マイネリーベのマリーンに転生したけども詰んだかもしんない   作:むぎすけどん

9 / 41
ヒロインの電話

学園が始まってから一週間が経ったが、

ヒロインの話題が絶えない。

 

 

どうやら、ここ数日、4人のシュトラール達に対し、執拗(しつよう)に電話をかけてきているらしい。

 

その内容も「古代の息吹(いぶき)を感じたい」とか「印象派の絵画の見方がわからない」とか、「映画のチケットを持ってるのだけれど、誰を誘うべきか?」といったような、要領(ようりょう)の得ない質問ばかりで、対処に苦慮しているというのだ。

 

 

ただ、ルードヴィッヒだけは、迷惑電話を(まぬか)れているらしい。

なんかムカつくなぁ。

 

それだけなら、シュトラールも苦労してるのね、で終わってもいいところだが、

問題は、ヒロインの所業は私たち3人にも及んできていて、それがもっと深刻なのだ。

 

彼女は、私たちの電話番号をどこから調べたのか、深夜、早朝、問わず、電話攻勢をかけてくる。

 

内容は「一週間後に図書館に行かないか」とか言ったような、

そんな緊急性のあるものではないのだが、

それを毎晩、非常識な時間にかけてくるので、たまらない。

 

3人とも電話番号を一度変えてみたのだが、それすらも翌々日にはつきとめられてしまう有様。

 

 

 

「困ったわねぇ」とオーガスタは疲れたように、ため息をついた。

 

ここは(くだん)のコーヒーショップだ。

オーガスタはいまだにここのモカにハマっているらしい。

 

「うわぁん!マリーンちゃん」と私に抱きつくミンナ。

 

うはぁ、いい匂いがするな。...ムム、私より大きいか、ムムム。

 

少し堪能しながらも、背中を優しく撫でる。

ミンナの顔を覗くと、泣きはらした目の下に、くっきりと黒いクマが見える。

これは思ったより深刻だ。

 

ヒロインが、いつも、夜中に電話をかけてくるので、この一週間ろくに寝ていないらしい。

 

うーん、心配だな。

不眠は美貌の敵というし、どうしたものだろうか。

 

 

「どうしたんですか?」

と近くの席に座っていた門番が話しかけてくる。

 

この人、ローゼンシュトルツ学園の警備を普段担当している方なのだが、シュトラールがいる学校だけに、大変容姿が整っている人物だ。

 

ゲームでは、クリスマスパーティ時にしか、登場しない隠しキャラで、なかなかのイケメンなので、マイネリーベファンからは大変人気が高い。

この人を攻略するルートは無いのか、と制作会社コ◯ミに要望が殺到したほどである。

 

その門番は仕事終わりに、やたらと、この喫茶店でお茶することが多いので、最近では、私たちと世間話をする茶飲み仲間になった。

 

何故か、女子会にも不自然に混ざることのできる不思議なイケメンである。

 

でも、この人、まだ名前を知らないんだよなぁ。

いつまでも「門番」じゃ可哀想だよなぁ。

「外井さん」とか?

 

門番は、私たちから、話を聞いた後、少し困った顔をした。

「そうですね、...それは由々(ゆゆ)しき問題だ。」

 

「...うーん、私に少し心当たりがあるんですが、

明日、もう一回、電話番号を変更することはできませんか?

たぶん、もうかかってこないと思いますよ。」

 

 

私たちは門番を信じて、その次の日、寮の部屋の電話番号を変えた。

 

すると、あら不思議。

ヒロインちゃんから、電話がかかってこなくなった。

 

門番、すげー。

一体どんな魔法を使ったんだ!

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。