マイネリーベのマリーンに転生したけども詰んだかもしんない 作:むぎすけどん
『コ○ミコマンド』を体現して、一通りのステータスupを果たしたぜぃ、と満足した私はミンナと一緒に楽しくおしゃべりしながら、講堂を出た。
え?ABボタンはどうしたかって?
いやだなぁ、そこにあるじゃないか、立派な丸い2つのやつがさっ!
ミンナはちょっと引いてたけどさ。…気にしたら負けだ。
「あーーら、やけにうるさいわね、と思ったら、マリーンじゃないの。」
何をぉ、天下のCV:釘宮理恵さまを悪く言うやつはどこのどいつだっ!
...と、振り向いた先には、背がひょろ長く、ちょっと顔色が悪い幼馴染みの子爵令嬢が呆れた顔で立っていた。
オーガスタ・フロイライン・ルクグレーフィン・ヴォルフェンビュッテル。
お姉さまと言ったほうが似合いそうな男勝りの子爵令嬢。
領地が近いこともあって、マリーンとしての付き合いは長いが、昔から何かお互いソリが合わなかった。いわゆる腐れ縁というやつだ。
どうも、私は、前世でも今世でも「私、サバサバしてるんです」キャラを演じてくる女には苦手意識を持っていた。
本当にサバサバしてたらそれでいい、しかし、彼女の場合、素でそういう振る舞いになってるわけではないし、その実、脳内お花畑で、ブラウンシュヴァイク子爵令息に色目を使っていることも知っている。
そして、彼女は彼女で、ぶりっ子ロリータキャラの私を疎ましく思うのか、昔からやけに見下しながら絡んでくる。
お互いさまといえばお互いさまなのかもしれないけど。
前世の記憶が戻った時、こいつとはあまり関わり合いになりたくないなぁ、と正直ちょっと思ってしまったが、彼女も続編で没落エンドを辿るかもしれない仲間同士。
案外、友達思いなツンデレで、いいところもある。
放置するのは不憫だし、ここは仲良くしても損はないだろう。
「ひさしぶりね、オーガスタ。デビュタント以来かしら。」
オーガスタが目を見開く。
私の返答の仕方が意外だったのだろう。
「し、しばらく見ないうちにずいぶんと雰囲気が変わったのね、マリーン。」
少々面喰いながら、オーガスタは受け答える。
あれ、そんなに変わったかなぁ? あ、ちょっと語尾伸ばしてたかな。
でも、あのブリっ子、演じるのも意外に疲れるのよね。
めんどいなぁ。
「私も16ですもの、すこしは淑女らしくなりましてよ。オーホッホッホッ!」
…ちょっと、キャラ違うか。
マリーンて、よく考えたら、高飛車ってわけでもないしねぇ。
でも合格点をもらったのか、すこし、オーガスタは安心したような顔になった。
「...ふぅ、相変わらずね、マリーン。
ところで、そちらのご令嬢はどなたかしら。」
あれ、知らないか。
オーガスタなら結構、社交場にも顔出してると思ったのになぁ。
隣のミンナはちょっと緊張した様子でカーテシーを行う。
「わ、私は、ヴェルヘルミーネ・ユーリヒで、です。…あの、オーガスタ・ヴォルフェンビュッテル子爵令嬢様、でいいんですよね。」
「あぁ、私のことは、オーガスタで結構。以後、よろしくお願いするわ。」
うん、オーガスタなら、『成り上がり』財閥のユーリヒ嬢であっても、偏見なく受け入れると思ったわ。
少なくとも、そういうやつではないもの。
ミンナの表情は、ぱぁっと明るくなった。
「なら、私はミンナと呼んでくださいませんこと!」
そのあだ名好きだなぁ。
やはり裏技なんじゃないだろうか。
「ミンナ!これからもよろしくね。」
オーガスタは満面の笑みを浮かべた。
ほら、好感度MAXじゃんか。
うらやましい。