目指すは忍ぶ忍者   作:pナッツ

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25:問2・偽名を名乗る前に何をしていたのか? 

「ここまでで、何か質問とかあるかい?」

 

 手ごろな岩に腰を掛け話を続けていた黙は一息つくとハナビへと話題を振る。

 

「当たり前のように塵遁? ……や、木ノ葉丸のお父さんの話が出てきて上手く話が飲み込めてないです……っ!」

 

 黙との一方的な組手で体力を消費しているハナビも地べたに座り込んでいるが、黙の話す内容に常識がついてきておらずに混乱しているように眉間に皺を寄せる。

 

 そのハナビの様子を見た黙はニコッとした笑顔を浮かべ数秒の沈黙のうちに

 

「…………まあ、細かい事説明してたらキリがないし理解はしなくてもいいよ、うん。 ()に対する理解さえ深めてくれればいいから」

 

 そう残念そうな雰囲気を醸し出しながらハナビに励ますように声をかける。

 

(……納得いかないっ!! こんな話をいきなり聞かされて理解できる人なんているわけないでしょっ!?)

 

 ハナビは黙の態度に少し不満を感じたが、そんなハナビにお構いなしに黙は黙雷悟の話を再度話始めた……。

 

 

 

~~~~~~

 

 

 

 うちはサスケおよび黙雷悟が里から消息をたった次の日の朝。

 

 木ノ葉の里の中央区より外れた少し寂れた区域のとある二階建ての建物の一階の土で出来た地面がひび割れ腕が飛び出る。

 

 その腕が地面から這い出ると合わせて頭、胴体もどんどんと外に出て地面から1人の人影が生き絶え絶えになりながらその土で出来た床に寝そべり仰向けになる。

 

「はぁ……はぁ……キッツ……」

 

 そう呟く人影は黙雷悟。 彼は終末の谷の近辺から地中を潜りこの建物の中まで移動してきたのである。

 

 しかし、精神的な疲れと肉体的な疲れがピークに達してきておりその上長距離の地中の移動は負担が多く、悟はそのまま気を失ってしまう。

 

 

 

 

 

 そしてふと目を覚ますと悟は布団に寝かされた状態になっていたのである。

 

 畳の上に引かれた少し古い布団と掛け布団。 内装もあまり上等のものではなく、一種の古さを感じさせる粗末な木造建築の一室に悟は見覚えがあった。

 

「ここはアジトの……いつの間に二階に?」

 

 身体を起こした悟の誰に向けた訳でもないその独り言。

 

「ご苦労様です、私が運んでおきました」

 

「ッ!?」

 

 返事など期待してなかったその言葉に、女性の声でしかも背後から声をかけられたことで悟は驚き後ろを振り向く。

 

 するとそこには木ノ葉の暗部の仮面をつけたくノ一が正座をして座っており悟は驚きに体を硬直させつつも、何とか口を開く。

 

「っ……お、あ……さ、()()()()()……さんですか?」

 

「はい、如何にも」

 

 悟の確認するようなおずおずとした言葉にその人物、猿飛キョウマの妻であり猿飛木ノ葉丸の母、猿飛ミノトはハキハキとした口調で答えた。

 

 安心したのか大き目なため息をついた悟にミノトは仮面の奥から鋭い目線を覗かせる。

 

「……何か問題でもありましたか?」

 

 悟のついたため息に対して、自分が何かしらの不備をきたしたのかと確認するように問い詰めるミノト。

 

 悟はあわてて両手をあたふたと振りながらそれを拒否した。

 

「ち、違いますよ?! ただキョウマさんからミノトさんの話は聞いてましたけど、直接会うのも始めてなのと俺が割と致命的な気の失い方をしたのとで色々気が張ってただけです……はい」

 

 弁明する悟に、ミノトは視線を柔らかくして彼へと語る。

 

「……鉄の国に発つ前の夫から、この場所……貴方が以前里内で活動するために買い取ったという空き家で待機していて欲しいと頼まれていたので張り込んでいました。 なので早朝、一階の土間の部分から這い出た貴方に気づき二階まで運び寝かせたまでです」

 

 説明口調のミノトに悟は素直に頭を下げてお礼を述べる。

 

「……ありがとうございます、昨日は俺も色々大変だったので……まあ一階で気を失っても最悪ここには誰も来ないと思うので良かったんですけど……布団で寝たおかげか、気持ちも……スッキリした感じがします……」

 

 幸薄そうにそう言いながら笑顔を浮かべる悟に、ミノトは少し目を細めながら問いかける。

 

「……そうとう精神に負担がかかったようですね。 しばらくは休養をお勧めします」

 

 淡々とした調子でそういうミノトだが不思議と悟はその言葉に温かみのようなものを感じ

 

「……わかりました。 数日は休んでおきますね」

 

 と僅かに気力を吹き返し、笑顔で答えた。

 

 悟の返事に満足したのか瞳を伏せたミノトはその場から立ち上がり、部屋のボロボロの襖に手を掛けながら悟に声をかける。

 

「では、私はこれで。 悟さんが時空間忍術及び口寄せの類による連絡手段を持たない関係上、私は業務の合間を縫ってここにきます。 必要な物、情報などがあればその時お申し付けください……それでは」

 

 そう言うとミノトは静かに開けた襖から姿を消し、気配も読み取れなくなる。

 

 ミノトが居なくなったことを把握した悟はそのまま布団に仰向けに倒れため息をついた。

 

 予想以上に体力を消費し、なおかつ精神的な疲労も蓄積していることに悟は理由を考える。

 

(といっても……ここまで消耗した理由なんて()()()()しか考えられないよな。  術で分かれた二人の俺は明らかに体力の消耗が激しかったし何より……精神の揺らぎが大きかった。 ……分裂の術で魂を二分するとその分、メンタル的な耐性も半分になってしまうのかも)

 

 そう考察した悟は影分身よりも分裂の術の方が何かとリスクが大きい事に注意して運用しないといけないことを心に留め、ミノトの進言の通りにしばらくは休養を優先するとことにしたのであった。

 

 

 

 

~~~~~~

 

 

 

 その日の午後、日が落ちた時間帯に悟は布団から目を覚まして空腹になる腹をさすりながら建物の一階へと降りる。

 

(以前、分裂の術を使った時は魂は二分せずに俺と黙が分かれただけだったし……体力も九喇嘛がチャクラ貸してくれたから何とかなってただけで分裂の術って心身ともに消耗が激しいんだな……注意しよう)

 

 寝る前の考察を追考し反省しながら悟は一階の荒れた様子の空間に目を向ける。

 

(ここ……この建物自体は元はある夫婦の居酒屋経営のため建てられたものらしいけど……夫の不倫がどうとかで妻が出て行って、経営と管理が出来なくなって安く売りだされてたの俺が引き取ったんだが……何と言っても何もないし、ボロイ)

 

 一階のスペースは居酒屋経営のためにお客さんを入れるスペースと台所があるのみのよくある飲み屋のようであったが、管理が放棄されているため放置された木製の椅子や机が無造作に置かれ台所にもコンロとシンクがあるのみで調理器具や冷蔵庫などの器具は一つも置かれてはいなかった。

 

(……不倫した夫が、質に出せるもの全部出して残った家屋を俺が買い取っただけだからなんもないのは当然か……夕飯どうしよ)

 

 金欲しさに名義など不問で振り出されたこの家は悟に取ってとても都合の良いものだったが、管理するほどの時間はとれなかったために結局は放置され内装も外装もボロボロのままになっていた。

 

 下忍として、馬鹿みたいな数の依頼をこなしていた悟は下手な上忍よりも金を稼いでいた。 「蒼い鳥」にも給料の一部を収めていたがマリエが度を越える額は頑固として受け取らなかったために悟の貯蓄は膨れ上がっていた。

 

 そんな金の量にモノを言わせこの建物を購入し、この家に金庫ごと移動させていたが……

 

(今は呑気に買い物行ける状態じゃないしな……それこそ日向の人間に白眼で見られたら一発で正体ばれかねないし、変化の術も忍び連中に見破られたらめんどくさいことになるのは必須……)

 

 金だけしかない現状に悟は一種の虚しさを感じた。

 

 すると

 

 突然、土間の床にひびが入る。 悟がそれに気がつくと

 

「猿飛ミノトです」

 

 ヒビの間からそんな声が漏れた。

 

「(なんて返事返せばいいんだ?)……は、はーい、いいですよ(?)」

 

 悟がその声にぎこちなく返事をすると、ミノトが土間を破り姿を現した。

 

「本日の業務が終了したため、様子を見に来ました」

 

 凛とした佇まいのミノトに悟はその場違いな丁寧さに違和感を覚えながらも思ったことを口にする。

 

「どうもこんばんわ……あの……失礼ですけど、来るの早くないですか?」

 

 そんな悟の疑問に

 

「……私が暇だと言いたいんですか?」

 

 ミノトは少し凄ませた口調で答えた。

 

「そ、そう言う訳じゃ……ミノトさんは暗部なので俺のところに来れる頻度はそう多くないんじゃないかと思って……っ!」

 

「……私の心配は無用です。 五代目様がまだ暗部の運用になれていないために個人的な時間を作りやすいだけですので……それよりも」

 

 ふとミノトが小さな巻物を広げると、ボンと小さな音と煙を上げ小箱が現れる。

 

 その小箱を手に取ったミノトはそれを悟へと差し出す。

 

「これは……?」

 

「夕食です。 この家の様子では貴方が夕食を取れることはないと判断したのでこちらで用意させていただきました」

 

 ミノトは小箱を悟へと手渡すと、無造作に置かれていた机と椅子2つを並べその一つに座る。

 

 ミノトの座った向かいに用意された椅子に促されるままに悟も座るとミノトは暗部の仮面を取り自身の分の弁当箱も巻物から取り出す。

 

 ミノトの素顔を見た悟は

 

(……若干雰囲気は木ノ葉丸に通ずるものがあるように見えるけど……綺麗な人だ)

 

 その容姿に思わず一瞬見とれた。

 

 怒った時の木ノ葉丸を思わせる切れ長の目はその悟の反応に表情は変化させずに、眼だけで不信感をあらわにする。

 

「私の顔になにか? それとも食事の内容に何か不満でも?」

 

「とくにそう言うわけでは……木ノ葉丸に似てるなって思っただけです」

 

 若干ミノトの態度に慣れた悟は素直な気持ちを述べ、そのまま弁当箱を開ける。

 

 中身は焼肉弁当で、冷めてもおらず湯気が立つ。

 

「……封入の術って便利ですね」

 

 悟の素直に感想を述べるとミノトは

 

「ええ、単純かつ効率的な術です。 強力とは言えませんがそれも使い方次第でしょう、このように物資を運べること自体戦略的には有効なためにこの術を使えるのは忍びとして最低限のラインと考えて後輩の育成に勤しんでいます」

 

 饒舌に語り始め、悟は焼肉を口に運ぼうとした箸の動きを止める。

 

「……何か?」

 

 キョトンとしたミノトの表情に悟は小さく微笑み

 

「……いえ……頂きます」

 

(キョウマさんは忍術に、ミノトさんは戦略的なことに熱中しやすいのか? 中々個性の強い夫婦なことで……流石は木ノ葉丸の両親)

 

 心に余裕を取り戻しながら焼肉弁当に舌鼓を打った。

 

 

~~~~~~

 

 

 食事を終えた悟が充足感に浸り椅子に体重を預けていると、ミノトが口元を布巾で拭きながら口を開く。

 

「今後の予定はどのような形で? 夫からは特に何も聞かされていないので良ければ参考までに話を聞いておきたいのですが」

 

 切れかけの電球が不安定に照らす部屋の中でそう切り出したミノトの言葉に、悟は顔つきを真面目なものにし体勢も正して答える。

 

「取りあえず、数か月は木ノ葉に滞在をして里外に出る準備をします。 大まかに内容を言えば1つは……俺が変装に慣れること、2つはとある結界忍術を手に入れることですね」

 

「変装と結界忍術……ですか?」

 

「はい、今は俺こと黙雷悟が生死不明で消息を断っているため、根の忍びらがマリエさん達に手を出す可能性を封じ込めてますが生存がバレてしまえばどうなるか分かりません。 なので、出来る限り黙雷悟からイメージを離した人物に成り切れるように練習すること。 そして中性的な声と顔つきを利用して女性に変装つもりなので、白眼持ちに体を透かされて正体がバレないよう特殊な結界忍術を習得したいとも思っています」

 

「なるほど……確かにこうして面と向かって顔を観察しますと幼さを加味しなくても整った顔をしていますね。 声も訓練すればより女性的になることでしょう……そしてその結界忍術とはどういったものでしょうか?」

 

 ミノトに顔をジロジロと見られた悟は気まずそうな笑顔を浮かべつつ、指を回しながら結界忍術についての話をする。

 

「ほら、木ノ葉の商店街にたまに抽選会してる雑貨屋さんあるじゃないですか……どこのことか分かりますか?」

 

 悟が指で宙に絵を描くようにしてその雑貨屋の位置をミノトに想像させる。

 

 「角の突き当りの……」のように悟が説明しているとミノトは顔をハッとさせて

 

「……心当たりがあります。 何度か私も過去に訪問したことがあった場所ですね」

 

 そう悟へと告げる。 

 

「へぇ……失礼ですが、ミノトさんってあまりああいった場所には行かなそうに感じますけど……過去にってことは今は行ってないんですか?」

 

 悟が若干の興味を持った表情でそう質問するとミノトは少し考える素振りをした後に口を開いた。

 

「……四代目火影波風ミナト様の奥方であらせられた、うずまきクシナ様が良く訪問していらした場所なので……暗部として見まわりに行っていました。 思えば貴方の保護者であり私の後輩でもある蒼鳥マリエも何度かそこで姿を見た覚えがあります」

 

 昔を思い出すかのようにミノトがそう告げると、悟は驚いた表情を浮かべ

 

「……ッそう言えばマリエさんは元暗部でしたもんね……それにクシナさんか……マリエさんがクシナさんに追いかけられた話を聞いたことがありますが……あの場所が……そうだったんだ」

 

 直ぐに少ししんみりとした表情になって顔を俯かせる。

 

「……家族が恋しいですか?」

 

 悟の表情を見てミノトはそう告げる。 その言葉にハッとした悟は

 

「いえ……ただ何というか……歴史を感じて感傷に浸ってました……と、取りあえずその雑貨屋が何故か使用している結構高度な結界忍術の術式を手に入れたいと思っているんです」

 

 話の内容を引き戻す。 ミノトは少し無理している悟の様子に気の毒そうな表情を一瞬浮かべ直ぐに

 

「……確かクシナ様が生前ひいきにされていた店だったと記憶しています。 品ぞろえも豊富でそれ故に盗難被害が酷かったそうで……その貴方が求める結界忍術も恐らくクシナ様が店を助けるために施した……うずまき一族に伝わる術の一つなのでしょう……なるほど、それであるなら白眼の透視能力を防げるということですね」

 

 悟の意志をくみ取り話の解釈を述べる。

 

「はい……なので里では外に出る準備を進めていこうかと思っています。 国外を回るつもりなので他にもいろいろと知らべないといけなさそうですね」

 

 やることの膨大さに大変そうだと悟が小さくため息をつく。 ミノトはそんな悟に

 

「……私にできることがあれば協力は惜しみません。 何でも気軽に相談してください」

 

 そういって弁当箱を片付け始める。 妙に親切なミノトの態度に悟が疑問を感じる。

 

(何故ミノトさんは…………)

 

「何故ミノトさんはそこまで俺にしてくれるんですか……?」

 

 そしてその疑問を口にした。 決して精神的に安定していない悟は少しだけ、ミノトとキョウマの献身的なサポートと態度に違和感を覚えていたのだ。

 

 丁度巻物に弁当箱を収納したミノトはそんな悟の言葉に、ポーチに巻物をしまいこんだ後に悟へと向きなおり真剣な表情を浮かべて返答する。

 

「……それが私たちにとって忠を尽くすということだからです」

 

「…………忠?」

 

「我々忍びは平和とは真逆の道を生き、それでも平和を夢見る……忍び耐える者として私は考えています。 この考え方は受け売りなんですけどね……なのでせめて、後に発つ者たちであるあなた方の道となるために私と夫は火の意志に忠誠を誓い、後世を助けることに尽力しようと考えているのです……己の意志を持って」

 

 そう述べたミノトの言葉に悟はその表情と雰囲気から、タダならぬ意志を感じて思わず息を呑む。

 

 忍界に生き、その実情知るにもかかわらずミノトのその言葉には平和に向けた希望が満ちていたのだ。 そして少しの沈黙の後ミノトは鼻で笑い

 

「……無理に一忍びである私の考え方に理解を示さなくてもいいです。 まあ、個人的に言うなら蒼鳥マリエを守れなかった申し訳なさと……君が木ノ葉崩しの時に病院で発した言葉を聞き、好感があるから協力していると思ってくれて構いません」

 

 そういって話を終えた。 悟はそんなミノトの言葉に

 

「……ありがとう……ございます」

 

 少し涙ぐんだ声での小さな謝罪を述べるのに精一杯となっていた。

 

 

 

~~~~~~

 

 

 

 ……それから二か月ほどの期間を使い悟は準備を行った。

 

 ミノトの見繕った女性物の服装に袖を通したり、化粧の勉強をしたり……また他国の地理関係を覚えたりと地味ながらも下地を丁寧に形成していった。

 

 そんな日が続く中で様々な話を聞いた。

 

 うずまきナルトが日向ネジと決闘を行ったことや、マリエたちの施設が若干ながら運営に日が差し始めていたことなど……そして

 

「白が……零班隊長に……?」

 

「はい、悟さんが居なくなった穴を埋めるためにより忍びとしての任務に励むそうです……施設に余裕が生まれたのも要因でしょう」

 

「それは……そうか、私の代わりにねぇ……ちょっと心配かな……」

 

 掃除がなされ小ぎれいになったアジトの一階でミノトと会話を行う悟。 悟の容姿は髪の毛も伸びセミロングとなり、顔も化粧が施され容姿は完全に女性のものとなっていた。

 

 口調もトーンも女性と疑われないほどとなっており普段から女性を演じているためにその練度はかなりのものであった。

 

 少し考える素振りを見せた悟は

 

「ミノトさん、出来ればでいいんですが……白が施設と忍びとしての活動の行き来をしやすくなるように何か手を打ってもらえませんか? 白雪としてのアイツと忍びとしてのアイツが結び付けられたら血継限界を狙ってダンゾウが何か仕掛けるかもしれないので」

 

 ミノトへそう頼み込む。 そんな悟からの要望に

 

「わかりました、綱手様にそれとなく提案を出しておきます」

 

 了承の意を示す。 悟も懸念点が一つ払拭されたことで、安心した表情となった。

 

「それで、今日は例の雑貨屋に行こうかと思います……そろそろ結界忍術を手に入れておきたいので……」

 

 悟のその言葉にミノトは

 

「……私が行くことも出来ますが、よろしいんですか?」

 

 と確認をする。 悟には、自分の変装の出来栄えの確認と最近ミノトの暗部としての仕事量が増えてきていることへの配慮の意味があるためその申し出を断る。

 

 悟の気づかいにミノトは気づいていながらも、彼の譲らない性格に慣れて来たために小さくため息をついて注意を促す。

 

「でしたら、譛€霑大ヲ吶↑莠コ迚ゥ縺ョ蝎ゅr閨槭>縺ヲ縺�∪縺�

 

………………

…………

……

 

~~~~~~~~

 

 

 ハナビに話を続けていた黙は、いきなり口をポカーンと開けて無言になった。

 

 調子よく過去の話をしていた黙がフリーズしたことにハナビは怪訝な表情を浮かべながらも声をかける。

 

「どうしたんですか……? 多分話の流れ的に、その日は悟さんは『マリサ』に変装しその雑貨屋に向かうんですよね? ……そしてそこで私と出会ってしまう」

 

 ハナビが過去に出会ったマリサという人物が悟の変装であることは既に気がついているので、黙が黙った後の話に予想を付けて問う。

 

 しかし黙は口を閉じると腕を組み、頭を捻り何かを思い出そうとしているのか唸りながら表情をしかめさせていた。

 

 一向に口を開かない黙にハナビはそう言えばと疑問を口にする。

 

「……そう言えば、あの時一緒にいた悟さんがパパと呼んでいた男性と悟さんを姉ちゃんと呼んでいた男の子たちは一体誰なんですか?」

 

 ハナビが何気なくそう口にした疑問に黙は

 

……男性……? ……男の子……?

 

 小声で何やらぶつぶつと呟くとハナビに対して

 

「……覚えていない」

 

 そう観念したように告げた。

 

「……はい?」

 

 不信感をあらわにしているハナビは突然の黙の言葉に呆れた表情を浮かべた。

 

 納得の行っていない黙はモヤモヤした感覚を覚えながら言葉を重ねる。

 

「そう覚えていないんだ……正確には、何故かその近辺の記憶が曖昧になっている……っ」

 

「……数百年生きているのでボケてるんじゃないんですか?」

 

「ハハッ……中々辛辣な事いうね、君」

 

 ハナビからのツッコミに頬をヒクつかせた黙は、そのまま暫く唸るが

 

「……駄目だ、やっぱり思い出せない。 話の内容が跳ぶことになるけど勘弁してくれ」

 

 諦めたのか大きなため息をついて、再度過去の話を話し始める。

 

(勘弁してくれって……自分から無理やり話しておいて中々に傲慢な人ね)

 

 ハナビは黙に対する評価を再度下げながらも、仕方がないと話を聞く体勢へとなった。

 

 

 

~~~~~~

 

 

 

 そして里から離れた黙雷悟が天音小鳥として活動を始める。

 

 ミノトを経てキョウマから忍具作りが終わっていないことを聞いた悟は

 

『なら鉄の国で合流するのでそのまま暫く待機しててください』

 

 とミノトに連絡を託していた。

 

 1人里外で出て活動し始めた悟は始めのうちは大き目なバックパックを背負い旅をする白髪の少女という身なりでいた。

 

 本格的に行動するつもりである天音小鳥として動くときは、自然エネルギーの活用で黒髪になるつもりであった。

 

 そんな悟は始めに土の国、岩隠れの里を目指した。

 

 火の国と風の国と同じくらいの距離がある土の国に赴く悟の目的は決まっていた。

 

(今後各地を回るのに口寄せが出来ない私がすべきことは移動手段の確保……つまり土遁・軽岩の術の習得)

 

 自身の思惑の1つである各尾獣らとの接触を思うと悟は移動手段を必要としていた。

 

 雷遁チャクラモードでの移動は目立つ上に長時間の使用でのチャクラ消費量も決して少なくはない。

 

 そのため軽岩の術を会得するために、手始めに悟は謎の不審者として岩隠れに向け防がれることを見越して見せかけだけの威力の低い大きな火遁を打ち込んだ。

 

 当然のように火遁は防がれ、赤い装束が特徴的な岩隠れの忍びらが警戒を強め辺りに散らばる。

 

 そして

 

「急な襲撃か……だとしても一体どこの誰が──」

 

「私でーすっ! 写輪眼っ!!」

 

 孤立した忍びの不意を突き、いきなり眼前に現れ写輪眼による幻術を行使。

 

 そのまま軽岩の術の使用者を聞き出していき、特定。

 

 芋づる式に特定した忍びに幻術をかけて拉致し、離れた洞窟で術を目の前で披露させた。

 

「ふむふむ……やっぱり岩隠れは土遁系の術が豊富だなぁ……加重岩の術も覚える気はなかったけど便利そうだなぁ」

 

 呑気にそう呟く悟は一通りの術を披露させ、写輪眼でその動きを見切りコピーすると幻術で相手の記憶を封じ里の近くに放置。

 

 その後は

 

「土遁・軽重岩の術……あっ出来た……浮いた……なんか違和感凄いけど、飛べるなんて感動的だなぁ……そう言えば雪の国でチャクラの鎧で飛んでたっけ……」

 

 軽重岩の術により空の上という移動経路を確保した悟は鉄の国へと赴き猿飛キョウマと合流を果たす。

 

 ミノトからの連絡を受けていたが、余りに早い悟の到着と容姿の変化にキョウマは一目見て微妙そうな表情を浮かべた。

 

「……やはりお前は色々と規格外だな……っとそんな再会の感想よりもお前に頼まれていた忍具、細部に問題があって職人が手を焼いている。 お前自身が自分の口で要望を伝えた方が出来が良くなるはずだ」

 

 キョウマの言葉に悟は、鉄の国の武具職人に自身の要望を伝えその完成形を語る。

 

 チャクラを吸収する鉱石の性質を利用した二代目火影の雷神の剣と呼ばれた剣と、逆にその性質を反転させて利用する拘束具に近いような4つの鉄輪。

 

 剣はかつてナルトが盗んだ封印の巻物に記されていた物であり、悟はその内容を書き写した巻物を職人に直接見せる。

 

 そして鉄輪はかつて見た雪羅の拘束具をイメージし要望と意見を出したことで、それぞれの忍具は完成した。

 

「名付けて尾異夢・叉辺流……うん、中々にカッコイイんじゃないかなっ!!」

 

「……センスが雷の国だな」

 

 悟の命名にキョウマが呆れつつも、鉄の国での用事が済んだ悟はバックパックをキョウマに預け封入の術で巻物にしまってもらうと次の目的地を告げた。

 

「移動手段も確保して継続使用ができる忍具も出来た。 次は……私が強くなるために、修行の地として選んだ大蛇丸の北アジトに向かいますっ!」

 

「……っ無茶苦茶なことを言っている自覚はあるか?」

 

「あるっ! でもそこじゃないといけない理由があるのでねぇ……キョウマさんは着いて来てくださいっ!」

 

 そういうとキョウマを軽重岩の術で浮かせた悟は有無も言わさずに彼を引っ張り鉄の国を出るのであった。

 

 

 

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