今回は書き方を変えてみました。読みやすくなっていると幸いです。
約2週間の時を経て、悟は病院から退院した。入院中、彼の不明瞭な身体回復能力は安静にし、体を動かさないことでより効率的になることが判明した。
彼は自身がそれなりに特異な体質であることに喜びを示していた。――無茶を出来ることが感情の主体ではあったが。この感情は周囲の人間に心配を掛けることになることは理解しているため、なるべく伏せていこうと悟は心に誓い退院の日を迎えた。。
退院の日、病院に迎えに来ていたマリエは
「思ってたよりずっと早い退院でよかったわ~。色々とあったけど、こうして悟ちゃんが無事に帰ってきてくれて私嬉しいわ!」
とルンルンと感情を表に出しながら、悟に抱き着く。
「……それなりに心配を掛けてしまったことは理解しているので、甘んじて逃げませんが……もう…少し、力抜いてください……ぐえぇ……」
と明るく振りまく感情とは反比例するような力で抱きしめられる悟は退院して、即息絶え絶えになる。
マリエが「ごめんね~」と言い抱擁を解く。解放された悟と、マリエは病院のエントランスから外へと出る。影分身を外に出し、情報を集めていた悟だが本体が外に出るのは実に3週間ほど期間が空いている。
久しぶりの外の空気感に背伸びをしながら、深呼吸をする悟は
「あ~、やっぱり晴れた外の空気は美味しいなあ~」
と呑気な声を出す。
緊張も危機感もない久しぶりの雰囲気にマリエも悟も、心からの安心感を得ながら施設「青い鳥」へ帰路を進めた。
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施設の玄関前まで来ると、隣に並び談笑しながら歩いていたマリエは少し駆け、玄関の前で振り向き視線を悟へと向ける。ニコニコしているマリエは後ろで手を組みソワソワした素振りをする。
その行動の意図に悟は少し考えるも、すぐに気が付く。この一連のやり取りは傍から見たら正に「家族」に見えるだろう。そんなことに照れくささを感じつつも悟は同時にありがたみも感じ、行動で答える。
「ただいま!」と言い悟はマリエに飛びつき「おかえりなさい!」とマリエがしっかりと受け止める。
――本当の意味で我が家に帰ってこれたって気がする……。3年の期間過ごしたこの施設に帰ることと、マリエが待ってくれている施設に戻ることはすでに悟にとっては、心のよりどころになっていることにこそばゆい感覚を覚える。
その日の夜は、施設の皆が悟の退院祝いを開いた。
マリエ以外の数少ない職員は、悟に対して「少しませた、お手伝い好きの男の子」という良い印象を持っているため帰ってこれたことを純粋に祝ってくれた。施設の他の子どもたちも、一般的な3歳児から卓越した身体能力を持っている――忍者的に見るならまだ下の下も良い所だが――悟との遊びに励んでいたため、悟のいない期間の物足りなさから喜びを表にして祝った。
「……この幸せを守るために……」
悟の覚悟はより深いものへと成る。周囲の人間が危険なことに首を突っ込んでほしくないと願っていることには悟も気が付いてはいる。しかし、無茶をしなければ到底、この世界の理不尽を覆すことは不可能であると解釈をしている。
その後しばらくの間、友人と遊び、マリエとの忍術講座も行わない平和な期間が流れた……。
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しばらく、チャクラのコントロールの修行と体力を回復させていただけにとどまっていた悟にマリエは安心感を得ていた。
「はあ~平和だわ~」と茶を飲みながら、施設の書類仕事に一段落をつけたマリエはぐっと背伸びをする。
日向の誘拐事件に意図的に関わった悟に、情報を得た経路や雲の忍びの目的を知り、阻止するまでに至る過程と言ったところを聞きたいと思っているマリエ。だが彼女はそれを踏み込んで聞くことが悟を追い詰めることを直感で感じているため、深くは詮索はしない。彼がいつか自分から話してくれることを待ち望み、今日もテンテンと遊びに出かけている悟への親心を募らせる。
すると「手紙でーーす!」と玄関から声が聞こえたため、書類仕事を終わらせたマリエは「は~い、今いきま~す」と自室から出る。玄関まで行き、扉の先の人物から、手紙を受け取った。
その手紙は昼頃に帰ってきた悟へと手渡たされた。
荒々しい字のわりにかしこまった内容が書かれた手紙に悟は目を通す。
『退院おめでとう!悟少年。しばらくの期間を置き君も体力が回復したころだろう。つきましては君に修行を着けたいと思い手紙をしたためました。特別に演習場を用意しましたので、準備ができましたら返信のほど、お願い致します!byマイト・ガイ』
物凄く複雑な表情を浮かべるマリエの前で、手紙を読み終えた悟は、微妙なため息をつき、手紙を裏返す。
そこに「よろしくお願いします。」と書きマリエと対面に座っている机の上に手紙を置く。
それを悟の隣に座る人物が拾い上げ「よし、了承したーー!では行くぞ悟少年んん!」と言いテンションを上げる。
「――いや!何でガイ君が自分の手紙を!自分で届けて!返事を直接自分で受け取っているのよ!手紙の意味は!?」
珍しく声を張り上げているマリエを珍しく思いながらも、とんちんかんな行動をとるガイに――やっぱりこの人は理解できないタイプだな。と悟は少し気疲れを感じた。
マリエの問いにガイは
「いやあー!悟少年をどう修行に誘うか考えて手紙を用意したものの、俺もあまり休みが取れていないのもあって、わざわざ郵便で送るより直接手渡した方が早いと思いましてなあー!わはっはっは!!」
つまり、手紙を用意するも時間を惜しみ、自分で直接届けに来て、悟が帰ってくるまで応接室で待ち、返事を直接受け取ったということになる。
普段おっとりしたマリエも旧友の奇行にあきれ果てて「……悟ちゃんの好きにするといいわ~」と言いながら、別の部屋へと逃げていった。
「……ガイさんって変わってますよね~」と悟は、ガイに対する評価を上げ下げする昨今に戸惑いながらもテンション高めのガイについて演習場へと向かった。
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演習場につくとガイは腕を組み仁王立ちの姿勢で説明を始める。
「今回、俺が特別に修行をつけるのは飽くまで、君が八門遁甲で身を滅ぼさないための念押しである!つまりは制御方法をしっかりと身に着けてもらうぞ!!」
気合いの入ったガイの威勢に先ほどまでとのギャップを感じつつも悟は手を挙げる。
「はい」「はい!!悟少年!!」ビシッと指を刺される悟。
「自分、制御ができるなら積極的に使っていこうと思っているんですが……」
ほんのりと沈黙が流れる。
「ちっがあぁう!!」カッと目を見開いて叫ぶガイ。
「制御し、必要とする時以外に無暗に使わない!八門遁甲は禁術である!その理由は……ただ単純に危険だからではない。死に近づく術であるからだ。」
「死に近づく術……」実際に死んだ経験のある悟には妙に親近感を感じる術だと思えた。
ガイは解説を続ける。
「禁術であるから普通は制御法などを教えん!だが君を足をその域へと意図せず踏み込んでしまったため、恐らく今後意図せず開門を果たしていくであろう!そうならないためにも今日、いきなりだが正規の方法で第一開門を開けるところまで来てもらう!」
禁術とは単純にリスクが高い術のことを示すと考えてよい。リスクの方向性は様々だが、例えば多重影分身の術が禁術扱いなのは、使うだけなら容易な影分身の術の延長で出来てしまい、術者に死のリスクがつきまとうからである。
禁術指定された術は情報統制により、教え広める一般的な術と違い、秘匿される。無暗に使い自滅しないように。
禁術であることの重みを解説され悟は質問をする。
「……軽々しく使うことはダメなのは理解しました。それで、正規の方法を覚えるのは大切だと理解しましたけど、いったいどんな感じに修行していくんですか?今日中に出来るものなんですか?」
悟の問いにガイは答える。
「時間はそうかからんだろうさ。君は一度開門を果たしているからな。」
悟の問いに答えたガイは八門遁甲について解説を始める。
「まず八門遁甲とは、チャクラが流れる経路系にある八つの門の総称のことだ。本来チャクラ量を制御する要になっているその門を意図的に開放することで、火事場のバカ力を発揮することが八門遁甲の狙いである!」
悟は体育すわりをしながら真面目に聞き続ける。
「そして開放する手段とは、意図的に門にチャクラを集めることである。」
するとガイは懐から袋を取りだし。中身を悟に見せる。
「丸薬……ですか?」
「そうだ、この特別に調整した丸薬により増したチャクラで門を開ける。これが八門遁甲習得のすべである。その際、すでに会得している者が外部から門の位置をチャクラを流し込み教えることもある。今回は俺が、悟少年にチャクラを流し第一開門の位置を教えよう。」
そういうとガイは丸薬を一つ悟に投げ渡す。それを受け取った悟はさっそく口に含もうとするがガイはそれを制止する。
「待つんだ!まだ丸薬について教えていないだろう!君、人から手渡されたものを良く躊躇なく口に運べるなあ……」
ガイに少し呆れられた悟は顔を赤くして、ハハハ……と笑って誤魔化す。狐のお面を着けているので赤くなっている顔は見られてないが。
「その丸薬は会得する門ごとに調整されている。まだ第一開門用までならそこまで副作用はないのだが、五、六ぐらいまで来るとそれなりに苦しいぞ。第一開門なら軽いめまい程度で済む。」
そういうとガイは丸薬を呑むジェスチャーをして、悟に丸薬を口に入れるよう促す。
うなずき了承した悟は丸薬を口に含み噛み飲み込む。効果はすぐに表れるようで、自分の中で意識せずとも流れるチャクラの量が増していくことがわかる。同時に頭が熱を持ちめまいが起きる。
「あー、酒で酷くよってるみたい……」と悟は感想を口に出す。
「子どもなのに面白い例えを使うなあ君!よしでは俺がチャクラで誘導するから門にチャクラを集中させるんだ!」
そういうとガイは悟の頭に触れチャクラを左脳付近に集中させる。
「……うっぐうう、おぇっ。こ、こんな感じ……で」
ガイのガイド通りに、チャクラを左脳付近に集中させる悟。丸薬の副作用で集中力は最悪な状態だが、あの誘拐事件の夜、うちはの丸薬を使った直後の感覚を想起することで感覚をつかみ始めていた。
『あの時の感覚が第一開門を開けたということなんだろう。イタチさんにもらった丸薬のおかげできっかけが分かりやすくて助かるなあ……』
などと悟は、八門遁甲に触れるきっかけになったであろうイタチに感謝をしつつ、よりチャクラを集中させていく。
「ぐっ……なん、とか行ける気がする……」
「むっ!!いい感じだ悟少年!!そこで一気にチャクラを流し込むんだ!!」
ガイの言うとおりにつかみ始めた感覚を頼りにチャクラを集中させる悟。
「……どっせええええい!!」
声を上げ、気合を入れ、力むことで、チャクラが悟の左脳にある第一開門を開く。
瞬間悟に流れるチャクラ量は劇的に増えた。
「そうだ悟少年!!うまk「オボロオロロロロォ!!」
解放した瞬間、眩暈による気持ち悪さで悟は思いっきり吐いた。第一開門を開けたことで無意識に向上した身体能力による吐しゃは着けていたお面に一瞬抑えられたことで、爆発するかのように弾けた。
「「…………」」
吐しゃ物まみれなった二人の間に微妙な雰囲気が流れた……。