マイネリーベのマリーンに転生したけども詰んだかもしんない   作:むぎすけどん

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神秘研究部

「えっ!?マリーンちゃん、どこ行くの?」

 

お茶会の帰り、ローゼンシュトルツの校舎の方へと戻ろうとする私に、ミンナが声をかけた。

 

「ちょっと、..ね。神秘研究部のほうに顔を出そうと思ってるの。」

 

「え!!?神秘研究部!??」

 

ミンナがかなり引いた表情をする。

クールで落ち着きはらったオーガスタとは対象的だ。

 

うん、わかる、わかるよ。

一般庶民の感覚的には、かなり電波っぽいネーミングの部よね。

事実、前世のOL時代、マリーンのプロフィールで、この部の名前、発見したとき、「コイツかなりヤベーやつだな」、って思ったもん。

 

でもね、この部、私が入らなきゃしょうがないのよねぇ。

 

この時代、秘密結社とか、サバトの集まりってわりとまだ一般的に貴族間で行われていて、

貴族間の社交とか、関係性を作る意味でも、かなり重要なセレモニーが行われていたりする。

 

ほら、「魔笛(まてき)」って、モーツァルトのオペラあるでしょ?

あそこで兄弟間の儀式うんぬんの描写あるけど、あれって実は「薔薇十字団(フリーメイソン)」の教義上の話なんだよね。

 

あと神秘研究っていわれてるけど、錬金術も絡んでいたりして、この時代の最先端の化学を研究していて、後の時代の化学の発展の基礎を作っていたりするのだ。

 

私の家、カーレンベルク家はクーヘン国のフリーメイソン一派の中でもリーダー的存在だ。

このことが、わが公爵家の政治的影響力の源泉の一つになっている。

 

特に昨今、ナチスの迫害を恐れて、ドイツにいたメイソン系の秘密結社のグループがクーヘンに逃げこんできている。

 

その中でも例えば、著名な人物に「法の書」を執筆したエドワード・アレクサンダー(のちのアレイスター・クロウリー)とかもいて、そういうドイツで活動していたオカルト集団をうちがまとめて保護していたりする。

この影響力は意外に無視できない。

 

そういうわけで、私が神秘研究部をまとめていくことは入学前から決まっていた。

結構、ローゼンシュトルツではポピュラーな活動で、3割近くの生徒が、貴族中心に在籍している。

 

ルードヴィッヒも私たちのそういった動きを警戒して、科学研究部を対抗して作ってたっけ。

新設なのに、部室まであって、ほんと、シュトラール特権よね。

 

...しっかし、ヒトラーってよくわからないよね。

一方でオカルトを迫害しておきながら、自分は神秘主義に傾倒していて、側近に神秘教徒のヒムラーを入れたり、カール・マリア・ヴィルグートなる怪しげな魔術師がいたりとか、『失われた聖櫃(アーク)』を探しに行ったり...ってこれは映画の話か。

 

ちなみに私、マリーンの錬金術レベルは、現状でも、かなり高いほうだ。

 

しかし、その現在の私のレベルでさえ、「人の心を操る」媚薬を製作するには、気が遠くなるような高い壁が立ち塞がってたりする。

 

...というか、そんな効果の媚薬製作に成功した人物って、まだ、この世界に存在しないんじゃないかな?

 

その困難をわずか2年後には完成させてしまうのだから、マリーンの化学的素養は相当優秀だといえる。

 

結局のところ、ヒロインが二年間、休日のたびに攻略対象者とデートにうつつを抜かしている間、原作のマリーンは薬学研究で(たゆ)まぬ努力をしていた、ということなのだろう。

 

ぶっちゃけ、自分には無理っス、はい。

 

そんなわけで、私はチョロっと部室に顔出して、なぜか、サバトの巫女的なことやらされたりして、その後、幹部と引き継ぎ事項など、打ち合わせたりした後で、マリーンとしては、珍しく疲れ果ててる状態で、女子寮へと帰っていった。

 

ふひーーー!!かなりハードな社交だよ、これ。

必要なこととはいえ、疲れるわー。

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