マイネリーベのマリーンに転生したけども詰んだかもしんない 作:むぎすけどん
「もうすぐ、秋休みだねー。」
とミンナが私に寄りかかりながら言う。
ミンナとは席も近いことがあって、休み時間のたびにこうして
そこっ、
たしかに、美少女を胸に抱く感覚は、やみつきになるけどね。ぐへへ…。おほん。
そういう場には、最近では、必ず、オーガスタも一緒にいる。
どうやら私たちの中で、3人1組がすっかり当たり前になってしまったようだ。
それにしても、オーガスタ…。あなた、席、ちょっと遠くなかった?
「そうだねー、どっか、行く? カーニバルも今週末から始まるんだよね。」
学園都市のカーニバルは秋休みの開始とともに始まり、なんと、翌年の2月ぐらいまで続く、長いイベントだ。
カーニバルの初日ともなると、パレードや出し物も目白押しで、これを見に、クーヘン中から人が集まる。
中には、高価なピンクトリュフを使った料理の屋台も出るというのだから、見逃せないだろう。
「今、やってる活動もなかなか面白そうだしね。『橋の恋人』だっけ?」
この頃の活動写真は、トーキー五割、無声+弁士五割といった感じ、まだほとんど白黒だけど、なにせテレビのない時代なので、メジャーな娯楽の1つだった。
私的には、弁士の講談がなかなか面白くて、「これ、絶対、関係ない話でしょー!」と違った意味で結構楽しんでいる。
「『橋の恋人』って、ロマンスものなのよね、ス・テ・キ!」
と、ミンナもすっかり乙女の顔だ。
かわええー!お持ちかえりしたい。
「それなんだけどね、マリーン。久しぶりに
ヴィルもあなたのこと会いたがってるし。」
お、ヴィルが? あいつ、オーガスタの弟にしては、可愛いんだよな。
引っ込み思案で少々内気なところがあるけど、本が大好きで、私でも難しいと気後れするような本をあの年ですでに読みこなしている。
ヴォルフェンビュッテル子爵は領主候補としては
まぁ、これからの教育と成長次第だけどね。
私とはウマが合ったようで、前回、来たときにすっかり
っていうか、ブリっ子演技、見事に見破られてしまってたなぁ。
マリーンとしても、比較的、気の許せる相手として、漠然と将来の不安について、話しあったっけ。
この国の女性のキャリアパスはすごく狭く、限られている。
「女は家庭に入り、夫を支えるものだ」、という概念が広く一般的だし、女性の職業で最も高い権威は、ドルイドの巫女だったりする。
妙齢の貴族の女性であれば、なおさら、地位のある男性との結婚を前面に押し出される。
女性官僚なぞ、この国では、夢のまた夢であろう。
「マリーンなら、そんな壁を平気で突破する、そんな気がするんだ。」とヴィルは興奮で、頬を赤くしながら、言ってたっけ。
あの子、年の割りに
まぁ、あくまでも気分的なものなんだけど。
うーん、なんか、楽しみになってきたな。
「…私も、行っていいの?」 おずおずしながら、ミンナが聞いてきた。
まだ、彼女の中で、少し、貴族に対して、遠慮するようなところが残っているようだ。
「もちろん、ミンナ。歓迎するよ!」と、オーガスタが気持ちよく答える。
ミンナの顔がパァっと華やいだ。
それを見ていた男子生徒たちが次々とノックダウンしていく。...合掌。
「なんだか、楽しい、秋休みになりそうね!」
そんなわけで、私たちは、秋期休暇のしばらくの間、オーガスタの実家のあるファイゲでしばらくお世話になることになった。