マイネリーベのマリーンに転生したけども詰んだかもしんない   作:むぎすけどん

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湖上の旅

「うはっ! いい風。」

湖から吹きつける風が、気分を爽快にする。

 

ここは、アナナス()

澄んだ湖面には、魚たちが気持ちよさそうに泳いでいるのが見える。

個人的には『霧の摩周湖』に匹敵するのではないかと思うぐらい、透明度の高い綺麗な湖だ。

 

ローゼンシュトルツのある学園都市は、四方をこのアナナス湖に囲まれている。

北上して、ファイゲ・トラベオ方面に行くには、定期便の船で、湖を渡って、湖岸にある駅舎(えきしゃ)で馬車に乗り換えなければならない。

 

アナナス湖のクルージングは、貴族の間でも人気の高い観光レジャーになっている。

せっかくなので、甲板(かんぱん)に出て、ミンナたちと水遊びを楽しむことにした。

 

「なんだか、平和ねー。」

ほうっと息をもらす、オーガスタ。

 

入学以来、電話ハラスメントやら、ルードヴィッヒ襲撃、画びょう事件とそれに続く匿名(とくめい)の嫌がらせ行為など、私の身の周りで色々起こった。

ヒロインのこともあったが、大部分は、私の身から出た(さび)というのが大きい。

オーガスタにも巻き込んでしまったり、心配をかけてしまったりしたようで、なんだか申し訳ない気分だ。

この旅が私たちにとって、少しでも気晴らしになるといいな。

 

「ねぇ、マリーン。」

 

「ん、何?」

 

「あの子、エリカ・クラウスには気を付けるのよ。」

 

ヒロインちゃんなぁ…。

門番のアドバイスに従い、電話番号を変えてから、私たちがヒロインちゃんから非常識な時間帯にコールを受けることはなくなった。

フランシス先生にもキツく言い含めているので、二度とヒロインに私たちの電話番号を教えることはないと思う。

 

その代わり、前にもまして、シュトラール3人に対しての電話の量が増えているという。

 

その内容は、ほとんど他愛のないものばかりで

なんでも、コーヒーのおいしい銘柄について聞いてきたり、

上演中のバレエのプリマドンナの感性の是非についてたずねてきたり、

そうかと思えば、「カーニバルで、一時の夢を誰かと共有する」、という己の願望を懇々(こんこん)と語りだしてくるのだという。

 

私たちの時のように夜中にかかってくることはないものの、忙しいときなんかにそれをやられると、外面(そとづら)だけはいいはずの、シュトラールもさすがに我慢ならなくなってくるそうだ。

…ゲームでは、何とも思わなかったけど、これって、りっぱなイタズラ電話よね。

例によって、ルードヴィッヒだけは、なぜか、除外されている。

本当に、悪運だけはいいやつよね。

 

それにしても、ヒロインちゃん、シュトラールの攻略、進んでないのかしら?

なんか、見てると、手当たりしだい、出会った人に電話してるようにしか見えないのよね。

ひょっとして、逆ハー狙いなのかしら?

...うーん、でも、それにしては、やけに、攻略対象者たちから、鬱陶(うっとう)しがられているような..。

体型もいぜんとして変わらないみたいだし…。

 

そうこうするうちに、定期船は湖岸のポートに着岸した。

 

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