マイネリーベのマリーンに転生したけども詰んだかもしんない   作:むぎすけどん

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最初の電話

「♪今日も、鏡のまっえっで!」

いやー、CV:釘宮理恵、最高だわ。

この音源、かなりレアなんじゃね?

 

朝から、フニンフニンと、声優の声で遊びながら、髪を整えていると、メイドのメレディスがかなり驚いた顔で「お嬢様が...歌ってる!」などと放心していた。

 

そうよね。私、家の中じゃ、かなり寡黙(かもく)な子だったから、この変化は驚くかもしれない。

 

 

 

 

生まれた時から、私はいらない子だった。

 

産声をあげたとき、お父様が最初に言った言葉は、

「なんだ、女子か...」だったそうだ。

 

小さい頃から私は屋敷の中で息を殺して過ごし続けていた。

少しでも神経を逆立てさせないように、親が私に八つ当たりしないようにと。

 

私が女子として生まれたことでこの家が凋落(ちょうらく)しつつあるのを知っていたから。

 

外では赤子の頃から仮面をかぶった。

皆から愛されるように、少しでも可愛らしく。

 

自分でも過剰に感じることがあったが、いつのまにか、どこからが、本当の自分で、演じている自分なのか、分からなくなってきた。

 

親に愛されてないわけではないと思う。

そうでなければ、こんなに贅沢に生活させてもらえない。

護身用のぬいぐるみだってもらっている。

 

しかし、

「男子だったら、良かったのに。」

と、内心では思われていることは確かだ。

 

そういう話を直接、お父様から聞いたことは無かったが、私にはわかる。

 

お父様は内緒ごとが下手で、不器用だから、顔にすぐ出るのだ。

 

それでも大切な家族だ。

今まで、ワガママ放題だった自分を甲斐甲斐しく世話してくれた使用人たちや、

今まで、独り身で、必死に私をここまで育ててくれたお父様。

 

カーレンベルク家が没落すれば、これらの人々の笑顔を消すことになる。

 

どうしてもそれだけは避けなければならないのだ。

心の底で(うと)まがられていても、私はやっぱり、マリーンとして、この家族を愛している。

 

迫り来る運命と戦うために、これからの学園生活、必死になって生きていけなければならないだろう。

 

そう思って朝の支度を終える。

 

 

その瞬間だった。

 

「ジリン!ジリリン!!」とけたたましく電話のベルが鳴った。

 

朝の登校前の、ただでさえ、忙しいこの時間に、誰が一体、何の用で、かけてくるんだろう?

 

「はい、マリーンです。...誰でしょうか。」

自分でも少々、不機嫌な声になっているのがわかる。

...落ち着け、私。

 

「もしもし、私、わたし! 入学式の時に一緒にお茶した、エリカよ。覚えてる?」

 

うん? あー、ヒロインちゃんか。

うーん、電話番号、交換したっけなぁ?

なんで、私の寮の部屋番、知ってるんだろう?

 

「あ~エリカさん。

今、少し忙しいんですけど、何の用でしょうか?」

 

「10月6日なんだけど、遺跡に遊びに行かない?」

 

うん、学校の裏の、ストーンヘンジね。

クーヘン国で『遺跡』といえば、あそこしかない。

気になるよね、アレ。色んな意味で。

 

「え~っと、その日は~。」

 

私はスケジュールノートを開く。

残念ながら、その日は神秘研究部の集会がある。

さすがに外せない用件だ。

 

「ごめんなさい。その日はとても大事な用が入ってるの。」

 

「そう、じゃあまた今度ね」

冷淡な声でエリカは答え、瞬時に電話を切る音がする。

 

ガチャ、と電話が切れる前に一瞬だけ、舌打ちが耳に届いた。

 

「ちっ、使えないやつ。」

 

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