、片方の足は包帯でグルグル巻きにされてしまった。

ちょっとした大事(おおごと)になってしまったなぁ。

 

「あら。あなた、マリーンちゃんでしょ、カーレンベルク家の。」

 

「そうですよ、フランシス。

あなた、この子に何か、言うべきことがあったんじゃありませんか?」

門番が、フランシス先生を(にら)みつける。

 

「うぅ...分かったわよぅ。

ほんの出来心よ、出来心。」

 

「出来心で、済みますかっ!

教師の立場を利用して、生徒の個人情報を一生徒(いちせいと)漏洩(ろうえい)させるなんて、前代未聞ですよ!!」

 

「ごめんって。だってぇ、面白かったんですもの、あのエリカって子。

熱心にあなた達の電話番号、聞いてくるもんだから、ついつい教えちゃったのよぅ。

あの子、それで、何をするつもりなのかな、ってちょっと面白そうで、オホホホホ!」

 

「全く、あなたって人はっ!

これは大問題です。

学園長に報告させてもらいますよ。覚悟することですね。」

 

「ちょっ、たんま、たんま。それだけはやめて?

本当、ゴメンってぇ。もうしないからぁ。」

 

そうか、ヒロインが私たちの電話番号を知っていたのは、この人のせいか。

そういえば、この人、ゲームの中では、ちょっとしたお助けキャラで、ヒロインに、攻略対象者の情報や、好感度を教えてくれるんだった。

わかりやすくいえば、『とき◯モ』でいう好雄(よしお)キャラね。

 

よく考えてみれば、この人のしてたことって、生徒の個人情報を他の生徒に(さら)しているわけだから、ちょっとした事案(じあん)になってしまうわね。

 

まぁ、しかし、私には、ちゃんとした謝罪(?)らしきものをもらい、もう、ヒロインに情報を教えないことを約束してくれたし、あとは迷惑をかけたミンナとオーガスタに謝ってくれれば、私的にはもうそれでいいかな。

 

「甘いですね、マリーンさんは。」

門番は、呆れたような顔で私を見た。

 

ヒロインとのことも、門番にとっては、「信じられないほど甘い」処置だ、と言っていた。

ここら辺は私が『ナァナァ気質』の元日本人というのも関係しているのかもしれない。

あまり、(こと)を大きくしたくないっていうか。

 

「ところでさー、マリーンちゃん。

ずっと気になってたんだけど、

そのいつも持ち歩いてる、ウサギのぬいぐるみって一体、何なの?」

フランシス先生は、この短時間で、すっかり私の事を友達認定したようである。

 

あー、それ聞いちゃう?

一応、カーレンベルク家の秘匿(ひとく)事項だしなぁ。

ミンナも気になるって言ってたけど、傍目(はため)から見れば、完全に変な人だもんね。

 

「これは、私が作ったんですが、中におまじないがこめられてるんです。

...一種のお守りと申しますか。」

 

神秘研究部っぽさを出してみたんだが、...ちょっと言い訳としては苦しいか。

外側は私のお手製だし、中身が、おまじないというのも、あながち、間違いではないだろう。

 

お父様、心配性なんだよなぁ。

 

ふと見ると、ラビィちゃんの目がキュイーンと光った気がした。

 

うぅ、私、なにげに愛されてるなぁ。

 

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