神武、頑張ります!~ちょっと歴史が違う世界の艦これの艦娘になりました~ 作:雪たまご
・・・暗い・・・
・・・・・・あれ?・・・
・・・・・ここは・・・・・どこ?・・・
・・どんどん・・・・しずんでいく・・・・・
・・・・なんで?・・・・なにが・・・・
・・・・・おっさん・・・・
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最初に沈んだのは電ちゃんだった。電磁波砲や56cm砲を撃ちながらの砲雷戦中、艦橋にボロボロになった電ちゃんが現れたのだ。
「後は・・・ここだけ・・・」
「電ちゃん、大丈夫!?」
電ちゃんの衣服は破れ、艤装も歪み、その顔は苦悶に満ちていた。
「神武さん・・電は・・・」
「沈むのか。」
「司令官さん・・・はい。今左舷に32・・33度ぐらい、傾斜していっ!?・・るのです・・。」
その時艦内通信が入る。
「司令長官!電より乗務員の退避を確認、全員収容しました!」
「電、沈んでいきます!」
外を見れば傾き、徐々に水中へと没していく電の姿。それと同時に電ちゃんが足から光の粒子となって消えていく。
「待って!まだ曳航すれば!」
「無理なのですよ、神武さん。それよりも皆をっ!?・・・よろし・・くお願い・・するの・・・です。」
もう肩までしかない電ちゃんをつかむ。けれどつかんだ先から消えていく。
「今度生まれるときは、もっと平和な世界がいいな・・・」
「電ーーーーーー!!!」
ついに電ちゃんの全てが光となって四散していった。そして今度は暁と雷が現れる。
「私達も沈むわ。」
「響のことを頼むわね?あの娘、本当はさびしやがりだから・・・。」
「暁、雷!!ダメ、いかないで!!」
「司令長官!!暁、雷、沈みます!」
「暁と雷の一部乗務員、収容完了!!」
「こんな所で沈むの、いやだよぉ・・・」
「司令官・・・どこ・・・?もう声が聞こえないわ・・・」
「暁!?雷!?そんなっ!」
私は初めて死を知った。
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タウイタウイ泊地・司令官室
司令官室にはこの基地選りすぐりの艦娘達が集められていた。
「さて、君達に集まってもらった理由だが・・・大淀。」
「先日出現した戦艦神姫の居場所が明らかになりました。」
引き締まった空気の中、普段任務娘と呼ばれている大淀が説明を始める。大きな机の上に広げられた地図にはタウイタウイ泊地周辺が書いてある。大淀はその地図の一点を指差す。
「ここ、サンギヘ諸島のシアウ島です。ここに深海棲艦による泊地が造られていると、報告が入っております。その中に戦艦神姫と名乗ったあの艦がいたとのことです。」
「君たちにはここを制圧してもらうことになる。旗艦は崇神、お前だ。」
「・・・任せて。」
「本来こういうことはやってはならないのだが・・・戦艦神姫に会ったら崇神以外は逃げろ。」
艦娘の纏う空気が不満げなものへと変わる。
「・・・提督は私達には勝てない、そう考えているのね?」
「ああ。かつて乗っていたからこそわかる。神武型を沈めることができるのは神武型しかいない。あの戦艦神姫が応神と同一だったならば、君たちでは無理だ。それに、他の深海棲艦もいるんだぞ。」
司令官室が暗い雰囲気へと変わる。今ここにいるのは崇神、北上、大井、金剛、比叡、山城、扶桑、赤城、加賀、蒼龍、飛龍、翔鶴、愛宕、高雄、矢矧、伊19、島風、電、暁、雷、響の22隻。普段ならば一つ基地を攻略可能な戦力だが、相手には戦艦神姫がいるので崇神はその対応をしなければならない。そしてもし神武が深海棲艦化していた場合(今回は望まれているが)、変化したであろう戦艦神姫を倒さねばならないのだ。そう、下手すれば一隻でこちらを壊滅させかねない敵を。
「他の艦娘は君たちをシアウまで送る護衛任務につく。そして君達は崇神を戦艦神姫に送り、かつ周辺の敵を近寄らせないようにしなければならない。そして崇神、君は戦艦神姫を倒せ。神武と思われるほうだけでいい。」
「・・・倒しても深海棲艦のままだったら?」
「連れて帰れ。それが無理ならば撤退せよ。これで作戦の概要説明は終了だ。何か質問は?・・・ないようだな。では詳しい説明に入る・・・」
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国外において神武型程有名な日本戦艦はそういない。その大きさ、堅さ、速さ、そして攻撃力。全てでギネス記録に乗ったこともある(速さ以外は未だ破られていない。)。ドレッドノート級にはもはやおさまらない、とZ(ジンムの頭文字)級が新たに作られたほどである。かつて敵対した国はこの艦・名前がトラウマとなっており、また現友好国もこのを敵艦として想定して戦力を整えていたりする。
この艦の最も有名で恐れられていたのは、その不沈性だろう。どれだけ火力があろうと沈めてしまえば関係ない。この艦の建造当初、いやしばらく諸外国はそう考えていた。しかし第三次世界大戦時にその恐るべき耐久性があらわとなる。そもそも当たらなかったのだが、魚雷数十発を受けても傾斜すらせず、爆弾も対空火器に多少の損害を与えるだけ、SSMは電磁波砲の影響で当たる前に爆発、当たっても目立った損害なし。
これこそが本当のドレッドノート。
当時の英国の新聞にもそう記述されている。しかし、旗艦がそれだけの攻撃を受けるということは護衛艦も同量以上の攻撃を受けているのだ。しかし、旧型艦の多かった日本海軍の駆逐艦・巡洋艦にそれを受けきれる耐久力は持ち合わせていなかった。毎戦、駆逐艦や巡洋艦を失い神武、空母だけが帰ってくるということが続いた。この事実は彼女のメンタルに大きな影響を与えた。
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シアウ島・深海棲艦泊地
「お姉様?起きてくださいませ・・・。」
ん?ここは・・・
「ここは私達の基地ですのよ。」
基地・・・?
「艦娘とかいう敵から身を守るための基地ですわ。」
艦娘って・・・?
「艦娘はかつての私達の仲間の姿・名前を騙っている敵ですわ。倒さなければならない敵。この前は電とか名乗っている輩がいましたわね・・・。」
電ちゃんの名前を騙っている奴がいるの・・・?
「ええ。そして崇神、二番目のお姉様を騙っている者もおりましたわ。」
崇神を・・・。・・・許せない。
「ですが彼女達を倒せば、本当の彼女達が現れるのです。そう、彼女達は囚われの姫。お姉様はそこから助け出す王子様といったところでしょうか。」
・・・そう。・・・ところであなたは?
「私はお姉様も知らされていない、神武級三番艦、応神ですわ。」
・・・そう。
「応神、行こう。皆を助けに。」
「はい、神武お姉様。」
白い髪をたなびかせ、その姉妹は動き出す。片方は黄金のオーラ、もう一方は虹色のオーラを纏いながら。